「ほう、我がドイツのゲームだな」
「へぇ、どうやって遊ぶんだ?」
机にはカラー粘土が人数分置かれているが、こんなゲームは見た事も聞いた事も無い。
「確か、カラー粘土で色々作ってそれを何か当てるゲームよね?」
「成る程、そう言った遊び方なのか」
準備は整った様だ。
「よし、じゃあウィルからだな」
「あぁ、これだ」
そう言いながら、机に粘土を載せる。
細い棒の様な見た目だ。
「・・・えーっと、これは地球上の物か?」
「その通りだ」
一夏が質問して来る。
まぁ、大方この質問で来そうなのは、予想出来た。
「これは空を飛ぶ物か?」
「勘が鋭いな。当たりだ」
「・・・分かったぞ!答えはロケットだ!」
「ふっ、違うな。答えは『AIM-9X サイドワインダー空対空ミサイル』だ」
「「「分かるかっ!」」」
「?何でだよ。この特徴的な動翼、推力偏向ノズルに先端のセンサーまで再現したのに・・・」
「いや、それでも分かるのはお前くらいだよ!」
「えぇ~」
「ま、まぁまぁ。ゲームを続けようよ?」
シャルロットが一夏を宥める。
おっかしいなぁ・・・分かると思ったんだが・・・。
他にも、島国を丸々再現したり犬か馬かよく分からん生き物を再現したりと、なかなか手強かった。
「ではラウラに質問するぞ?」
「受けて立とう」
そう言って机に粘土を置く。
「「「え?」」」
何だこれ・・・。
「それは地上に有るものか?」
「うむ」
「人間より大きいか?」
「そうだ」
「人間の作った物か?」
「ノーだ」
駄目ださっぱり分からん。
「う~む・・・」
箒も分からない様だ。
「質問終了。答えてもらおう」
粘土をじっと見続ける。
しばらく腕を組んで考え込んでいた箒だったが、ハッとした後、ズビシッと指を向けた。
「ああ!油田だ!」
「違う」
一同が凍り付いた。
何故、油田・・・?
「少々難しかった様だな。答えは山だ」
「「「は?」」」
「山だ」
空かさず一夏がツッコム。
「いや、待て待て。山はこんなに尖って無いだろ?」
「そんな事は無い。エベレスト等はこんな感じだろう?」
「いや、それならエベレストに特定しないと分からないんじゃ無いのか?」
俺もツッコム。
「ハァ、うるさい奴だな。それでも貴様は私の嫁か?」
「待て、そもそも結婚して無いだろう。それに俺は嫁じゃない」
「て言うか、ウィルも人の事は言えないだろ・・・」
そんな言い合いをしていると、リビングのドアが開いた。
「何だ、賑やかだと思ったらお前達か」
「「「織斑先生?」」」
「お帰り、千冬姉。早かったんだな、食事は?まだなら何か作るけど」
「いや、外で済ませて来た」
「じゃあ、お茶でも入れようか?熱いのと冷たいの、どっちが良い?」
「そうだな・・・外から帰ったし、冷たいのを貰おうか」
「分かった」
そう言って甲斐甲斐しく姉の世話をする一夏。
箒、セシリア、鈴、シャルロットが恋敵を見るように、ラウラが興味津々で織斑先生を見つめる。
「ん?あ、いや、直ぐにまた出る。仕事だ」
織斑先生がその視線に気付き、急いで家を出る用意をする。
「え?今から?」
「お前らと違って、教師は夏休み中でも忙しいんだ。お前達はゆっくりして行け、泊まりはダメだがな。それから、篠ノ之」
「あ、はい」
「たまには、おばさんに顔を出してやれ。長いこと帰って無いんだろう?」
「はい」
「ではな」
そう言い残し、また外へ戻って行った。
「教師って大変だなぁ・・・」
織斑先生の配慮も露知らず、呑気に呟く。
そんな彼にジト目を送る八つの瞳。
「ん?どうした?」
「一夏、何だか織斑先生の奥さんみたいだった」
「え?」
「アンタ相変わらず、千冬さんにベッタリねぇ・・・」
「普通だろ、姉弟なんだし」
「ハァ、そう思ってるのはアンタだけよ・・・」
「はぁ?どう言う意味だよ?」
「一夏、こればかりは自分で考えないと為にならないぞ?」
俺は一夏の肩に手を置いて、そう諭す。
「何だよ、ウィルまで・・・」
▽
日も傾いて来て、蜩が鳴き始めた頃。
「そろそろ、飯の支度をしないとな・・・。買い出しに行って来るわ」
そう言って一夏が立ち上がる。
「それなら、アタシが何か作ってあげる!」
「わ、私も作ろう」
「じゃあ、僕も手伝おうかな?」
「それなら、俺も手を貸そう。料理なら多少は出来る」
「無論、私も加勢する」
俺はこれでも料理は出来る方だ。理由は色々有るが・・・。
「仕方有りませんわね。ではわたくしも━━」
「「「お前(アンタ)はいい!!」」」
「え?」
あの破滅的な料理を量産されては、こちらの胃が耐えられない。
スーパーに着いてからは、各々が作る料理の食材を選ぶ。
「お?ステーキ用の牛肉が安いな。」
久し振りに牛ステーキでも焼いてみるか。む?キノコも安売り・・・。そうた、こいつでポタージュでも作るか。
「後はパンか?」
食材を確保して合流地点に向かうと、セシリアが『自分も料理を作りたい!』と駄々を捏ねていた。
「やれやれ、騒がしいな・・・」
結局、セシリアの気迫に負けて、キッチン入りが許可されたのだった。