魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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数多の天才

こちらが今、突然のブームを巻き起こした

中華料理店の万々歳です。

今日も数多くのお客様が並んでいます。

まずは料理の味を聞いてみましょう。

 

「本当、何がどうなるか分からない物ね」

 

みかづき荘でテレビを見ながら

やちよさんが呟く。

 

「元々、これだけのポテンシャルがあったんですよ」

 

一気にブームを呼び起こした万々歳は

テレビに出ることになった。

テレビというのは人気にあやかるのが役目だ。

 

勿論、人気が無い店にテレビはあまり来ない。

正直、テレビに出れるって既に人気だし

更に宣伝と行っても忙しくなるだけだろう。

 

出来れば小さな店にも来て欲しいが

人が見ないだろうからな。

視聴率の観点からもちょっと良くないだろう。

 

「で、今日はどうしてここに居るの?

 今日は休みだったのかしら

 丁度テレビが来てるのに残念ね」

「いえ、休ませて貰ったんですよ、テレビが来るから」

「どうして?」

「いやその、私って家の決まりで本来は

 バイトしたら駄目なんですよね」

 

バイトの数も結構集まってきたからな。

だから、今日は私が抜けても良い様に調整して貰った。

私が抜けた穴を埋めるために、

私以外のバイトが全員動員されたらしい。

鶴乃が教えてくれた。

 

「あ、そうなの?」

「そうなんですよ、だからもし私がテレビに出たら

 最悪、両親の目に映ってしまう可能性がありますしね。

 そうなると、両親に何て言われる事か」

 

しかし、今日は結構人が並んでるな。

流石にここまで人が溜まるとは。

まぁ、日曜日だしな……でも、多い気がする。

 

「しかし、本当にズラリと並んでるわね」

「そうですね、普段より回転率が悪い気が…」

「そりゃそうでしょ、考えなくても分かるわ。

 だって、あなたが居ない訳だし」

「え? 私ですか?」

「そうよ、話は聞いてるわ、色々な子からね。

 実質、万々歳を取り仕切ってるのあなたでしょ」

「まさか、親父さんですよ」

「親父さんも頑張ってるのはそうよ。

 でも、料理をしながら周りを指揮とか難しいわ。

 あなたはそつなくやってるみたいだけど

 普通じゃそんな簡単に出来る事じゃ無いわ」

 

……やはり、私がやってた事は異様だったらしい。

 

「でも、何とか回わせてるみたいね」

「そうですね」

 

フェリシア達が頑張ってるというのに

みかづき荘に居るのは少し罪悪感がある。

……やっぱり今日もやった方が良かったかも。

だ、だって日曜日だからな……うぅ、しかし…

 

「悩んでるわね」

「は、はい、この状況を見ると…」

 

店内が放送され、必死に頑張ってる皆が見れた。

フェリシアと鶴乃は目を回してるようだ。

奥の方では七美が頑張って

親父さんのサポートをしてる。

 

新しくバイトとして頑張ってくれてる

ももことかえでとレナもかなり大変そうだ。

他にもみふゆさんが応援できてくれてる。

 

「確か今の万々歳のフルメンバーよね」

「えぇ、私以外の」

「みふゆは特別応援枠だけど…」

「レジ担当……だったと思うんですけど」

「本当、あなたの仕事量がとんでもない事が分かるわね。

 あなたが居ないだけで全員動員しても回りきらない」

「もっとバイトが必要かもですね、特に日曜日は」

「今日が初なんでしょ? 日曜日のお休み」

「はい、その通りです」

「……本当、もっと人が居るわねこれ

 と言うか、これ食材とか大丈夫なの?」

「はい大丈夫です、昨日の間に食材は全部仕入れました。

 お客さんの数も見た感じ、おおよそ予想通りですし」

「本当、あなたの能力は高いわね」

 

数週間のお客様のメモもちゃんと取ってる。

想定通り、いや、想定以上に常連も増えた。

現状、殆どの飲食店とかの情報をネットで調べ

常連客とかそう言うのを統括したのも確認した。

結果、万々歳の常連客の人数は

他のお店よりもかなり多い推移に位置してるのが分かる。

やはり美味しすぎる訳でも無く不味いわけでも無い

50点という味は常連を増やすには丁度良い。

 

「こんにちはー」

「ん?」

 

やちよさんと話をしてるとみかづき荘のドアが開く。

私はすぐに誰が来たかを確認した。

マギウスの3人だな。

 

「あら、あなた達、どうしたの?」

「梨里奈が今日休みだって聞いたんだヨネ」

「そうだな、私に用か?」

「アリナが梨里奈の作品を見たいとか言うからね」

「え? 私の?」

「そう、あんたの絵を見せて貰いたいんだヨネ」

「私は絵はそんなに書かないんだが」

「気になるんだヨネ、あんたが本気で描いた絵」

「まぁ、ユニオンのことでも

 軽く相談したいこともあるし私達も来たんだよね~」

「うん、あまり無理はして欲しくないとは言え

 いくらかの情報は君に共有しておきたいからね。

 無理なら無理と言ってくれても構わないけど」

「確かにユニオンの事は共有したいわね。

 あまり無理はして欲しくは無いけど」

「大丈夫です、無理ではありませんから」

「じゃあ、絵を描いてくれるんだヨネ!?」

「え? そっちか?」

「まぁ、アリナはこんな感じだから」

「じゃあ、これを」

 

私の返事をあまり待つこと無くアリナが結界から

なにやら色々な道具を取り出した。

 

「アリナは色々な作品を書くけど、まずは絵画だヨネ

 あんたが書いたあの絵は凄いクオリティーだったし」

「言っておくが、私は生と死に強い興味は無いぞ?

 今の私が興味を持ってるのは今と未来だ」

「エクセレント! 興味があるテーマがあるなら

 問題は無いんだヨネ」

「そ、そうか」

 

そのままアリナは教材を取り出した。

 

「しかし、アリナが芸術作品とかを

 誰かと描こうとするなんて意外だよね~」

「あぁ、彼女は自分こそ至高という考えだ。

 他者の作品に興味なんて抱かなかったのにね」

「そうなのか? なら、何故私の作品に興味を抱く」

「アリナは自分の目が

 パーフェクトだと思ってるんだヨネ。

 だから、あんたはアリナに影響を与えるくらい

 最高にエキサイティングで

 パーフェクトな作品を作れると思ってるワケ」

「そこまで評価してくれなくてもな。

 私はどちらかというと、まだ空っぽな部類だ。

 当然、神浜に来る前よりは色はあるだろうし

 自分の中身が出来てるとは思ってる。

 だが、私は色が着き始めたばかりだ」

「エクセレント! 普通の連中は

 とっくに色が付いてるのにあんたは着き始め。

 なら、色々な絵になれるワケだよネ?

 生と死とは違うけど、白が色づく様なんて

 早々拝める物でも無いと思うワケ!」

「そんな嬉々として喋らなくても…」

「まぁ、そんな感じでアリナはどうも

 梨里奈に興味津々みたいでね。

 みふゆとは違う方向でさ」

「本当、良くあんな性格の子に

 ここまで興味を持たれるわね」

「分かるには分かるんだけどね、僕も興味がある。

 彼女は仙才鬼才だ、叩けば響くような子だ。

 小説を描くことに興味を持ってくれたら

 僕が影響を受ける様な作品が出来るかも知れない」

「天文学に興味を持ってくれれば、討論も捗るし!

 今だって私の会話に唯一付いて来てくれてるしね!」

「うん、僕達の会話に平然と付いて来てくれてるから

 僕達としても、彼女と一緒に居るとやりやすいんだ」

 

確かにこの3人の会話は専門的な用語が多い。

とは言え、私はその会話の全てに付いていける。

 

「あなたは飛び抜けた天才に好かれるようね。

 正確には飛び抜けた天才にも好かれる、でしょうけど」

「誰かに好かれるのは良い事ですね」

 

とは言え、引っ張りだこで大変だが。

それも良いだろう、私はそう言う生き方をしたいからな。

……何でも完璧にこなせる道化師。

全ての期待に応え続けられるような、そんな道化師。

……ふ、その生き方が今に繋がってる。

その日々のお陰で、

色々な思いに応える努力が出来る様になった。

悪い事ばかりでも無いだろう。

さ、まずはアリナの期待に応えてやろう。

全力で何かを描くのはこれが初めてかも知れないな。

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