空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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デイゼル・パットン准将 再び!

「しぃ~んあいなる重装・巨砲主義の同志諸君っ!この私を覚えているかねぇ?」


第67話

翌朝

 

何時も通りの時間に起きた俺は身支度を整えた後、昨晩の約束通り、二人分のコーヒーを作っている。

 

「ほら、熱いから気を付けろよ?」

 

そう言って、コーヒーをラウラに手渡す。

 

「ああ、ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

席についてコーヒーをゆっくりと啜る。

 

「流石は高級コーヒー豆。美味さが段違いだ」

 

「確かに、こんなに美味いコーヒーは飲んだ事が無いな」

 

初めて飲む高級コーヒーに、俺とラウラは舌鼓を打つ。

 

「セシリアに感謝しないとな」

 

「そうだな、今度何か礼をするとしよう」

 

因みに、二人揃ってカフェ・オ・レを飲んでいる。

 

「ふぅ、美味かった。そろそろ行くか」

 

「うむ、そうだな」

 

「満足したか?」

 

「ああ、美味いコーヒーだったぞ」

 

「そいつは良かった」

 

そう言いながら、俺達は自室を後にした。

 

 

「やっほー、織斑君。篠ノ之さん」

 

二時限目の休み時間、談笑している俺達の前に現れたのは2年の黛薫子先輩だった。

 

「あれ、どうしたんですか?」

 

「いやー、ちょっと二人に頼みがあって」

 

「頼み?私と一夏にですか?」

 

「うん、そう。あのね、私の姉って出版社で働いてるんだけど、専用機持ちとして二人に独占インタビューさせてくれないかな?あ、因みにこれが雑誌ね」

 

そう言って取り出したのは、ティーンエイジャー向けのモデル雑誌だった。

 

「あれ?これって・・・」

 

「この雑誌はIS関連とは関係無いのでは?」

 

どうみてもファッション関連の雑誌に見えるのだが・・・。

 

「えっとね、専用機持ちって普通は国家代表かその候補生のどちらかだから、タレント的な事もするのよ。国家公認アイドルって言うか、主にモデルだけど。あ、国によっては俳優業とかもするみたいだけど」

 

「そうなのか?箒」

 

「わ、私に聴くな!知らん!」

 

「生憎、俺もさっぱりだな」

 

ん?待てよ?そう言えばセシリアがイギリスでモデルしてたって前に言ってたな・・・。

一度、写真を見せてもらった事がある。

そこには見事にドレスを着こなすセシリアが写っていた。

そうなると一夏はタキシードか何かか・・・?

ブフッ!ヤベッ、想像すると急に笑いが・・・!

そんな事を考えていると、丁度そこに鈴がやって来た。

 

「なによ、一夏。モデルやった事無いわけ?仕方無いわね、あたしの写真を見せてあげるわよ」

 

「いや、いい」

 

「何でよ!」

 

バシンッと一夏の頭をはたく鈴。

 

「だってお前、変に格好つけてるんだろ、どうせ」

 

「な、何ですってぇ!?じゃあ見てみなさいよ!すぐ見なさいよ!今見なさいよ!」

 

携帯を取り出した鈴は、画像を呼び出して一夏の首を引っ張って強引に見せる。

 

「お・・・?」

 

「む・・・」

 

「ふむ・・・」

 

もののついでにと一緒に見た俺と箒も一夏と同じ様な反応をした。

携帯にはしっかりとカジュアルを着こなす鈴の姿が写っている。

 

「へぇ・・・。良いじゃん」

 

「なかなか似合ってるじゃないか」

 

「ふふん、そうでしょう、そうでしょう。あ、こっちは去年の夏の━━」

 

キーンコーンカーンコーン。休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

 

「そう言えば今日は部活派遣日だったよね?また来るから。それじゃあ!」

 

そう言って颯爽と立ち去る黛先輩。

しかし、鈴の方は写真を見せるのに夢中になっている様子だった。

 

「でねでね、こっちが━━」

 

ゴスッ!鈴の頭にグーが乗っかる。

 

「あいたぁ!?」

 

目を吊り上げながら振り向く鈴だったが、そこに立っていたのは当然の如く織斑先生だった。

 

「とっとと2組に帰れ」

 

「は、はい・・・」

 

すごすごと引き下がる何時ものパターンだった。

 

「さて、今日は近接格闘戦における効果的な回避方法と距離の取り方についての理論講習を始める」

 

そうして何時も通りの授業が始まった。

 

 

四時限目が終わり、今は昼休み。

さてと、飯食いに行きますか。

 

「ウィル、ちょっと付き合ってくれないか?」

 

「ん?」

 

席を立つと、一夏に声を掛けられた。

 

「「「おおお!!」」」

 

数人の女子が目をキラキラさせて立ち上がる。

おい、そこの女子諸君。一体ナニを想像したか正直に答えなさい。大丈夫、おじさん怒ったりしないから。

 

「飯か?別に構わないが━━」

 

「違うんだ。取り敢えず理由を話すからこっちに来てくれ」

 

「あ、ああ。分かった」

 

そう言って一夏の後についていった。

 

 

 

「━━と言う訳なんだよ」

 

「ふむ、会長の妹さんねぇ・・・」

 

「ああ、今度のタッグマッチで一緒に組んでやってくれって言われてな。まずはコンタクトからなんだが・・・」

 

「お前のISを作るのに人員を割かれたせいで、彼女の専用機が未完成。故にお前は良い印象を持たれていない、と・・・」

 

ちょっと理不尽な様な気もするが・・・。

 

「そうなんだよ。もうマッチまで時間無いし、早い事しないといけないんだが、さっき言ったように俺、あの娘に嫌われてるらしいし・・・」

 

「で、心細いから俺について来いと?」

 

「このとおりだ!頼む!」

 

手を合わせ、頭を下げて懇願してくる。

 

「・・・そうだな、仕方ない。ついて行ってやるよ」

 

まあ一夏には色々と世話になってるし、付き合ってやるか。

 

「ほ、本当か!?サンキューウィル!」

 

「ただし、教室の入り口までだからな?」

 

「おう!それだけで十分だ!」

 

「なら、さっそく行くか」

 

そう言って4組に向けて歩を進めた。

あ、でも一夏がその娘と組んだらあいつらが黙ってないんじゃ・・・ま、大丈夫だろ。

 

 

「よし、ここだ。4組」

 

「一夏、俺はここで待っとくから行ってこい」

 

「ああ、分かった。行ってくる!」

 

一夏が4組に入室すると、案の定、黄色い声が部屋中に響き渡る。

腕を組んでそれを傍観していると、俺に気付いたのか他の女子達が集まって来た。

 

「ああっ!1組のホーキンス君も一緒だ!」

 

「え、うそうそ!何で!?」

 

「まさか、織斑君と一緒に4組に来るなんて・・・!今日は人生最高の日だわ!」

 

「よ、4組に何か御用でしょうか!?」

 

どんどん人が集まってくる。・・・こいつは参ったな。

 

「ああ、いや、俺は一夏の付き添いで来ただけなんだよ」

 

俺が女子達の相手をしている間に一夏は会長の妹さんとのコンタクトに成功したようだ。

ここからでは何を言っているのかがよく聞こえないが、敵意がひしひしと伝わってくる。

しばらくすると、鈴が乱入してきた。

 

「見つけたわよ、一夏!」

 

そのままズカズカと彼の元に歩み寄って行く。

 

「アンタ4組で何してんのよ!来るんなら2組に来なさいよね!」

 

「ぐえっ!」

 

「いいから来なさい!」

 

「じゃ、じゃあ、更識さん、また。ウィル、ありがとな」

 

制服の襟首を掴まれ、そのまま連行されていった。

 

「・・・・・」

 

更識さんは特に返事をする事も無く、パクっとパンを一口かじるだけだった。

4組にポツンと一人取り残される俺。

それでも女子達のマシンガントークならぬガトリングガントークは止まらない。

飯食いたいのに・・・(泣)

憂鬱な気分に浸っていると、何者かに腕を掴まれた。

 

「ウィル、こんな所にいたのか。探したぞ」

 

「ん?ラウラか」

 

「取り敢えず1組に戻るぞ」

 

「あ、ああ。と言うわけで、この辺で失礼するよ」

 

「「「また来てね~!」」」

 

こうして、俺は無事ラウラに保護された。

 

 

 

「いやぁ、助かったよラウラ。危うく何も食えずに空きっ腹で午後の授業を受けるところだったぜ」

 

購買に行って買ってくる時間は無かったが、運良くポケットの中に入っていたカロリーメイトをかじる。

 

「それで?俺を探していた様子だったが、何か用か?」

 

「そうだ。ウィル、タッグマッチの相方は決めたか?」

 

「え?ああ、まだ決めてなかったな・・・」

 

「なら話は早い、私とタッグを組むぞ」

 

「俺は別に構わんが・・・」

 

「そうか、これが申請書だ。この欄にサインを」

 

カロリーメイトをボリボリと噛み砕きながら申請書の署名欄にサインする。

 

「よし、サイン完了だ。よろしくな」

 

「ふふん、任せておけ」

 

そう言って弾む足取りで自分の席に向かっていった。

ラウラが相方とはなんとも心強い限りだ。

そう思いながら、クッキーブロックの最後の欠片を口に放り込んだ。

 

 

「あ゛ぁ゛~疲れたぁ・・・」

 

部活派遣の仕事を終え、休憩スペースにて一人で休んでいると電話の着信メロディがなった。

 

「ん?なんだ?」

 

知らない番号だ・・・。

若干警戒気味で電話に出る。

 

「はい、ホーキンスです」

 

『おお!繋がったか。いやぁ~、良かった良かったぁ』

 

ん?この声、それに特徴的な言葉遣い・・・前に聴いたような・・・。

 

『私だぁ、パットンだぁ。久しぶりだねホーキンスくぅ~ん』

 

「え?じゅ、准将!?なぜ自分の携帯番号を!?」

 

『まあまあ。そんな事は別に良いじゃないかぁ~。それより、あの40mm砲はどうだったかね?』

 

自由人だなぁ・・・。

 

「はい、威力は申し分無く、とても頼りになりました」

 

『そうかそうか!それはなによりだ。やはり!重装・巨砲主義は正しかったのだぁ!そうだろう?みんな!』

 

『『『重装巨砲主義ばんざーい!!』』』

 

・・・なんか増えてる。あれから更に布教を続けたのか・・・。

 

『そこでだね。ホーキンスくぅ~ん』

 

嫌な予感がする。

 

「は、はい。何でしょうか?」

 

『君に新しく武装を送ろうと思ってね』

 

「」

 

やっぱりぃぃぃ!!

 

「は、はぁ。因みにどの様な武装ですか?」

 

『76mm砲だ』

 

・・・はぁ?

 

「申し訳ありません。もう一度よろしいでしょうか?」

 

『76mm砲だ』

 

「」

 

聞き間違えじゃなかったぁぁぁ!!

え?76mmってあれだろ?艦艇に搭載してる砲だろ!?今度はあれを使えと?腕が死ぬわっ!!

 

「さ、さすがにそれはぁ・・・」

 

『安心したまえ。今回も前回と同じく改良済みだ』

 

この人なら、その内127mm砲を載せるとか言い出しそうだ・・・。

 

「いや、そう言う問題では━━」

 

『見つけましたよ!准将!』

 

電話越しにトーマスの声が響く。

 

『な!?ホーキンス少佐、何故ここにぃ!?』

 

『あんだけデカイ声なら直ぐに気付きますよ!それより総員、パットン准将及びその信者を拘束せよ!』

 

『『『は!』』』

 

『な、何をする!?』

 

『反乱か!?』

 

『えぇい!大人しくしろ!』

 

バタバタと騒がしい音がスピーカーから聞こえる。

 

「えぇ・・・何?このカオス」

 

『少佐、准将殿を拘束しました』

 

『よし、よくやった』

 

『ハッハッハッ!遅かったなホーキンス少佐ぁ!既に新武装は学園に送った後だぁ!』

 

兵士に両肩を拘束されたパットンはドヤ顔でそう告げる。

 

『おお、流石は准将殿だ・・・!』

 

『我々に出来ない事を平然とやってのける!』

 

『そこに痺れます!憧れます!』

 

『ハッハッハッ!そうだろう?そうだろう?』

 

嘘ぉ!?俺の意志に関係無く送られてるの!?現在進行形で!?

 

『・・・ボートを用意しろ』

 

トーマスが静かに部下に命令する。

 

『え?ボート・・・ですか?』

 

『そうだ、一人乗りで良い。水と食糧を。責任は私が取ろう』

 

冷静に淡々と話すトーマス。

 

「あ、あのぉ。おじさん?」

 

『よし、連れていけ。・・・ハァ、スマンなウィリアム』

 

「いや、俺は大丈夫だが『ちょ!少佐!?まさか本気で私を島流しにする訳じゃあ━━』」

 

『いや、私の監督不十分だ・・・迷惑を掛けるな』

 

『少佐!?無視しないでくれ!』

 

「・・・・・」

 

『私はただ君の甥君にも正義(巨砲の素晴らしさ)を教えようとしただけではないか!』

 

「やっぱり俺にも布教する気満々だったのか・・・」

 

『・・・ウィリアム少し待っててくれ』

 

「あ、ああ。分かった」

 

『准将殿』

 

『お、おぉ!少佐、考え直して━━』

 

『・・・ギルティ(有罪)

 

トーマスはパットンに向けて親指を下に向けるジェスチャーをする。

 

『へ?』

 

『連れていけ』

 

『『『は!』』』

 

『し、少佐!?ちょっと待ってくれ!ノォォォォ!!』

 

おおぅ、えげつないねぇ。

 

『と言う訳だ。スマンが使ってやってくれ。一応改良済みらしいから、危険性は無いだろう』

 

「ハァ・・・了解」

 

『頼んだ。じゃあ、私は書類作業に戻る。元気そうで何よりだよ』

 

「こっちも久し振りに声が聞けて良かったよ」

 

『それじゃあ切るぞ?ああ、最後に。亡国の連中にはくれぐれも気を付けてな。一応こっちでも調べてはいるが・・・』

 

「分かった。それじゃ」

 

『ああ、そろそろ部下を止めんと、本気でやりかねんからな』

 

そう言って電話を切った。

 

『1年1組 ウィリアム・ホーキンス君。至急、職員室に来て下さい』

 

校内放送で呼び出される。

 

「ハァ、まだゆっくりとは休めないようだ・・・」

 

俺は重い足取りで職員室へ向かった。

 

 

 

 

 

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