空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第36話

山田先生が肩で息をしながら、織斑先生に端末を渡す。

 

「こ、これを!」

 

渡された端末を開いて確認すると、顔を険しくした。

 

「特命任務レベルA、現時刻より対策を始められたし・・・テスト稼働は中止だ!お前達にやってもらいたい事がある」

 

息を落ち着かせた山田先生が束の存在に気付く。

 

「あれ?こちらの方は?」

 

「篠ノ乃束だ」

 

「え?・・・ええええ!?」

 

驚くのも無理は無いだろう。

とにかく今は任務だ。

 

 

対策本部

 

 

「二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあった、アメリカ、イスラエル共同開発の第三世代のIS、“シルバリオ・ゴスペル”通称『福音』と二機の無人戦闘機が制御下を離れて暴走、監視空域を離脱したとの連絡があった」

 

アメリカ・・・そんな物も試作してたのか・・・。

 

「情報によれば、無人のISと言う事だ」

 

「無人・・・」

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音達はここから2Km先の空域を通過することが分かった。時間にして50分後、学園上層部からの通達により、我々がこの事態を対処する事になった。教員は学園の訓練機を使用して、空域及び海域の封鎖を行う。よって本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

 

「はい!?」

 

一夏が声を裏返して、聞き返す。

 

「つまり、暴走したISを俺達が止める。と言う事だ」

 

「マジで!?」

 

「一々驚かないの」

 

いや、それは無理が有るだろう、そもそも専用機持ちと言っても中身はまだ15歳の少年少女だ。

 

「無人戦闘機も居るのか、にしてもこの雰囲気、何だか昔を思い出すな・・・」

 

ボソリと一人呟く。

 

「?ウィル、何が昔を思い出すんだ?」

 

っ!?声に出てたか!

 

「い、いや、何でも無い」

 

「?そうか・・・」

 

「それでは作戦会議を始める。意見が有る者は挙手するように」

 

「はい、目標ISと無人戦闘機の詳細なスペックデータを要求します」

 

俺は真っ先にデータを要求した。

 

「うむ、だが決して口外はするな。情報が漏れれば、諸君等には査問委員会による裁判と最低でも二年の監視が付けられる」

 

「了解です」

 

目の前に、スペックデータが出てくる。

 

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型・・・わたくしのISと同じ、オールレンジ攻撃が行える様ですわね」

 

セシリアがそう呟く。

 

「それだけじゃない、UAVの方にも、ミサイル、バルカン、そして搭乗員を無視した過激な機動ができるようだ・・・厄介だな・・・」

 

「攻撃と機動に特化した機体にその取り巻き・・・厄介ね」

 

「この特殊武装が曲者って感じがするね・・・連続しての防御は難しい気がするよ」

 

「このデータでは格闘性能が未知数・・・偵察は行えないのですか?」

 

ラウラが発案する。

 

「それは無理だな、この機体は現在も超音速飛行を続けている。アプローチは一回が限界だ」

 

「一回切りのチャンス・・・と言うことは一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしか無いですね」

 

皆の視線が一夏に向く。

 

「え?俺!?」

 

「アンタの零落白夜で落とすのよ」

 

「安心しろ一夏、うるさいUAVはなんとかしてやる」

 

「それしか、ありませんわね・・・ただ問題は・・・」

 

「どうやって一夏をそこまで送るか、エネルギーは全部攻撃に使わないと難しいから・・・移動をどうするか」

 

「目標に追い付ける速度が出せるISでなければいけないな・・・超高感度ハイパーセンサーも必要だろう」

 

「それなら、俺のバスター・イーグルなら可能だ。超音速巡航が可能だし、要撃任務の為に強力なセンサーとレーダーを━━━」

 

「ま、待てよ俺が行くのか?」

 

「「「当然!」」」

 

「マジかよ・・・」

 

「織斑、これは訓練ではない、実戦だ。もし覚悟が無いなら無理強いはしない」

 

言い方はアレだが、彼女なりの心配なのだろう。

 

「・・・やります。俺が、やって見せます!」

 

「一夏、よく言った!」

 

「よし、それでは、ホーキンスが織斑を━━━」

 

「待った待った!その作戦は待ったなんだよ~!」

 

束が天井から出てきた。

 

「とうっ!」

 

そのまま軽やかに着地し織斑先生の元に向かう。

 

「ちーちゃん、ちーちゃん、もっと凄い作戦が私の頭の中にナウプリンティング~」

 

「ハァ、出て行け」

 

「聞いて聞いて、ここは断然紅椿の出番なんだよ!」

 

「・・・何?」

 

 

箒がISを展開する。

 

「それじゃあ箒ちゃん、展開装甲オープン♪」

 

すると、紅椿の装甲が開く。

何か、カッコ良いな。まぁ、相棒には及ばないがな!

 

「展開装甲は~、第四世代型ISの装備で~、一言で言っちゃうと~、紅椿は雪片弐型が進化したものなんだよね~!」

 

「え?」

 

一夏が驚く。

 

「なんと、全身のアーマーを展開装甲にしちゃいました!ブイブイ!」

 

誰も反応が返せない。

今は箒のISの性能に驚くので精一杯だ。

 

「それにしてもあれだね~、海で暴走って言うと十年前の“白騎士事件”を思い出すね?」

 

「白騎士事件か・・・」

 

一夏が呟く。

 

十年前、束がISを発表して一ヶ月、各国のミサイル、2341発が一斉にハッキングされて日本に発射された。

世界が混乱する中、白銀のISを纏った女性が現れて、

それら全てを撃墜、日没後と共に姿を消した。

 

これが後に白騎士事件と言われる事件だ。

 

「うふふ、白騎士って誰だったんだろうね~?ちーちゃーん」

 

「知らん」

 

「うん、私の予想ではバスト88センt」

 

織斑先生が束の頭を叩いた。

うわぁ、痛そう・・・。

それでも懲りずに彼女にへばり付く束。

 

「で?束、紅椿の調整にはどれ位時間が掛かる?」

 

「織斑先生」

 

「何だ?」

 

「わたくしとブルー・ティアーズなら、必ず成功してみせますわ!高機動パッケージ、“ストライク・ガンナー”が送られて来ています」

 

「そのパッケージは量子変換してあるのか?」

 

「え?それは、まだですが・・・」

 

「因みに紅椿の調整は七分あれば余裕だね~!」

 

「よし、本作戦は織斑、篠ノ乃、両名による追跡、及び撃墜を目標とする!ホーキンス、UAVの相手はお前がしろ。作戦開始は30分後。直ちに準備に掛かれ!」

 

一夏が硬い顔をしている。

 

「一夏、緊張は適度には大切だが、しすぎるのは毒だぞ?大丈夫だ、俺達なら勝てる」

 

一夏の肩を叩きながらリラックスさせる。

 

「ウィル・・・」

 

「奴らを倒すのは俺達だ」

 

「おう!」

 

さて、一丁やるか!

 

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