魔法少女の道化師   作:幻想郷のオリオン座

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襲撃者

一番重要な波が来てる場面とは言え

忙しい時期と比べればまだマシな客足。

レナ達がバイトとして合流してくれて

私達全体の負荷はかなり落ち着いてきた。

 

だから、今日は結構久々に魔女退治。

体力にも余裕があるからな。

 

「っと、これで終りか?」

「そうだね、魔女の気配は無いよ」

 

今日は七美達と一緒だからな。

あの3人は火力不足で魔女に負けてた。

だが、私が合流したことで

火力面も大分カバー出来るようになる。

 

私と七美の連係攻撃は

かなりの攻撃力があるわけだし

意外と相性は良い部類だしな。

 

「あ、相変わらず凄い……」

「やっぱり梨里奈お姉ちゃんは強いよね!」

「あぁ、それが私の取り柄だからな」

 

もうただの魔女程度であれば

限界突破を用いる必要も無い。

本当に強くなったと自覚してるよ。

 

「さて、グリーフシードゲット。

 元々同じ魔法少女だって分かってても

 こうやって、倒すしか無いんだからね…」

「体が勝手に動いて殺戮を繰り返す。

 その方が辛いと私は思うがな」

「うん、私もそう思う。もし私が魔女になっても

 私は殺して欲しいってなると思うよ」

 

死んだ後も化け物として徘徊し続ける。

それよりは、殺された方がマシだろう。

 

「じゃあ、帰ろうか」

「だな……とは言え」

「うん、気配は感じるからね」

 

ずっと不自然な気配は感じていた。

だが、どうやら本格的に動いたらしい。

 

「必ず排除させて貰うわぁ、仙波梨里奈…」

「あなた達は4人でひかり達は30人っすよ」

「まぁ、見れば分かるが」

 

さて、あの2人と周囲を囲うように出て来た

赤いフードの魔法少女集団……か?

何とも攻撃的な雰囲気がある。

 

殺意のような物も感じるな。

目付きからも何人か殺してる雰囲気だ。

特にあの角の子だな、あの目はかなり鋭い。

かなりの人数を殺してる可能性があるぞ。

 

……そして、私達への襲撃。

嫌な話は聞いてたが、どうやらこいつらが

マギウスの3人ややちよさんが言ってた連中。

ネオマギウスかプロミストブラッドのどちらか。

 

だが、ネオマギウスは魔法少女至上主義

つまりはマギウスの思想に近い連中。

だが、こいつらはそんな雰囲気がない。

恐らく相手を殺してきた魔法少女だろう。

 

要は修羅場をあまり潜ってないであろう

ネオマギウスでは無く

プロミストブラッドの方だと予想出来る。

 

「お前達がプロミスブラッドであってるか?」

「よく知ってるわねぇ、当然とも言えるかしらぁ。

 あんたもあのユニオンの魔法少女でしょぅ?

 同じ、ドッペルシステムを占領してる連中」

「……占領とは違う、等と言っても

 どうせ、信じないだろうな。

 私達の目的はドッペルシステムの拡散。

 最終目標は全魔法少女をただの人間に戻す。

 その為に色々と考えてる……と言おうが

 お前のような目をした奴がそう簡単には信じまい」

「当然よ、神浜の言葉を信じられる筈が無いわぁ」

 

その言葉と同時に周囲の魔法少女達が攻撃してきた。

 

「攻撃するのが速いよ!」

 

周囲の攻撃に反応して七美が糸を展開して

攻撃をしてきた魔法少女を拘束する。

 

「あっさりと制圧されるなんて!」

「まだ、私の宣言が終わってないからな。

 信じて欲しい言葉がある。

 この程度の手勢で私達は倒せない」

「くだらない事を言わない事ねぇ」

「……宣言してやる。10秒で殲滅する」

「くだらないッスよ!」

「宣言通りになれば私達の事を

 少しくらいは信じて欲しいな。行くぞ!」

 

久々の限界突破を用いて一気に行動を開始する。

 

「な!」

「ふん!」

 

一瞬で1人の構成員を投げ飛ばした後に

周囲に向けて大量の短刀を展開した。

全員がその攻撃に反応してる間に

 

「2人とも、伏せて」

「う、うん!」

 

七美が合図をして、弥栄と久実が伏せる。

それを確認した後に短刀を一気に伸ばした。

刃を削り、周囲の魔法少女達をなぎ払う。

 

「うぐ!」

「危ないっす!」

 

私達と会話をしていた2人は私の攻撃を伏せて避けるが

周囲に展開していた構成員達は避けられずに吹き飛ぶ。

振り回した直後に短刀を消して、

即座に伏せた2人へ近寄る。

 

「この!」

 

黄色い子が小さな使い魔のような物を展開するが

その全てを私の短刀が串刺しにした。

 

「嘘!」

「痛いぞ! 堪えろよ!」

 

そのまま体勢が低い黄色の子を蹴り飛ばした。

 

「きゃう!」

「この!」

 

角が生えた子が攻撃を仕掛けてくるが

その攻撃を寸前で回避。

そのまま彼女の地面から短刀を何本も飛び出させる。

 

「ぐぅ!」

 

私が呼び出した短刀は全て彼女の腹部に当る。

とは言え、刃は削ってあるからな。

血は吹き出さないし、大した怪我も無い。

ちょっとだけお腹が痛い程度じゃ無いか?

意識が吹き飛びかねない痛みだろうが。

 

「ば、馬鹿な……」

「悪いな、宣言通りにならなかった。

 8秒だったな、ちょっとだけ謙遜した」

「ひ、ひかり達が居たのに、一瞬でやられる…

 て、手も足も出ないなんて…

 実質動いたのは、梨里奈1人だけで…

 う、動きが……速過ぎるっす…」

「私が最も得意とするのは高速戦闘だ。

 今の私は前よりも強くなってるからな。

 前よりも素早い戦闘が出来るようになってる」

「本当、今の梨里奈ちゃんと戦うのは絶対に嫌だね。

 私、前は少しは善戦できてたけど

 今の梨里奈ちゃん相手じゃ手も足も出ないと思うし」

「あの糸は凄いから苦戦すると思うが?」

「勘も鋭くなってるくせによく言うよ」

 

実際、今の状態なら七美のあの糸も

第六感の限界突破無しで打破できそうだしな。

 

「もし、あの時……梨里奈が居たら…

 このままだと不味いわねぇ…」

「ほう、まだ立つか。結構な痛みだとは思うが」

「こ、ここは撤退させて貰うわぁ…」

「そうだな、今回は見逃してやろう。

 お前達には私の強さを伝えて貰いたいからな。

 お前達の組織が下手な行動をしない様に。

 

 そうだ、改めて言わせて貰おう。

 私達の目的はドッペルシステムの独占では無く

 ドッペルシステムを世界に拡大させる事。

 最終的には全ての魔法少女を

 ただの少女に戻すことだ。

 

 だから、私達が争う必要性は本来は無い。

 そちらが良ければ、私達に協力して欲しい。

 だが、攻撃される以上は反撃をさせて貰う。

 戦力差的にお互い戦うべきでは無いぞ」

「私を逃がしたことを、後悔させてやるわぁ…」

 

そこまで言うと、彼女達は私達の前から消えた。

この交渉で上手く行くとは正直思えないが

何もしないよりは可能性を作れるだろう。

 

見逃すのも正しいと思いたい。

あいつらを拘束した場合

もっと争いが激化してもおかしくないしな。

 

だが、あいつらが大人しく話を聞いてくれるか?

いや、あそこまで実力差を見せ付けたんだ。

敵対したら不味いと感じてくれるはずだ。

 

「逃がしたんだね、良いの?

 私のドッペルを使えば洗脳余裕だよ?

 見た感じ、あの角の子がリーダーっぽいし

 あの子を洗脳できれば、

 推定、プロミスブラッドを無力化できるのに」

「やるつもりが無いことを言うなよ。

 洗脳なんて、私の趣味でもお前の趣味でも無いだろ?」

「まぁね、マギウスの翼に所属して時は

 命令に従ってたけど。

 本来はあまり好きじゃ無かったし……

 梨里奈ちゃんを洗脳しようとしてたけど」

「実際、あの時の執念は恐かったからな。

 洗脳なんて無駄だと言ってもやろうとしてたし」

「うぐぐ、本気で後悔……ま、まぁいいや。

 とりあえず今回の事をユニオンに報告しよう」

「だな、厄介ごとは共有した方が良いだろう。

 黙っていても、良い事なんて無いしな」

 

私達はそのままみかづき荘に戻り

今回の事をやちよさん達に伝えた。

 

「襲われたんですね、だ、大丈夫でしたか!?

 け、怪我とかは」

「見ての通り無傷だ。

 まぁ、8秒しか戦ってないし怪我はしない」

「え? 包囲されて襲われたのよね?」

「えぇ、まぁ…」

「梨里奈ちゃんは8秒で殲滅だったけどね」

「あ、あいつら、結構強かったと思うけど」

「そうなの? 全然そんな雰囲気無かったけど…」

「梨里奈お姉ちゃんは凄いから!

 ちょっと強いだけじゃ相手にならないんだよ!」

「おぉ! 流石は姉ちゃんだぜ!」

「本当、相変わらず強いわね……

 とは言え、梨里奈の存在は向こうには

 とんでもない衝撃だったでしょう。

 これで、なりを潜めてくれれば良いんだけどね」

「そうですね、その間にこの宝石を集める。

 そうすれば中々大きな進展でしょう」

「そうですね、私も手に入れてますし

 このまま集めていきましょう」

 

いろはも宝石を手に入れたと聞いたしな。

このままこの宝石を集めるが

全てを集めるというのは避けた方が良いだろう。

この禍々しい魔力が揃うとどうなるか分からない。

危険性は可能な限り避けて行くべきだしな。


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