「結局、トーナメントは中止だって。ただ、個人データは録りたいから一回戦は全部やるそうだよ?」
「ふーん」
「そうか、先生達も大変だなぁ」
食事を口に運びながら、返事を返す。
「ん?」
「うん?」
「どうした?」
一夏が何かに気づいてそちらを見る。
そこには、絶望に染まった顔の女子達が立っていた。
「優勝、チャンス、消えた・・・」
「交際、無効・・・」
「うわぁぁん!」
「「「うわぁぁん!」」」
盛大に泣き声を上げながら、走り去ってしまった。
・・・何なんだ?いったい。交際?
「あ」
今度は何だ?
と思いながら、そちらを見る。
一夏の視線の先には箒が立っていた。
「あ、そうだ」
彼は何かを思い出したように立ち上がり、箒の元に歩み寄る。
「そう言えば箒、先月の約束な・・・」
「えっ?」
「付き合っても良いぞ?」
・・・何か約束事か?
「何!?」
「だから、付き合っても良いって━━」
「本当か!?本当に本当なのだな!?」
箒に胸ぐらを掴まれ揺さぶられている一夏。
「お、おう」
「何故だ?コホン、理由を聞こうではないか?」
「幼なじみの頼みだからな。付き合うさ」
「そうか!」
「買い物くらい━━グハァ!?」
箒の渾身のパンチが一夏の頬に直撃した。
しかしそれだけでは終わらない。
「そんな事だろうと・・・思ったわっ!!」
そのまま、一夏の腹を右足で蹴り上げた。
「ぐえぇ!?」
放たれたそれは、彼の腹にクリーンヒット。
・・・うわぁ、痛そうなんてレベルじゃねぇぞ、アレ。
思わず自分の腹をさする。
「ふんっ!」
そう言って箒はズカズカと、不機嫌極まり無いというような表情で去っていった。
「ぐ、ぐ、ぐ・・・な、何で・・・?」
「一夏って、態とやってるんじゃないか?って思うときがあるんだよね・・・」
「え?買い物の他に何か意味有るのか?日本のあの独特の言い回しは難しいな・・・」
「えぇ・・・」
そんな話をしていると、山田先生が入って来た。
「織斑君、ホーキンス君、デュノア君、朗報ですよ!」
「朗報?」
「今日は大変でしたね。でも、三人の労を労う素晴らしい場所が、今日から解禁になったのです!」
「え?」
「場所?」
「?」
「男子の、大浴場なんです!!」
▽
「こ、これが・・・!」
「あぁ、結構でかいな」
俺は初めて見る大浴場に興奮する。
因みに、話し合いでシャルルは俺達の後に入ることになった。
まずは、体と頭を念入りに洗い、そして浴槽に入る。
「「はぁ~~~」」
「生き返る~」
「これは・・・なかなか良いな~。これがジャパニーズ風呂か・・・」
二人してフニャァっとした顔をしながら風呂を堪能する。
その時
「お、お邪魔します・・・」
「「へ?」」
なんとシャルルが浴場に入ってきたのだ。
「な、なぁ・・・!」
「煩悩退散、煩悩退散・・・!心頭滅却すれば火もまた涼し・・・」ブツブツ
あれ?、火は関係無いか?
「あ、あんまり見ないで・・・。二人のエッチ・・・」
「す、すまん!」
「い、一夏!俺は逆上せたみたいだから、先に上がるぞ!じゃあな!」
「ちょっ!ウィル!?」
・・・済まない一夏、俺は限界だ・・・。
この後、俺が冷たい飲み物で頭をクールダウンしていると、少し顔の赤い一夏とどこか嬉しそうなシャルルが出て来た。
何が遭ったかを聞くのは野暮ってものだろう。