翌日
「おい一夏、シャルルはどうした?」
いつも彼といるはずのシャルルが居ない。
「さぁ?何か朝起きたらそのままどこかに行っちまったんだよ」
「どこかって・・・」
一体何が遭ったのか。
「席に着け。HRを始める」
織斑先生が号令を出し、俺達は各々の席へ着席する。
「山田先生」
「はい・・・」
どうしたんだ?先生が何時もより元気無いぞ?
「・・・今日は皆さんに転校生を紹介します」
Oh・・・またかよ、どんだけ転校生来るんだよ。
そんな事を考えていると、転校生が教卓に向かう。
ん?あの顔どこがで・・・って!
「“シャルロット・デュノア”です。皆さん、改めてよろしくお願いします!」
なんと、女子の制服に着替えたシャルルだった。
「えぇ~と、デュノア“君”はデュノア“さん”と言う事でした。はぁ、また部屋割りの組み直しです・・・」
疲れた様にそう説明する山田先生。
そうか!一夏や俺、シャルルが考えた、彼女が安全に学園生活を送れる方法。
それは、
つまり、シャルロットが彼女の本名か。
「・・・は?」
箒の声を皮切りに教室がざわめく。
「デュノア君って女?」
「おかしいと思った。美少年じゃなくて、美少女って訳だったのね!」
「って織斑君!同室だから知らないってことは・・・ホーキンス君もよく一緒に居たのに気付かなかったの?」
段々と雲行きが怪しくなって来たぞ?
そこへ、とうとう
「待って!そう言えば、昨日って男子が大浴場使ったわよね?」
バキィッ!
何者かが教室の壁を粉砕して侵入して来た。
「いぃちかぁぁああ!!」
ISを展開した鈴だ。
彼女は髪を逆立てながら、衝撃砲の発射態勢をとる。
「死ねぇぇええ!!」
「ちょっ!?待て待て!ウィル、た、助けてくれ!!」
俺の後ろに隠れる一夏。
「待て!何で俺の所に来るんだよ!?って違う!鈴、落ち着け!クールになろうぜ?な?そんなもんぶっ放したら他の奴らにも被害が・・・っていねぇ!?」
既に退避済みの様だ。
「アンタも同罪よ!」
「理不尽!?待て。いや、待って下さい!
爆発音が聞こえる。
あぁ、俺死んだのか?一度体験はしているが、案外痛くないものだなぁ・・・。
そう呑気に思いながら自身の身体をペタペタと触って、ゆっくりと瞼を上げる。
ん?感覚がある?俺、死んでないのか?
生きてる?・・・俺生きてる!!
視線の先にはISを展開したラウラが立っていた。
よく見ると、右肩のレールカノンが無い。
まぁ、壊したのは俺なんだが・・・。
「ら、ラウラか?お前そのIS・・・と言うより、身体はもう大丈夫なのか?」
「ああ、コアは辛うじて無事だったからな、予備パーツで組み直した。身体の方は問題無い」
こちらを振り向いてそう告げる。
「そうか、それはよかった。スマンな、助かっ━━━んむぅ!?」
言葉は最後まで言えなかった。
なんと、彼女が俺の胸ぐらを掴んでキスをして来たのだ。
頬にじゃねぇぞ、唇にだ。しかもたっぷり5秒。
「!?!?!?」
しばらくしてから解放される。
「ら、ラウラ?何を・・・?」
ダメだ、混乱して言葉を上手く発っする事が出来ない。
そして彼女は顔をうっすらと赤く染めながら、高らかに宣言して来た。
「お、お前は私の嫁にする。決定事項だ、異論は認めん!」
「」
「「「「ええええええ!?」」」」
生徒達が驚愕の声をあげる。
「うぃ、ウィル?大丈夫か?」
さっきから黙っているウィリアムを見て、一夏が心配そうに呼び掛けた。
だが、彼は━━
「・・・
バタッ
とうとう脳の思考回路がショートして、その場に倒れてしまった。
少ししてから、彼は目を覚ました。
「ウィル、大丈夫か!?」
「ん?ああ、一夏か。何か妙な夢を見た気がするんだが・・・。と言うより、何で後頭部が痛いんだ?」
「それは・・・」
「起きたか?我が嫁よ」
「・・・・・・ソーリー、一夏。どうやらまだ夢の中の様だ」
「いや、これは夢じゃなくてだな・・・」
「ハハッ、面白いジョークを言うな、お前は」
「・・・織斑先生・・・ウィルがおかしくなりました」
「分かっている。どうしたものか・・・」
織斑先生が眉間に手を宛て、かぶりを振る。
「織斑先生?あの歩く暴力装置の?」
「あ゛?」
「ちょっ、ウィル!なんて事を・・・!」
「・・・織斑、そこを退いていろ・・・」
「え?で、でも・・・」
「退・い・て・い・ろ」
「は、はいぃ~~」
一夏を含めた生徒達が半泣きの顔をする。
無理も無いだろう。今、彼女の後ろには修羅が立っている様に見えたのだから。
「さて、ホーキンス、最後に言い残す言葉はあるか?」
相変わらず怖い人だなぁ。だが!夢の中なら俺は無敵だ!
一度言ってみたかったセリフがある。
「・・・怖いか、クソッタレ。当然だぜ。
現
ピキッ
「ほう、なら試して見るか?こっちは元ブリュンヒルデだ」
彼は何も知らずに死刑執行書にサインをしてしまったようだ。
「いい加減!」
ドカッ!
「痛っ!え!?」
「正気に!」
バキッ!
「フゲッ!?ちょ、まさか・・・!?」
「戻らんか!この馬鹿者ぉ!」
ゴスッ!
「ギャアァァァ!!」
執行完了。
「以後、教師に対する態度を改めるように。良いな?」
織斑先生の目がギラリと光る。
「
「よし、なら今日のところは不問とする。一時限目の用意をしろ」
生徒達は半泣きでコクコクと頷く中、俺はのそり。と、立ち上がる。
「・・・鈴、一夏ぁ。てめぇら後でグラウンドに集合しろぉぉ・・・」
「え?」
「で、でも━━」
「良・い・な・?」
「「・・・はい」」
お前らのせいで俺はこんな目に・・・。
ゆ゛る゛さ゛ん゛!
▽
放課後 グラウンド
グラウンドには一夏と鈴、そしてISを展開した俺が立っている。
「さて、諸君。なぜ君達がここに呼ばれたかは・・・分かるよな?」
少しドスの効いた声で質問する。
「さ、さぁ?分からないなぁ?」
「い、いやぁ、何でかしらぁ・・・?」
蒼い顔をして惚ける二人。
「・・・・・」
俺は無言で右手の機銃を左手にペチペチと打ち付ける。
「そうか。分からないかぁ~。ハッハッハッ」
「「ア、アハハハハ・・・」」
俺の笑いにつられて二人も引きつった顔で笑う。
だが、聞いた事は無いか?笑顔とは、本来威嚇や攻撃。もしくは服従の意思であったと言う事を。
この場合は━━
「・・・なら、鮮明に思い出させてやろう」
━━恐らく前者であろう。
「「イヤアァァァァァ!!」」
夕日に染まるグラウンドに、機銃の音と二人の絶叫が轟いた。