空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第23話

『で、電池切れだ・・・』

 

『・・・切れたらさっさと入れ換えろ、間抜けぇ』

 

『ト、トラックの中に・・・予備の電池が・・・』

 

一夏と別れて自室に戻った俺は、まだ飯まで時間が有ったので、端末でお気に入りの映画を見ていた。

すると、ドアがノックされる。

 

「はいはい、何か?」

 

ドアを開けると、一夏が真剣な表情で立っていた。

 

「?一夏か、どうした?」

 

「ウィル、ちょっと俺の部屋まで来てくれないか?」

 

特に用事も無いので了承する。

一夏の奴、どうしたんだ?

 

 

彼の部屋に入ると、ジャージ姿のシャルルが居た。

だが、様子がおかしい。その、何て言うか・・・胸の辺りが何時もより膨らんでいる様に見えるんだが・・・。

無言で椅子に座る。

 

「・・・それで?何か遭ったのか?」

 

敢えて、この質問をする。

すると、シャルルの肩がビクッと跳ねた。

 

「そうだな、先ずはウィルにも説明するか。シャルル、良いか?」

 

「う、うん・・・」

 

シャルルの了承を得たので、一夏が俺に説明する。

なんでも、一夏が偶然彼女のシャワーシーンを覗いてしまったらしい。

一夏・・・お前何やってんの?

 

「・・・成る程、事の発端は分かった」

 

「で?何で男のふりなんかしてたんだ?」

 

一夏が彼女に問う。

 

「実家から、そうしろって言われて・・・」

 

「お前の実家って言うと、デュノア社の?」

 

「そう、僕の父がそこの社長、その人から直接の命令でね」

 

「え?」

 

「僕はね・・・父の本妻の子じゃ無いんだよ・・・」

 

「「っ!?」」

 

本妻の子じゃ無い・・・つまり、愛人か。

 

「父とは、ずっと別々に暮らしてたんだけど、二年前に引き取られたんだ。お母さんが亡くなった時、デュノアの家の人が迎えに来てね、それで色々検査を受ける過程でIS適性が高い事が分かって、非公式ではあったけど、テストパイロットをやることになってね。でも、父に会ったのはたったの二回だけ、話をした時間は、一時間にも満たないかな」

 

「そんな事が・・・」

 

「その後の事だよ、経営危機に陥ったんだ」

 

「え?だってデュノア社って量産機のISシェアが世界第三位だろ?」

 

「そうだけど、結局リヴァイヴは第二世代型なんだよ、現在ISの開発は第三世代型が主流になってるんだ、セシリアさんやラウラさんが転入して来たのも、そのデータを取る為だと思う。あそこも第三世代の開発に着手しているんだけども、中々形にならなくて・・・。このままだと、開発許可が剥奪されてしまうんだ」

 

「それと、お前が男のふりしてるのと、どう関係が有るんだ?」

 

「あぁ、そんな事して一体何の特が・・・っ!」

 

「そう、今ウィルが思い付いたことで合ってると思う。簡単な話だよ、注目を浴びる為の広告と、それに、同じ男子なら日本とアメリカに出現した特異ケースと接しやすい。その使用機体と本人のデータも取れるかもってね。・・・そう、君達のデータを盗んで来いって言われているんだ。僕はあの人にね」

 

そう自嘲気味に話すシャルル。

 

「・・・本当の事言ったら、気が楽になったよ、聞いてくれてありがとう。それと、騙していてごめん」

 

こんな酷い話が現実にあるとはな・・・。

彼女は本当に反省している様だが、何とかしてやれないだろうか・・・?

俺と一夏は顔を見合せ、頷く。

そして、一夏が口を開いた。

 

「・・・良いのか?それで」

 

「え?」

 

「お前はそのままの人生で終わって良いのか?って事だよ」

 

理解が追い付かない彼女に俺が補足する。

 

「それで良いのか?・・・良い筈無いだろう!」

 

そう言って彼女の肩を優しく掴む一夏。

 

「え、一夏?」

 

「親が居なけりゃ子は産まれない。そりゃそうだろうよ。でも、だからって、そんな馬鹿な事が・・・!」

 

「一夏・・・」

 

「俺と千冬姉も、両親に捨てられたから・・・」

 

「・・・あぁ、俺も捨て子だ」

 

過去を暴露する。

まともな記憶は二人に拾われてからだが、俺だって木の股から生まれて来た訳でも、SFみたく光の粒子から出来た訳でも無いだろう。

 

「一夏、ウィル・・・」

 

「俺の事は良い。今更会いたいとも思わない」

 

「そうだな俺もだ。育ててくれた親が俺の大切な家族だ」

 

「・・・それで、これからどうするんだ?」

 

「どうするって・・・女だって事がばれたから、きっと本国に呼び戻されるだろうね・・・。後の事は分からない。良くて牢屋行きかな?」

 

諦めた様な顔でシャルルはそう言う。

 

「だったらここに居ろ!」

 

「・・・え?」

 

「俺達が黙っていれば、それで済む」

 

「でも、そんな事してもいずれは・・・」

 

「っ・・・」

 

シャルルの一言で一夏は黙ってしまう。

ネガティブだなぁ・・・。まぁ、この状況じゃ仕方無いか?

でもどうやって・・・ああ、そうだ!

 

「おい一夏。一つ大事な物を忘れてないか?」

 

ニヤリとした顔でそう言いながら、本を捲る仕草をして見せる。

 

「!」

 

気付いた様だ。察しが良くて助かる。

 

「そうだよ!もし、仮にお前の親父や会社にばれても、お前には手出し出来ない筈だ」

 

そう言って引き出しから一冊の本をだす。

 

「IS学園特記事項。本学園の生徒はその在学中において、ありとあらゆる国家、組織、団体に帰属しない。つまりこの学園に居れば、少なくとも三年間は大丈夫って事だ。その間に何か方法を考えれば良い」

 

「あぁ、時間はたっぷりと有るんだ。解決方法なんて直ぐに見つかるさ」

 

「よく覚えてたね、特記事項って五十五個も有るのに」

 

少しずつシャルルの顔に笑顔が戻りつつある。

 

「こう見えても勤勉なんだよ、俺は」

 

ドヤ顔で決める一夏。

 

「おいおい、さっきまで特記事項の存在すら忘れてた奴のセリフか?それは」

 

「ちょっ!?ウィル、今は言うなよ!」

 

二人で軽口を叩き合う。

 

「ふふっ」

 

やっとシャルルが笑った。

 

「一夏、ウィル。庇ってくれて、ありがとう」

 

「い、いやぁ」

 

「気にするな、友達だろ?」

 

真っ向からそう言われると正直照れるな・・・。

しかし一夏が思いもよらぬ発言をする。

 

「む、胸、胸が見えそうだって・・・!」

 

彼の言葉に不覚にも反応してしまった俺は、一夏と共にある一転に集中してしまいそうになり、慌てて目を反らす。

 

「え?あぁ・・・!」

 

やっと意味に気付き胸を隠す。

 

「そ、そんなに気になる?」

 

「あ、当たり前だろ!」

 

「煩悩退散、煩悩退散・・・!」

 

日本ではこの言葉を言うと、邪な感情を抑える事が出来るらしい。前に友人が言っていた。

 

「ひょっとして、見たいの?」

 

「「なっ!?」」

 

し、しまった、集中が途切れた・・・!

 

「二人のエッチ」

 

「違うって、何でそうなるんだよ!」

 

「待て、シャルル。一夏は知らんが俺は違うぞ?違うからな!?」

 

「ウィル!?お前何言ってるんだよ!」

 

全力で否定する。

その時、部屋のドアがノックされた。

 

「一夏さ~ん、いらっしゃいますか?夕食をまだ摂られていないようですが、お身体でも悪いのですか?」

 

急いでシャルルをベッドに隠す。

声の主はセシリアか、一夏を心配して見に来た様だな。

 

「一夏さん?入りますわよ?」

 

そう言って返事する前に入って来た。

 

「あら?ウィリアムさんも、何をしていますの?」

 

「いや、シャルルが何だか風邪っぽいって言うから。布団を掛けてやってたんだ、ア、アハ、アハハハハ」

 

「ご、ゴホッゴホッ」

 

「そ、そうだ、それで俺も心配で見に来たんだよ~」

 

なんとか誤魔化しを入れる俺達。

 

「それはお気の毒ですわね・・・。一夏さんをお連れしてもよろしいですか?」

 

セシリアが心配そうに尋ねる。

 

「ご、ゴホッゴホッどうぞ」

 

「わたくしも偶然、夕食がまだなんですの。ご一緒しませんこと?」

 

モジモジしながら一夏を誘うセシリア。

 

「お、おう」

 

「あ、そうだ、俺も飯食ってなかったな」

 

「ゴホッゴホッ、ごゆっくり・・・」

 

「さぁ、参りましょう!」

 

「あ、ああ。って、おい!」

 

そう言ってセシリアは一夏を強引に連れていき、その後をウィリアムが追って行くのだった。。

 

因みに余談だが、三人で夕食に向かう途中に箒と遭遇、軽く修羅場った後、一夏の不用意な発言で彼自身が物理的に痛い目に遭うのを、ウィリアムが同情と少しの羨みの籠った顔で眺めていた事。

もう一つは夕食から帰った一夏にシャルルが、はい、あーん を所望したらしい。

あの三人に知られたら、一夏はどうなることやら・・・。

 

 

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