空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

59 / 91
第57話

「━━というわけなのよ」

 

「はぁ・・・」

 

「成る程・・・」

 

夜、寮の一夏の部屋。

学園祭が終わって、俺達は生徒会長から説明を受けていた。

最近妙な組織がとある傭兵組織と手を組んだ事、狙いが一夏もしくは俺のISだった事、その予防線として俺達を監視していた事。

 

「で・・・その楯無さんは何者なんですか?」

 

「あら、優しいおねーさんよ?」

 

「そう言うのはいいですから」

 

「そうねぇ。更識家は昔からこの手の裏工作に関しては強いのよ。暗部って分かる?」

 

暗部━━つまり、けして表に出ることの無い、裏の実行部隊の事か。

 

「更識家は対暗部用暗部・・・お家柄ってやつね」

 

笑いながら扇子を開く。

そこには『常在戦場』と書かれていた。・・・まったくのっぴきならない人だ。

 

「しかし、これで当面の危機は去ったようだし、私は少し気が休まるわ」

 

だが、これで終わったわけではないだろう・・・。

 

「分かりました。では自分はこれで」

 

そう言って俺は部屋を後にした。

 

 

部屋に戻る前に、叔父のトーマスに電話を掛ける。

 

『ウィリアムか?どうしたこんな時間に』

 

「おじさん。少し聞きたい事があるんだ」

 

『何だ?』

 

「ああ、実は━━」

 

今日の出来事を説明した。

 

『・・・亡国機業・・・まさか奴らが絡んでくるとはな』

 

「何か知ってるのか?」

 

『ああ、表向きはISを保有する傭兵会社を謳ってはいるが、その実質は犯罪者共の集まりだ。ギャングや元軍人まで引き入れている。要人護衛から盗み、誘拐、暗殺まで。金さえ積めば何でもやりやがる・・・規模はさほど大きくないらしいがな』

 

「・・・・・」

 

『発展途上国の内紛で何故か所属不明のISの姿を見た。という事例が後を絶たない。恐らく奴らが介入しているんだろう。それだけ裏の世界では重宝されているという事だ』

 

「成る程。分かった、ありがとう」

 

『気を付けろよ?』

 

「ああ」

 

そう言って電話を切る。

これで亡国機業の事は粗方分かった。後はそいつらを雇った組織だ。

 

「まあ、今悩んでも分からないものは分からんか・・・」

 

とにかく部屋に戻ろう。今日は疲れた。

 

 

「ただいま・・・っと」

 

誰もいない部屋で一人呟く。

 

「ああ、やっと帰ってきたか」

 

・・・ん?部屋を間違えたか?

一度外に出て、番号を確認する。

・・・間違ってはいない。

 

「っ!?また勝手に忍び込んだな!?」

 

俺は侵入者である少女。ラウラに詰め寄る。

 

「まあ落ち着け」

 

「これが落ち着いてられるか!勝手に入るなと何度言えば━━」

 

「いや、これは合法だぞ?」

 

「は?」

 

ニヤリと笑いながら、手に載っている何か(・・)を見せてくる。

・・・鍵?どこのだ?部屋の鍵で無いのは分かる。

 

「それ、どこの鍵だ?」

 

「まだ分からないのか?」

 

待てよ?合法、部屋に侵入、鍵・・・

 

「まさか・・・!」

 

「そう、そのまさかだ。王子の護衛殿(・・・・・・)

 

「」

 

あの時に落としたままで、回収するの忘れてたぁぁぁ!!

 

自身の詰の甘さに絶句する。

 

「これからよろしく頼むぞ?」

 

「ハァ、よろしく・・・」

 

「む?随分と潔いな」

 

「抵抗したところで、どうせ生徒会長権限で揉み潰されるのがオチだ。やるだけ無駄だよ。それより眠くてな、もう寝ても良いか?」

 

神は俺に試練を与えているのか?それとも面白がってるのか?

 

「そうだな、早めに寝るとしよう」

 

ライトを消す。

 

「・・・お休み」

 

「ああ、お休み」

 

こうして、俺のハードな一日が幕を閉じた。

 

 

次の日

 

「皆さん、先日の学園祭ではお疲れ様でした。それではこれより、投票結果の発表を始めます」

 

かくして、俺達の争奪戦の結果発表である。

 

「一位は、生徒会主催の観客参加型劇『シンデレラ』!」

 

「「「・・・え?」」」

 

生徒達から間の抜けた声が漏れる。

そして

 

「卑怯!ずるい!イカサマ!」

 

「何で生徒会なのよ!おかしいわよ!」

 

「私達頑張ったのに!」

 

楯無はまあまあと手で制し、言葉を続ける。

 

「劇の参加条件は『生徒会に投票する事』よ。でも、私達は別に参加を強制したわけではないから、立派に民意と言えるわね」

 

いや、グレーゾーンじゃないか・・・?それ。

それでもブーイングは収まるどころか、更に荒れる。

 

「はい、落ち着いて。生徒会メンバーになった二人には適宜各部活動に派遣します。男子なので大会参加は無理ですが、マネージャーや庶務をやらせて下さい。それらの申請書は、生徒会に提出するようにお願いします」

 

・・・はい?そんな事聞いてないんですが?

 

「ま、まぁ、それなら・・・」

 

「し、仕方ないわね。納得してあげましょうか」

 

「ウチの部活勝ち目無かったし、これはタナボタね!」

 

周りが納得し始める。

・・・俺達の意志は?

そして直ぐ様、各部活動のアピール合戦が始まった。

 

「じゃあまずはサッカー部に来てもらわないと!」

 

「たしかホーキンス君って泳ぎ上手かったよね?それなら手取り足取り教えてもらえないかな?グヘヘ」

 

「柔道部!寝技、あるよ!」

 

待て、話が勝手に進んで行くが、俺達は了承してないぞ!?

 

「それでは、特に問題も無い様なので、織斑一夏君とウィリアム・ホーキンス君は生徒会へ所属、以後は私の指示に従ってもらいます!」

 

彼女がそう締め括ると拍手と口笛がわき起こった。

 

「うっそだろ、おい!生徒会長の指示に従うとか!?」

 

「楯無さんの指示に従うなんて!?」

 

この先俺達はどうなるのやら・・・。分かるのは彼女に逆らっても無駄な労力を使うだけ。という事だけだ。

 

 

「二人共、生徒会着任おめでとう!」

 

「おめでと~」

 

「おめでとう。これからよろしく」

 

会長である楯無を筆頭に“布仏本音”(通称のほほん)、そしてその姉の(うつほ)がクラッカーを鳴らして、祝福してくる。

にしても、まさかのほほんさんが生徒会メンバーだったとはな・・・。

場所は生徒会室。豪華な机が窓を背に鎮座しているのが印象的だ。

まさに権力の象徴だ。

 

「・・・何故こんな事に・・・?俺達を生徒会に入れるメリットは?」

 

「・・・ウィルと同じく」

 

「あら、良い考えでしょう?元は二人がどの部活にも入らないからいけないのよ。学園長からも、生徒会権限でどこかに入部させるようにって言われてね」

 

「おりむーとホー君がどこかに入ればー、一部の人は諦めるだろうけど~」

 

「その他大勢の生徒が『うちの部活に入れて』と言い出すのは必至でしょう。そのため、生徒会で今回の措置を取らせて頂きました」

 

三人の連携攻撃にぐうの音も出ない。

 

「俺達の意志が無視されてる・・・」

 

一夏が肩をガックリと落とす。

 

「あら、なぁに?こんな美少女三人もいるのに、不満?」

 

「そうだよ~おりむーは美少女はべらかしてるんだよー」

 

一夏の奴、酷い言われようだな。

 

「それにー、ホー君なんて前にキ━━━ムム~!」

 

慌てて手で口を塞ぐ。

 

「な、何でも無いですよ?」

 

「?まあ、美少女かどうかは知りませんが、ここでの仕事はあなた達に有益な経験を生むことでしょう」

 

まあ、事務は多少なら俺でも出来るがな。

取り敢えず今後の仕事を虚さんに訊いてみる事にした。

 

「当面は放課後に毎日集合してもらいます。派遣先の部活動が決まり次第そちらに行って下さい」

 

「了解しました」

 

「わ、分かりました」

 

「さあ!今日は生徒会メンバーが揃った記念と二人の新メンバーの就任を祝ってケーキを焼いてきたから、皆で頂きましょう」

 

「わ~。さんせ~」

 

「では、お茶をいれましょう」

 

「ええ、お願い。本音ちゃんは取り皿をお願いね」

 

「はーーい」

 

三人がてきぱきと準備を進めていく。

それから並べられたケーキは、悔しい事に非常に美味そうだった。

 

「それでは・・・乾杯!」

 

「かんぱーい~」

 

「乾杯」

 

「・・・乾杯」

 

「は、はは・・・乾杯。ハァ・・・」

 

こうして、俺達の生徒会所属が決まったのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。