入学までまだ日数がある。
その間に俺は叔父の計らいで軍の基地に出向き、そこでISの簡単な座学と操作を教わった。
戦闘機と違って、本当に手足のように動かせる。
まぁ、慣れるのにかなり掛かったが・・・。
一応、特例で俺は15歳で空軍『少尉』の扱いらしい。軍の制服とフライトジャケットも支給されている。
制服なんて今貰ってもいつ着るんだよ・・・。なんて思ってはいけない。
因みに、俺の搭乗機は『バスター・イーグル』まさかの前世の相棒と同名。しかも見た目も少し小さくなっただけだ。
通常は機体をまんま人型にした姿だが、高速飛行時は腕を折り畳んで、完全に戦闘機のそれになる。
そこで、俺は思った。
『どうせなら、相棒と同じ見た目にしよう』と。
試しに父さんや叔父のトーマス。仲の良い技術者、整備士に相談したところ、危ない改造や風紀を乱す事意外なら基本的にOKと言われた。
テンション最高で、早速整備士達を呼んで作業に取り掛かる。
そして
「出来た・・・!」
そこには機首を模したヘッドギアにシャークマウスが描かれた機体が鎮座していた。
思わず顔が綻ぶ。
今まで幾度となく作戦を共にしてきた、俺の愛機だ。
「また、よろしくな」
そう呟くと、機体も嬉しそうに見えた。
▽
入学式当日
俺は大事なことを忘れていた。
IS学園。
それは、女性にしか扱えないISの操縦者を育成する学園である。
つまり、生徒は俺ともう一人を除いて、全員が女性である。
視線がすごい・・・体に孔が開きそうなほど見られる。水族館のジンベイザメやアザラシはこんな気持ちなのか・・・初日からこれでは先が思いやられる・・・。
「ハァ~・・・へビーだな・・・」
小さく呟いた。
入学式も無事に終わり、今はクラスでHR中である。
俺は1年1組。
もう一人の男性操縦者と同じ組である。
良かった・・・。
などと考えていると、眼鏡を掛けた小柄な女性が教卓に立ち自己紹介を始めた。
「皆さん入学おめでとう。私はこの一組の副担の“山田真耶”です」
シーン・・・
緊張してるのか、はたまたクラスに居る男に興味津々なのか、何の反応も無い。
「え、えーっと、今日から皆さんはこのIS学園の生徒です。この学校は全寮制。皆で助け合って楽しい3年間にしましょうね。それでは自己紹介をお願いします。出席番号順で・・・」
そして順番がまわって行き、もう一人の男性の番になった。
しかし、当の本人━━“織斑一夏”は何か考え事をしてるのか気付いていない。
「織斑一夏君!」
「は、はい!?」
彼は盛大に跳ね上がる。
「あのぉ、大声出しちゃってごめんなさい。でも『あ』から始まって今『お』なんだよね。自己紹介してくれるかな?ダメかな?」
「そ、そんな謝らなくても・・・」
そして、意を決したように立ち上がる。
「ええ・・・お、織斑一夏です」
しばしの空白。
「え、えーっと・・・以上です!」
ズコッ!と何人かの生徒がずっこけた。
緊張しまくってるな。気持ちは分かるぞ、同志よ。
そういえば日本ではアルファベット順では無く、アイウエオ順とやらだったか?それに、名字が先で名前が最後だった筈だ。つまり、俺の場合はホーキンス・ウィリアムになるのか。
そんな事を考えていると俺の番になり、視線が集まる。
さて、腹を括るか・・・。
「えー、ウィリアム・ホーキンスです。アメリカから来ました。よろしくお願いします」
彼よりはマシな紹介が出来たかな?
などと考えていると、教室のドアが開き誰か入ってくる。
教師か?どこかで見た顔だな・・・。
「あぁ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けて悪かったな」
「い、いえ。副担任ですから、これくらいはしないと・・・」
山田先生が赤くなりながら、そう答える。
すると、黒スーツの人物が口を開いた。
「私が諸君の担任の“織斑千冬”だ。お前達を使い物になる操縦者にするのが私の仕事だ。以後、私の命令には従ってもらう。逆らうのは勝手だが、それ相応の覚悟はしておけ」
な、なんと言う暴力発言。まさに、歩く暴力装置だ!
「キャーーー!!本物の千冬様よ!」
「私、千冬様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」
耳が痛い・・・!
「ハァ、全くなぜ毎年毎年こう言う奴らの担任を任されるんだ・・・」
と愚痴をこぼすとさらに燃え上がる女子一同。
「キャーーー!もっと叱って!罵って♡」
「でも、時には優しくしてぇ♡」
「そして、付け上がらない様に躾してぇ♡」
聞いて無い、俺は何も聞いて無いぞ・・・!
・・・ん?そうだ、織斑千冬って昔テレビで見たな。
確か最強のIS乗りだったか?スゴいな・・・そりゃこうもなるか?でも、そろそろ収拾がつかなくなるんじゃ・・・。
「静かにしろ!これより一時限目の授業を開始する。準備しろ!」
彼女の一喝で辺りが静まる。
一時間目からISの基礎知識やなんやらの勉強である。
入学前に座学はしてきたから、何とか理解が追い付く。が、それでもなかなか難しかった。向こうでの常識が覆されるような技術ばかりである。
まぁ、頑張るか。
そう思いながら、ペンを動かす手を再開させた。
無理矢理自分の趣味を通してしまった、、、。
やっぱり小説って書くの難しいですね。
次回でようやく一夏とのコンタクトです。