空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第65話

「せーのっ」

 

「一夏、ウィル、お誕生日おめでとうっ!」

 

シャルロットの声を合図に、パァンパァンっとクラッカーが鳴り響く。

 

「お、おう。サンキュ」

 

「ありがとう。俺まで祝ってもらって」

 

時刻は夕方5時、場所は織斑家・・・までは当初の予定通りなんだが。

 

「この人数は何事だよ・・・」

 

一夏が呟く。

メンバーを整理してみよう。

何時もの面々。箒、セシリア、鈴、シャルロットにラウラ。

それに一夏の男友達の“五反田弾”とその妹の“蘭”。そしてもう一人の男友達の“御手洗数馬”。

更には生徒会メンバーの更識会長、のほほんさんに虚さん。

その上、新聞部のエース・黛薫子さんまでもがいて、リビングはパンク寸前だった。

ハァ、よくあんな事件の後で騒ごうって気になるなぁ。

いや、むしろ逆か。あんな事件の後だからこそ、みんな騒ぎたいのかもしれない。

結局、今回も亡国機業の目的は不明という事で一応の決着を見た。

学園関係者は、織斑先生も山田先生も慌ただしく働いていたところを見ると、やはり大問題だったのだろう。

ISで謎の襲撃者と空戦したんだからなぁ・・・俺自身も取り調べを受けさせられ、結局解放されたのは4時を過ぎてからだった。

 

「お前が一夏の言っていたウィリアム・ホーキンスか?」

 

「ん?ああ、そうだが。君は・・・」

 

「ああ、俺は五反田弾。一夏の中学からの友人だ。それでこっちが妹の蘭」

 

「よろしくお願いします」

 

「そして、俺が御手洗数馬だ。よろしく」

 

「そうか。改めて、俺はウィリアム・ホーキンスだ。気軽にウィルで良い。よろしくな?」

 

軽く挨拶し、談笑する。

蘭は一夏のいる方にトテトテと走って行き、そこで鈴と火花を散らしながら、メンチを切り始めた。

・・・ははぁん、さては彼女も一夏組だな?まったくモテる男は辛いねぇ、一夏君。

それにしても、あの蘭て言う娘の作ったケーキと、鈴の作ったラーメン。どっちも美味すぎて手が止まらない。カロリーが気になる所だが・・・。

 

 

しばらくすると、一夏がセシリアの元に向かうのを見たので、俺もそちらに向かった。

現在、彼女は右腕に包帯をしている。先の戦闘であの襲撃者の攻撃を諸に浴びた際に右腕に浅くない傷を負ったらしい。一応、活性化治療によって一週間程で元に戻るらしいが、今日のところは入院した方が良いとみんなが勧める中、本人は猛反対して今この場にいる。

 

「傷、大丈夫か?」

 

「いえ!このくらいは怪我の内には入りませんわ!」

 

「そうか?余り無理はするなよ?」

 

「ありがとうございます、ウィリアムさん。そうですわ、一夏さん」

 

「ん?」

 

「お、お誕生日おめでとうございます。それで、こちらを」

 

「何だこの箱」

 

「ぷ、プレゼントですわ。開けて下さいな」

 

「おう」

 

中からはキレイなティーセットが出てきた。

 

「おお?ティーセットだ」

 

「コホン!これはイギリス王室御用達のメーカー『エインズレイ』の高級セットでしてよ。それと、わたくしが普段愛飲している一等級茶葉もお付けしますわ」

 

「おお・・・なんか凄いな。サンキュ。大事に使うぜ」

 

「い、いえ、このくらい何でもありませんわ。それと、こちらはウィリアムさんの分です」

 

「え?態々俺の分まで?ありがとう。頂くよ」

 

中を開けると、高そうなコーヒーの粉が入っていた。

 

「ウィリアムさんはコーヒーがお好きと聞きましたので、喜んで下されば幸いですわ」

 

「ああ、これからのコーヒータイムが楽しみだよ」

 

さっそく次から飲み始めよう。

 

「二人ともここにいたか」

 

箒が歩み寄ってくる。

 

「お?箒。どうだ?食べてるか?」

 

「お前の誕生日だろう。それとも何か、私が普段から食べてはかりいるように見えるのか?」

 

「い、いや、そう言う訳じゃ・・・」

 

「ふふ、冗談だ」

 

箒がクスッと笑みを漏らす。

 

「一夏、誕生日プレゼントにこれをやろう」

 

そう言って袋を手渡す。

 

「おお?着物だ!」

 

「い、良い布が実家にあったのでな。仕立ててもらった」

 

「おー!今度着てみるよ。サンキューな、箒」

 

「う、うむ。それと、こっちがウィリアムのプレゼントだ」

 

そう言って袋を渡される。

中には質の良いタオルがキレイに畳まれて入っていた。

 

「お?タオルか。ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ」

 

「一夏、ウィル!」

 

シャルロットがやって来た。

 

「おお、シャル。これ、サンキュな。これから使わせてもらう」

 

そう言って一夏が取り出したのはゴールドホワイトの腕時計。なんでもかなりの高性能時計らしい。

 

「う、うん!大事にしてね!それから、ウィルには・・・はい、お誕生日おめでとう」

 

渡されたのはマグカップ。

 

「ありがとう。大切に使わせてもらうよ」

 

プレゼントを受け取る。

 

「おっと、俺も一夏に渡す物があったんだよ」

 

「ああ、俺もだ。誕生日おめでとう」

 

きれいな紙袋の中には、鳥の形のストラップが入っていた。

 

「ストラップか、ありがとう。それじゃあ俺からも、誕生日おめでとう」

 

そう言って一夏に箱を手渡す。

 

「随分大きいな。開けても?」

 

「どうぞ。気に入るかは分からないけどな」

 

「それじゃ、ご開封っと・・・おお?」

 

中からは出てきたのは航空機の観賞用模型。

 

「それはアメリカ軍が使っている戦闘機『F-15E ストライク・イーグル』という機体の模型だ。部屋にでも飾ってくれると嬉しい」

 

「おう!ぜひ飾らせてもらうよ。サンキュな」

 

「あ、そう言えばウィル。ラウラが後で庭に来てくれって言ってたよ」

 

「ん?分かった。ちょっと行ってくるよ。それじゃ」

 

「おう」

 

「うん、確かに伝えたからね」

 

俺はリビングを通って外に出た。

 

「お、遅い!」

 

「す、スマン」

 

「あ、ああ、いや、別に・・・私が勝手に待っていただけだ。前言を撤回する」

 

「ん?そうか」

 

前言撤回とはラウラにしては珍しいな。

 

「うぃ、うぃ、ウィル!」

 

「え?━━うおおっ!?」

 

いきなりナイフが首元を狙ってくる。咄嗟に後ろに飛び退いた俺だったが、よく見るとナイフは直前で止まっていた。

し、死ぬかと思った・・・!

 

「こ、このナイフをやろう!」

 

「・・・え?」

 

「誕生日プレゼントだ!私が実戦で使っていたものだ。切断力に長け、耐久性も高い。受け取れ!」

 

「お、おう!」

 

ラウラの手からナイフを受け取ると、付属の鞘も手渡される。

刃渡り20cm以上のそれは、明らかに軍事用のもので、ブラックメタルな外観が静かな威圧感を放っている。

言うまでもなく、『殺しの為の道具』だ。

 

「ん?」

 

「な、何だ!?」

 

「いや、このナイフなかなか格好いいなって思ってな。M9バヨネットとはまた違った感じだ」

 

「そ、そうか。ホルスターもなかなかだぞ。そら」

 

「サンキュー」

 

鞘にベルトを通すとそのままホルスターになる。

脇の下に配置するらしいそれは、最小動作で引き抜けるよう、ナイフの向きが真横になるようになっていた。

片手で軽くナイフをくるくると回してみる。

扱いやすいナイフだ。手にしっくりくる。

 

「せ、戦士が己の武器を渡すという意味を理解してだな・・・」

 

「ん?何か意味があるのか?」

 

「な、何でも無い!よ、用は済んだ!私はもう行くぞ!」

 

「あ、ラウラ」

 

「な、何だ!?」

 

「プレゼントありがとな」

 

「!?」

 

俺の言葉が以外だったのか、それとも純粋に照れているのか、ラウラはカーッと耳まで真っ赤になると「ふ、ふん!」と鼻を鳴らして行ってしまった。

それにしても、どんな意味があるんだ?

部屋に戻ると、鈴がみんなで遊べるボードゲームを広げていた。

こうして、楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていった。

 

 

「お、良かった。売り切れは無いみたいだな」

 

一夏の家から先よりの自販機。そこで俺は足りなくなったジュースの補給をするために、10本ほど缶ジュースを買っていた。

最初、主役にそんな事させるわけにはいかない!と言っていたみんなだったが、今日俺はパーティーに参加させてもらっている身で何もしてないので、志願したのだった。

 

「えーと、一夏がコーラで会長が缶コーヒー、箒がお茶、鈴がウーロン茶で・・・」

 

そう言いながら、取り出し口からジュースを取っては両腕に置いていく。

 

「ラウラがスポドリ、シャルロットがオレンジジュース、セシリアは紅茶だったよな?それから・・・」

 

人通りが無く、静かな道路を街灯がポツポツと照らしている。何か出てきそうな雰囲気だ。

俺が歩き出したところで、道の角から人影が出てきた。

暗くてよく見えないが、その人影は俺の通る道を塞ぐように立っていた。

・・・何だ?

 

「よう、クソガキ。また会えたなぁ」

 

「っ!?サベージか・・・!」

 

「まあ、挨拶はいいか。取り敢えず鮫野郎、てめぇは私が殺してやる・・・!」

 

そう言って拳銃を取り出し俺に向けてくる。

 

「っ!?」

 

クソッ!間に合わん・・・!

パァン!!

一発の銃声が轟いた。

 

 

 

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