エスパー少年とオカルト少女   作:ジョン・N

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短話として完結したけど、書きたくなったから連載するぞォー!

短話と同じく『ほのぼの』『ポケモンの可愛さによる癒し』『イチャラブ』をテーマにして書いていく予定。




第1章
1. 旅立ちの話


 

 

 

 ついに、この日が来た。

 

「……よし!」

 

 作務衣の帯をきっちりと締め、俺は椅子に置いていたリュックサックを背負う。昨夜も念入りに確認したが、中に入れた道具類に不足はない。

 

「ラルゥ!」

「うん、じゃあ行こう!」

 

 相棒の【ラルトス】と共に部屋を出る。玄関では母さんと【エーフィ】が見送りのために待ってくれていた。

 

「忘れ物はない?」

「もちろん。昨日何度も確認したし!」

「そう、じゃあ街に着いたら連絡入れてね。確か、最初に行くのはムロタウンだったかしら?」

「うん、そのつもり。まぁムロタウンまでは、ほとんど船の上だから迷うこともないと思うけど」

「もぅ。だからって、油断しないの」

「はぁーい」

 

 そんなに念を押さなくても、大丈夫だってば。

 

「本当に港まで見送りに行かなくていいのね?」

「大丈夫だって。港まではもうなん十回も行ってるし」

 

 心配性だな、まったく……。

 

「ラルラルゥー!」

「フィー!」

 

 俺と母さんの足元でラルトスとエーフィも似たようなやり取りをしていた。二人(2匹?)の場合、親子というより姉妹のような会話だが……。

 

「じゃあ、いってきます!」

「いってらっしゃい」

 

 家を出て、見送る母さん達に大きく手を振る。

 こうして俺は、ポケモントレーナーとしての旅に出た。

 

 

 

 ***

 

 

 

 俺の名前は、カズヤ。サイキッカー(ポケモントレーナー)だ。

 そして今日、トレーナーとしてチャンピオンリーグに挑戦すべく、ジムバッチを集める旅に出た。

 目指すは、ポケモンリーグ制覇。

 地方各地にあるポケモンジムでジムバッチを集め、定期的に開催されるポケモンリーグに参加して、優勝して、四天王とチャンピオンに勝つことで、晴れてそのトレーナーはポケモンリーグを“制覇”したことになる。

 別名、“殿堂入り”とも言い、ポケモンリーグ制覇はトレーナーとしての憧れであり、その夢へ向かうことは、トレーナーとしての誇りでもある。

 今日、この日が、俺の夢への第一歩だ。

 そんなわけで、俺は今、トクサネシティの住宅街を走り抜け、港へ向かっている。

 

『そんなに急がなくても、待ち合わせの時間までは、まだ間に合うよ?』

「そうだけど、ヒトミのことだから、もう着いてるかもしれないし!」

『あぁー、ヒトミならありそうだよね』

 

 肩に乗った小さな相棒は、納得した様子でウンウンと頷いた。

 相棒は【ラルトス】、俺の唯一の手持ちポケモンだ。

 相棒とは彼女が卵から孵った時からの付き合いで、それからずっと日々を共にしてきた。

 幼馴染のような、親友のような、兄妹のような……うまく言葉では表せないが、とにかく、俺にとってはかけがえのない大切なポケモンだ。

 さて何故、今、俺がラルトスの言葉を理解したかというと、彼女が俺の相棒だから……というわけでは(残念ながら)なく、ラルトスがテレパシーを使ったから、というわけでもない。

 では何故かというと、俺がサイキッカーだからだ。

 サイキッカーとは、いわば超能力者のことで、俺は爺ちゃんの遺伝で生まれつき超能力を持っている。具体的にいうと『テレキネシス』と『マインドコントロール』の使い手だ。

 『テレキネシス』は物を自在に操れる超能力で、『マインドコントロール』は人の心を覗くことができる超能力だ。このマインドコントロールの能力を使って、俺はポケモンの鳴き声から気持ちや言葉を察知しているのだ。

 ちなみに、エスパータイプのポケモンも似たような技が使えるけど、俺はあくまで人であるため、彼らほど能力を高く行使できない。日常で使うのも、簡単な物を動かすのとポケモンとのコミュニケーションに使うのがほとんどだ。

 頑張れば、精神操作をすることもできるけど、あんまりやらない。怖いからな……。

 

「あっ、やっぱりいた!」

 

 街を抜けて、港が見えるところまで着くと、見慣れた少女の姿が見えた。少女は【ヒトモシ】を抱えて、入口のそばでソワソワした様子で立っていた。

 

「おーい、ヒトミー!」

「あっ……カズヤ!」

 

 俺が名前を呼ぶと、ヒトミはこっちを見てニヤリと笑った。

 

「ごめん、待った?」

「ううん……全然……」

 

 ヒトミはブンブンと頭を横に振る。

 

「本当に?」

「う、うん……待ってない、わ……」

 

 ……あやしい。

 

「ふーん」

「ホント……ホントに、ま、待ってない、から!」

 

 少し目を細めてみると、ヒトミは声を強めて返したが、挙動がさっきよりオロオロさを増した。

 これは、カマをかける必要あり、だな……。

 

「じゃあ……心の中、読んでも良い?」

「あ、うぅ……ごめん、少し待った」

 

 やっぱり。

 

「うん、分かってた」

「……むぅぅ」

 

 俺がニヒヒと笑うと、ヒトミは眼を細めて頬を膨らませる。

 

「それで、どれくらい待ったの?」

 

 ちなみに、今は待ち合わせを予定した時間の15分前だ。

 

「……30分くらい」

「モシモシモシー!」

「2時間ッ!」

「ヒトモシ!」

 

 また気を使って嘘をいったヒトミの腕の中で、サラッとヒトモシが本当の時間を言った。

 ヒトモシがバラしたと理解して、ヒトミは抱えていたヒトモシの口を押さえた。

 

「2時間も待ってたの!」

「うぅ……うん」

「なんでそんな?」

「それは、えと……うぅ……」

 

 ヒトミはうつむいて返答を躊躇った。その間に、ヒトモシが彼女の腕の中からすり抜け、地面に降りる。

 

「その……カズヤと、旅に出るのが、楽しみで……我慢できなくて……はやく、来ちゃった。えへへ」

 

 何かを誤魔化すように、ヒトミは少し口元を引きつらせて笑う。顔も少し赤くなっていた。

 

「……そっか」

 

 なんか、そんな素っ気ない返事しか応えられなかった。

 心なしか顔があついし、今のヒトミめちゃくちゃ可愛いし……じゃなくて。

 

「ごめんな、待たせちゃったみたいで。あはは」

「ううん、私が勝手に早く来ただけだから。えへへ」

 

 お互いの気恥ずかしさを隠すように、俺達二人は笑い合う。

 

「「相変わらず、仲良しだね二人とも!」」

 

 急に聞こえてきた声に、俺とヒトミはビクッと反応して揃って横を見た。

 

「あっ!」

「フウ、ラン!」

 

 そこには、俺と同じような服を着た双子の姉弟、このトクサネシティのジムリーダーであるフウとランが立っていた。

 二人は俺達の友達で、ヒトミほどではないけど、それなりに長い付き合いだ。ラルトスとヒトモシも、二人のパートナーポケモンである【ルナトーン】と【ソルロック】と友達同士だ。

 

「見送りに来てくれたのか?」

「うん、せっかく二人が旅を始めるんだから」

「ジムリーダーとして見送りしておかないと……」

「「そして、なによりも友達としてね」」

 

 俺が訊ねると、二人は交互に話して、最後に声を揃えた。この息のあった話し方も、二人が双子だから成せるわざだ。最初は違和感があったけど、今はもう、すっかり慣れてしまった。

 あと、これまでの付き合いで分かったが、二人が話すときは、フウが最初に話すことが多い。

 

「ありがとう!」

「……うん、ありがと」

 

 俺の後に続いて、ヒトミも嬉しそうに笑って礼を言った。人見知りな彼女とあって、初めて会った当初は俺の後ろに隠れて二人と接していたけど、今では面と向かって話せるまでになった。

 

「カズヤはジム戦、頑張ってね」

「帰って来た時に、カズヤと戦うのを楽しみにしてるヨ」

「あぁ。絶対、強くなって帰ってくるから!」

 

 宣戦布告するように、俺はグッと拳を立てた。

 

「そのためにちゃんと」

「ラルトス以外のポケモンも、つかまえてくるのヨ」

「でないとトクサネジムには」

「挑戦できないからね」

「うん、もちろん分かってる。ちゃんと仲間を増やして、八つ目のバッチに、トクサネジムのバッチをゲットしてみせるよ!」

「「うん、楽しみにしてる!」」

 

 俺が宣言すると、二人は揃ってニッコリと笑った。その笑顔から、二人が本当に俺の挑戦を楽しみにしてくれているのが伝わってきた。

 ジム戦に挑む順番として、近い順で選べば、自分の街にあるトクサネジムが最初になる。

 だけど、俺がトクサネジムに挑戦するのは、八つ目、つまりホウエン地方を回り終わって、最後にやるジム戦だ。

 なぜ俺がトクサネジムを最後にしたのかというと、トクサネジムがダブルバトルによるジム戦を採用しているのもあるが、やっぱり一番強くなった時に、二人と戦いたいと思ったからである。

 トレーナーとして、そして二人の友達として、その方が、絶対に楽しいからな。

 

「ヒトミも、フィールドワーク頑張ってね」

「う、うん……」

「まずは、オダマキ博士に会うんだっけ?」

「そう」

 

 オダマキ博士のいる研究所は、ミシロタウンにある。そこにはムロタウンに行った後に向かう予定だ。

 

「ヒトミがどんな研究をするのかも」

「あたしたちは楽しみにしてるから」

「うん……がんばる、わ」

 

 ヒトミも前に組んでいた腕を胸の前に置き、宣誓のように頷いた。

 そんなヒトミを見ながら満足そうに笑い、やがてフウとランは、ジムリーダーらしい引き締まった顔で、俺とヒトミを交互に見た。

 

「きみ達には、ぼくたち姉弟にも負けないくらい、強い絆がある」

「そしてラルトスとヒトモシも、あたし達のルナトーンやソルロックに負けないくらい、あなた達を慕ってくれている」

「ふたりが一緒なら、どんな壁も越えていける!」

「友達のあたし達には、わかるわ!」

「「きみ(あなた)達が成長してトクサネシティに帰ってくるのを、楽しみに待ってるよ(わ)!」」

 

 今の目の前の二人からは、同い年にも関わらず、ジムリーダーとしての貫禄のようなものを感じた。

 

「「うん!」」

 

 俺とヒトミは、その言葉に応えるように、一緒に力強く頷いた。

 

「「じゃあ、行ってくる!」」

 

 船の汽笛がなり、出航の時間を知らせる。その音を聞いて、俺達は船に乗り込んだ。

 やがて船は錨を上げて、港を出発した。船のデッキから友達二人に手を振っている内に、だんだんトクサネシティの港が小さくなっていく。

 こうして、俺達の旅は幕を開けた。

 

 

 

 

 ーーつづく。

 

 

 

 

以下のポケモンの中から、直感で選んでください。

  • ケーシィ
  • ゴース
  • ニャスパー
  • ミミッキュ
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