夏休みのとある日
「え~と、一夏の家は・・・」
臨海学校が終わった後に一夏から、家に遊びに来ないか?と誘われたので、今は彼の家の住所が書かれた紙を片手に歩いている。
「あれ?ウィル?」
「ん?おお、一夏か!ちょうどお前の家に向かっていたところだ」
買い物袋を持った一夏に声を掛けられた。
「買い出しの帰りか?一つ持ってやるよ」
そう言って、彼の買い物袋を持つ。
「ああ、少し足りない物があってな。助かるよ」
「こんなに暑いってのに、大変だなぁ」
「ハハッ、まぁ千冬姉は仕事で忙しいから俺が家事をする事になってるのさ」
「成る程な。お前は本当に良い奴だなぁ」
「好きでやってる事さ」
他愛無い話をしながら家に向かった。
「それにしても、まさかあそこでお前に会えるとはな。ここの地理を知らないから助かったぜ」
「あぁ、凄い偶然だよな?俺も驚いたぜ。お、そろそろ着くぞ。・・・ん?」
「ここら辺か・・・どうした一夏?」
「いや、あれ・・・」
一夏が指差す先には、綺麗な金髪を後ろで一房に結った少女が家の前で険しい顔をして立っていた。
「シャルロットか?」
俺達には気付いていない様だ。
彼女は何かを決心した様にインターホンに手を伸ばす。
「おい、シャル?」
一夏が声を掛けると、ビクリとしてこちらに振り向いた。
「え?うわぁ!?い、一夏?と、ウィル?」
「いや、俺は一夏に招待されていてな。偶然そこで会ったんだ」
「そ、そうなんだ・・・って違う!」
「「?」」
「あ、あの!ほ、本日はお日柄も良く・・・」
「はぁ?」
「お日柄・・・?」
「じゃなくて!あのぉ、IS学園のシャルロット・デュノアですが、織斑君はいらっしゃいますか?」
「何言ってんだお前・・・?」
一夏が眉をひそめる。
「あぅぅぅ・・・・・・き」
「「き?」」
「来ちゃった・・・」
「ブフッ、フッククク・・・!」
暑さからなのかテンパりからなのか、滅茶苦茶な事を言うシャルロットを見て、俺は笑いを堪えるのに必死だった。
「ウィル?どうしたんだ?」
「い、いや、クフフッ何も」
シャルロットが目線で抗議して来る。
「ふぅ・・・いやぁ、悪い悪い」
やっと笑いが治まったか・・・。
「何なんだ?まぁ、せっかく来たんだ、上がって行けよ」
「上がって良いの!?」
シャルロットの目がキラキラと輝く。
「遊びに来たんだろ?それとも、別に予定とか有るのか?」
「ううん、無い!全然!全く!微塵も無いよ!」
凄い食い付きだ。
「アハハ、変な奴だなぁ」
そう言って、入り口の門を開ける一夏。
ところで、シャルロットは一夏に変な奴って言われてどうして喜ぶんだ?と思いながら一夏について行く。
家の中は落ち着いていて、良い雰囲気だ。
シャルロットが家の中をキョロキョロとする。
「ねぇ一夏。お家の事って一夏がやってるんだっけ?」
「あぁ、千冬姉は忙しいし、長いこと帰って来なかったしなぁ」
「そ、そうなんだぁ・・・」
一夏って良い旦那さんになりそうだよねぇ・・・だ、旦那さんかぁ。
シャルロットが顔を赤らめながら、そんな事を想像する。
「ほい、麦茶。今朝作った奴だから、ちょっと薄いかも知れないけど」
「う、うん、ありがとう」
「悪いな、頂くよ」
シャルロットが幸せオーラ全開で麦茶を飲もうとしたその時、インターホンが鳴った。
「はいはい、今出ますよっと」
一夏が玄関に向かう。
「お?セシリアか」
『ど、どうも。ご機嫌いかがかしら?一夏さん。ちょっと近くを通り掛かったので様子を見に来ましたの』
近くって、それなりに離れてたような・・・?
「通り掛かった?こんな所に?」
一夏も同意見の様だ。
『こ、これ!美味しいと評判のデザート店のケーキですわ!』
「まぁ、入れよ」
「お邪魔しますわ。・・・え゛?」
セシリアが入って来た途端に固まる。
二人きりになる計画だったのに、俺とシャルロットも居た事に気付いたのだ。
これは、また何かありそうだなぁ・・・。