幻想能天記~一人の馬鹿の暮らし~   作:ムトコハク

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「好きでも限度は在るよな?」

勇理「じょ、上空ゥゥゥゥァァァァぁあああ!!!!!」ゴォォォ

 

待て待て待て待て!出口を抜ければそこは楽園♪みたいなのを期待してたのに何で俺は命綱もパラシュートも無しでfreefallしてるわけ!!?もしかしてあれか?!どっかで紫がスタンバイしてて『ドッキリ大成功~』みたいなノリか!?

 

勇理「紫ー!!!もう十分引っ掛かったから!ドッキリ大成功だからー!!!」ゴォォォ

 

頭を下にして叫びながら上空ウン千㍍から落ちていく男の姿とか端から視るとスッゲェマヌケだろうな!つうか風がウルセェ!!

 

勇理「紫ー!!!マジで頼むって!もうそろそろ理想郷の地面と激しすぎるファーストコンタクトしちゃいそうだからさ!!ゆーかーりーさーん!!」ゴォォォ

 

勇理「・・・・・・・・・・ッ!!」ゴォォォ

 

チクショウ!!分かってたけど、分かってたけどさ!?ちょっとぐらいは期待してもいいじゃんかよ!てか本格的にマズイ、もう500㍍ないだろこれ!あと風ウルセェ!!!

 

勇理「イヤホッントにマジでお願いします!神様仏様!!誰でもいいんで助けt ゴォォォォォ!!! だから風がウルセェ!!!」

 

??『あややや、折角助けてあげようとする恩人に随分な挨拶ですね?』

 

幻聴かもしれない、人間死にかけると走馬灯なるものを見るみたいだからな、それの亜種かともおもった。けど確かに聴こえた『助けてあげよう』と言う声。そしてその直後、今までの落ちる感覚とは真逆の浮かぶ(・・・)感覚が全身を覆う

 

勇理「えっ?は?・・・・え、浮いてる?」フォォォ

 

そう、地面まで残り数百㍍の地点で突然俺の身体は自由落下を止め空中に留まっていた。ていうかこれは『浮く』よりかは見えない何かに『支えられてる』感じが・・・・

 

??『おや?先程まで落下死しそうだったにしては随分と落ち着いていますね。それとも人生初の空中浮遊に放心しているのですか?』

 

またしても聴こえる、何処か遠くから聴こえるような、でも隣で呟くようなそんな声が何処からともなく聞こえてくる。そしてその声の主は少しずつ近づくような遠退くような感覚で俺の目の前に現れる

 

バサッ

 

勇理「黒い、羽根?」ヒラヒラ

 

??「ええ、見ての通り黒羽根です。妖怪(・・)ですので、これくらいは有りますよ」

 

勇理「・・・・・・ハイ?」

 

妖怪、と目の前に浮かぶ女性は言った。『鴉天狗』とそう自分で名乗った、見た目に関しては16~20歳の女性の姿。服装にしても白のシャツに黒いスカートとシンプルながらも人間のそれに間違いない。終いには首からはカメラを下げて胸ポケットにはメモ帳、別段違和感の無いその姿は正しく人間だろう、その背に見える黒い羽根を除けば・・・・

 

??「ここで会えたのも何かの縁、自己紹介でもして親睦を深めたいところなのですが・・・」クルッ

 

そこまで言って女性は身体を別方向へ向けた。そして申し訳なさそうな声色で続ける

 

??「残念な事に今は少し急いでまして、ここでお別れです。また会う機会があれば是非とも仲良くしてください」フワッ

 

女性が少しだけ身体を前に屈めた、するとまるで纏うように風が女性の周りに集まる

 

??「今貴方をのせている(・・・・・)風は『博麗神社』まで安全に送ってくれますのです、しばらくそれに身を委ねてて下さい。10分もすれば神社に着きますので、そこにいる紅白の巫女に事情を説明すればあとは大丈夫です。では、また何処かで」ビュンッ

 

そう言うと女性はおそらくさっき向いていた方向へ飛んでいった、何故『おそらく』かって?全く眼で終えないまま姿が見えなくなったからだよ・・・・

 

勇理「あー・・・・・・、連絡先だけでも聞いとくべきだったか?」ガシガシ

 

一気に大量の情報を脳が受け取ったせいかマトモな思考はしようとするだけ無駄なようだ。取り敢えずさっき言われた神社に行くしかなさそうだな、いやまあ行くも何も俺は風?に乗っとくしかできないんだけどさ?

 

勇理「助けて貰ったとはいえ流石にこの高さ、落ちれば死亡は確実か・・・・・・。今の瞬間だけは自分の高所好きに感謝だな」

 

それなりに落下したとはいえここはまだ数百㍍地点、大人しく運ばれるが吉かな、まぁそれは良いとしてひとつだけ・・・・・・

 

勇理「取り敢えず紫はシバく」

 

そう固く決意した筒見勇理、18の夏の夜・・・・・・

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