今日は入学初日ということもあり、授業は早々に終わった。
この後セシリアに色々問い詰められのかと身構えていたが、何やら用事が有るらしく先に帰っていった。
俺は一夏と共にそれぞれ宛がわれた部屋に向かう。
「じゃあ、俺はこの部屋だから。また明日な」
「おう。スィーユー、一夏」
そう言って別れる。
部屋の内装は高級ホテルにも劣らない程だった。
荷物を降ろして、ベッドに寝転ぶ。
今日はとても内容の濃い一日だったな・・・。
なんて考えていると、遠くから一夏の悲鳴とドスッドスッドスッと何かを貫く音が聞こえた。
何事かと飛び起きて一夏の部屋へと向かうと、そこには顔を真っ青にした友人とそれを囲む女子生徒、そして孔だらけのドア。
・・・何だこの状況?
目の前の状況に困惑しているとドアが開いて中から袴姿の箒が出てきて一言「入れ」と言うと、一夏は大慌てで部屋に入っていった。
結局、一体何があったかも分からずこの場はお開きになった。
▽
翌朝、食堂で一夏と箒と共に朝食を食べていると、声を掛けられた。
「織斑君、ホーキンス君、隣良いかな?」
そこには、一組の女子三人が立っていた。
「え?あぁ、別に良いけど。ウィルも良いよな?」
「あぁ、ノープロブレムだ」
すると、嬉しそうにハイタッチして、一夏の隣に座る。
「わぁ、織斑君とホーキンス君て、朝すごい食べるんだ」
俺達の皿を覗き込みながら驚きの声をあげる。
「て言うか、女子は朝それだけしか食べなくて平気なのか?」
「わ、私達は、ねぇ?」
「う、うん・・・平気かなぁ・・・」
苦笑いしながら言葉を濁す女子二人。
「お菓子いっぱい食べるし!」
そう言って、元気な声を上げる着ぐるみパジャマの女子。
すると、今まで無言で朝食を食べていた箒が
「私は先に行くぞ」
と言って去って行った。少し不機嫌そうに見えたが・・・。
「織斑君って篠ノ之さんと仲良いの?」
「確か同じ部屋だって聞いたけど」
「ああ、幼なじみだからな」
「「「え?幼なじみ?」」」
「成る程、初日から仲が良いと思ったらそう言う訳だったのか」
「あぁ、小学1年の時に剣道場に通うようになってから、4年生まで一緒のクラスだったんだ」
懐かしそうに語る。
すると、織斑先生が食堂に入って来て、手をパンパンと鳴らした。
「いつまで食べているんだ?食事は迅速に効率良く摂れ」
彼女の声に食堂は静まりかえり、カチャカチャと音を立てながら大急ぎで朝食を掻き込む女子生徒達。
「私は1年の寮長だ。遅刻したらグラウンド10周させるぞ」
まるで軍隊のようだな。と思いながら俺は食器を返しに行った。
▽
一時限目
織斑先生が教卓に立つ。
「これより来週に行われる、クラス対抗戦に出る代表者を決める。クラス代表者は対抗戦だけでなく、生徒会や委員会の出席など、まぁ、クラス長と考えてもらって良い。自薦、他薦は問わない。誰か居ないか?」
成る程、クラス代表に選ばれたやつは責任重大だな。
「はい!織斑君を推薦します!」
「私もそれが良いと思います」
「私はホーキンス君を推薦します!」
・・・マジか、まさか俺と一夏が推薦されるとはな。
「お、おれ!?」
一夏が狼狽する。
「ふむ、織斑に二票、ホーキンスに一票。・・・他にはいないのか?いないなら票差によって織斑が代表だぞ」
「ちょ、ちょっと待った!俺はそんなn「納得いきませんわ!!」え?」
セシリアが机を叩きながら立ち上がった。
「そのような選出は認められません!男がクラス代表だなんて、いい恥さらしですわ!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえと言うのですか!?」
セシリアのタービンの回転数がどんどん上昇して行く。
「大体、文化としても後進的な国に暮らさないといけないこと自体わたくしにとっては耐え難い苦痛だと言うのに!よりにもよってその国の“男”が代表者だなんて最悪ですわ!!」
「おいおい、オルコット落ち着けよ━━」
「あなたもあなたですわ!『世界の警察』を謳っている“だけ”の威張り腐った国の“男”のくせに!」
・・・流石の俺も今のはカチンと来たぞ。
「とにかく!クラスの代表が男なのは反対です!」
「・・・言ってくれるな。イギリスだって━━」
「さっきから黙って聞いていれば、随分なもの言いだな」
「ウィル?」
一夏の言葉を遮って割り込む。
「イギリスだって紳士淑女ぶっているだけの古臭い国だろう。鰻のゼリー寄せ?スターゲイジーパイ?極めつけにはパンジャンドラムと来た。紅茶のキメすぎでクレイジーなんじゃないか?」
言ってやった。少しスッとしたが、言いすぎたか?
「なっ!?あ、あなた!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「お互い様だろう」
一夏と俺対セシリア。両者が睨み合う。
そしてセシリアが口を開いた。
「決闘ですわ!」
「あぁ、良いぜ。四の五の言うより分かりやすい」
「そうだな、望む所だ」
「態と負けたりしたら、わたくしの小間使い・・・いえ、奴隷にしますわよ?」
色んな意味で負けられないな。
「ハンデはどのくらい付ける?」
「は?・・・あら、さっそくお願いかしら?」
「いや、俺がどのくらいつけたらいのかなぁ?と」
教室中に笑い声が響く。
「織斑君、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、ISが出来る前の話だよ?」
「もし男と女が戦争したら三日保たないって言われてるよ?」
なにそれ、怖い・・・。しかし、いくら女性がISを使えても、三日で終わりはしないだろう。そんなのはただの誇張に過ぎん。
だが、彼女達が言ってる事にも一理ある。
「おい一夏、相手は代表候補生だぞ?分かってるのか?」
小声で彼を諭す。
「むしろわたくしがハンデをつけた方が良いのでは?と迷うくらいですわ。ふふ、日本の男子はジョークのセンスがあるのね。いっそ、お二人で芸人でも目指してはどうですか?」
イラッ
「おい一夏、手加減無しでやるぞ」
「あぁ、言われなくとも全力でやってやるさ」
「ねぇ、織斑君、ホーキンス君、今からでも遅くないよ。ハンデ付けてもらったら?」
「「必要無い」」
「えぇ・・・それは舐めすぎだよぉ」
「話は決まったようだな。それでは勝負は次の月曜、第三アリーナで行う。織斑、ホーキンス、オルコットの三名はそれぞれ用意をしておくように!」
こうして、各々が決闘に向けて意気込むのだった。