空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第12話

放課後 

 

今、俺達はアリーナに居る。

 

「どういう事ですの?これは」

 

セシリアが不満そうな声を漏らす。

 

「訓練機の使用許可が降りたのだ。今日からこれで特訓に付き合う」

 

箒がISの腕の動作確認をしながら答える。

 

「『打鉄』・・・日本の量産型ですわね。まさかこんなにあっさりと使用許可が降りるなんて・・・」

 

そして確認を終えた箒が、虚空からIS用のブレードを取り出して構える。

 

「では一夏。始めるとしよう」

 

「お、おう」

 

一夏も構え直す。

 

「お待ちなさい!一夏さんと特訓するのはこのわたくしでしてよ!」

 

そう言いながらセシリアがISを展開する。

 

「さぁ、一夏練習開始だ!」

 

「お相手しますわ一夏さん!」

 

「うわぁ!?待て待て、2対1かよ!ウィル、手を貸してくれ!」 

 

「オーケー、ちょっと待ってろ」

 

俺もISは展開していたので、エンジンを始動させながら一夏の加勢に向かった。

 

 

 

空も大分暗くなってきた頃。

 

「ハァ、ハァ、ハァ」

 

一夏は完全にダウン。地面に仰向けになり、肩で息をしている。

正直言うと、俺も結構疲れた。

 

「今日はこのくらいにしておきましょう」

 

「お、おう」

 

「ふん、鍛えてないからそうなるのだ」

 

「いや、代表候補生と剣道部員が相手じゃこうなるって・・・」

 

「だからウィリアムが加勢してくれていただろう」

 

「いや、これは一夏の特訓だからな。俺はここぞという時以外は手は出してないぞ?だが一夏、確かに少しばかりスタミナが心許ないな」

 

「確かにな・・・俺も鍛えるか」

 

「では一夏さん、また後程」

 

そう言いながら、セシリアが去っていく。

 

「何をしている、早く我々も帰るぞ?」

 

「あぁ、悪い、先に帰っててくれ。俺はまだ動けない・・・」

 

「仕方無い奴だな、シャワーは先に使わせてもらうぞ?ではな、一夏、ウィリアム」

 

そう言って彼女も帰って行った。

 

「おい、一夏、立てるか?こんな所に何時までも居たら汗が冷えちまう。風邪ひく前に戻るぞ?」

 

「・・・そうだな。戻るか」

 

二人で更衣室に向かって歩いていった。

 

 

 

「これからクラス対抗戦までずっとこの調子かよ・・・」

 

「そう言うなよ一夏。俺も手伝ってやるから・・・」

 

なんて話をしていると、声が掛かる。

 

「お疲れ、一夏、ウィル」

 

鈴がスポーツドリンクを持って入ってきた。

 

「飲み物はスポーツドリンクで良いよね?はい」

 

そう言いながら、笑顔で手渡してくる。

 

「あぁ、サンキュー。いただくよ」

 

気配りの出来る娘だなぁ。と、染々思う。

 

「何だ?お前ずっと待っててくれたのか」

 

「ふふん、まあね」

 

おっと、これは邪魔しちゃ悪いか?

本能で察する。

 

「っと、じゃあ俺はこれで。一夏、またな。鈴、スポドリサンキュー」

 

そう言いながら、俺は更衣室を後にした。

 

 

帰りに缶コーヒーを買って自室でゆっくりしていると、一夏の部屋の辺りから声が聞こえてきた。

 

「騒々しいなぁ、一夏が居るところは何時もこうなのか?」

 

まぁ、一夏は良い奴だし、退屈もしないし、これ位が丁度良い。

そう思いながら、部屋を出て何事かと見に行く。

 

 

 

「と言う訳だから、部屋変わって?」

 

「ふざけるな!なぜ私が・・・!」

 

そこでは、ちょっとした女の闘いが繰り広げられていた。

 

「いやぁ、篠ノ之さんも、男と同室なんて嫌でしょ?」

 

「べ、別に嫌とは言っていない。それに、これは私と一夏の問題だ!」

 

「大丈夫、アタシも幼なじみだから。ねぇ、一夏?」

 

「お、俺に振るなよ・・・」

 

箒と鈴が言い合っている隙に一夏に事の成り行きを聞く。

 

「おい、一夏、どういう状況だ?これ」

 

「さ、さぁ?俺にも何が何だか・・・」

 

本人も理解出来ていないのか・・・。

 

「とにかく、部屋は替わらない。自分の部屋に戻れ!」

 

「・・・ところでさぁ、一夏?約束覚えてる?」

 

話を無理やり曲げやがったよこの娘!

 

「約束?」

 

「そう!小学校の時の」

 

「~~~!無視するな!!こうなったら・・・!」

 

箒が竹刀が立て掛けてある方に向かう。

・・・まさか!

 

「ストップ!やり過ぎだ!」

 

「お、おい、箒!馬鹿!」

 

「はぁぁっ!」

 

竹刀を振り下ろす。

不味い、間に合わん・・・!

そう思った瞬間、鈴がISを右手だけ展開してそれを防いだ。

 

「部分展開、早い・・・!」

 

一夏が驚いて声を漏らす。

危なかった・・・。

 

「・・・今の、生身の人間なら本気で危ないよ?」

 

「ッ!?」

 

鈴に言われて、ようやく我に還る箒。

 

「ま、良いけどね」

 

なんとか、落ち着いたようだ。

 

「そ、そうだ!約束がどうとか言ってたよな?何の話だ?」

 

一夏が場の空気を戻そうとする。

一夏、ナイスだ。

 

「あぁ・・・あのさ、えっと・・・覚えてる、よね?」

 

「えっとぉ、あぁ、あれか?鈴の料理の腕が上がったら毎日酢豚を━━」

 

「そう、それ!」

 

鈴の顔がみるみる明るくなってくる。

・・・だが。

 

「━━━奢ってくれるってやつか?」

 

「・・・はい?」

 

「だから、俺に毎日飯をご馳走してくれるって約束だろ?いやぁ、一人暮らしの身にはありがた━━━うわぁ!?え?」

 

一夏の左頬に鈴の平手打ちが炸裂した。

 

「最っ低!」

 

「あの、だな、鈴?」

 

「女の子との約束をちゃんと覚えて無いなんて!男の風上にも置けない奴!犬に噛まれて死ね!!」

 

「何で怒ってるんだよ。ちゃんと覚えてただろうが」

 

「約束の意味が違うのよ意味が!」

 

意味?どういう事だろうか?俺にもそう聞こえるんだが・・・。何かの言い回しか?

 

「そこ!意味が分からないみたいな顔しない!」

 

えぇ・・・俺もとばっちり?

 

「だから、説明してくれよ。どんな意味があるってんだ!」

 

「俺も気になるな」

 

「せ、説明って・・・そんな、出来るわけ無いでしょうが。・・・じゃあ、こうしましょ?来週のクラス対抗戦、勝った方が負けた方に何でも一つ言うことを聞かせられる」

 

「おぅ、良いぜ。俺が勝ったら説明してもらうからな?」

 

「そっちこそ、覚悟して置きなさいよ!?」

 

そう言い残し、帰って行った。

 

「一夏・・・」

 

「お?何だ?」

 

「馬に蹴られて死ねっ」

 

「え!?」

 

「一夏、お前やっぱり何かしたんじゃないか?」

 

「な、何かって何だよ?」

 

「さぁ?俺にもよく分からんが・・・。まぁいい、俺も帰るよ。スィーユー」

 

「あぁ、お休み」

 

 

 

自室のベッドに寝転び電気を消す。

・・・それにしても、あれはどういう意味なんだ?

 

まだまだ、日本文化?に疎いウィリアムであった。

 

 

 

 

 

 

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