クラス対抗戦当日 ピット内
「初戦から鈴が相手か・・・」
一夏がそう呟くと、彼のISのモニターに別のISが投影される。
「あちらのISは『
山本先生が説明する。
成る程、デカイ図体して近接戦が得意なのか・・・見た目に依らないな。あの肩の部分のパーツは飾りではないな。何かの武装か?
「わたくしの時とは勝手が違いましてよ?油断は禁物ですわ」
「固くなるな。練習の時と同じようにやれば大丈夫だ」
「あぁ、冷静に対処すればいけるだろう。ただ、あの肩の兵装には気を付けろよ?何かは分からんが大人しくはやられてはくれないはずだ」
「あぁ、分かった。けど・・・あれで殴られたらすげぇ痛そうだな・・・」
鈴ISに装備された巨大な近接武器を見て身震いする。
アリーナの天井が開き、青い空が現れる。
『それでは、両者規定の位置まで移動して下さい』
全体放送でそう伝えられ、一夏がアリーナ中央の競技場に飛び出した。
一夏が出た後、鈴と二人で何か話しているようだが・・・。
『それでは、両者試合を開始して下さい』
二人が各々の武装を取り出す。
先に動いたのは一夏だ。
鈴に突撃する。
対する鈴は余裕そうだ。
空中で両者ががぶつかり合う。
「一夏、初撃はなんとかかわせたか・・・」
今度は鈴が二刀流になって、一夏に迫る。
今度は少し押され気味だ。
「一夏・・・」
「あぁ、もう!何をしてらっしゃいますの?!わたくしの教えて差し上げたクロスグリッドターンを使いなさい!」
「おいおい、落ち着けセシリア。まだこれからだ」
そう言いながら彼女を嗜める
だが状況は一夏が劣性だ。彼は攻撃すら出来ず、鈴の猛攻を防ぐのみ。
そして一夏が一端距離を置こうとした、その時、鈴のISの肩部が光り、彼の後ろで爆発が起きた。
「ワッツ!?何が起こった!?」
何が起こったのか分からない。
箒も同じの様だ。
「衝撃砲ですね。空間自体に圧力を掛けて砲弾を打ち出す武器です」
山田先生がそう説明する。
「わたくしのブルーティアーズと同じ、第3世代兵器ですわね」
「しかも、あの衝撃砲は砲身の射角が、ほぼ制限無しで撃てるようです」
「射角制限無しの見えない砲弾・・・。反則級だな」
思わずひきつった笑いが出る。
ん?向こうでも動きがあった様だな。
「織斑君、何かするつもりですね・・・」
「・・・イグニッションブーストだろう。私が教えた」
先程まで無言で画面を見ていた織斑先生が口を開いた。
全員が彼女に注目する。
「
セシリアがおうむ返しする。
「一瞬で、トップスピードを出し、敵に接近する奇襲攻撃だ。出し所さえ間違えなければ、あいつでも代表候補生と互角に渡り合える。ただし、通用するのは一回だけだ」
「成る程、つまり一夏はそれで、一気に肉薄して片を着けるつもりか・・・」
いくら射角無限でもゼロ距離なら簡単には使えない。ということか。
織斑先生は「そうだ」と言って、また画面に目を戻す。
そして一夏が鈴の一瞬をついて、
別の攻撃によって、地面に巨大な爆発が起きた。
会場が騒然となる。
さっきから、会場全体が揺れている。
「何?何が起きましたの!?」
「一夏・・・!」
「何だ?何か他の兵装を使用したのか?」
「システム破損!?何かがアリーナの遮断シールドを貫通して来たみたいです!」
と言うことは、外からの攻撃か?!
俺は何か嫌な予感がしてコントロールルームを離れる。
行き先はもちろん競技場だ。
ピットに入ってISを展開。
時間が無いので、APUを作動させながらPICで飛行し、競技場に侵入する。
やっとジェットエンジンが回り、戦闘準備が完了した。
その時、アリーナの観戦席への出入口が一斉に閉じ始めた。
侵入して来た“何か”から生徒達とお偉方を守る為だろうか。
どうやら既に一夏と鈴はソレの存在に気付いているようだ。無線越しに「逃げろ」とか「置いていけない」とか言い合いしている。
そんな言い合いをしていると、煙の中からビームが放たれた。
狙いは鈴だ。
それを一夏が間一髪で助ける。
「危なかった・・・」
だが、攻撃は尚も続く。
俺は上空を旋回しながら、煙の中心を睨む。
「いやがった・・・!」
煙の中から現れた“ソレ”は腕が長く頭部は体と同化し、首関節が無く、歪な複眼を持っていた。
正直とても悪趣味だ。
「お前、何者だ!?」
一夏が襲撃者に問う。
だが相手は答えない。
「答えろ!お前は何者だ?何が目的だ?」
それでも答えない。
「一夏、聞こえるか!?」
「ウィル!?どこだ?」
「上だ」
一夏が上を見上げる。
「いつの間に・・・」
「ついさっきだ。それより、大丈夫か?敵はこっちでも確認出来たが・・・。悪趣味な機体だぜ。設計者は変態だな」
「ああ、こっちはなんとか無事だ。それよりもアイツの目的がさっぱりなんだ。呼び掛けにも応じない」
「ああ、こちらでも確認した」
その時、山田先生から無線が入る。
「織斑君、ホーキンス君、鳳さん、今直ぐにアリーナから脱出して下さい!直ぐに先生達が制圧にむかいます!」
一夏が異論を唱える。
「いや、みんなが逃げるまで食い止めないと」
「一夏の言う通りです。それでは間に合いません!俺達は戦えます!」
「で、ですが・・・。でも、いけません!三人とも早く!」
無線越しに、悲鳴にも似た声が脱出を催促する。
「・・・良いな?鈴、ウィル」
「だ、誰に言ってるのよ。それより、離しなさいってば!」
因みに現在、一夏は鈴にお姫様抱っこ、と言うのをしている。
まぁ、咄嗟の事だったから仕方ない。
無人機がこちらを向く。
「よし、やるぞ!せっかくのお客様だ、盛大に持て成してやろうぜ!」
「あぁ!」
「分かったわ!」
こうして、無粋な来客者に対する持て成しが始まった。