空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第69話

次の日の昼休み、俺とラウラは食堂に昼食を食べに来ていた。

 

「Yeah!(よっしゃあ!)今日は海鮮丼があるぞ!」

 

「お前は子供か。少しは落ち着け」

 

好物を見て興奮する俺を宥めるラウラ。これではどちらが大人(・・)か分かったものじゃない。

 

「確かにみっともなかったな、失礼」

 

そう言って席に座って昼食を食べ始める。

いざ箸を持って飯に手をつけようとした途端、ガタッ!と突然ラウラが立ち上がった。

 

「ど、どうしたんだ?ラウラ?」

 

「・・・どこかに、かき揚げをべちょ漬けしている不埒な輩がいる・・・!」

 

「は?かき揚げをべちょ漬け?」

 

「・・・っ!!そこかっ!」

 

目にも止まらぬ速さで走って行ってしまった。

 

「あ!おいラウラ!待てよ!」

 

慌ててラウラを追いかけると、テーブルの一つの前で止まっていた。

ん?あれは一夏・・・と更識さんか?なんとか食事の同席までは漕ぎ着けたようだな。

 

「おいラウラ、急に走るなよ。落ち着けって言ったのはお前だろ?」

 

「ウィル、邪魔をするな。私はこいつにかき揚げはサクサクが一番だという事を教えてやるのだ。べちょ漬けだと?軍法会議ものだぞ!」

 

「別にかき揚げをそのまま食おうが浸して食おうが他人の勝手だろうに・・・一夏も言ってやってくれ」

 

「そ、そうだぞ、ラウラ。別にべちょ漬けでm「違う・・・これは、たっぷり全身浴派・・・」」

 

「「えぇ・・・」」

 

まさかの新勢力に俺と一夏は困惑する。

 

「「・・・・・」」

 

ラウラと更識さんが火花を散らす。

 

「ハァ・・・ほら、ラウラ!さっさと帰るぞ!」

 

「なっ!?離せウィル!私はこいつに━━」

 

「と言う訳で、邪魔をしたな。一夏、それと君も」

 

「あ、ああ。気にするな」

 

「・・・私も、気にしてない・・・」

 

「そうか、それじゃあ失礼するよ。ほら、ラウラ帰るぞ来い」

 

「ウィル!何のつもりだ!?・・・まさかっ!お前もべちょ漬け派か!?」

 

「いや、俺は中立派だ。別にどっちで食っても構わんだろ?」

 

「ええい、離せ!裏切り者ぉぉぉ!!」

 

「はいはい、そもそも俺はお前の陣営に加わった覚えはないからな~」

 

ズルズルとラウラを引きずって行くウィリアムをポカンと見つめる二人だった。

 

▽

 

午後の授業も終わり、放課後。俺は第二整備室にて、バスター・イーグルを無人展開して、整備・調整をしていた。

2年と3年の先輩はもう直ぐでこちらに着くらしい。

 

「今の内に出来る事をやっておくか」

 

自機の自己診断装置を使って機体の簡易検査を行う。

 

「よし、異常無し」

 

そこへ一夏が更識さんと共に入ってきた。

更識さんは他にもいる専用機持ち達の解説をしながら一夏と一緒にこちらに向かっている。

あ、一夏とセシリアの目があった。

プイッとそっぽを向くセシリア。

 

「あーあ、完全に敵対視してるな、こりゃあ」

 

因みに鈴は会うたびに蹴りをお見舞いし、シャルロットに至っては「何かな、織斑君」と言い出す始末。一夏が可哀想に思えてくる程だ。

 

「お、ウィル!」

 

「よう、お二人さん」

 

「ホーキンス君と・・・それが『バスター・イーグル』?初めて見た・・・」

 

「ああ、これが俺のISだ。っと失礼。ウィリアム・ホーキンスだ。ウィル、ウィリアム、好きに呼んでくれ。よろしく」

 

「“更識簪”、よろしく・・・」

 

「さっきは食事中にすまなかったな。まさかラウラがああなるとは・・・」

 

「俺もあの時はビックリしたぜ」

 

「もう、気にしてないから・・・大丈夫・・・それより・・・」

 

「ん?」

 

「そのIS・・・初めて見るタイプ・・・」

 

「ああ、これは試作だからな。一応高速戦闘に重点を置いた機体だ。ま、戦闘機をちっこくした様な感じだな」

 

「それに、その顔のペイント・・・機体によく似合ってる・・・なんか、アニメの機体みたい・・・」

 

ほぉ、この娘とは美味いコーラが飲めそうだ・・・。

 

「まあ、これは俺の趣味だがな」

 

「けど実際、そのISにシャークマウスってよく映えてるよな。なんかウィルのトレードマークって感じだ」

 

「よし、一夏!今度俺がコーラを奢ってやる!」

 

「おお、サンキュ!っとそろそろ時間だから、また後でな!」

 

そう言って、一夏達は整備室の奥へと向かって行った。

 

「ふふ、大分打ち解けたようだな。良かった良かった」

 

そう呟く。

最初はどうなるかと思ったが、上手く行きそうでなによりだ。

 

「ごめ~ん、ホーキンス君!遅くなっちゃった!」

 

「わりぃわりぃ、遅れちまって。早速始めるとするか!」

 

どうやら先輩達が到着したようだ。

 

「はい、よろしくお願いします」

 

「よろしくね!」

 

そう言って来るのは、3年の“森岡早苗”先輩。

 

「おう、よろしくな!それで?どこを整備すりゃあ良いんだ?」

 

男勝りな口調と茶髪が目立つ女性、2年の“アメリア・モーガン”先輩が聞いてくる。

二人とも作業着の格好だ。

 

「そうですね・・・動翼と背部のブレーキとエンジンの点検・整備をお願い出来ますか?」

 

「それなら一度見てましょうか。アメリアちゃん」

 

「了解っ!腕が鳴るぜ!」

 

「それじゃあ、自分は他の部位を点検します」

 

こうして、三人は各々の仕事に取り掛かった。

 

▽

 

翌日 放課後のグラウンド

 

昨日は点検と整備だけで終わってしまったので、俺達はグラウンドで最終テストを行っている。

 

「よし、それでは今からエンジンのテストを開始します。危ないので下がっていて下さい」

 

「分かったわ。外部に異常が無いかはこっちで見とくわね」

 

「指示はこっちから出すから思いっきり噴かせよ!」

 

「了解です。それでは」

 

そう言って、何時もの手順でエンジンを始動させる。

エンジンが安定し始めてきた。

 

「よし、出力を最大に上げてくれ」

 

アメリア先輩が無線で指示を飛ばしてきた。

 

「了解」

 

言われた通り、エンジン出力を最大まで上げる。

 

・・・ゴォォォォォオオオオオ!!

 

轟音と共にノズルから青い炎が吐き出される。どうやらエンジン出力の問題は無いようだ。

 

「よし、問題無しっと。次はベクタードノズルを動かしてくれ」

 

言われた通り、ノズルをランダムに動かす。

 

「よし!エンジンテストはクリアだ!」

 

「外部の異常も無かったわ」

 

「ありがとうございます」

 

「じゃあ最後に動翼とブレーキの動作確認をして終わりにしましょう」

 

「分かりました」

 

動翼とブレーキをパタパタと動かして見せる。

 

「うん、異常無しよ。お疲れ様」

 

「ありがとうございました」

 

「おう、お疲れ様。また何かあったら言ってくれよな!」

 

「はい、またよろしくお願いします」

 

そう言って二人を見送った後、俺もグラウンドを後にした。

 

▽

 

制服に着替えて夕食を終えた後、自室に向かっている途中。

ドンッ!

 

「うおっ!?」

 

曲がり角で誰かとぶつかった。

 

「スマン、大丈夫か?って君は・・・」

 

「うぃ、ウィリアム君・・・?」

 

ぶつかった相手は目尻に涙を浮かべた更識さんだった。

 

「・・・何かあったのか?」

 

「・・・・・」

 

更識さんは無言でコクリと頷いた。

 

 

 

「・・・成る程な」

 

どうやら偶然にも一夏と会長の会話を聞いてしまったようだ。まあ、俺も一枚絡んでいるのだが・・・。

 

「君の機体開発に使われた稼働データは一夏のものでは無く、会長のデータだったと・・・」

 

それは俺も初耳だ。だが、姉に追い付く為に必死で機体開発をしていたのに、その機体に姉のデータが使われたと知ってしまった時のショックは計り知れないだろう。

 

「・・・やっぱり、私は無能なままでいろって・・・事なのかな・・・?」

 

「・・・少なくとも彼女はそんな事など微塵も思っていないという事だけは言い切れるな」

 

ただ、超が付く程に不器用なだけだろう。

 

「一夏だってそうだ。君に接していたのは紛れも無く演技なんかじゃあ無い。聞けば昨日の試運転時の事故の際、身を呈して君を庇ったそうじゃないか。上っ面だけの奴がそんな事出来るか?」

 

一夏が更識さんを庇って、中央タワーの外壁に突っ込んだ。という事を昨日の話し合いの時に聞いた。その時は会長と二人で驚いたものだ。

 

「ま、やり方は些かアレだが、君の事を思っての行動だろう」

 

「・・・私の、事を・・・?」

 

「上手くは言えないがそう言う事だ。一度しっかりお姉さんと話してみると良い。・・・さて、明日はタッグマッチ当日だろ?そろそろ寝た方が良い」

 

「うん・・・分かった。ありがとう・・・」

 

そう言ってくる彼女の顔には涙のシミが二筋。しかし、泣きそうな顔はもうどこにも無かった。

 

「気にするな。前に俺の相棒を誉めてくれた軽い礼だよ」

 

そう言って今度こそ自室に帰った。

 

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