空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第71話

大急ぎでISスーツに着替えた俺達は、そのまま全速力で外へと続く長い通路を駆けていた。

揺れの間隔からして敵は複数・・・何機だ・・・!?

その時

ズドォオオオオン!!ガラガラガラ!

どうやら至近弾が命中したようだ。そのせいで、天井の一部が俺と一夏を隔てて崩れてきた。

 

「ウィル!大丈夫かっ!?」

 

瓦礫越しから一夏の声が聞こえる。

 

「大丈夫だ!それより、お前はその道を真っ直ぐ走って外に出ろ!俺は別の道から行く!」

 

「分かった!気を付けろよ!」

 

「お前もな!」

 

そう言って別々に走って行く。

 

「くそっ!迷路みたいに入り組みやがって!」

 

悪態をつきながら、走り続ける。

その時、十字路の右の方角から声が聞こえた。

声の方に進むと、数名の女子達が集まっていた。

 

「どうしたんだっ!?」

 

声を掛けると、数人の女子がこちらを向いて驚いた顔をした。

 

「あ、あなたは・・・」

 

「・・・ホーキンス君?」

 

「早くシェルターに急がないとここも危ないぞ!」

 

俺の言葉に女子達は眉を八の字に曲げる。

 

「それが、さっきの衝撃で配電盤の一部が壊れて扉が開かないの・・・」

 

見ると、確かに扉は固く閉ざされており、何人かの女子が叩いているが、ビクともしない。

 

「・・・仕方ない。みんな少し下がってろ!」

 

ISを展開し、手元に76mm砲を呼び出す。

 

「ほ、ホーキンス君?何を・・・?」

 

「少し派手に行くぞ・・・!全員俺の後ろに隠れて耳を塞いでろ!」

 

女子達は俺が何をするのかを察し、急いで下がって行く。

 

「っ!!」

 

ダァン!

発射された砲弾は分厚い扉を食い破り粉砕した。

飛び散った破片が俺に降り注ぐ。

 

「よし、開いた!怪我人は?」

 

「誰もいないわ!」

 

「なら急いでシェルターに向かうんだ。行き方は分かるか?」

 

「大丈夫、もう直ぐそこだから。本当にありがとう」

 

「「「ありがとう!」」」

 

女子達が口々に礼の言葉を告げてくる。しかし、ここで照れている暇など無い。

 

「どういたしまして」

 

そう言い残して、俺はまた走り出した。

 

「ダメだ・・・どの通路も完全に塞がれてる。何か他に出口は・・・」

 

走りながら策を考える。

・・・そうだ!アリーナなら、アレが使えるかもしれん!

 

「善は急げだ!」

 

そう言って、通路横の案内板を頼りに目的地へと急ぐ。

 

目指すはアリーナ上部のピット━━そこにあるカタパルトだ。

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・やっと、着いた・・・」

 

階段を駆け上がり、ひたすら走り続けてようやくピットに到着した。ピットのコントロールルームに入る。

 

「先生!」

 

俺はコントロールルームにいる教員の一人━━“ミラーナ・レヴィツキー”先生の元に向かう。

因みに彼女はロシア出身、数学Ⅱ担当。23歳。絶賛彼氏募集中だ。

 

「ホーキンス君!?あなたこんな所で何を━━」

 

「それより、あのカタパルトは使えますか!?」

 

先生の言葉を遮って、カタパルトが使用可能かを問う。

 

「使えるけど・・・」

 

「ならそれで今すぐ俺を撃ち出して下さい!」

 

「ダメよ!今教員部隊が向かっているわ。あなたもシェルターに━━」

 

「レヴィツキー先生。織斑先生から通信です!」

 

そう言って来るのは、2年の整備科、機械科工学担当の“佐藤美緒”先生。同じく23歳。

 

「ちょっと待って。はい、レヴィツキーです。はい、今ここにいます。はい・・・分かりました。ホーキンス君、織斑先生が替わって欲しいって」

 

「はい、替わりました。ホーキンスです」

 

『ホーキンス、先程襲撃してきた五機の無人機とは別にもう二機の反応を確認した。敵機と見て間違いないだろうが、教員は手が塞がっていて対処出来ない。他の専用機持ち達もだ。・・・こんなことを生徒に頼むのは間違っているが、頼めるか?』

 

「勿論です!」

 

『そうか・・・すまない、迷惑を掛ける・・・』

 

「気にしないで下さい。それでは」

 

そう言って通話機をレヴィツキー先生に返す。

 

「はい、了解しました。・・・聞いての通り、織斑先生から許可が出たわ。けど無理は禁物よっ!」

 

真剣な眼差しでそう言って念をおしてくる。

 

「しっかり留めておきます」

 

「それなら、直ぐにISを展開してカタパルトに接続して頂戴」

 

「分かりました!」

 

そう言って部屋を出た俺は直ぐ様ISを呼び出して、カタパルトと接続する。

エンジン回転数も安定してきた。

 

「よし、カタパルト接続完了。全項目チェック完了。現在射出待機中」

 

ヤーパニマーユ(分かったわ)!それじゃあ、撃ち出すわよ!』

 

「了解!」

 

そう言うや否や、軽い衝撃の後、俺はカタパルトを滑る様に撃ち出された。

 

「こちらホーキンス。無事離陸しました」

 

『こっちでも確認したわ』

 

スパシーバ(ありがとうございます)。レヴィツキー先生」

 

ふざけてロシア語で礼を言ってみる。

 

『ふふ、生意気な生徒ね。気を付けて行ってらっしゃい』

 

「分かりました」

 

そう言って、俺はレーダーに映る光点の方角に飛んで行った。

 

 

 

「見つけたぞ・・・!タリー、ツーバンディッツ(敵性航空機二機を捕捉)

 

ハイパーセンサーで、二機の機影をしっかりと確認した。

ソレはまるで尻尾の無いエイの様な見た目だった。機体の機首に当たる部位には『Saber7』と刻印されている。

 

「・・・セイバー7?あの機体の名称か」

 

敵機がミサイルを発射する。

 

「アクーラ、エンゲージ(交戦)!」

 

フレアを撒きながら回避行動に移り、そのまま相手の後ろに付く。

しかし、敵も簡単にはやられてくれない。ミサイルをロックして発射すると、無人機特有の妙な機動でかわされてしまった。

そのまま俺を振り切ろうと、速度を上げる二機のセイバー。俺はそれを逃がすまいと、ピッタリくっついて離さない。

そんな追いかけっこをしていると、アリーナの上空を通過した。

 

「っ!あれは・・・!」

 

一夏と更識さんだ。二人は襲撃機と戦っている。他のみんなも別の襲撃機と戦っている様だ。

 

「こっちも早く片付けて援護しに行かないと・・・」

 

そう言いながら、ロックオンカーソルをセイバーの一機に合わせようとしたその刹那━━

 

「っ!」

 

二機の無人機は阿吽の呼吸とも言える動きで急減速し、俺の後ろに回った。

今度はこちらが追われる番となる。

 

「チッ!離れろよっ!」

 

乾いた電子警告音が鳴り響く。

俺はミサイルをロックされないように回避機動を取りながら、逆転の隙を窺うが、隙の『す』の字もありはしない。

何か形勢逆転をする方法は・・・!?

ISスーツ越しに嫌な汗をかきながら、必死に考える。

 

「っ!!そうだ・・・!あの方法なら!」

 

一つの案が浮かんだ。一か八かの賭けだがやってみる価値はある。

 

「よし、しっかり付いて来いよ!!」

 

俺は後ろに二機のセイバーを引き連れて、急上昇して行った。

 

 

コントロールルーム

 

 

「ホーキンス君?一体どこへ・・・?」

 

ミラーナが呟く。

 

「・・・恐らく飛行限界点です」

 

美緒がそれに答える。

ジェットエンジンは運用の際、大量の空気(酸素)を必要とする。しかし、現代のジェット戦闘機の飛行限界点は高度37km、これでも空気の薄い高高度を超音速で飛行するために作られた戦闘機だけが成し得た記録だ。では、通常の戦闘機や無人機では?恐らく大半が酸素不足でエンジン停止に追い込まれるだろう。ましてや、あのセイバー機は見るだけでも高高度での戦闘は想定されていない。ウィリアムはそれを踏まえて賭けに出たのだ。

しかし、それは同じくジェットエンジンが大半の推力を生み出しているウィリアムのISも同じだ。

 

 

後少し、後少しで飛行限界点だ!

━━警告、エンジンコンプレッサー停止

電子音声と共にWARNING!の文字が映し出される。

しかし、それを無視して上昇を続ける。

そろそろか、あいつらはどうなった?

そう思いながら、後ろを確認する。

そこにはエンジンが停止し、推進力を失って自由落下を始める二機がいた。

 

「ビンゴ!予想通りだ!」

 

彼の予想は見事的中した。

 

バチッ!ビチッ!キイイィィィィィィィィ・・・

 

同じくウィリアムのISもコンプレッサーが完全停止し、エンジンが止まってしまった。

排気ノズルからパッパッと数回炎を吐いた後、真っ逆さまに落ち始める。

しかし、ウィリアムは動じず冷静に攻撃の用意をし、ヒラヒラと木の葉の様に落ちて行く敵機の一機目にカーソルを合わせる。

QAAM(高機動空対空ミサイル) RDY』

━━発射。

一機目を撃墜した。

続いて残る一機にもロックし、ミサイルを発射。

敵は小さな鉄片となって落ちていった。

セイバー二機を叩き落としたウィリアムは墜落を防ぐため、PICと補助翼を使って体勢を立て直す。

 

「よし、全機撃墜!」

 

索敵レーダーにも何も反応していない。

周囲の安全を確保した俺は、一度学園に戻る事にした。

 

 

 

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