ケイン「ばーちゃんが言ってたぜ?女を泣かせる奴は最低だっ、てな!」(旧Ver) 作:Fry-Hopper
カテゴリ 【ロストユニバース】 【艦隊これくしょん】 【艦これ】
作品要素 【コメディ】 【シリアス】 【ミステリー】 【SF】 【ロボット・AI】
警告タグ 【ネタバレ】 【クロスオーバー】 【グロテスク描写】
対象年齢 【R-15】(戦争物の為)
「見つけたわ、“隕石”さん」なるほど、これが真実か。
偵察を終えた95式水偵が帰還すると。木々の間に出来たクレーター部分に構造物のような、白い何かが埋まっていると報告された。
「さて、不幸の手紙を見ましょうか」
提督から渡された筒を開ける。
静かな海の上で、一人読み上げる。
だからこその最小単位。
関係者は少人数で。かつ、高練度だから。
――つまり、本当の作戦は、未知の宇宙船の拿捕か無力化。それが指令書の内容だった。
あの人の苦渋に満ちた顔が思い出された。でも、こういうことでも、私が選んでもらえて少し嬉しい。あの人は、年齢を理由に誰とも結婚したがらないから。宇宙を航行出来るレベルの科学力があれば、相応の兵器を搭載している可能性は十分にある。切り捨てられたわけではないと。むしろ信頼されている。自然と顔がほころぶ。
「あら?人かしら」オレンジ色の短髪に、女性の顏。
遠すぎて目を細めてしまう。
首の下に黒い塊。
違うか。
黒く長いマントを羽織っているわね。
あれが宇宙ファッションかしら。
某国の観測隊とは思えないし、何よりこんな密林に――
背部に固定された、同盟国より友好の証としてもたらされた、小回りの利く28cm連装砲に力が入る。しかし、まだ射程外だ。だが。
「こっちに気付いた?」
彼女はこちらに顔を向け、停止している。
やっぱり宇宙人だわ。
水平線ギリギリからの距離で気づくなんて。
あちらも見えているのかしら。
それとも新しい艦娘?
「困ったわね、会話できるかしら」
海面を滑走しながら、思案にふけった。
別ポイントを偵察していた、二機目の水偵が帰還する。
あら双眼鏡かしら。すごいわね、あの人。
勘だけで私を見つけたの。
私、目立つのかしら。困ったわね。
「偵察したの、印象悪いかしら」
主砲を下げ照準を外し近づく。なぜか、近しいものを感じたから。これは彼女の独断であり、極めて危険な行為でもあった。相手方に友好性があるかどうかがまるでわからない。いきなり攻撃を受ける危険がある。しかし、彼女は自分の直感を信じた。
それから10分ほどたち、直線上にある砂浜で。
二人は出会う。
ゆっくりと波が動く。砂浜に二人は立っていた。
優しい潮風が木々を囁かせる。
「こんにちは、言葉わかりますか?」返事がない、無口なのだろうか。敵意はないようだけれど、きっと言葉ね、困ったわ。
「ミタイ ミコ」ぽつりといった。服装を見ている。
巫女みたい。
「え?」何だ聞こえているじゃない。でも、英語か。
「イヤ、ナイミタコト、ハシル ニンゲン ウエ ウミ」頭をポリポリと書きながら。
「あの、わたし、にがて、えいご なのです」聞き取れなかった。不幸だわ。
――やっぱり金剛が適任だったんじゃないかしら。
「オレハ、ケイン・ブルーリバー」マントをバサッと翻し、堂々と名乗った。
「くすっ」今どきマントなんて珍しい。つられて笑うように、木々が騒めいた。
「コラっ!ワラウナ!」キラリ眼鏡を思い出した。
なんだか怒らすと怖そうだ。
頭から血もたれてるし、吸血鬼?
「ごめん。ごめんあさい。ごめ」あたふたと謝罪の言葉を並べるが。片言で伝わるだろうか。
「アンタ ハ?」肩辺りから延びる武装が気になり、腰の柄に手をかけるが、思いとどまった。わざわざ、初対面の人間を威嚇しても仕方がない。それになにより、向こうのほうが驚いているようである。やはり外界との交流はないのか。
「わたし、やましろ」心細そうにつぶやいた。細々と。
「コイ ヨ オレト」ジェスチャーで促される。船へと案内されたのだろうか。彼の来た獣道。水偵が偵察した方角へと足を進めていく。
会話もなく森を進むが、若くて提督の倍くらい元気な人だ。
悪い人?ではなさそう。でも不思議な感じ。
何だか艦娘みたいな気がする。
「イリグチ ココ」
そこ亀裂よね?
白い船体に、亀裂部分があり、細い通路が見えた。
通路の片側には部屋の扉のような物も並んで見える。
確かに埋まってて、気の毒だけど。
大きな艤装に包まれているような感じがする。
少し暗いが、見えないレベルではない。
内部は全体が煤けている。煙やほこりも舞っている。
でも、懐かしく。母親のようで。
船全体が優しい感じ。
まさか、・・・姉さま?
「起きろキャナル!」え、何この人。大きな時計のベル鳴らしてる。
うるさっ。
まさか、壮大などっきりかしら?
あいつならやりかねないわね。
不幸だわ。
帰ったらどうしてくれようかしら?
「ケイン、どうしましたか?」雑音をまじらせて。
「言葉がわからん」堂々と胸を張りながら言ってみた。
「SFみたいね」姿の見えないものとの会話。どうやらどっきりではないらしい。やはり宇宙船の船内なのだろうか。大きさから言えば何人いるかもわからないし。でも優しい女性の声がする。
「ケイン?彼女からサイエネルギー反応が、アンドロイドですか?」
トアルでは、ロスト・テクノロジーが使用されているのだろうか。だとすれば、ファランクスレーザーだけでは心許ない。なんとかサイブラスターが欲しいところだ。
「人間のはずだが、オモチャみたいな飛行機が格納されていったぞ」
水偵を収容している所を、見ていたのである。
恐らく背負っている筒のような武器も本物だろう。
“SF見たいね。”
――解析する。音声パターン。
幸い、登録されている言語だった。
銀河共通語から派生した方言語。
「あなたは人間ですか?私は・・・コンピュータです」キャナルが問う。
会話での友好性を示すため、一瞬、立体映像装置をと思ったが、FCSにこれ以上のダメージは避けたい。マスターの安全確保が最優先だ。
「私は・・・戦艦です」なるほど、これが異文化コミュニケーション。言葉が通じるって嬉い。コンピューターに言うのも可笑しな話だけれど、優しそうな人でよかった。
「困りました」データベースにない。生きる戦艦とはなにかしら。生体反応もあるようだし、やはりロストテクノロジーがここにも。
「艦娘、です」少し言い淀んで。
機密に触れない範囲で。説明を行った。
謎の敵と戦う。謎の武器を背負って。謎の組織といったところか。
キャナルは考えた。難しいですね。
当事者たちが何もわかっていないとは。
嘘を言っているようには感じられませんし。
「なぁ、俺寝ててもいいか」
当たり障りのない会話で、さらに謎の空中戦をしているようだ。多分誰かの愚痴とかを、言い合っているんだろうなぁとキャナルのいつもの会話のニュアンスからわかる。
こういう時に機嫌損ねて、ライフシステムでも止められたら大変だ。あいつには何度も宇宙に放りだされたり、徐々に空気を抜かれる嫌がらせをされたことがある。もっとも、ギリギリ死なない程度にはマスターの安全が保障されているが。
彼はゲッソリしながら地面に座り込んだ。ゆっくりと目を閉じる。
「冷血コンピーター」
「コ、コンピーター言うなぁぁぁぁ」
二人の女性が言い争いの喧嘩をしている。
懐かしい夢。今はどちらもいない。
「それで、“彼”にしばらく同行して貰いたいのですが」申し訳なさそうに言った。
「あと、ここの破壊を・・・」よくある話だ。対処としては当たり前すぎてよくある話だが。仲良くなると、つらいこともある。「言われてて・・・」声が次第に小さくなる「その・・・」
「山城さん。大丈夫ですよ、そこの“アレ”が埋めてくれるので」潜伏は得意と言いたげに。「埋まってしまえば、発見されることはありません!」でも、主人任せて。まぁいいか。
「直せたら、すぐに出ていきますから」気のせいだろうか、少し、彼女の声が暗い気がした。
「んあ?」出血も止まり、少し寝ていたようだ。
「どうしましょう、“コレ”背負っていきましょうか」怪我の治療をしてあげたいとは思う。
墜落で、医務室もつぶれたみたいだから。純粋に。
でも連れて行けば、きっと面白くないことが彼におこる。
でも、あの提督なら大丈夫かな?
だって“アレ”、なんだかんだバカだし。
くすりと笑う。
「では、“ソレ”に翻訳機を持たせましたので、旧型でちょっと重いですけど」気が合ったのか、何やら不届きな発言が飛び交っているようだ。
「では、ケインをお願いしますね山城さん」キャナルは言うと再び眠りについた。最初よりも声のノイズが酷くなっている。
「はぁ、不幸だわ」彼がテキパキと爆弾を炸裂させて、船体を埋めていく。その最中に特にやる事もなく一人水平線の彼方を眺める。久しぶりにゆっくりとした時間を堪能する。
船は特殊な合金のようで、埋めさえすれば誰にも発見されないらしい。やはり宇宙人なのだなと改めて理解した。破損した船体のかけらもいただけたし。後は彼を背負って帰るだけか・・・
なんで、“コレ”マント外さないし。
しぶき拾って背中濡れる。
やっぱり宇宙人嫌い。
詮索するな駆逐艦うざい。
なんか、背中重い。
腰に謎の箱があたって痛い。
疲れた、不幸。
あら、潜水艦?
ともあれ、私達は無事に鎮守府へと帰還した。