目が覚めると、俺はベッドに寝かされていた。
・・・知らない天井だ。
「わ!?ひゃあ!?」
ん?隣のベッドに誰か居るのか?
「何してんの?お前」
「お、おお、起きてたの!?」
この声は一夏と鈴か。
「何そんなに焦ってるんだ?」
「あ、焦ってなんか無いわよ!勝手なこと言わないでよ。馬鹿ぁ!」
慌てて否定する鈴。
面白そうだから、もう少し狸寝入りをしておこう。
「・・・あのISはどうした?」
それは俺も気になっていた。
なんせ途中からの記憶が無いからな・・・。
「動かなくなったわ。心配しなくても、怪我人はアンタとウィル意外無し」
「そ、そうだ!あいつは!?」
そろそろ限界か?
「・・・ノープロブレムだ。五体満足で生きてるよ」
「そうか、良かった・・・」
一夏は安堵の息を漏らす。
「なぁ、小学校の時、酢豚の話したのも、こんな夕方だったよな?」
「え?」
「あの約束って、もしかして違う意味なのか?」
あぁ、あの話か・・・。
因みに俺はあの騒動の後少し興味本意で調べてみた。その結果・・・。
ニヤニヤした顔で二人を見守る。
こんな事するのは無粋だが、部屋を出てやりたくても身体中が痛くて動けないのだ。
「俺はてっきりタダ飯を食わせてくれると思っていたんだが・・・」
「ち、違うの!いえ、違わないわよ!」
いや、どっちだよ・・・。
「だ、誰かに食べてもらったら、料理って上達するじゃない?ア、アハハハハ・・・」
鈴、敗れたり。
「お前の酢豚も食ってみたいけどさ、鈴の親父さんの料理、美味いもんな?また食べたいぜ」
すると、鈴が顔を曇らせた。
一夏の奴、地雷でも踏んだのか?
「あ、その・・・お店はしてないんだ・・・」
「え?何で?」
「アタシの両親、離婚しちゃったから・・・」
・・・成る程、そう言うことだったのか。
無言で彼女の言葉を聞く。
「国に帰ることになったのも、そのせいなんだよね」
「っ・・・」
一夏が悲しそうな顔をする。
「なぁ、鈴」
「うん?」
「今度、どっか遊びに行くか」
「え?それって、デート?」
鈴の表情がみるみる明るくなって行く。
良いぞ、一夏。ナイスだ。
鈴に気付かれないように、一夏にサムズアップしながら、ウィンクする。
その時、ドアが開いて、セシリアが入って来た。
「一夏さ~ん♪具合はいかがですか?わたくしが看護に来て・・・うっ」
先客に気付く。
「・・・え?」
「ど、どうしてあなたが・・・!」
早歩きで鈴に迫る。
「一夏さんが起きるまで、抜け駆けは無しと言ったでしょう!?」
「そう言うお前も、私に隠れて抜け駆けしようとしていたな?」
新たな来訪者、箒が入ってくる。
「そ、それは・・・」
「うぐぐぐぐぐぐ・・・!二人とも出てってよ!!一夏はアタシの幼なじみなんだから!」
鈴が大声で退室を促す。
アタシの、の所だけ随分と力が込もっているな。
「それなら私も!」
「大体、2組のあなたが!」
三人が言い合いを始める。
これ、もう収拾がつかないんじゃ・・・。
なんて思い、溜め息を溢す。
「・・・あれ?千冬姉は?」
「?そう言えば・・・」
「どこ行っちゃったのかしら?」
「さっきまで私達と一緒に居たんだがな」
どうやら、誰も知らないらしい。
まぁ、居ないなら仕方無い。先生も事態の収拾に追われているのだろう。
彼女も大変だなぁ。と思いながらベッドに転がるウィリアムであった。