食後
「おい一夏、そう言えばお前の部屋ってどこなんだ?」
「え?あぁ、千冬姉と同室だよ。そう言うお前はどこなんだ?」
「端の方の部屋、一人だ」
「そうか、なら後で俺の部屋に遊びに来ないか?」
「そりゃ良い、後で訪ねるよ」
そう言って、一度俺達は別れた。
部屋に戻ると、何故かラウラが寛いでいた。
「おいおいラウラ、お前いつの間に入ったんだ?」
「ドイツ軍の特殊部隊に掛かればこの程度、造作もない」
ドヤ顔でそう答えてくる。
「ハァ、まぁ良い、後で一夏の部屋に行くんだが、お前も来るか?」
「そうだな、私も行こう」
時間までしばらくあるので、二人で談笑したり、トランプをしたりして、時間を潰した。
「よし、そろそろかな、行こうか?」
「分かった」
そう言って部屋を後にする。
道中、ラウラが急に腕を組んだりして来て、心臓がヤバかったのは、また別の話だ。
一夏の部屋に着くと、箒、シャルロット、鈴が障子に耳を付けていた。
そこへ、セシリアもやって来る。
「どうなさいましたの?」
「何だ?揃って障子に耳なんか当てて。盗み聞きか?」
「シー」
鈴が人差し指を口に当てて制止し、障子に張られた張り紙を指差す。
「あぁ、織斑先生と同室の事なら俺は知ってるぞ?」
「良いから、アンタも聞いてみなさいよ」
「「「?」」」
俺とラウラ、セシリアは分からないまま障子に耳を当てる。
『千冬姉、久しぶりだから緊張してる?』
『そんな訳あるか、馬鹿。あ、ん、少しは加減しろ』
『はいはい、じゃあここは?』
『なっ!ん、そこは・・・!』
『直ぐに良くなるって。だいぶ溜まってたみたいだしね?』
「こ、こここ、これは一体何ですの?」
セシリアが顔を真っ赤にする。
『そこは駄目だっ・・・ん』
『ごめんごめん』
かなり扇情的な声が聞こえてくる。
その時、とうとう重みに耐えきれなくなった障子が倒れてしまった。
「「「「キャー!」」」」
俺はとっさに壁に隠れる。
危ねぇ・・・。
盗み聞きがばれた五人の少女は正座をさせられ、織斑先生によるお叱りを受ける。
「まったく、お前達は何をしているか、馬鹿者が」
「マッサージだったんですか・・・」
「しかし良かった、てっきり・・・」
「ん?何が良かったんだよ」
「それは勿論、教官が━━」
言ってはいけない言葉をラウラが言う前に他の女子達に口を塞がれる。
「べ、別に・・・」
「特にナニと言うわけでは・・・」
「オ、オホホホホホホ・・・」
ふぅ、良かった今の所ばれてないな。
「あぁ、それとお前も出てこい、ホーキンス」
はい、ばれました。
このまま、居ない振りをして離脱を・・・。
「出て来ないなら、もう一度あの時の恐怖を味わわせるぞ?」
「っ!?イ、イエス・ミス!直ぐに出ます!!申し訳ありませんでしたぁ!!」
無意識に敬礼をしながら、慌てて壁の裏から出る。
アレは、アレだけは二度とごめんだ!
「ウィル!?お前、そんなとこで何してたんだ?」
「まったく、馬鹿者め」
「す、すいませんでした。だから、あ、アレだけは・・・」
「「「あぁ・・・」」」
ガタガタと震える俺を見て、一夏達が同情の眼差しを向けてくる。
「ハァ、もう良い。それよりこいつはマッサージが上手い。順番にお前達もやってもらえ」
「「「え?」」」
「よし、じゃあさっそく、セシリアからだ」
「わ、わたくしから?」
「そのつもりで呼んだんだ。ここに寝てくれ」
あぁ、そう言えば二人で何か話してたな。
セシリア、滅茶苦茶嬉しそうだな・・・。
「い、痛たた」
「あぁ、すまん優しくする」
「・・・どうだ?これ位なら痛くないだろ?」
「ハァ、気持ち良いですわ~、気持ち良くて何だか眠くなってきましたわ・・・わたくし━━━」
その時、織斑先生がセシリアの臀部を触り、そのまま彼女の浴衣を捲り上げた。
「「っ!?」」
慌てて、目を反らす一夏と俺。
「ほぅ、ませガキめ」
「キ、キャー!?」
「歳不相応の下着だな。ふむ、黒か・・・」
織斑先生、なんて事を・・・。
「せ、先生、離してください!」
「やれやれ、教師の前で淫行を期待するなよ?15歳」
「い、いいい・・・」
もう一度言おう。織斑先生、なんて事を・・・。
「冗談だ。一夏、ホーキンス、ちょっと飲み物を買って来てくれ」
「え?あ、あぁ」
「?分かりました」
俺達は部屋を後にした。
▽
二人が去った後
千冬は缶ビールを片手に胡座をかいた。
「おい、何時もの馬鹿騒ぎはどうした?」
「え、いえ、その・・・」
「織斑先生とこうして話すのは初めてですし・・・」
カシュッ!と小気味良い音を出して、ビール缶が開く。
「プハァ!・・・まぁ良い、そろそろ肝心な話をするか」
ビールを呷りながらそう言う。
「で、お前らアイツのどこが良いんだ?あぁ、ボーデヴィッヒは答えなくて良い。お前はホーキンスにお熱みたいだしな」
赤面して俯くラウラ。
「まぁ、お前の事は後で聞くとしよう」
どうやら逃がす気は無いようだ。
「まぁ、確かにアイツは役に立つ、家事も料理もなかなかだし、マッサージも上手い。付き合える女は特だな。どうだ?欲しいか?」
「「「くれるんですか!?」」」
「やるか馬鹿」
「「「えぇぇぇ・・・」」」
「女ならな、奪う気持ちで行かなくてどうする?自分を磨けよ?ガキ共」
そう締め括る。
「さて、次はボーデヴィッヒの話を聞かせてもらおうか?」
千冬はニヤリと笑いながら、ラウラに向き直り、箒、セシリア、鈴、シャルロットが目を輝かせながらラウラを見ていた。
「わ、私は・・・」
「お前は、アイツのどこが良かったんだ?」
ニヤニヤとしながら聞いてくる。
「確かに、アイツは成績もそれなり、運動神経も良いし、見た目も女受けする方だろうが、それだけでは無いだろう?」
「・・・はい、あれは私が暴走した日。彼は危険を冒してまで助けに来てくれました。あれだけの事をしたのにも関わらず、ウィルは諦めていた私に優しく手を差し伸べてくれました。私は彼に救われたんです。その時に、その・・・上手く言えませんが・・・」
赤面してモジモジとしだすラウラ。
そんな光景を微笑ましそうに眺める千冬であった。