空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第72話

学園の上空に戻っている最中、ウィリアムはコントロールルームの回線に繋ぐ。

 

「レヴィツキー先生、今しがた敵性反応の二つを撃墜、無人戦闘機でした。そちらで確認出来ますか?」

 

『ええ、こちらでも確認したわ。ちょっと待ってて。今織斑先生に繋ぐ』

 

レヴィツキー先生が、織斑先生への回線の用意をする。

 

『織斑だ』

 

「織斑先生、ホーキンスです。反応のあった二つを撃墜しました」

 

『そうか。二対一でよくやってくれた。続けざまにすまないが織斑達の増援に向かってくれ』

 

「了解です」

 

そう言って交信を終え、一夏達の元に急行した。

 

 

一夏と簪は、先程襲撃してきたゴーレムⅢの内の一体と交戦していた。

そこへ、別のゴーレムⅢと交戦していた箒と楯無が合流する。

しかし、ここで事態は急変。

ゴーレムのブレードによって斬られそうになった簪を楯無が庇ったのだ。何とかそのゴーレムは破壊したが、楯無が戦闘不能の重症を負ってしまった。

残ったゴーレムⅢは一夏にターゲットを絞り、容赦なく攻撃を仕掛ける。

振り下ろされたブレードを力押しでどけた一夏は、そのまま全力で無人機に斬りかかった。

 

「くっ・・・!浅かったか!」

 

致命傷を与えられなかった事に焦った彼は、つい深く踏み込んでしまった。

 

「一夏!危ない!!」

 

箒が大声で怒鳴るが、反応が遅れた。

ゴーレムⅢはその巨大な左腕を向けて、超高密度圧縮熱線の発射態勢を取る。

まずっ・・!間に合わない!

ゴーレムⅢの掌がオレンジ色に輝き、ビームが発射され、一夏に直撃する━━筈だった。

 

シュッ!ドォン!

 

突如高速で何かが横切り、ゴーレムⅢの左腕が爆発した。

その爆風に煽られ、明後日の方角にビームを放ちながら吹っ飛ぶゴーレムⅢ。

 

「な、何だ?一体誰が・・・!」

 

一夏達が驚いた様子で、辺りを見渡す。

 

「━━スマン、遅くなった!」

 

無線から聞き慣れた声が聞こえる。

 

「ウィル!」

 

彼らの頭上には轟音を響かせながら、ウィリアムが浮遊していた。

 

「さっきその無人機共とは別の奴の相手をしていたんだ!それより会長は無事なのか!?」

 

「・・・大丈夫・・・この通り生きてるわ・・・」

 

会長の声は弱々しいが、無事のようだ。

 

「良かった・・・今から俺も加わる!さっさと片付けちまおう!」

 

しかし、それを会長が制止した。

 

「・・・待ってウィリアム君。こっちは大丈夫だから、あなたはラウラちゃんとシャルロットちゃんの所へ行って。あそこでは今二人が戦っているの。けど時間の問題よ。早く助けに行ってあげて」

 

「っ!!了解、直ぐに向かいます」

 

そう返事をした後、一夏達に振り返る。

 

「一夏!ここは頼んだぞ!」

 

「おう、任せとけ!絶対に勝つ!それと、ウィル、気を付けろ。こいつらの攻撃はシールドを破ってくるぞ!」

 

「分かった!留意する!」

 

俺はラウラ達がいる場所へ向かった。

無事でいてくれよ・・・!

 

 

「くっ!こいつ・・・!」

 

見た目に違わぬ機動力で、ヒラリヒラリと攻撃がかわされる。

そして、ゴーレムⅢは空かさずラウラに肉薄し、その巨大な腕で彼女の頭を万力のように掴んできた。

メキメキと悲鳴を上げる頭部ハイパーセンサー。そしてうるさいくらいの警告表示。

ラウラはとにかく拘束から抜けようと左腕のプラズマ手刀を展開した。

腕ごと断ちきってくれる!

そう思うと同時の高速斬り上げだったが、それはゴーレムⅢの右腕のブレードに阻止された。

 

「何っ!?」

 

━━まずい!

そう思った瞬間、しかし頼もしい声が聞こえた。

 

「ラウラ!」

 

シャルロットだった。その左腕部から69口径パイルバンカー《灰色の鱗殻(グレート・スケール)》を飛び出させている。

 

「このぉっ!!」

 

ドズンッ!

激しい音を立てて、ゴーレムⅢの腕が離れる。

しかし、手が離れる瞬間、その掌の砲口から、高密度の熱線が放たれようとするのを見た。

 

「シャルロット!」

 

「伏せて!」

 

ラウラとゴーレムⅢの間に体を滑り込ませたシャルロットは得意の『高速切替(ラピッド・スイッチ)』で物理シールドを三枚重ねて呼び出した。

 

「くぅっ・・・」

 

強固な物理シールド、それが三枚重ねですら防ぎきれず、ビームがシャルロットに襲い掛かった。

 

「しゃ、シャルロット!!」

 

「だ、大丈夫・・・だけど、リヴァイヴが・・・」

 

シャルロットのISが戦闘不能に陥ってしまった。

 

「・・・許さん。貴様ぁぁぁっ!」

 

バッと左目の眼帯をむしり捨て、AICをフルパワーでゴーレムⅢに放った。

 

「━━━━━」

 

ピシリと凍り付いた様に動きが止まる。

 

「砕け散れぇぇぇぇ!」

 

大口径リボルバーカノンの高速連射。轟音と爆音が鳴り響く。

 

「うおおおおっ!」

 

「ラウラ、ダメ!下がって!」

 

シャルロットの呼び声は遠く、ラウラはその声を聞くよりも前に一瞬で距離を詰めて来たゴーレムⅢに驚愕する。

 

「《瞬時加速(イグニッション・ブースト)》!?しかもこの出力は━━」

 

ゴーレムⅢはその右腕を大きく振り上げる。

 

「ラウラぁぁぁぁっ!!」

 

シャルロットが叫ぶ。

そして、巨大なブレードがラウラに振り下ろされる刹那━━

ガギッ!

ウィリアムが割って入ってきて、それを受け止めた。

 

「なっ!?ウィル!?」

 

「なんとか間に合ったか・・・!」

 

ウィリアムの『スコーピオン』とゴーレムⅢのブレードがギリギリッという音を立てて鍔迫り合う。

 

「チッ!」

 

ゴーレムⅢが空いたもう片方の腕を伸ばして俺を鷲掴みにしようとしてきたので、腹を蹴飛ばして離れる。

 

「危なかった・・・大丈夫か?ラウラ」

 

「あ、ああ。助かった」

 

「良かった・・・。シャルロットは?」

 

「大丈夫。けど酷くやられちゃって戦闘には加われそうにないよ・・・」

 

「無事ならそれで良い。後は任せてくれ。ラウラ行けるか?」

 

「問題無い」

 

「上等だ。行くぞ!」

 

俺は機銃を、ラウラはリボルバーカノンを撃ちながら、ゴーレムⅢに突撃した。

 

 

 

ゴーレムⅢと交戦を始めてからどれ程の時間が過ぎたのだろうか。ウィリアムとラウラの顔には疲労が色濃く見える。

と言うのも、このゴーレムⅢ。高機動、高火力に加え、あり得ない硬さなのだ。

 

「畜生・・・!こいつ硬すぎる!」

 

ミサイルを発射しても、しなやかな動きでかわされる。撃つだけ無駄だ。

それならと、高火力・高初速の76mm砲を頼ってみるが、これも当てられない。

仕方なく30mm機銃に頼っているのが現状だ。

 

「バカみたいに硬いくせして速いなんて詐欺だな・・・!」

 

その時━━

ガチッ!空薬莢が詰まってしまった。

 

「しまっ━━グアッ!?」

 

ゴーレムⅢに脚を掴まれ、そのまま無人のピットへと投げ飛ばされ、叩き付けられた。

 

「ウィル!早く体勢を立て直せ!」

 

そう言ってラウラが俺の所に飛んでくる。

 

「ラウラ!こっちに来る・・・なっ!?後ろだっ!!」

 

俺の元へと飛んでくるラウラの後ろ━━そこには、ラインアイを不気味に光らせたゴーレムⅢがあり得ない早さで彼女に接近し、その右腕を引いて刺突の構えを取っていた。

 

「っ!?」

 

ラウラの反応が一瞬遅れる。

そして、無情にもブレードは突き出された。

 

 

ズサッ・・・

 

「━━え?」

 

しかし、突き出されたブレードは、ラウラの体には届かなかった。

その前に現れた影が、庇うようにラウラの前に飛び出たのだ。

 

「ウィ・・・ル・・・?」

 

影は、ウィリアムだった。

咄嗟の判断で飛翔し、彼女を守ったのだ。

刺された傷口から鮮血がISの装甲を伝ってボタボタと滴り、小さな血溜まりを作る。

 

「グゥッ・・・」

 

そのまま、ぼろ雑巾の様に振り落とされた。

 

「ウィル・・・ウィルっ!!何故・・・こんな・・・!」

 

「・・・ハハ、決まってるだろ。そりゃあ・・・━━」

 

糸が切れた様に、ウィリアムから力が抜けた。

ギロリ、とラウラはゴーレムⅢを睨み付ける。

 

「貴っ様ぁぁぁぁっ!!」

 

激情に身を焼かれたラウラは両腕のプラズマ手刀を展開し、ゴーレムⅢ目掛けて突撃した。

 

 

「・・・ろ」

 

誰かの声が聞こえる。

 

「・・・きろ・・・起きろ!」

 

「ハッ!?」

 

何者かの声で、ウィリアムの意識は覚醒した。

 

「ここは・・・?」

 

辺りを見渡すと、蒼い空が広がり、周りは地平線に囲まれている。

そして、目の前に立っているフライトスーツを着た男。

 

 

「よう、相棒。まだ生きてるか?」

 

 

その男に声を掛けられた。

 

「相棒・・・?」

 

確かにその人物はそう言ったのだ。

初めて会った筈なのに、初対面ではないような感覚・・・。

 

「おいおい、分からないのか?俺だよ俺!」

 

こんな知り合いが俺にいたか?

そう思い、眉をひそめる。

 

「ハァ・・・まあ仕方ないか。ならこれでどうだ?これなら見覚えがあるだろ?」

 

そう言って見せてくるのは、二つのワッペンだ。

 

「なっ!?」

 

見間違える筈が無い。そこにはかつて俺が乗っていた戦闘攻撃機バスター・イーグルのワッペン。

そしてもう一つは━━

 

「ウォーバード隊の・・・部隊章・・・!?」

 

何故、この男が持っている?

まだ混乱している俺に、男は更に衝撃的な一言を告げた。

 

「型式番号、FSu-72E・・・」

 

「っ!?!?」

 

頭が一気にクリアになった。

 

「これで俺が何者か分かったか?」

 

ニヤリと笑いながら聞いてくる男。いや━━

 

「お前、まさか・・・!」

 

「そうだ。俺がバスター・イーグルだ。初めまして(・・・・・)。と言うべきか?ホーキンス中佐。いや、『アクーラ』」

 

まさか・・・いや、そんな・・・!

 

「いやぁ、まさかあの時敵の巡洋戦艦に体当たりしたと思ったらこんなところでISとか言うやつになってたから驚いたぜ」

 

この出来事は俺しか知らない筈だ。と言う事は・・・。

 

「やはり、本当にあの(・・)バスター・イーグルなのか・・・」

 

「だからそう言ってるだろ。ま、今はISだがな」

 

・・・そう言えば、随分前に授業で習ったな。ISには意識に似た様なものがあるって・・・って!そんな事は今はいい!

 

「ラウラは!?あの無人機はどうなってる!?」

 

目の前の相棒に詰め寄る。

 

「今も戦闘中だ。だが、このままじゃジリ貧だな」

 

「クソッ!早く何とかしないと・・・!ここから出るにはどうすれば良い!?」

 

「方法は簡単だ。だが、お前は重症。これ以上戦ったら最悪死ぬぞ?良いのか?」

 

『死』この単語が頭を過る。

 

「・・・死ぬ気は無い」

 

「・・・・・」

 

相棒は無言で聞いてくる。

 

「ラウラを助けて、俺も生き残る・・・!」

 

ハッキリとそう告げる。

 

「よし!よく言った!それでこそ相棒だ!」

 

ゆっくりと視界が白み始める。

 

「それにしても、まさか万年独身の中佐殿に好きな娘が出来るとはなぁ」

 

「な、何を━━」

 

「好きなんだろ?あの娘の事」

 

「っ!?」

 

顔が熱くなった気がした。

 

「アッハハハハ!!これをお前の同僚がみたら爆笑するどころか呼吸困難でひっくり返っちまうな!」

 

「や、やかましい!」

 

「題名は、そうだな・・・『四十路前の空軍中佐、学生に手を出す』ってか?」

 

「うるせぇ!俺は今16歳だ!」

 

「好きは否定しないんだな。クフフッ」

 

「・・・言い返すのに疲れただけだ」

 

だが事実、こいつの言う通り、俺はラウラの事が好きだ。

何時からだろうか。あの日、唇を奪われた日?それとも二人で出掛けた日だろうか?

 

「行ってこい!」

 

「おう!」

 

とにかく、今はあいつを倒して、ラウラを助けるのが先だ。

 

「後で告っちまえよ」

 

そんな相棒の声を最後に、俺の視界はホワイトアウトした。

 

 

「貴様はっ!貴様だけはぁぁぁぁ!」

 

プラズマ手刀の高速連撃を繰り返すラウラ。しかし、彼女の攻撃は右腕のブレードで防がれ、左腕で首を掴まれた。

 

「ぐっ!かはっ・・・!」

 

「━━━━━」

 

ゴーレムⅢはどんどん握力を強めていき、今度こそと言わんばかりに右腕を上げる。

━━真横から急接近する影にも気付かずに。

 

「・・・ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!

 

「━━━━━!?」

 

大きな振動の後、メギョッというフレームの歪む音と共にゴーレムⅢの手からラウラが解放された。

ゴーレムⅢ自身は横から割って入ってきた黒い影と共に高速で壁に突っ込み、何かの破片が落ちる音と煙が猛々と上がる。

あの特徴的な影の形を見間違える筈が無い。

 

「ケホッケホッ・・・ウィル・・・!?」

 

咳き込みながらラウラがそう呟く。

ウィリアムがゴーレムⅢに向けて最大出力でタックルを仕掛けたのだ。

 

「たかが腹を刺したくらいで、仕留めた気になるなよ・・・!フンッ!」

 

振り上げようとしていたゴーレムⅢのブレードを踏み砕いた。

それならばと今度は左腕の砲口を向けてくる。

しかし、『スコーピオン』を砲口にねじ込まれ、使用不能になった。

 

「これでお前の自慢の武装は潰した。この距離なら・・・!」

 

右手に76mm砲を呼び出す。

 

「━━!━━!」

 

最期の悪足掻きで、使い物にならなくなった左腕を振り回して俺を殴ってくる。

バキッ!と、バイザーが割れて、その破片で右頬を少し切った。

 

「ぐっ!てめぇなんざ・・・!」

 

光を反射して鈍く照り返す76mm砲を高く振り上げる。

 

 

 

一発あれば十分だぁぁぁっ!!!

 

ゴーレムⅢのラインアイに勢い良く突き刺し、引き金を引いた。

 

ダァンッ!

 

先程までもがいていたゴーレムⅢは頭部を粉砕され、その機能を完全に停止すると同時に漏れ出た燃料か何かに引火。静かに燃え始めた。

 

「ハァ、ハァ、ハァ。火葬があるだけマシだと思えっ・・・!」

 

ギギギッと装甲を軋ませながらその場で膝立ち状態になってISを解除する。

 

「ああ畜生。いてぇ・・・」

 

「ウィル!」

 

ラウラがISを解除して駆け寄ってくる。

 

「ラウラか。無事か?まったくお前は本当に危なっかしい事をするな・・・」

 

ラウラがその潤んだ両目を吊り上げる。

 

「どの口が言うか馬鹿者!!・・・もっと自分を大切にしろと━━」

 

「言われたよ。けどな、それよりもお前の方がずっと大切なんだ」

 

ラウラが目を見開く。

 

「そ、それはどう言う・・・!?」

 

頭の中で、『今を逃せば次は分からないぞ』と言われた様な気がした。

・・・よし!

 

「スゥー、ハァー。この機会だから言っておくぞ・・・!」

 

「何をだ?」

 

 

「━━俺は、ラウラのことが好きだ」

 

 

「っ!?!?」

 

ラウラの顔がボンッと赤くなる。

意識が朦朧としているからなのか、案外簡単に口に出来た。

そんな事をしている暇があるなら、さっさと治療しに行け。だって?まあ待てよ、あと少しだから。

 

「い、今何て・・・」

 

「俺は、ラウラが、好きなんだ」

 

ラウラが口をパクパク、俺は心臓をバクバクさせている。

 

「・・・夢じゃ、ないのか?」

 

「ああ、こんな時間から目を開けて眠れる程に器用じゃなけりゃな」

 

「本当に・・・私が・・・?」

 

普段からウィリアムに絡んでいたラウラだが、いざこういう状況になって心配になってきたのだ。

 

「自分で言っておいてなんだが、色気の無いやつだぞ?それに、私のせいでお前は怪我を・・・」

 

そう言う彼女を優しく抱き締めて口を開く。

 

「そう自分を卑下するなよ。それに、俺はちゃんと生きてる。もう引きずるな」

 

「あ・・・」

 

映画とかで『こいつ、よくこんな恥ずかしいことを平然と出来るなぁ』と思っていたが、まさか自分がやるとは思ってなかったウィリアム。

だが、冷静に自分が何をしているのかをよく考え直した瞬間、顔が熱くなるのを感じた。

 

「その、つまりだな・・・ぐっ」

 

身振り手振りをすると、腹部に激痛が走る。

 

「ふふ、相変わらずなやつだ。とにかく止血しよう」

 

「そ、そうだな。このままじゃ失血死しちまう」

 

「目の前で伴侶が失血死なんてしたら最悪だ。これでここを押さえていろ。医務室まで運ぶから肩を」

 

「ああ、頼む。・・・どうやら他の所も片付いた様だな」

 

さっきまで気付かなかったが、このアリーナ以外からの爆音も聞こえなくなっている。どうやら無人機は全て破壊されたようだ。

 

「その様だな。さ、早く行くぞ」

 

「いつつっ・・・!痛覚があるのは生きてる証なんてよく言うが、これは流石にきついな・・・」

 

こうして、一連の襲撃事件は幕を閉じた。

 

 

医務室

 

時刻は夕方。部屋の白い壁はオレンジ色に染まっていた。

患者用のベッドでは、ウィリアムが静かに寝息を立てている。

事件の後、ウィリアムを医務室に連れて行くと、直ぐ様処置が行われ、今は服用した薬の効果で眠っているのだ。

ラウラは夕日の照らされた彼の寝顔を静かに見つめる。

 

━━『お前の方がずっと大切なんだ』

 

━━『俺は、ラウラのことが好きだ』

 

この二つの言葉が頭から離れない。

 

「・・・まさか、あんな場面で告白されるとはな・・・」

 

ロマンもへったくれも無い告白だったが、彼女の心に深く刻まれたシーンだった。

 

「あんな無茶な行動はもうして欲しくないが、それでも・・・嬉しかったぞ。ありがとう」

 

静かに椅子から立ち上がる。

 

「Ich liebe dich・・・」

 

そう言って、ラウラは部屋を後にした。

静寂に包まれた部屋で彼は一人呟く。

 

「・・・返事が聞けて何よりだよ」

 

そう言って、もう一度瞼を閉じた。

 

 




色んな洋画やゲーム等のシーンとかを入れてたら飛んでもない事になってしまい、また体をかきむしりたくなるようなものを作ってしまいました・・・。





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