エスパー少年とオカルト少女   作:ジョン・N

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エスパー なトレーナーがいて、

かくとう なトレーナーが出てきて、

あく なトレーナーが現れて、


“トレーナー三すくみ”の出来上がり。




9. 彼女(?)の話

 

 

 

 ギュゥゥっと俺の腕に抱きついて、ヒトミはお姉さんを睨んでいる。

 自分の腕が柔らかいヒトミの身体に押しつけられて、少し恥ずかしいが、今、俺が感じていた気持ちは恥ずかしさよりも驚きの方が強かった。

 

「なんだ、テメー、彼女持ちだったのか?」

 

 お姉さんが俺を見て訊いてくる。

 

「いや、そんな」

「彼女です! だから……」

 

 お姉さんへの俺の返答を遮って、ヒトミは大きく息を吸った。

 

「だから、カズヤに言い寄るのは、やめて!」

「はァ?」

 

 あぁ、これは……。

 ヒトミは大きな勘違いをしてる。

 

「……クス、フフ、あはっはっは!」

 

 ポカンとした表情が緩んでいき、やがて、お姉さんは愉快そうに笑った。

 

「言い寄るってぇ! あっはっは! アンタには、アタシがコイツをナンパしてるようにでも見えたのか?」

「……違うの?」

「違うよ……!」

 

 お姉さんが爆笑してる様子を横目で見ながら、ヒトミはこっちに眼を向ける。ヒトミに訊かれ、俺はそのまま素直に否定した…………てか、顔近い!

 

「安心しろよ。別にナンパしてたわけじゃねぇ。ただコイツのポケモンの扱いがなってなかったからな、アドバイスしてやってただけだ」

 

 扱いがなってないって……。

 まぁ、ラルトスを泣かせるくらい無視しちゃったのは本当だから、否定できないけど、別にいつもあんな風にしてるわけじゃないんですよ?

 

「アドバイス……?」

「ほら、これ。さっき、お姉さんからもらったんだ」

「……これは、ポケじゃらし?」

「知ってるの?」

「うん、カロス地方ではみんな普通に持ってたから……けど、なんでそんなことに?」

「いやぁ、それは、なんていうか……色々あって」

 

 さすがに瞑想に集中してラルトスを泣かせたから、とは言いづらい。それを話せば、なんでそんなに瞑想に集中したのかの話にも繋がりかねない。

 

「とにかく、別にお姉さんにはナンパされたりも脅されたりもしてないから!」

「……そーなの?」

「ソーナンス……じゃなくて、そうだよ!」

 

 いかんいかん、つい爺ちゃんのポケモンギャグが……。

 ちなみに、ここホウエン地方では、『そーなの?』と訊かれて『ソーナンス!』と答えるのは、鉄板ギャグだったりする。

 

「そんで、実際のところ、お前らはカップルなのか?」

 

 気を取り直すように、お姉さんが腰に手を置いて訊いてきた。

 

「いや、まだ違いますよ!」

「ふーん、()()ね……」

 

 なっ、しまった!

 

「あっいや、べっ、べつに今言った『まだ』ってのは言葉の綾というか、否定する上でのテンプレートというか、深い意味はないですから!」

「あぁーもう、良いって良いって。お前らの反応見たら、なんとなく分かったつーの!」

 

 お前()……?

 ふと横を見ると、赤くなった顔を隠すようにうつむいているヒトミの姿があった。

 ……あぁーー、もう、可愛いなぁ!

 

「ったく、“まだ”とか言ってねぇーで、さっさと付き合っちまえば良いのに……!」

「うっ……だから、別にそんなんじゃ!」

「えっ」

 

 否定しようとしたら、横から小動物(ベイビィポケモン)みたいな弱々しい声が聴こえてきた。

 再度横を見ると、ヒトミが潤んだ眼で俺を見上げていた。

 

「……カズヤは、私のこと、キラい?」

「いや、キラいなんてことはない。ないけど……」

 

 キラいじゃない、むしろ大好き。

 だけど、ここで正直に『好きだよ』って言うのは、めちゃくちゃ恥ずかしい!

 

「けど……?」

 

 不安そうにヒトミはまっすぐ俺を見る。ヒトミの潤んだ眼に見られて妙な罪悪感を感じ、かつ胸の内にあるモヤモヤした羞恥心に耐えきれず、俺はヒトミから眼をそらした。

 

 

「だから、その……なんというか……ッ!」

 

 眼を右往左往させて、なんと言おうか迷っていると、ヒトミの眼がますます潤んでいく。

 

「そうよね、私なんて……。こんな、暗くてトロくて、服もダサくて、ブサイクで、オカルト好きの変な子なんて……」

 

 なんだか、ヒトミのテンションがどんよりと落ち込み、どんどん暗くなっていく。

 そんなに自分を卑下しないで……!

 ヒトミは充分かわいいし、魅力的だよ!

 

「それに、昨日からカズヤ、なんだか素っ気ないし……」

「いや、それは!」

 

 それは……言えない。ヒトミと喋ってると【いしのどうくつ】でのことを思い出して、目線が胸元に行ってしまうなんて、絶対に言えない!

 

「うぅ、どうせ私なんて……グスッ……うぅ……ふえぇ!」

 

 ヤバい、このままではヒトミが大泣きしてしまう!

 そばにいるお姉さんも、『おい、なんとかしろよテメぇ』といった眼で俺を睨んでいる。

 

「あぁーー! だからさ、その……!」

 

 ヒトミを泣かせるまいと、俺は意を決して、口元をヒトミの耳に近づけた。

 

「好き、だよ……!」

 

 バクバク鳴っている心臓をどうにか意識の外に追いやり、かすれた声で囁く。

 これが、今の俺ができる精一杯の告白だ。友達としてなのか、女の子としてなのか、その辺りの気持ちの差異はまだ解らないけど、心の中にしっかりとあるこの()()()、それは嘘偽りのなく、俺が心からの思っている気持ちだ。

 

「キラいなんてことはない。むしろ俺は、ヒトミのことが好き……」

「ッ!」

 

 俺が囁くと、ヒトミの顔がポッと赤く染まった。

 

「けど、こんなこと……人前では、恥ずかしくて言えないからさ……」

「う、うん……!」

 

 ヒトミの耳元から顔を離して、彼女を見ると、ヒトミは顔をうつむかせて組んだ両手をモジモジしていた。そんなヒトミの様子を見ていると、気持ちが惹きつけられ、胸が苦しくなる。

 顔が熱い。心臓が騒がしい。ヒトミと同じで、きっと俺の顔も真っ赤だろう。

 

「ひゅーひゅー、妬けるねぇ!」

「なっ!」

 

 声に反応して顔を横に向けると、ラルトス、ヒトモシ、ポチエナと並んで、お姉さんがニヤニヤした顔で見ていた。3匹のポケモンと合わせるため、御丁寧にしゃがんでこっちを見上げている。

 俺が何を言ったのかは聴こえていないはずなので、雰囲気だけを見てからかっているのだろう。

 

「それで、次はキスでもすんのか?」

 

 お姉さんの茶化す言葉に、ヒトミがピクッと身を揺らしながら「き、キスぅ!」と声を上げる。口にはしなかったけど、俺も同じような心境だった。

 

「か、からかわないで下さい! そんなんじゃないですって!」

「そんなに見惚れといて、よく言うよな」

 

 べ、べつに見惚れてなんて……なんて……。

 

「……ぬぅぅぅ」

 

 俺は口を結び、ニヤニヤしているお姉さんと言い返せない自分にヤキモキした。

 あぁ! 確かに見惚れてたよ、モジモジするヒトミを見て、かわいいと思ったよ、綺麗だって、魅力的だって、大大大、大好きだって、思ったよぉ!

 そんなことを八つ当たりするように心の中で叫びながら、俺はお姉さんを睨む。そんな俺を見て、お姉さんはニヤリと笑っていた。

 

「ラルゥ?」

「モシモシ?」

「チエ?」

 

 俺がお姉さんへ無言のプレッシャー(効果がないみたいだ)を放っていると、ふとポケモン達が『あれぇ?』『ご主人?』『なんだ?』と首を捻って、それぞれヒトミの顔を覗き込んだ。

 けどポケモン達に見られても、ヒトミはまったく反応しない。

 

「ん?」

「あん?」

 

 そんなポケモン達と彼女の様子に、俺とお姉さんもヒトミへ眼を向けた。

 ヒトミは顔をうつむいているため、前髪で顔が隠れている。

 

「ヒトミ?」

「………」

 

 俺が呼び掛けても返事は返ってこなかった。

 俺はお辞儀するように顔を下にして、ポケモン達のようにヒトミの顔を覗き込む。

 すると……。

 

「……気絶してる!」

 

 真っ赤になった顔のまま眼をぐるぐる回して、ヒトミは意識を失っていた。

 

 

 

 

 

 ーーつづく。

 

 

 

 

 






アンケートの結果を活動報告でまとめました。
人気キャラランキングのアンケート受付は、20話くらいまで続ける予定です。

第一回キャラクター人気ランキング

  • サイキッカーの カズヤ
  • オカルトマニアの ヒトミ
  • ジムリーダーの フウとラン
  • バトルガールの サヤカ
  • こわいおねえさんの ???
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