犬吠埼紅葉は勇者である   作:仙儒

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プロローグ的な何か

 吾輩は勇者である。

 

 名前はまだn…嘘です。犬吠埼 紅葉です。

 

 「もみじ」とか女の子みたいな名前なんだが俺は男だ。

 

 妹に「風」と「樹」の二人がいる。

 

 まぁ、苗字と勇者と言う単語だけでわかる人物がほとんどだろうが、ここは「結城友奈は勇者である」の世界。

 

 大体お察しの通り、俺はテンプレ転生をかまして好き勝手生きてきた。

 主観的に捉えて「クズ」であると自負してる。

 

 

 いや、マジで。

 

 こんな「クズ」な俺のことを妹の風も樹も慕ってくれている。

 

 勇者部の皆もそうだ。

 

 何でなのかは未だわからない。良いところなんて顔以外無いし。

 

 別にナルシストなわけではない。容姿は別に転生特典では選んでいなかったのだが、母親は身内贔屓ぬいても美人だし父親も美形だった。

 いわば、容姿については約束されていたのである。

 

 前世フツメンだった俺は、今の容姿を誇ることはできなかった。

 

 ヘタレでチキン。そのくせ、思想と口だけはいっちょ前。

 

 あれ? 救いようが無くね?

 

 やっぱり、俺が「クズ」たる所以であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 う~ん、だめだ。

 

 どれだけ現実逃避しても先に進めやしない。

 

 最後の決戦で、まさかのイレギュラーが発生。

 

 天の神が人型形態とか聞いてないんだけど! しかも、ありとあらゆる攻撃が無効化される無理ゲー。誰だよ、こんなクソゲー考えた奴。

 

 しょうがないので、自爆攻撃仕掛けて死んだと思ったら神世紀から西暦時代に飛んでいて。

 

 色々やらかした感が否めない中、西暦でもお役目を終え、お暇を貰った(戦死)と思ったら空中から凄まじい速度で落下していた。

 もう、何が何だか理解できない。正直、疲れたよパトラッシュ……。

 

 そんな馬鹿なことを考えているうちに、地面と接触……、見事にミンチよりひでぇや! 何てことに成るわけでもなく凄まじい衝撃と、何かが下敷きになり、壊れる音が響く。

 

「俺の扱い……、ひどくね?」

 

 思わずに口から漏れ出た言葉。

 

 てか、此処何処?

 

 見たところ、どこかの学校の屋上みたいだけど……。

 

 何となく、動くのをためらっていたら、屋上の扉が勢いよく開かれる。

 

 そこには、西暦時代世話になった巫女の一人に、勇者部のメンツが此方を驚いた顔で見ていた。

 

 ん? なんか良く見ると似たような顔ぶれのちびっこたちが居るな…、なんか警戒されてるけど、何でかね?

 

 この微妙な空気をぶち壊すため、俺は全力でネタに走ることにした。

 

「サーヴァント、アーチャー。選定の声に応じ参上した……、問おう。俺のような役立たずを呼んだ大バカ者はどこにいる?」

 

 いつもなら、呆れた顔をするか、ネタに乗ってくれる風だが、今回に限って何のリアクションも取ってくれない。勇者部のメンツもだ。

 

 き、気まずい…。

 

 やっぱり、皆あの事怒ってるんだろうな、とか色々な、そう、正に色々な考えがよぎり内心、冷や汗ダラダラなのだが、それを気取られてはいけない。

 

 そんなことを考えていたら、頭に引っかかるものがあった。あれ? 何で西暦時代の巫女に、神世紀のメンツが揃っているのか、と。

 

 普通ならばありえない光景だ。ちびっこたちも然り。

 

 そして、思い至る。ここってもしかしてゆゆゆい?

 

 やべー、ゆゆゆいとか俺やったことないんだけど。確か、赤嶺友奈って言う三人目の友奈がカギを握るってことだけは知っている。

 

 っということは、此処にいるメンツはまだ”天の神を倒していないのか”。嫌な話だな。

 

 ともあれ、事情は理解できた。これならば、少し先の未来で俺がやらかす黒歴史を知っているわけではないのだろう。俺一人だけ勘違いしてバカみたい。

 

 ともあれ、これは幸先が良い。

 

 土下座案件が必然的に帳消しになるわけだ。……、神世紀組には、が枕詞につくけど。

 

 なんか西暦組にはどう開き直ろうにも殺される未来しか見えないんだが…、どちらにしろ土下座回避不可か。

 

 

「……、あんた何者?」

 

 

 ―――え?

 

 その言葉で現実に引き戻される。問いかけてきた風の言葉に違和感を覚える。

 

 風は知人に対して、そんな言葉は絶対に言わない。

 

 皆の前に出て、こちらの出方を伺っている。

 

 ”本気で”警戒している皆の態度に思わずに皆を凝視してしまう。

 

 

 皆は何を言ってるのだろうか?

 

 見ているうちに気が付いたのだが、勇者部メンバーに中学生の”銀”の姿が見当たらなかった。ちびっこい銀はいるのに、だ。

 そこにたどり着いたときに、一つの仮説が頭の中に浮かぶ。

 

 本来、三ノ輪銀はお役目の最中にバーテックスにやられて死んでいる。俺と言うイレギュラーがいたから変わった運命だった。

 

 いつもならばフォローをとっくに入れるであろう若葉大好きな巫女が助け舟を出してくれないで、同じように此方を警戒している。

 

 ……、情報が足りないが、そう言うことなのだろう。

 

 このゆゆゆい世界は、「本来あるべき」世界から皆が呼ばれた空間なのだろう。

 

 ははは…、原作で須美に忘れられた園子の気持ちはこんな感じだったのだろうな。

 

 心に来るものがあるや。

 

 この場はノリでやり過ごそう。道化を演じるのには慣れているじゃないか。

 

 目を瞑り、息をはく。

 

「ただの…、弓兵だよ」

 

 そう言って笑う。ちゃんと笑えているだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不思議空間に飛ばされて、最初は戸惑ったものの、今ではいつも通りの日常を過ごしている。

 

 いつも通り放課後に勇者部の部室に集まり、皆で談笑していると、神託が降りたと大赦から緊急の連絡が来た。

 

 いつもならばスマホにメールか、巫女に話を通すだけの大赦からの連絡に少し驚く。

 

 内容は、新たな仲間が神樹様に呼ばれたので、それを迎えに行ってほしい。とのことだ。

 

「どんな人が来るのかな? ドキドキだね!」

 

「ええ、戦力が増えるのは良いことよ」

 

「おお、ゆーゆが輝いてるね~」

 

 話を伝えると、友奈がいつものように明るく言い、東郷がそれに賛同する。そこに加わる園子。

 何も言わないが、樹もどこかソワソワした雰囲気を出している。

 

 その光景を見て、少し笑みがもれる。

 

 勇者部結成当初から比べれば随分と逞しくなったものだ。

 

「で、場所はどこなのよ?」

 

「それが、場所までは言われてないのよね~」

 

「はぁ? 何よそれ」

 

 夏凛が聞いてきて、それに私が答える。迎えに行けと言っておいて、場所を言わないとか、相変わらず、あたしたちをおちょくっているのだろうか?

 一応、知っている? と言う意味を込めて、あたしたちよりも前にこの世界に呼ばれ、あたしたちよりもこの世界の情勢に詳しい西暦から来た巫女の上里ひなたに視線を向けるが、ひなたは首を左右に振るうだけだった。

 

(こっちも知らない、か)

 

 まぁ、知ってればそもそも緊急の連絡なんて来ないかと思い直す。

 

 正直な話、大赦は好きではない。むしろ憎んでいると言ってもいい。

 

 乃木、上里に並ぶ大赦の御三家と言われる犬吠埼家のご令嬢とは思えない考えに内心苦笑い。

 

 風自身、名家と言われる家にこそ生まれたものの、名家としての誇りよりも身内の方が大切であると考えていて、大赦の中では少し浮いた存在である自覚はあった。

 それについては両親も祖父母も理解があり、干渉することは無かった。

 

 周りは表面上は何も言わなかったが、影で心無い言葉を言っていること自体は知っていた。

 犬吠埼の名は地に落ちた、と。

 

 2年前に、大きな災害で祖父母、両親が亡くなり犬吠埼家の大赦の権力と、四国の経済を支える犬吠埼グループの莫大な遺産のみが残された。

 親類縁者を一気になくした私達の遺産目当てに挙って人が押し寄せてきた。

 

 有名税…、とは言ったもので数々の汚い大人のやり方で私達から遺産を取り上げようと詐欺師たちの対応に追われて亡くなった祖父母や両親に対する悲しみに暮れる余裕は無かった。

 表面上は良い顔をして近づいてくるが、隠し切れないその本性にさらされて、樹が人間不信一歩手前まで行ってしまいにっちもさっちもいかない状況になった時に現れたのが、皮肉にも嫌っていた大赦だった。

 上手いこと利用されるのはわかっていたが、あたしにはその選択肢しか残されていなかった。

 

 個人的に親交のあった、園子の父親の乃木の叔父様も、他の名家もあたし達の後継人になってくれるという申し出もあったが、当時のあたしには裏があると疑い、信じることができなかったのだ。

 

 大赦に協力を願った次の日から、嘘のように人が来なくなった。

 

 大赦が派遣する警備の人たちが常在し、そういった人々を追い払った。

 

 それから、あたしは大赦の命令に従って勇者部を作り、東郷や友奈、妹の樹を巻き込んでしまった罪悪感との戦いの日々だった。

 

「…、お姉ちゃん?」

 

 心配をにじませた声音が、私に届く。

 いけない。

 あたしは何でもないと笑いながら、首をふった。

 

「こんにちはー!」

 

「こんにちは」

 

「こんにちは~」

 

「おいーっす。良く来たわねちびっこ達」

 

 樹が何か言おうとした瞬間に、銀、須美、園子(小)の小学生組が元気に入って来る。

 

 これ幸いと、そちらに挨拶をして新しい仲間が来ることを話して、樹から来そうな追撃を煙に巻く。

 

 予想通り、脱線しかけていた話が元に戻った。

 

 園子ズが

 

「「ワクテカ色々ドキドキ~」」

 

 などと、わけのわからない踊りをし始めて皆でどんな状態よと突っ込みを入れる。

 

 でも、新しい仲間が加わることを歓迎しているのは伝わってきた。

 

 園子(中)が此方をチラチラ見ているのに気が付き、大げさに両肩をすくめた。

 

 叶わないわね。そう言う意味を込めて。

 

 もう一人の妹分のその気遣いに感謝しながら。

 

 

 

 まるで雷が至近距離に落ちたような轟音が響く。

 

 にぎやかだった部室が、一気に静まり返る。

 

 それも一瞬の出来事だが。

 

 東郷と須美が「「敵からの砲撃音よ!」」何てパニックになっている。取り敢えず、園子が暴走した時用に持ち歩き始めた小型ハリセンで二人の頭を叩き「馬鹿言ってんじゃないの」と言う。

 

 夏凛が「そのハリセンどこから出したのよ…」と小声で呟きながらも扉を開けて音のした方へ走りだす。

 

 釣られるように勇者部のメンバーが後を追い出す。

 

「今日雷予報何て出てましたっけ?」

 

「いいえ、今日は一日晴れの筈よ。友奈ちゃん」

 

 夏凛の後に続きながら、友奈が「傘持って来てないんだけど、どうしよー!」と的外れなことを口に出して、それに対して東郷が大丈夫だと助言する。

 それに対して友奈が「良かった。えへへ」と笑う。

 

 友奈なりの皆への気遣いだとは理解できるのだが……、その、もう少し何とかならないだろうか?

 

 前を走ってる夏凛が頭を抱えている。

 

 もしも雨が降ったとしても、私と友奈ちゃんの分はあるわ、とボソッと呟いたのは聞かなかったことにしよう。昇降口にずっと置かれている時代劇で出てきそうな傘が2本ずーっと存在感を主張し続けているのをなぜか思い出した。

 

 

『……ひどくね?』

 

 屋上に出る階段を登り切った所で、声が聞えた。

 

 誰かいるのか?

 

 もしそうなら、もしかしたら先程の落雷(?)のせいで怪我をしてるかもしれない。そう思いつつ屋上への扉をあけ放つ。

 

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

 あたしたちは全員言葉を失う。

 

 屋上に設置されていたミニ社は跡形もなく壊れて、その土台も見る影もない。

 

 散乱した破片を気にも留めず、金がそこに居た。

 

 あたしや樹とは質の違う、陽光を浴びて輝く金髪。染み一つない白い肌。造られた様な卵型の輪郭。見る人を吸い込むような深紅のルビーのような瞳。

 あたしたちと目が合うと金が立ち上がる。

 

 身に付けている黄金の甲冑には青い文様があしらわれている。

 

 腰部分からは真っ赤なマントが足部分まで垂れている。

 

 王だ……、王がいる。

 

 普通であればこれだけ金一色であれば衣装負けするし、悪趣味とさえ思ってしまうだろうが、目の前の人物はそれすら自らをより際立たせるものでしかなく、そこには一切の嫌味、嫉妬、人間の汚い感情を寄せ付けない圧倒的な芸術がそこに居た。

 

 その堂々とした佇まい。

 

 あたしたちとは次元が違うと言われているような存在感。

 

 故に、王と。

 

 そう、心が納得してしまった。

 

 瞳があたしたちを見る。思わずに目を逸らしてしまいたい衝動と目が離せないと言う矛盾した感情が体を硬直させる。

 誰かが生唾を飲む音が聞えた。

 

 バーテックスを前にした時でさえこうまで緊張すると言うことは無かった。

 

「サーヴァント、アーチャー。選定の声に応じ参上した……、問おう。俺のような役立たずを呼んだ大バカ者はどこにいる?」

 

 発せられた言葉にこれ程力を感じたのは初めてだ。

 

 跪いてしまいたい衝動を抑えつつ、問いかけに答えなければと頭を回転させる。

 

 目の前の(人物)は何と言った?

 

 サーヴァント? 意味は確か、従者とか…、召使い。酷い捉え方をすれば、奴隷を示すこともある単語。少なくとも目の前の人物に当てはめるのを躊躇ってしまう程に似合わない。

 

 痛い発言(中二発言)をしていると言われればそれまでだが、目の前に君臨する絶対者がそんな発言をするはずがないと言う、一種の核心のような妙な信頼感を感じる。何か重要な通過儀礼……、様式美? のようなものだろうか?

 

 

 そして、驚く。幾ら体が、心が目の前にいる絶対者だと叫んでいても、王が……、神である神樹様を下に見るような発言をするのは理解できない。

 少なくとも、今、人が存在できるのは神樹様の恩恵あってこそだ。

 

 最も、時代錯誤も甚だしい目の前の人物にあたしたちの常識、それを理解をしているかは別だが。

 

 ともあれ、何かを話さなければ。

 

 言葉を発してから此方の返答を待っているかのような沈黙が続く。

 

「……、あんた何者?」

 

 何とか搾り出すように問いかける。

 

 少し驚いたように目が見開かれたような気がしたが、それも一瞬のこと。

 

 瞳を閉じ、少し息を大げさにはく目の前の絶対者。

 

 あたしたちにのしかかっていたプレッシャーが無くなる。緊張の糸が解け座り込んでしまいそうになる体に活を入れなる。

 

「ただの…、弓兵だよ」

 

 そう言って悲しそうに笑う。

 

 …、なぜかその顔を見た時にズキリと胸が痛んだ。

 

 

 

 聞きなれた警報が成る。

 

「敵襲か…、役立たずではあるが、無能でないことは示さないとな」

 

 そう言うと踵を返して移動していった。

 

 凄いスピードで。

 

「ちょ、あんた、待ちなさ…、ええい! あんた達行くわよ!」

 

 勇者アプリを起動して、スマホをで位置を確認する。

 

 何故か、名前の表示の所には何も記入されていないそれは、確かに最短距離を馬鹿げたスピードで敵陣めがけて突貫している。

 

 今回に限って何故か敵がかなり多い。

 

 必死になって追いかけているが、距離はどんどん離れていく。

 

「ちょっとどうすんのよ! アイツ、もう敵とぶつかるわよ!」

 

 夏凛が叫びながら、速度を上げる。

 

「あ、あわわ! どうしよう! 速く助けなきゃ!」

 

「落ち着いて、友奈ちゃん!」

 

 軽くパニックになっている友奈に東郷が促す。

 

 何もできないあたしは内心で愚痴る。

 

 

 

 

 合流した時には、敵の半分はマップから消滅していた。

 

「凄い…」

 

 この言葉を漏らしたのは誰だっただろうか?

 

 手に持っている古いデザインの弓が弦楽器のような音を奏でる度に、敵がみじんに切り裂かれていく。

 

 あれ? 矢は?

 

 敵はどちらかと言うと、鋭い刃物のようなもので切り裂かれているような倒され方をしている。

 

 もしかして、樹みたいなワイヤーを使った攻撃なのだろうか?

 

 攻撃する隙を与えずに、次々に消滅していく敵。完全なワンサイドゲーム。

 

 それでも、仲間すらも盾にして遠距離攻撃を仕掛けるバーテックス。

 

 

 ―――切れ味を強化するか。

 

 

 そう聞こえた気がした。

 

 次の瞬間、あたしが使っている大剣と同じものを握って突貫する。

 

 振るう時に巨大化し、複数隊を切り裂く。そのまま、最小限の動きで敵の攻撃を避けながら、避けられない攻撃のみ大剣の腹を使ってはじく。

 大剣故の小回りの利かなさは変わらない筈なのに、それを全く感じさせない動き。

 

 武の境地。

 

 自然とそんな言葉が頭に浮かんだ。

 

 似たような武器でも、扱う人によってここまで違うのか。

 

 ただただ、圧巻だった。

 

 あたしも…、もしかしたらできるだろうか?

 

 何かが、胸の中で燻り始めていた。

 

 大剣を限界まで巨大化させて、ブーメランの要領で投げつける絶対者。

 

 まるで意思があるかのように、弧を描き敵を切り裂く。

 

 最後の敵には大剣が半ばまで刺さる。

 

 そのまま倒れたバーテックス。

 

 もう用は無いと言うように、此方に向かってゆっくり歩いてくる。

 

「あはは、今出せる限界を知りたかったんだ。君たちの活躍の場を奪ってしまってごめんよ。終わったから」

 

 人差し指で頬をかきながら話しかけてくる。

 

 その後ろで、大剣が半ばまで刺さっている敵が攻撃しようとしているのに気が付かずに。

 

「⁉ 危ない!」

 

 東郷が悲鳴に似た声を挙げる。

 

 

 ――――終わったって、言ったよね?

 

 背筋が凍りつく感覚がした。

 

 敵が爆ぜたのだ。

 

「ん? どうかした?」

 

 何事もなかったかのように振舞うその姿は、正に王そのものだった。




性懲りもなくまた、始めちまった!

後悔も反省もしていない。

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