後、シャルルが影気味です、すいません。
競技場に突入した後、真っ先に一夏がラウラに突撃した。
「その手を離せぇぇ!!」
一夏が斬り掛かる。
分かってはいたが、やはり心配だ。
そして心配は的中する。
一夏がAICによって捕縛された。
「感情的で直線的、絵に描いたような愚図だな」
だが、なんとか鈴とセシリアの拘束は解かれた様だ。
「やはり、この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、有象無象の固まりに過ぎん。━━消えろ」
そう言いながら、一夏にレールカノンを向ける。
「チッ!」
咄嗟に40mm砲を構える。
だが、今ボーデヴィッヒに当てたら、一夏や鈴、セシリアにも破片が飛ぶかも知れない。
・・・それなら!
訓練してきた能力を総動員させ、そして━━
ダァン!
彼女の頬スレスレを狙って撃った。
「っ!!」
ラウラがこちらに振り向く。
「俺を忘れてもらったら困る」
なんとかラウラの気をこちらに逸らす事が出来た。
さて、ここからだ。
俺とラウラが対峙する。
「まだ、殴り足りないんだろ?だったら俺が相手になってやるよ」
「くっ!何度も何度も邪魔ばかり・・・!良いだろう、先ず貴様から始末してやる」
怒り心頭と言った感じで、そう言ってくる。
正直全く怖くない。
前世の頃にもっと怖い奴に遭遇している。
黒人で長身。おまけにスキンヘッドで、訓練生に腕立てをさせるのが大好きな、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ。
もっとも、織斑先生には敵わないが・・・。
ウィリアムとラウラが話している隙をついて、一夏とシャルルが、鈴とセシリアを救助する。
・・・どうやら、救助は終えた様だ。
「ふぅ・・・良いから、つべこべ言わずにさっさと掛かってこい。
中身は37歳+15歳の俺が現役15歳の女子相手に熱くなってしまった。
「っ!!」
ラウラが腕からプラズマ手刀を出して突撃して来る。
どうやら、俺の「小娘」発言が我慢の限界だったらしい。
俺も大腿部の装甲から近接用の対IS用大型ナイフ『スコーピオン』を取り出し構える。
両者の刃がぶつかり合う瞬間、別の乱入者がそれを止めた。
乱入者の正体は━━
「なっ!き、教官!?」
「お、織斑先生!?」
IS用のブレードを握った織斑先生だった。
・・・あれ?IS用のブレードって何Kg有ったっけ?と言うより、生身でISの斬撃を止めた?何者だこの人!?
「やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」
「千冬姉・・・?」
「模擬戦をするのは構わん。だが、アリーナのバリアまで壊されては、教師として黙認しかねん」
実は脱いだら筋肉モリモリマッチョレディー疑惑の先生がこちらに顔を向けながら言ってくる。
ヤベッ、すげぇ睨んできた。
「この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか」
「・・・教官がそう仰るなら」
「・・・イエス・ミス・・・ご迷惑をお掛けしました」
俺とラウラがISを解除する。
「織斑もそれで良いな?」
「あ、あぁ」
「教師には はい と答えろ、馬鹿」
「は、はい!」
織斑先生・・・やっぱり怖いな・・・。
「では、学年別トーナメントまで、私闘の一切を禁止する!解散!」
「・・・ふん、命拾いしたな。鮫野郎」
「こっちのセリフだ。逆ギレウサギ」
こうして、大惨事は未然に防がれた。
▽
医務室
「別に、助けてくれなくても良かったのに・・・」
「このまま続けていれば、勝ってましたわ」
不満そうに俺達に抗議してくる鈴とセシリア。
「お前らなぁ・・・」
「まったく・・・無茶してそのままあの世に逝きたかったのか?」
一夏と俺が二人を諭す。
「そうだよ、二人共、無理しちゃって」
「無理って?」
一夏の問いに、シャルルがニコニコしながら、二人に小声で何かを言う。
すると、目に見えて狼狽する鈴とセシリア。
「ななな、何を言ってるのか、全っ然分からないわね」
「そ、そうですわ、別に無理してなど・・・」
・・・ははぁん、分かったぞ。
ニヤニヤしながら二人を見ると、抗議の視線が刺さる。
そこへ一夏が質問する。
「そもそも、何でラウラとバトルする事になったんだ?」
「それもそうだな?何であんな事に?」
水を飲んでいた二人が噎せる。
「い、いやぁ、それは・・・」
「まぁ、何と言いますか、ケホッケホッ、女のプライドを侮辱されたからですわね」
「え?」
あぁ、成る程。大方自分達を罵られた上、一夏を悪く言ったことに憤ったのだろう。
「あぁ!もしかして、一夏の事がすk」
シャルルが余計な事を暴露する瞬間、鈴とセシリアが手で彼女の口を塞いだ。
「む、む~!?」
「アンタって本っ当に一言多いわね!」
「そ、そうですわ!まったくです!」
「止めろって二人共、怪我人のくせにさっきから動き過ぎだぞ!」
そう言って一夏が両者の肩を掴む。
「「~~~!?」」
うわぁ、滅茶苦茶痛そう・・・。
「ほら、やっぱりそうじゃないか、馬鹿だなぁ。無理するなって」
「馬鹿って何よ、馬鹿って!馬鹿!」
「一夏さんこそ、大馬鹿ですわ!」
「バァカ、バァカ!」
「はぁ、何なんだよお前ら・・・」
「まったく・・・」
その時、医務室の棚の薬剤瓶がカタカタと揺れ始める。
「・・・ワッツ?地震か?」
俺が一人、そう呟くと、医務室のドアが盛大に開き、女子生徒達が押し掛けて来た。
「わ、何なんだ一体」
「おいおい、どういう状況だ?」
「どうしたの?みんな」
戸惑う俺達。
「これ!」
「え?」
差し出された紙を手に取り確認する。
「何これ?」
「今月開催する学年別トーナメントでは、より実戦的な模擬戦闘を行う為」
「二人組での参加を必須とする。尚、二人組が出来なかった場合は、抽選により選ばれた者と組む事とする。締め切りは・・・」
・・・まさか。
「とにかく、私と組も?織斑君」
「私と組んで、デュノア君!」
「私と一緒に勝ちに行こう?ホーキンス君!」
女子達がズズっと迫ってくる。
「え、えぇと、みんな悪い!俺はウィルと組むから、諦めてくれ!」
確かに、俺もボーデヴィッヒとは決着を着けないとな・・・。
とたんに静まり返る医務室。
「何だ、そう言うことか。ならしょうがないねぇ」
「男同士って言うのも絵になるし・・・」
「それじゃあ」
女子が一斉にシャルルに顔を向ける。
ちょっと・・・いや、かなりホラーだ。
「「「デュノア君!!」」」
一斉に詰め寄られ、あたふたしながら連行されるシャルル。
シャルル、頑張れよ!
俺はシャルルに敬礼した。
今度は、鈴とセシリアが一夏と組もうとする。
「一夏、アタシと組みなさいよ、幼なじみでしょうが!」
「一夏さん、クラスメイトとして、ここはわたくしと━━」
「駄目ですよ」
それを、いつの間にか医務室に入ってきていた山田先生に遮られた。
「お二人のIS、ダメージレベルがCを超えています。トーナメント参加は許可出来ません」
真剣な眼差しで、そう言ってくる。
「そんな!?アタシ十分に戦えます!」
「わたくしも納得出来ませんわ!」
「ダメと言ったら、ダメです!当分は修復に専念しないと、後で重大な欠陥が生じますよ?」
山田先生の駄目だしを受け、黙る二人。
そして、お互いに目配せして、頷く。
「良い?アンタ達!絶対優勝するのよ!」
「わたくし達の分まで頑張って下さいな!心から応援致しますわ!」
「お、おう、任せとけ」
「あ、あぁ、分かった」
二人の気迫に圧されながら返事をする。
「ふふっ。美しい友情ですね」
山田先生が微笑みながらそう締め括る。
俺にはどこか、謀略が混じってる様に思うんだが・・・。
学生寮 自室
ふぅ、今日も色々遭ったなぁ・・・。
とにかく、一夏と組んだなら、なんとしてもボーデヴィッヒに勝たなくちゃな・・・。
「とにかく、今日はもう寝よう。色々遭って疲れた・・・」
そう言いながら、ベッドに寝転ぶ。
・・・まぁた一夏の部屋が騒がしいな・・・。今度は一体何だ?