ケイン「ばーちゃんが言ってたぜ?女を泣かせる奴は最低だっ、てな!」(旧Ver) 作:Fry-Hopper
カテゴリ 【ロストユニバース】 【艦隊これくしょん】 【艦これ】
作品要素 【コメディ】 【シリアス】 【ミステリー】 【SF】 【ロボット・AI】
警告タグ 【ネタバレ】 【クロスオーバー】 【グロテスク描写】
対象年齢 【R-15】(戦争物の為)
施設を出て演習場に向かう際に、提督に呼び止められ施設の裏へと向かう。
「君に謝っておきたいことがある」口を閉じろとジェスチャー。
真剣な顔ではあるが敵意はない、か。体をパンパンと叩き始めた。上から下まで。経験がないわけではない。ボディチェックか何かだろう。
「む」ポケットから出すと、君の物かとジェスチャーで聞く。声に出さずに首を振って答えた。壁に片手を付き、手には何か小さく丸いものを持っている。
「あら、提督」え、この人たち、もうそんな関係なの?
山城は固まった。
提督がケインさんに密着しながら迫っている。
ああ、これが世に言う壁ドンか。
・・・なにこのおっさん。男の娘好きなの?
青葉に通報しようかしら。
しらなければよかった、不幸だわ。
ていうか、彼。
首振って嫌がってるじゃない。
何か持ってこっち来るわね。
「なにかしら・・・?」
ジト目でいると、何も言わず袴のポケットに謎の物体を突っ込まれた。「ちょ、提督?」そのまま演習場の方へせかされる。「悪いな、山城さん。この提督が話があるみたいなんだ」ケインさんにも、追い出された。何だったの・・・今日も不幸だわ。
「一つとは限らないが」提督は一息ついた。「あんたは損な性格なようだな」だいたい事情を察した。
「君のことを我々のミスで漏らしてしまってね」何処か、それほど困った表情ではないが「表向きは、新兵器実験の最中に遭難した者、としたかったのだが」申し訳なさそうに言葉を止める。
「君が宇宙から来たことが露見してしまった」様子を見るようにこちらを伺う。「グラウンドの落下物と、今回君の持つ装備品」
「どちらも既存の技術では精製不可能な物であるものだと、某、内部記者により断定されてしまったんだ」
「それで?」先程のも盗聴器か何かか。確かにこの提督は、自分をどちらかといえば匿ってくれているようではあった。しかしどうやら、何か厄介事があるようだ。
「つまり裏の作戦として」あたりを見回しながら。「君は某国から来た、人でも使える新兵器を極秘裏に運用実験している人物という事にしてほしい」
「そうすれば、宇宙人カッコカリで済むというわけだ」申し訳なさそうに。
「なるほど。それで余計な面倒事をさけられるってわけだ」腕を組みながら考える。確かに人はもっとも現実的な推測を好む傾向にある。わざわざ宇宙人を公表してはろくなことにはならないかもしれない。「お互いにな」ケインは言った。彼にも何か思惑があると睨む。
「ああ、そうしてくれれば我々は、君が必要な物資の全てを供与出来る」提督は彼が必要だと思う物、食料やレアメタルなどをリストに整え、提示した。「その代わり君の持つ技術などを、少しでもいいから提供してもらえればと」
戦争の早期終結を願う気持ちと、艦娘を思う気持ちに偽りはない。「あの子たちを守るために」演習場の方へ顔を向ける。和気あいあいとした声がわずかに聞こえてくる。「どうだろうか?」だからきっと伝わるはずだ。頭をさげた。
「物資の調達は必要不可避だし、ありがたい話だ」
提督はにこやかに顔を上げた。
営業スマイルのように。
しばしの沈黙が訪れる。
提督は再び頭を下げ頼むように下を向く。
「ばーちゃんが言ってたぜ、うまい話には裏があるってな」
ケインは言った。サイブレードの調整をしながら。
「サイブレード。艤装。余りに類似したシステム」サイブレードを伸ばした。「ソードブレイカー」青白い光が煌めく。「山城は、キャナルに艤装の中にいるようだと話していたそうだ」
「ソードブレイカーの修復が進めば、反応も大きくなるだろう」毛を逆立てる、彼の瞳は冷静で、多くの修羅場を潜り抜けてきたことが伺える。やはり、ただの若造ではない。大淀が気に入った理由が何となくわかった。
「所属不明の大型の艤装反応、敵をおびき寄せるにはいい餌になる」大淀に提示された、副案。気は進まなかったが見抜かれたか。ケインは続けた。資材の枯渇くらいで代理戦争をしてもらえるなら。安いものだと。
「あわよくば、そのまま敵をせん滅してくれるって話さ」少々大げさにケインは言った。
「ふう」提督は大きくため息を吐いた。全て彼の言ったとおりだ。「なんでわかった?」
「必要資材全部ってのは出しすぎだ」光を消したサイブレードを「これが半分なら引っかかってた」掌でくるくる回転させると、サクッと腰にしまった。
「技術供与などハナから期待してはいないだろう?」
――教わって使える保証もないしな。
「大方、最低限以上に、船を回復させたくなるための誘惑さ」
――ゆっくりと、ね。
「なるほど、奮発したのが仇になったか」提督は心からの微笑みを返した。餌だけ食べられたくはないと、欲をかいたようだ。
「厄介事に巻き込まれたくはないので他を当たってくれ。と、言いたいところだが。実際、資材は必要になる」シリアスな表情で淡々と伝える。「だから、その“契約”で資材は半分でいい」にこやかに言った。彼に好意があることは知っているから。「出発前には手伝いくらいはするさ」
「残りの半分は、他の契約を頼むよ」掌をひらひらさせながら宇宙人カッコカリは、コロシアムへと足を進めた。
食えない男だ。下を向きながら、楽しそうに笑う。「演習の後。工廠のほうへいらしてください」歩き始めた彼の背中に声を向ける。「妖精さんが待っています!」
――トラコンってのは、契約守ってなんぼのもんだ。
中には、人生が終わる仕事もたくさんある。
だから!契約の際には、細心の注意を払うんだ!
机を強く叩く。
「それは、わかってるけどぉ~」黄色いショートヘアの女性がソファーの上で、ピンクの小さいザブトンを抱きかかえている。
「分かってない!人のシリアスな信用。ぶちこわしにしやがって!」手に持つ書類にはミレニアム・フェリア・ノクターンの名前で契約書にサインが入っている。
「ケ、ケイン。もうそれくらいに・・・」緑色の髪をしたメイド服の少女が止めに入る。「キャ~ナ~ル~」ゆっくりと首を少女の方へ向ける。「あ、あう~」ちっちゃく体を縮こませるように後ろへと下がる。
「だいたいお前も、お前だ。なんだって、こんな奴、正式なクルーにしたんだ」彼は追いかけ、少女に詰め寄った。「それはその~通関とか、面倒だったんで、つい・・・」縮こまって、半笑いで両指ををつんつん合わせながら。
彼女は極限まで“可愛く見せる”ように努めるが、付き合いの長いケインにはキャナルの“悪質な内面”を知り尽くしているため、彼女のいかなるお色気ももはや通用しない。彼の説教は長時間に及んだ。
【【トラブル・コントラクター。厄介事下請け人とは、言うなれば酒場で提供されるクエストを宇宙規模でネットワーク化したもの自ら選択して、個々に仕事を契約できるシステムだ。雇用側も同じくトラコンと呼称する為、この業務形態全般を指してトラコンと言う場合が多い。
仲介業者・斡旋業者が多く存在し、中には悪質な内容で受注者には極めて不利な条件や、実際に命の保証がされていない内容も多々存在している。しかし、暗黙のルールとして一度契約がなされた場合。契約を履行できない者は職歴に記録されてしまい、次からはまともな内容の仕事を受け辛くなる。
さらには、仲介・斡旋業者には罰則がなく、あくまでも雇用主対契約者での係争となり多くの場合、資本力に乏しい個人であるトラコンの身分は保証されない。つまり泣き寝入りとなるのだ。ゆえに、トラブル・コントラクターには常に契約の際には力量と危険度、また妥当性を考えた上で契約を行う必要がある。】】
ケインにも不測の事態ではあったが、過去に契約不履行の経験がある。その苦い経験が契約時の彼の慎重さを作り上げている。
あの提督。レイルの奴に似てるな、とくにうさん臭さが。
何だかんだ、あいつも良いやつだけどな。
ちょっと懐かしい思いをした。