教室に戻ると、また俺達は引っ張りだことなる。
ハァ、もう一人俺が欲しいよ・・・。
一夏は既にお嬢様二人に両腕を引っ張られて、苦悶の表情を浮かべている。
だが、こういった出し物は全く経験が無かったので、楽しくもあった。
「さて、業務再開といきますか!おい一夏。大丈夫か?さっさと始めるぞ」
「お、おう・・・腕が痛ぇ・・・」
その時
「じゃじゃーん!楯無おねーさんの登場です!」
職務放棄人間が現れた。
・・・嫌な予感がする。
「・・・・・」
一夏が脱兎の如く走り出す。
「だが、逃げられない!」
「だあっ!進路妨害するのやめて下さいよ!」
━━が、敢えなく捕縛された。
ヤベッ!生徒会長がこっち向いた!しかも超笑顔!
俺も出口に向けて猛ダッシュで逃げる。
「残念!逃がさないわよ!」
「クソッ振り切れない・・・!」
しつこく追いかけてくる。
「はいドーン!」
「ちっくしょぉぉ!!離せぇぇ!!」
捕まった。
この人ぜぇったいに俺達を面倒事に巻き込む気だ!
「まあまあ、そう言わずに。ときに一夏君とウィリアム君。君達の教室手伝ってあげたんだから、生徒会の出し物にも協力しなさい」
「疑問形じゃない!?」
「うん。決定だもの」
「て言うか、どの口が手伝ったって言うんですか!?」
遡る事、数時間前。
楯無がメイド服で1組に乱入してきて、いつの間にか手伝いをしてくれていたのだ。・・・始めは。
直ぐにあのフリーダムな性格に振り回されたのだが・・・。
まぁ、この話は置いておこう。
「俺達の意志は・・・」
「勝手に決定しても良いじゃない。生徒会だもの」
「間違いなく面倒事に巻き込まれる気がする。俺は絶対に嫌ですよ!」
「まあまあ、そう言わずに」
「ウィル、諦めろ・・・。ハァ、で、出し物は?」
「あら、無抵抗」
「もう無駄だって分かってますから」
「・・・仮に抵抗してもあなたは気にも留めないでしょう?」
「当たり♪」
「それで、もう一度聞きますが出し物は?」
「演劇よ」
「演劇・・・?」
「演劇、ですか?」
「そう!観客参加型演劇」
「「は!?」」
観客参加型演劇って何だ?これまた凄いジャンルだな。
「とにかく、おねーさんと一緒に来なさい。はい、決定」
ピシッと扇子を俺達に向けて宣言してくる。
「あのー、先輩?一夏とウィルを連れて行かれると、ちょっと困るんですけど・・・」
「そうだな。今二人を連れて行かれると、業務に支障が出るのだが?」
シャルロットとラウラがやって来る。
ナイスだラウラ。もっと言ってやれ!
「シャルロットちゃんとラウラちゃん、あなた達も来なさい」
「なっ!?」
「ふぇ!?」
おいおい、この二人も巻き込むのか?
「おねーさんがきれーなドレスを着せてあげるわよ~?」
甘い声を掛ける。
「ど、ドレス・・・」
「ドレス、だと・・・?」
二人が難しい顔をして悩む。
頑張れラウラ!ドレスは女子の憧れなのは分かるがそこは耐えてくれ!
「じゃ、じゃあ、あの・・・ちょっとだけ」
「ふ、ふんっ!仕方無いな。少しだけなら付き合ってやる」
ああ!ラウラがやられた!
「ん~。二人共素直で可愛い!じゃあ、箒ちゃんとセシリアちゃんもゴーね」
「「はっ!?」」
聞き耳を立てていた二人が驚きの声を上げる。
「全員、ドレスを着せてあげるから」
「そ、それなら・・・」
「まあ、付き合っても・・・」
箒、セシリアまでもが陥落。
「因みに、演目って何ですか?」
「ふふん」
ばっと扇子を開く生徒会長。そこには『追撃』の二文字。
「シンデレラよ」
ふむ、シンデレラか。
一波乱有りそうな気がするな・・・主に俺と一夏に。