ケイン「ばーちゃんが言ってたぜ?女を泣かせる奴は最低だっ、てな!」(旧Ver) 作:Fry-Hopper
カテゴリ 【ロストユニバース】 【艦隊これくしょん】 【艦これ】
作品要素 【コメディ】 【シリアス】 【ミステリー】 【SF】 【ロボット・AI】
警告タグ 【ネタバレ】 【クロスオーバー】 【グロテスク描写】
対象年齢 【R-15】(戦争物の為)
月が昇るころ。
「かんたいが、かえってきました・・・」明らかに疲れ果てて。月明かりがストレートに垂れる潮に濡れた彼女の長い黒髪を照らす。
「お帰り、ありがとう」提督が出迎えてくれた。夕暮れごろからふ頭をうろうろとして待っていたらしい。機密優先で無線封鎖をしていたため彼には詳細が分からなかったのだ。
「にんむですから・・・」帰還予定時刻から遅れに遅れた。道中、敵の潜水艦の攻撃に遭ったためだ。暗がりに潜水艦とはよく言ったものだ。
僚艦は待機中に爆雷を使い切っており、山城は彼を抱えながら片手で水偵を飛ばして、数隻の潜水艦を一人で相手取り、海上を滑るように移動しながら執拗な攻撃を加えて撤退させた。水面近くに浮上していたため、洗うように精密主砲射撃も加えている。未確認ではあるが撃沈もあったかもしれない。
【【主砲としては小口径である28cm砲が幸いして、噴煙も少なく抱えている彼に被害はない。無論山城にはそのことも十分理解していての砲撃である。敵に斬り込み突入して危険をかえりみずに人名救助を優先する当鎮守府では、大口径砲よりも機動性と汎用性の高い小口径砲や機銃が重宝されている。
この鎮守府で選抜される打撃チームは主に接近戦に重きを置く。さらに旗艦には常にドッグファイトが可能なほどの練度が求められる。戦艦としては低速に部類する山城は、速度の不幸を嘆くこともなく、多くの経験から任務ごとにもっとも自分に適した兵装を自ら選別している。】】
――さて、どういいわけしましょうか。
ちょっと、キャナルさんと長話をしていたのも、襲撃の遠因になりえたと言わざるを得なくもないかもしれないけど、急な任務だったし、きっと不幸なのがいけないに違いないと、彼女は考えることをやめた。
気が付けば、いつのまにか、なんか額から血が垂れていた、一緒ね。
「ふふっ」なんだかこの宇宙人さんが可笑しくなった。「この人も“不幸”なのかしら?」
――キャナルさんまた会えるかな?
「あ、おみやげです・・・」思い出したかのように。
背中の彼と船のかけらを手渡す。その後、入渠ドックへと一人トボトボと歩いて行った。背中を丸めて歩き出す姿に、月の光があたり、長い黒髪が寂しそうに揺れる。その姿が一層悲壮感を増している。不幸を忘れるほどに。
「え、この女性どうしたの?」マントに包まれた女性?を手で抱える。「え、重いよこの人」細身なのに、100キロ位はあるのでは。
腕を震わせて。濡れたマントがくっついた。冷たい!
いや、腰あたりにあるボックスが何か刺さっていたい。
いやいや、誰か助けて。
いやいやいや。
「君たちには失望したよ、けが人一人、満足に扱えないのかい?」小柄な体でそっと、彼を抱き上げた。「それと、ケインさんは男性だよ、外国人?みたいだけどね」
帰還途中に、山城に尋ねたら、外人の漂流者だと伝えられたようだ。まさか、宇宙人か。たしかにガンマンみたいな格好にマントとは、ハイセンスな格好をしているな。何にせよ、山城はよく信頼に答えてくれている。
「僕も水偵載せようかな?」仲間外れの仕返しに、ちょっといじわるをしてみる。
隕石話に遭難者なんて出来すぎてる。
何だろう。新兵器の実験かな?
「医務室でいいのかな?」部外者ではあるため、一応の確認を取る。「すまない。彼を医務室へたのむ」罰の悪そうに提督は言った。
不思議だよね、普段なら救助者がいれば、
救助した時点で提督に報告しているよね?
「こういうときは、ありがとうって言うんだよ」見上げて、瞳をのぞき込んでくる。「ああ、すまない」
――その目が。瞳の奥までのぞき込まれている気がする。
「ほら、また」ちょっと、寂しそうに医務室へと向かって行った。
僕も、お手伝いができたらいいのに。
「こちらが結果報告です」キラリ、ワザとやっているのだろうか。「早いね」素直に驚いた。何故か睨みつけられた。また光ってる。月光かな?
「ラリアット級戦艦から、入渠中に聞き出してきましたので」眼鏡二世が怪しく光る。「お手柔らかにな」冷や汗をかきながら。言った。
その新しい眼鏡買ったの俺なのに。前の壊れた眼鏡は大切に保管しているみたいだ。一応修理するかと聞いたが、これはこれでいいと言われた。何やら思い出があるらしく、新しい眼鏡もよく似た形状をさがしていた。
――つまり彼は、遭難者というわけだ。宇宙人も国際法上では、法律がないため無国籍の外人扱いにはなるはずだが。
いや、もとから大本営は知っているのか?
「提督さん」指3本分程度の大きさの少女が入ってきた。背中の大きな羽はデザインではなくトンボのように羽を動かし実際に飛び回れる。「彼は艦娘なの?」ツインテールの妖精さんは首をかしげた。ふわふわと、紫色の髪が揺れる。
「いや、聞いた限りでは人間だと」いや、実際はどうなのだろうか。
「彼、艤装を積んでいるよ?」肩に“飛び乗り”座り込む。
「まさか」やけに重いものをつけいていると思ったが。
「箱と筒、コードでつながってるね」検査の時に見たのだろう。「何だろうね?興味あるよ」凄く楽しそうに足をパタパタさせている。
「宜しいでしょうか」やばい。光で気づいた。口の中が乾いていく感じがする。あいつまだ怒ってる。よっぽどあの眼鏡好きだったんだな。怖いからカーテン閉めとこう。
「妖精さんも聞いてほしい」肩で小刻みに震えて固まっている少女に言った。「キレイな月も出ている。少し夜道を歩こうか」「ええ。お供します」
「彼は」一泊置いた。「やはり宇宙人です」海沿いを歩きながら。街灯も少ない夜道で、ドプドプと岩場に打ち付ける波の音が、今日は不気味に感じる。「報告の限りでは、彼は船体にダメージを追って墜落した所を、山城に発見されたと」
大淀が、一枚の写真を差し出してきた。街灯の下に立ち確認する。水偵が撮影した白黒写真には、確かに、木々の間に小さなクレーターがあり、何か白いものが埋まっているようだった。
「回収したサンプルにも有害反応はないから安心だよ」肩から声がした。
「ただ、船の内部では、なにか艤装と同じ物を感じたと証言しています」
「船内ではコンピュータと対話できるとの事ですが、不調で現在は活動を休止している様です」
「なるほど」やはりそうだったか。
足の遅い水偵だからこそ、撃たれなかったのかもしれない。戦闘を想定して二式水戦の搭載も考えたが彼女がそこから不幸を感じ取ったらしく、倉庫にしまってあった旧型水偵を自ら積んで行った。
しかし、相手がもし宇宙船だった場合。
相応のトンデモ兵器を保有している可能性があるから。
――敵意があった場合。
「船に招き入れてもらえたのか、やはり、あいつは運がいいな」
最悪轟沈も覚悟はしていた。
だからこそ――
「大丈夫、艦娘はあなたが想うより強いよ」察したように妖精さんが言う。
提督は遠くを見る。顔を上げ遠くを見る。
遥か向こう。深く蒼い海の先を。
「そうです提督、私たちは、いつでもあなたのそばに―」
人気のない、街灯の下にシルエットが二つ。潮風。
打ち付ける波の音。退廃的な雰囲気。
――何も起きないはずがなく(某記者調べ)
「二人はまだこちらに気付いていないよ」ふ頭の陰からカメラを構える。
キャップを外す。レンズに一瞬、街灯の光が反射した。
「います・・・よ!!」
キスか、ビンタか。
明日の新聞を楽しみにして、って。
こっちに光が。眼鏡うわ。
――提督により検閲――
「何事もなければ、記事にもさせてやれるんだがな」
フィルムを引っ張ってから、カメラを返してやる。大淀に甘いと怒られたがフィルム代より、ちょっと多めの甘未引換券を一緒に渡してやった。
「彼との話はどうするの、出来れば立ち会いたいよ」
妖精さんが珍しく、興奮している。
「妖精さんには、隠し事はできないですし、宜しいのでは」
思い出した。
「不幸ラリアットはいいとして、ワイルドゴリラも呼びますか?」
「長門か・・・それ普通に名前呼んだほうが早くないか?」
確かに、頼りにはなるが。
「あいつ、精密機械触らすと何故か壊れるんだよな」
体から出る謎の湯気のせいかな?
あいつだけ筋肉機関なのかな?
「最近は蒸気機関車とか消防車とかいうと褒められてると思っているのか、まんざらでもない顔で照れますよ、彼女」
筋肉度120%、あふれる力コブか。山城とプロレスでもやらすか?厚手のレオタードを着てリング内を暴れまわる姿を想像してしまう。長門には大淀がついて、山城には俺がセコンドだろうか。ちょっと楽しそうではある。
「案外彼も、重し付けてるし気が合うかもな・・・」顔だけを見れば、女性に思えるのだが「何にせよ彼が起きるまでは待つか」
なにか、突然。強烈なスポットライトの中にいるような感覚を覚える。ふっと暗い空を見上げると、そこには月があり、まるで見られているような気がして身震いした。
まさか、な・・・