魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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宣伝の結果

ある意味では中々大きな勝負だった。

資金をいくらか投下しての勝負だ。

一撃で決める事さえ出来れば

大した損失ではないが

失敗すれば中々に応える勝負。

 

私の案がどこまで成功するか

それは分からなかったが

親父さんは私を信じてくれた。

その結果……

 

「はぁ、はぁ、お、お父ちゃん!

 八宝菜!」

「用意は出来てる」

「ありがとう!」

 

万々歳は今までの2倍近くの客足になった。

私が提案した自虐マーケティングが

中々刺さってくれたというのが大きい。

 

当然、色々な要因が絡んだからでもある。

主な要因として、魔法少女たちが関係しててた。

自虐マーケティングで神浜の魔法少女たちが

万々歳に興味を持ってやってきたのがきっかけだ。

 

「うわ、マジでこの味、

 超普通なんですけどー!」

「どこでも食べられるような味っぽいけど

 確かにこんな感じのザ・普通って味は

 なかなか珍しいかも……」

 

神浜の魔法少女の一部がSNSでこれを拡散

魔法少女仲間や、他の県の一般の人まで

結構な数が万々歳の存在を把握した。

エゴサーチをした結果、

ほぼ全ての投稿が50点と書いてある。

 

「つ、次は……」

「鶴乃、7番席に麻婆豆腐定食だ!」

「か、会計は…」

「フェリシア、そちらのお客様は

 スタミナ定食だ、900円でお釣りは100円」

「えーっと」

「親父さん、新しい注文は半チャン定食です!

 もうある程度は用意できてます!」

「おぉ、し、仕事が速いね……」

 

しかし、予想以上の大盛況で大忙しだ。

お客様の注文を聞き逃さないようにして

誰がどんな物を頼んだかも把握して

即座に用意しないとお客様を待たせてしまう。

 

「えっと…」

「それは2番席だ!」

「わ、分かったー!」

「はい、こちらご注文の八宝菜です。

 レシートはこちらになります」

「……梨里奈、あんた大変じゃ無い?」

「気にしないでくれ、大した事は無い。

 美味しく食べてくれよ」

「す、凄く良い笑顔ね……」

「えっと、よしお釣りは30円だな!」

「20円だ」

「お、おぉ! 20円だ!」

「無理しないでね、お嬢さん」

 

フェリシアに会計は厳しいのでは? 

とは言え、フェリシアが今のお客様の量を

捌けるとは思えないし

裏方の仕事も難しいだろうからな。

しっかりと補助してあげないと。

 

「うぅ、食材が…」

「そこは抜かりありません、

 予備は既に仕入れてますのでこちらを」

 

繁盛すると予想して在庫もそこそこ用意してる。

 

「いらっしゃいませ! ご注文は!」

 

鶴乃が対応出来そうにないから私が対応した。

注文内容も聞き取ってと。

 

「えっと、650円と960円で……」

「390円だ」

「おぉ! 390円だ!」

 

裏に戻る合間にフェリシアに計算の答えを言う。

レジに入力するのに苦労してるようだしな。

 

「親父さん、火は消しておきました」

「あ、ありがとう」

「注文は八宝菜です」

「わ、分かったよ」

 

本当、一気に大忙しだな。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、お、終わったぜ…」

「そ、そうだねぇ……」

「今回の売り上げは中々に良い売り上げだな。

 今までの売り上げよりも139%の稼ぎだ」

「え? もうでたの? 速いねお父ちゃん」

「そ、そんなの出してないけど…」

「え? じゃあ、売り上げって?」

「私の記憶だが、あってると思う」

「だ、出してみよう!」

 

照合すると、やはり私の予想通りだったな。

 

「うわ、ドンピシャだ」

「それは良かった」

「ぜ、全部把握してたり…?」

「あぁ、勿論だ、そして今回1番売れたのは八宝菜。

 次に売れたのはスタミナ定食だな。

 意外と炒飯とラーメンが売れてないが

 それでめた売上は3番目と4番目かな。

 

 八宝菜を頼んだお客様の平均滞在時間の方が短いから

 回転率が良かったのも、八宝菜が人気だからかも知れない。

 八宝菜の材料を明日は多めに仕入れておきましょう。 

 今日よりも1.5倍程度が無難だと思います」

「わ、分かったよ」

「で、八宝菜におすすめと表記して

 品書きを移動させて、八宝菜とスタミナ定食…

 いや、八宝菜の隣はラーメンにしておこう。

 で、更に隣に炒飯だな、人気の組み合わせだし

 で、スタミナ定食を八宝菜の下段に移動させて

 ライス大盛りとプラス料金を見やすくして」

 

さて、この中で意外と出なかったのはカレーうどんだな。

……正直、何故中華料理屋にカレーうどんと思うが

カレーうどんは意外と注文が多い万々歳だ。

とは言え、今回は宣伝で来たお客様が多いから

カレーうどんは敬遠されたという事だろう。

 

常連客の何人かはカレーうどんを頼んでたしな。

だから、明日は今日よりカレーうどんが出るかも知れない。

昨日来たお客様がカレーうどんを頼んだお客様を見て

自分も頼んでみようと頼む可能性もある。

 

無論、今日来てくれた新規のお客様が

明日も来てくれるという確証は無いが

可能性には対処しなくては。

 

出来ればロストは出したくないが

現状だと、あまりロストまでは想定できない。

今までであれば、ロストは3%以下に収められたが。

今回のロスは7%か……やはり想定が難しいな。

 

「ね、ねぇ、お父ちゃん」

「なんだい、鶴乃」

「バイト、増やそう! このままだと大変だよ!」

「そ、そうだねぇ」

「うん、このままだと梨里奈ちゃんが不味いよ!」

「ん? どうして私の名が?」

「今日1日だけでもハッキリと分かった。

 今のままだと梨里奈ちゃんに負荷が掛る!

 と言うか! 梨里奈ちゃんが休みの日とか

 確実に私達だけじゃ回らない!

 今日も梨里奈ちゃんが殆ど回してたしね」

「そんな事は無いと思うが」

「いや! ある! 頼りすぎてるって分かる!

 だから、このままだと梨里奈ちゃんが大変だよ。

 ただでさえ大変なのにさ」

「そ、そうだよな、姉ちゃんも1人だけだし

 いつも俺、弥栄と久実と一緒に姉ちゃんに

 勉強教えて貰ってるからな。

 

 今日も俺、姉ちゃんに助けて貰ってばかりで

 全く役に立てなかったし……

 うぅ、お、俺がレジってのを上手く出来れば」

「そう焦ることは無いさ、頑張ろうとすれば

 いつか絶対に出来るようになるからな。

 それは勉強も仕事も同じ事だ」

「だから、このままだと梨里奈ちゃんが倒れそう!」

「そ、そうだね、急いでバイトを探そう」

「いえ、そんなお気遣い無く、私は大丈夫です。

 この通り、私は全く疲れてません」

「た、確かに私達はぜぇはぁ言ってるのに

 梨里奈ちゃんはずっと表情変わってない。

 だけど、不安だし、梨里奈ちゃん無茶するから」

 

私は全然平気だ……そう、平気だ。

全く問題は無い、私に限界は無いからな。

 

「……よし! 七美ちゃんに声を…

 いや、出も病気が……いや、どうなんだろう

 確か病弱って聞いたけど、全然そんな気しないし」

「今は比較的頑丈になったらしい」

「そうなんだ、じゃあお願いしてみよう!」

 

思い立ったら即実行の鶴乃は即座に行動を起す。

私達はひとまず準備をしてみかづき荘に戻る。

私の帰りに気付いた七美がやって来た。

 

「梨里奈ちゃん、また無茶したでしょ」

「な、何の事だ?」

「私の目は誤魔化せないよ、疲れてるでしょ。

 それもかなり……

 普段のバイトよりもしんどそうだし」

「え? 雰囲気違うんですか?」

「うん、違うよ! 梨里奈ちゃんは結構無茶してる。

 無茶してるレベルで言えば5くらいだね!」

「レベルって何だ」

「1は通常、普段通りだね。

 2はちょっと体が疲れてる。

 3は体が結構疲れてる。魔女と戦ったら大体ここ。

 4は精神的に疲れてる。

 5は精神的にも肉体的にもそこそこ疲れてる。

 6は全体的にかなり疲れてる。

 7は滅茶苦茶疲れてる状態だよ」

「じゃあ、結構上の方…」

「そ、そんな訳」

「梨里奈ちゃんは自分の癖を自覚してないよ。

 何度か言ったと思うけど、梨里奈ちゃんは

 レベル4以上の疲労時は分かりやすく

 右目のまぶたが少しだけ落ちてるんだよ?」

 

何度か解説をされたりしてるから理解してるが

正直、七美に言われても私は分からなかった。

鏡を見て確認もするが、サッパリ理解できない。

 

「全く、普段はレベル2程度なのにどうしたの?」

「はぁ、本当に簡単に見抜かれるな。実はな」

 

私は今回の件を全て七美に告げた。

 

「万々歳に客足が戻ったって事なんだ」

「そうなの、でも私達3人だと捌ききれなくて

 後2人、さ、最低でもあと1人は欲しいんだよね」

「なる程、で、その候補の1人が私と」

「そう!」

「ふっふっふ、驚くなかれ

 何と私はバイト経験が無い!」

「いや、それは知ってるよ」

「滅茶苦茶冷静に返された!?」

 

当然分かるだろうな、だって七美は元々病弱だ。

その事は既に全員に私が知らせてるからな。

 

「ま、まぁうん、手伝うには手伝うよ。

 私に何が出来るか分からないけど

 梨里奈ちゃんや鶴乃ちゃんの為になるなら

 私は喜んで手伝うよ、最近は体も丈夫になったし」

「じゃあ、お願い出来る!?」

「うん、任せてよ」

 

七美が得意気な表情で答える。

まぁ、七美らしい反応ではあるな。

 

「あ、ありがとう!」

「まぁ、足を引っ張らないように頑張るからね」

 

七美がバイトに参加してくれるのは嬉しいな。

さて、あと1人、誰か欲しいが

今日はもうスカウトが出来ないだろう。

ひとまずは明日、どうなるかな。

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