翌日
俺はラウラ達と共に、集合場所にて一夏と箒を待っていた。
それにしても、みんなの顔が滅茶苦茶怖い。特にラウラなんて、今から人一人を殺ってしまいそうな気迫だ。
俺が引きつった顔で無理矢理笑みを浮かべていると、箒が集合場所にやって来た。
「・・・?・・・え!?」
彼女は俺達の顔を見て、何故ここに!?みたいな顔をしている。
「お~い、みんな!悪い悪い、遅れちゃって!」
満面の笑みで一夏が走って来た。
しかし、ラウラと箒以外の三人が物凄い形相で彼を睨む。
いや、ラウラは俺を睨んでいる。
「馬鹿!」
「期待したわたくしが馬鹿でしたわ!」
「乙女心を弄ぶなんて、最低の行為だよ!」
鈴、セシリア、シャルロットから猛攻を受けて困惑する一夏。
「アイツ、みんなに何て説明したんだ?」
そう呟くと
「まったく!お前は嫁失格だな!」
ラウラに怒られた。
「えぇ・・・」
そのまま、プリプリと怒りながら四人は俺と一夏を置いて歩いて行ってしまった。
その場に取り残される、男二人。
「ハァ・・・何を怒ってるんだよ・・・」
「さあ?お前、何て誘ったんだ?」
「いや、シャルの時はお前も居ただろ?普通に声掛けて誘ったんだよ」
「あぁ、普通だったな」
「ただ、『一緒に行かないか?』って聞いただけなんだがなぁ・・・」
・・・そこだ。『一緒に』の前に『みんなで』が足りていない。
「ハァ・・・分かった。とにかく行こう。置いてかれるぞ?」
ラウラが怒っていた理由。もしかして・・・俺と行きたかった。とか?
・・・いや、ちょっと自惚れが過ぎたか?
▽
プールには巨大なウォータースライダーが設置されており、他にも様々な遊具が設置されている。
始めはブスッとしていた彼女達だが、いざ遊び始めると、朝の事など忘れて遊びまくっていた。
俺もラウラにペア滑りコース。と言うのに誘われて、時間が立つのも忘れて遊びまくった。
夜は夜で、浴衣に着替えて色々な屋台を廻って楽しんだ。
中でも、射的が一番白熱した。
やはり、代表候補生の射撃センスは目を見張るものだ。
次々に撃ち落とされて行く景品を見て、屋台のおっちゃんが涙目になっていたが・・・。
他にも、初のたこ焼きや、綿菓子を食べて舌鼓を打ったり、線香花火で遊んだりと、全ての事が初めてで、凄く新鮮な一日だった。
▽
翌日 アリーナ
「凄い弾幕だな・・・!」
「まだまだ、こんなものじゃ終わらないよ!」
俺達はアリーナの競技場にて、模擬戦中だ。
一夏は鈴と、俺はシャルロットを相手に別々に戦っている。
「あぁ、まるでちょっとしたトーチカみたいだ。全然近付けないよ」
そう言いながら、ミサイルをロックして発射する。
「くっ!やっぱり、地上と空じゃ少し不利だね・・・!」
「そりゃ、それが俺の強みだからな」
シャルロットのISは量産型だが、かなり手が加えられている為、もはや別物となっている。
こちらはある程度の距離を保っているが、侮れない。
「それならっ!」
彼女がこちらの追撃に入る。
何か仕掛けて来るな・・・。
次の瞬間、シャルロットの姿が消えた。
「なっ!?どこへ行った!?」
「ここだよ!」
「っ!?」
後ろを取られた!
「一体何が・・・!まさかイグニッション・ブースト!?」
「ふふっ、ご名答!」
恐ろしい精度で撃ってくる。
「ヤバいヤバい!」
回避行動を続ける。
「これなら━━」
「その手は効かないよ!」
「っ!?危ねぇ・・・!」
得意技のコブラをしようとした瞬間、背部を数発の弾丸が掠める。
どうやら、俺はかなり追い込まれているらしい。
さっきから、こちらの回避先を読んでいる様に、次々に手段を潰されて行く。
段々と精度が上がって来ているな。このままじゃジリ貧だ。
「何か方法は・・・?」
昔の記憶を遡る。
新米だった時に教官から言われた言葉
「『使えるものは、何でも使え』・・・か」
確認すると、シャルロットは
・・・完璧だ。
「これで決める!」
シャルロットがマシンガンを向ける。
「これを喰らえ!」
俺はISのテール部分に有る、ドラッグシュートを展開。ある程度開いたら、そのまま切り離してシャルロットにぶつけた。
「うわっ!?な、何!?」
シャルロットが慌てて自身に引っ掛かっているパラシュートを退かす。
視界がクリアになった。
━━が、視界からはウィリアムの姿が消えていた。
「どこに・・・ハッ!?」
彼女の頭上に影が射した。
上を見上げると、ウィリアムが半ば宙返りの姿勢でこちらに機銃を向けていたのだ。
そして、そのまま容赦無くトリガーが引かれる。
「いつの間に・・・!」
「さっき、パラシュートを展開してから直ぐに宙返りをしたんだ」
そのまま後ろを取って、ミサイルをロックしながら種明かしをする。
そして、二基のミサイルはシャルロットに向かって放たれ、彼女に直撃。シールドエネルギーを消し飛ばした。
「シャルロット、
彼の撃墜コールが無線から聞こえる。
「ハァ、負けたよ。まさかあんな攻撃をしてくるなんて・・・」
「まぁ、あれは賭けなんだがな」
「うわぁぁああ!?」
そんな話をしていると、一夏が鈴の衝撃砲に吹き飛ばされて、墜ちて来た。
「派手に墜ちたなぁ・・・」
一夏の元に寄って行く。
土煙が猛々と上がっている。
「おい一夏、大丈夫か?」
「あぁ、なんとかな。それにしても・・・また負けたぁ!」
「ふっふーん、中国代表候補生は伊達じゃないわよ。それより、後で何か奢りなさいよ?」
鈴がドヤ顔で降りて来た。
「クッソぉ・・・!次は負けねぇからな!」
「何時でも相手してあげるわ」
そう言いながら、アリーナの更衣室へ向かって行った。
「さて、俺達も帰るぞ?次の授業に遅れちまう」
「あぁ、そうだな」
俺達も更衣室へ向かって行った。
一夏は更衣室のベンチに座って白式のスペックデータを眺めている。
「ハァ、後少しで勝てたのになぁ・・・やっぱ、燃費を何とかしないと」
「そうだなぁ、やっぱり高威力な分、そう簡単にポンポン使えないからな・・・」
「お前のバスター・イーグルは良いよなぁ。強力な武器持ってるし、速いし。シールドエネルギーをあんまり使わないだろ?」
「あれだって速い分照準が難しいし、みんなのと比べて大型だから、被弾面積が大きい。おまけに、エンジン始動にタイムロスがある。それぞれ個性が有るのさ」
「そう言うもんか?」
「あぁ、そう言うもんだ。それをどうカバーするかだな」
「そうだな、もう少し工夫をするか!なら、また今度練習に付き合って━━え?」
「ん?どうした、一夏・・・は?」
振り返ると、水色の髪に赤い瞳の少女が一夏に手で目隠しをしていた。
「だ~れだ?」
「え、えぇ?誰だ?」
「いや、マジで誰だ?君」
いや、どこかで見た気が・・・。
「はい、時間切れ」
一夏が振り返る。
「ふふっ、引っ掛かったな?」
悪戯が成功した子供の様な顔をする。
「あの、あなたは?」
「それじゃあね。君達も急がないと、織斑先生に怒られるよ?」
一夏の質問に答えずに去ってしまった。
ん?急ぐ?織斑先生に怒られる?
「まさか!」
時計を確認する。
「うわああ!?遅刻だ!一夏急げ、先生に消されるぞ!」
「へ?ヤッベ!千冬姉に怒られる!」
大遅刻だ、怒られるだけでは済まない。
俺達は大慌てで教室に向かった。
ドラッグシュートで目隠しってズルかったかな?