空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第40話

ウィリアムとの交信後。

突然、海が膨れ上がり巨大な水柱が起った。

その中で淡く光る球状の中にいるのは・・・

 

「福音!?」

 

「まずい!セカンドシフトだ!」

 

ラウラが叫ぶと同時に、福音の肩から光の羽が出現し、一同は驚愕する。

事態は最悪の方へ進み始めた。

 

 

「力を欲しますか?」

 

何者かが一夏に向けて再度問い、彼は無言で頷く。

 

「何の為に?」

 

「あー、そうだな・・・。友達を・・・いや、仲間を守る為かな・・・」

 

「仲間を?」

 

「ああ。何て言うか、世の中って結構色々と戦わないといけないだろ?」

 

無言で次を促して来る。

 

「道理の無い暴力って結構多いぜ?そう言うのから、出来るだけ仲間を助けたいと思う。この世界で一緒に戦う仲間の為に」

 

「そう・・・」

 

また景色が変わり、目の前に先程の女の子が現れる。

 

「だったら、行かなきゃね?」

 

「え?」

 

「ほら。ね?」

 

そう言いながら、彼の手を取ってくる。

 

「・・・ああ!」

 

 

福音の頭上に巨大なエネルギーの光球が作られ、それが箒に直撃する。

 

「ぐああっ!?」

 

墜落する箒。

 

「箒さん!?」

 

箒に呼び掛けるのも束の間、福音が今度はセシリアに狙いを定めて攻撃を開始。回避も虚しく、一瞬でセシリアも捕まり撃墜された。

 

「クソッ、遅かったか!やっとブラボーを撃墜したと思ったら、今度はこれかよ!」

 

ようやくUAVとの戦闘を終えたウィリアムは箒達の異変に気付き急行。

しかし、事態は既に最悪の状況だった。

 

 

会いたい。一夏に、会いたい・・・。会いたい、会いたい。一夏・・・。

 

『箒』

 

真っ暗だった視界に光が射す。

 

「う・・・ん・・・一夏?」

 

ぼやけていた視界が鮮明になる。

 

「あぁ、待たせたな」

 

「っ!?一夏、体は大丈夫か!?傷は!?」

 

「大丈夫だ、戦える。みんなには止められたけどな」

 

笑いながらそう答える。

 

「~~~!良かっ━━良かった・・・。本当に・・・!」

 

一夏の無事を確認したら、自然と涙が溢れてきた。

 

「何だよ、泣いてるのか?」

 

「な、泣いてなんかいない!」

 

一夏に心配そうな表情で顔を覗き込まれた箒は恥ずかしさから、思わず照れ隠しで強がってしまう。

 

「?あ、そうだ。箒、これを」

 

怪訝そうな顔をしていた一夏だが、何かを思い出したように綺麗な柄をしたリボンを取り出し、箒に差し出した。

 

「・・・え?」

 

「いつもの髪型の方が似合ってるぞ?それと、誕生日おめでとう」

 

笑顔で自分の誕生日を祝ってくれた。

箒は差し出されたリボンを丁寧に受けとる。

 

「今日は7月7日だろ?」

 

自分の誕生日を覚えてくれていた事に嬉しさが込み上げる。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

そう言うと、一夏は飛び去って行った。

 

 

「一夏!?無事だったのか!」

 

俺は一夏がこの場所にいることに心底驚いた。

 

「ああ、おかげ様でな!それより、今度こそあれを倒すぞ!」

 

「了解だ!片付けよう!」

 

言うが早いか、一夏と福音が上空で激しくぶつかり合う。

うん?一夏のISの形状が少し変わっている・・・?

 

「雪羅、シールドモードに切り替える!」

 

そう言うと、一夏が正面にバリアを展開して福音の攻撃を防いだ。

 

「あれは、零落白夜のシールド━━くっ!?」

 

なるほど、白式の新たなモードって訳か。と思いながら弾幕を掻い潜っていると、今度は戦線に復帰し、福音に攻撃を仕掛けようとしていた箒に攻撃が向けられた。

 

「箒!」

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「私は大丈夫だ、構わず攻撃を!」

 

空かさず反撃に入ると、福音は弾幕を張るのを止め、また回避行動に入る。

 

「スマン、回復に手間取った」

 

「さぁ、反撃のお時間ですわよ?」

 

先ほど福音の攻撃を諸に浴びたラウラとセシリアはなんとか立て直せたのか、復帰する。

 

「良かった。無事だったか・・・」

 

両者共に外傷は見られず、俺は安堵の息を吐いた。

 

「ラウラ、セシリア!」

 

一夏が、パァっと表情を明るくしながら、二人の名を呼ぶ。

 

「一夏、ウィル、さっさと片付けちゃおうよ」

 

「エネルギーは十分、僕達の心配は要らないよ」

 

今度は、鈴とシャルロットがこちらに向かって浮上してきた。彼女達にも外傷は見当たらない。まさに、ISの装甲とバリア様様だ。

 

「鈴、シャルも!」

 

「全員無事みたいだな。本当に良かった・・・」

 

「よし!行くぞみんな!」

 

一夏の声で全員上昇し、逃げる福音を追って行った。

 

「うおぉぉおお!!」

 

福音に突撃する一夏。しかし、相も変わらず福音の凄まじい弾幕に阻まれ、みるみるシールドエネルギーが減って行く。

 

「一夏、交代だ!俺がアイツを大人しくさせる!お前は最後にとどめを!」

 

そう言いながら一夏と交代した俺は機銃を発砲して肉薄する。

 

「弾幕が濃いな・・・、これじゃあミサイルのロックオンが難しいぞ」

 

「それなら私に任せろ!」

 

速度を活かして回避を続けながら、何か良い案が無いかを模索していると、箒のISの子機が福音を攻撃し、それを空かさずシャルロットがマシンガンで福音を狙い撃ちして大きな隙を作ってくれた。

よし、動きが鈍くなった・・・!!

 

「ナイス!助かった!」

 

そう言いながら、俺も残り少ないミサイルを発射。見事福音に直撃した。

ミサイルの再装填をしていると、その隙を埋めるように一夏が箒と共にタッグを組んで福音と激しくぶつかり合うのが見えた。

俺もヒットアンドアウェイや空戦機動を繰り返し、少しずつではあるが、福音の耐久力を削り続ける。

しかし、多数対1でもなかなか隙を見せない。流石は無人機と言ったところだろうか。

 

「ラウラ、援護射撃を頼む!」

 

「任せろ!」

 

俺の要請にラウラが反応して福音に砲撃を実施する。

敵はラウラの砲撃を鬱陶しく思ったのか、彼女に攻撃を開始するが、それをセシリアと鈴が妨害する。

 

「すばしっこい・・・!ならこれでどうだ!Fox1!」

 

俺は、一度福音との距離を置いてから、最後のミサイル。セミアクティブホーミング式空対空ミサイル(SAAM)を呼び出して発射した。

バイザー内のサークルの中に動き回る福音を捉え続ける。

・・・命中。

SAAMは高威力・高誘導だが、自機のレーダーによる誘導に頼る為、近距離の混戦した場所で当てるのが難しい。だがこれだけ離れて、尚且つ仲間からの援護があれば簡単に命中させられる。

見ると敵はもうボロボロだった。しかし、そんな事など気にも留めずに攻撃を続行する福音。

これだけやられても恐怖を感じず向かってくる姿は、まさに無人機だからこそだ。

 

「一夏、急いで!もう、あまり持たないよ!」

 

シャルロットが福音のビーム砲撃から鈴を庇いながら、一夏に向けてそう叫ぶ。

 

「今度は逃がさねぇぇええ!」

 

猛スピードで肉薄した一夏は福音の頭を掴み、そのまま近くの浜に叩き付けた。

 

「うおぉぉおお!!」

 

バキッ!

 

頭部を粉砕された福音の腕の力が弱まって行く。

━━が、福音は最後の置き土産だと言わんばかりに、強力なビームを発射した。その射線の先には━━

 

「ラウラぁ!」

 

ビームが誰に向かって放たれたのかを察知したシャルロットが叫ぶ。

 

「っ!?」

 

しかし、ラウラの反応が数秒遅れた。

まずい、あれではAICも間に合わない!!

その時、ウィリアムの体は思考よりも先に動いていた。

彼はラウラの前に飛び出る。

 

ズドンッ!!

 

「グゥッ!?」

 

右の胸部付近に命中した。

鈍い痛みが走る。

どうやら、ギリギリ防ぎ切った様だ。複合装甲に救われたようだ。

 

「ウィル、大丈夫か!?返事をしろ!!」

 

ラウラが並走しながら必死に呼び掛けて来る。

 

「ああ、大丈夫だ。ちゃんと生きてるよ・・・」

 

「何故あんな無茶を━━」

 

「そんな事より、お前は大丈夫なのか?」

 

黒煙を上げ、フラフラとした機動で飛翔しながらラウラに安否を訊く。

 

「何て無茶な事を・・・!」

 

「ウィル、大丈夫!?」

 

「ちょっとアンタ、大丈夫なの!?」

 

「ウィリアム!」

 

「おい、ウィル!大丈夫か!?」

 

福音に止めを刺して帰って来た一夏達が並走しながら呼び掛けてきた。

 

「だから大丈夫だって。この通りピンピンしてるさ。それよりお仕事は終わったんだ、さっさと宿に帰ろう」

 

こんな事を言えるのだから大したことは無いだろう。

 

「帰ったら織斑先生に殺されそうだ・・・」

 

と冗談を言いながら俺達は帰路についた。

・・・あぁ、この後の事を考えると恐ろしい。また、アレを喰らわされるのか・・・?いや、もう少し楽観的に考え━━いや、無理だな。ハァ・・・。

心の中では携帯のバイブレーション並みに震えていた。

 

 

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