翌日
「ふぁぁああ。おはよう、一夏」
「あぁウィルか、おはよう」
二人で廊下を歩いていると箒が居た。
彼女はしゃがんで地面を見つめている。
「箒?」
「ん?箒か、どうしたんだ?」
俺達は箒が見つめているものを確認する。
そこには看板が立てられており、『ひっぱってください』と書いてあった。
「何だこれ?」
手前には何やら珍妙な物体が顔を覗かせていた。
「なぁ、これってもしかして・・・」
「ん?二人はこれが何かを知ってるのか?」
「知らん、私に聞くな」
そのまま箒は去ってしまった。
「おい、放って置いて良いのか?」
一夏が聞いても知らんぷり。
まるでその物体に関わりたくない様だ。
すると今度はセシリアがやって来る。
「何していらっしゃいますの?」
「いやぁ、ちょっとなぁ・・・」
「俺も何が何だか・・・」
そして遂に一夏が意を決して、ソレを引っ張った。
「えい!おわっ!?」
しかし、引っ張ってもソレが抜けただけで何も起きない。
「?何だったんだ?」
その時、上空から何かの落下音が聞こえた。
三人で空を見上げると、キランと一瞬光った後、とてつもないスピードで何かが降ってきた。
それはとてつもない風圧と共に地面に刺さる。
土煙が晴れるとそこには巨大なニンジンが刺さっていた。
ニンジンから笑い声が聞こえる。
「な、何なんだ・・・?」
するとニンジンが縦に割れて、中からウサギ耳を着けたこれまた珍妙な格好をした女性が現れた。
「引っ掛かったね、いっくん!ブイブイ!」
「お、お久し振りです束さん・・・」
「うん、うん、おひさだね~。本っ当に久しいね!ところでいっくん、箒ちゃんは何処かな?」
「え、えっとぉ」
「まぁ、私が開発したこの箒ちゃん探知機があれば直ぐ見つかるよ。じゃあね、いっくん!また後でね~!」
そう言いながら走り去って行く、スーパーハイテンションウサギ。
まさに嵐の様だ。
「い、一夏さん、今の方は一体・・・」
「あの人はお前の知り合いか?」
「“篠ノ乃束”さん、箒の姉さんだ」
「「え!?」」
マジで?あの人が箒の姉?性格真反対だな。
▽
「よし、専用機持ちは全員揃ったな?」
織斑先生が確認する。
「ちょっと待って下さい、箒は専用機を持って無いでしょう?」
鈴が先生に質問する。
「そ、それは・・・」
「私から説明しよう。実はだな━━「ちーちゃーん!!」ハァ・・・」
「「「?」」」
全員が声のする方を見る。
その視線の先には・・・。
「ちーちゃーん!!」
さっきのスーパーハイテンションウサギこと篠ノ之博士が崖を滑り降りていた。
そのまま、常人では有り得ない跳躍をして、織斑先生に飛び込もうとする。
しかし、織斑先生は右手で束の顔面を掴んでそれを防いだ。
「やぁ、やぁ、会いたかったよ、ちーちゃん!さぁ、ハグハグしよう?愛を確かめ「うるさいぞ?束。」相変わらず、容赦の無いアイアンクローだね」
そのまま目にも止まらぬ早さですり抜け、今度は頭を抱えている箒の元へ向かう。
「じゃじゃーん!やぁ!」
「ど、どうも・・・」
どこか他人行儀だ。
「えっへへ~、こうして会うのは何年振りかな?大きくなったね箒ちゃん!特におっp」
ドゴッ!
箒の渾身の一撃がヒットした。
「殴りますよ?」
「殴ってから言った。箒ちゃんひっどーい!ねぇ、いっくん、酷いよねぇ?」
「は、はぁ・・・」
「ん?君がもう一人の男性操縦者だね?私はあの有名な天才束さんだよ!よろしくね、ウィッ君!」
「よ、よろしくお願いします・・・」
束がとてつもないスピードで近づいて来た。
駄目だ彼女のテンションについて行けない・・・ん?ウィッ君?
「おい束、自己紹介くらいしろ」
「えぇ、面倒臭いなぁ・・・。私が天才の束さんだよ?ハロー!終わり!」
えぇ・・・。
「束って」
「ISの開発者にして、天才科学者の!」
「篠ノ乃束・・・!」
「フッフ~ン、大空をご覧あれ!」
一同が空を見上げる。
また何か降って来た・・・。
「じゃじゃーん!これが箒ちゃん専用機こと、『紅椿』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製だよ~!」
そこには深紅のISが佇んでいた。
「何たって紅椿は天才束さんが造った、第四世代型ISなんだよ~?」
「第四世代!?」
「やっと第三世代の試験機が出来た段階ですわよ?」
「なのにもう・・・」
流石、天才を謳うだけのことはあるが、もはや次元が違うな。
「そこはほら、天才の束さんだから。さぁ箒ちゃん、フィッティングとパーソナライズから始めようか」
「さ、篠ノ乃」
織斑先生が箒を促す。
「箒ちゃんのデータはある程度先行して入れてあるから、後は最新データに更新するだけだね!」
そう言いながら、データの入力をトントン拍子に済ませて行く。
「すごい、信じられないスピードだわ・・・」
鈴が感嘆の声を上げる。
「はい、フィッティング終了~。超早いね流石私~。さぁ、試運転も兼ねて、飛んでみてよ。箒ちゃんのイメージ通りに動く筈だよ?」
「・・・それでは試して見ます」
とんでも無い早さで上昇して行く。
「凄い加速力だ!俺のバスター・イーグルよりも速い・・・!」
「これが、第四世代の加速と言うこと?」
一同が驚愕するなか、兵装の試験に移る。
箒が刀を振ると、ビームの様なものが出て飛んで行き、雲を吹き飛ばした。
「なんて威力だ・・・」
「じゃあ、次はこれを墜してみてね?」
そう言うと、束の横に多連装ロケットが現れて、弾頭を一斉発射した。
しかし、それも難なく撃墜。
「やるな・・・」
「すげぇ・・・」
ラウラと一夏が呟く。
「うんうん、良いね良いねぇ!」
「やれる、この紅椿なら・・・!」
箒が自信満々にそう一人呟く。
その時
「た、大変です!織斑先生~!!」
山田先生が顔を蒼くして走ってきた。