空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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セシリアの料理下手属性に更に磨きがかかったら?と言うお話です。





第74話

「ついに・・・この日が来てしまったか・・・」

 

どんよりとした声で一夏に話し掛ける。

 

「・・・ああ」

 

俺達は鬱屈した気分で、とある部屋へと向かっていた。

調理実習室。読んで字のごとく、調理を実習する部屋である。IS学園とはいえ、一応は高校なので、勿論普通のカリキュラムもあるのだ。

しかし、調理するだけなら問題は無い。

問題は━━

 

「ふふ、今日こそ!このセシリア・オルコットの真の実力を見せる時ですわ!」

 

こうなった彼女は誰にも止められない。

因みに、実習班は鈴と簪を抜いた何時ものメンバーである。

さて、誰が犠牲になるのやら。

そう思っていると、実習室に到着した。

 

「はい、それでは授業を始めます。今日は肉じゃがを作っていきましょう」

 

そう言ってくるのは、家庭科担当の“鈴木咲良”先生だ。

俺達はハァと溜め息を溢し、互いに頷き合ってから、料理を開始した。

 

 

「・・・色がパッとしませんわね・・・」

 

「わあ!?待って待って、セシリア!」

 

 

「うーん・・・ここはこうした方が・・・」

 

「なっ!?待てセシリア!そんな物を入れたら・・・遅かったか・・・」

 

 

「い、一夏!今すぐにセシリアを止めるんだ!」

 

「お、おう!セシリア、ストップ!ストップだ!」

 

 

「ああ・・・私の選んだジャガイモが無惨に・・・」

 

「ラウラ、同情するよ・・・」

 

 

「出来ましたわ!!」

 

「「「・・・・・」」」

 

激闘の末、とうとう最凶の料理(化学兵器)が完成してしまった。

 

「さあ、記念すべき一番目はどなたかしら?」

 

誰も目を合わせようとしない。

 

「一夏さんは?」

 

「お、俺は後で良いかなー?って」

 

「何故ですの!?ではラウラさん、いかがですか?」

 

「なっ!?」

 

偶然、セシリアの横にいたラウラに矛先が向いた。

 

「遠慮は要りませんのよ?さあ!さあ!」

 

「わ、私は・・・」

 

くっ!このままではラウラが・・・!

 

「ま、待て!それなら俺が食う!」

 

やってやる!やってやるぞ!!

 

「ウィルぅ・・・」

 

救世主を見るような目を向けてきたので、その視線に無言のサムズアップで返す。

この時、ウィリアムとセシリア以外の四人は思った。

 

か、カッコいい・・・!

 

「あら、ウィリアムさんが一人目ですのね!」

 

「あ、ああ」

 

「さあ!このセシリア・オルコットの渾身の力作をご賞味あれ!」

 

そう言って、皿に盛られた紫色をした肉じゃがを目の前に置かれる。

・・・ああ、俺死んだな。

そう思って肉じゃがに視線を落とした。

 

「腹を括るか・・・」

 

「・・・どういう意味ですの?」

 

俺は目の前の肉じゃがと対峙する。

まるで、この肉じゃがに、「食え!臆病者!食え!!」と言われている様な錯覚を覚えた。

 

「・・・神よ、俺の地獄への門出に栄光を!!」

 

パクっと一口食べ、咀嚼する。

 

「・・・っ!?」

 

ま、不味いなんて生易しいものじゃない・・・!これは・・・!?

 

「くそ、手が震えてやがる・・・!」

 

それでも必死に食べ続ける。

 

「ただの試食だ。たかが肉じゃがだ。やられても死ぬだけだ・・・!」

 

襲い来る吐き気を覆い隠しながら、箸を進める。

 

「ウィル、もういい!箸を止めるんだ!」

 

ラウラが必死に制止の声を掛けてきた。

 

「フゥ、フゥ、フゥ。だ、ダメだ。ここで手を止めたら、お前や他のみんなに被害が・・・ウッ!?」

 

意識が朦朧としてきた。

 

「頑張るんだウィル!諦めるなウィル!」

 

今にも昇天しそうな俺に、一夏が励ましの声を掛ける。

 

「へへ、良い声だぜ・・・」

 

ウィリアムはゆっくりと天井を仰いだ。

 

「うぃ、ウィル?どうしたんだ!?おい!」

 

一夏が肩を掴んで揺さぶる。

 

「一夏、少し通してくれ」

 

そう言って、ラウラがウィリアムの片目の瞼を指で軽く押し拡げて覗き込んだ。

 

「・・・ダメだ、瞳孔が開き切ってはないから命に別状は無いが、完全に気を失っている・・・」

 

「あら、あまりの美味しさに失神してしまったのかしら」

 

「せ、セシリア?お前ちゃんと味見はしたのか?」

 

一夏が恐る恐る聞く。

 

「味見?していませんわ。だって、食べて頂く方よりも先に料理を口にするなんて失礼ではなくって?」

 

「「「」」」

 

しかし、セシリアの思いやり(追撃)は留まる事を知らない。

 

「こんな所で寝てはいけませんわね。・・・そうですわ!」

 

何かを閃いたセシリアは、どこから取り出したか分からない調味料で何かを作り始めた。

 

 

「出来ましたわ!!セシリア・オルコット特製、『目覚ましドリンク』!」

 

そう言って高々と掲げるコップの中には、血の様に真っ赤な液体がなみなみと入っていた。

 

「せ、セシリア?それは・・・?」

 

「この目覚ましドリンクを飲めば、スッキリ爽快!気持ち良く目覚めること間違い無しですわ!安心して下さい。既に実証済みです!」

 

シャルロットの問いに、ドヤ顔で答える。

 

「そ、そっか・・・実証済みなら安心・・・かな?」

 

「さあ、箒さん、この洗濯バサミでウィリアムさんの鼻を押さえて下さい。一夏さんは、この漏斗をウィリアムさんの口に」

 

『実証済み』の言葉を信じた二人は言われた通りに行動する。

 

「いきますわよ・・・えい!」

 

力無く開いたウィリアムの口にドリンクが入っていき、全て流し切った。

 

「「「・・・・・」」」

 

しばらく観察する。

 

「っ!?!?」

 

ウィリアムがカッ!と目を見開いた。

 

「~~~~!!

 

 

 

ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?

 

「「「!?」」」

 

辛゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!

 

飛んでもない悲鳴と共に跳ね起きると、そのままドタドタと走って行き、近くにあった水の張った流し場に頭をドボンッ!と突っ込んで再び動かなくなった。

ウィリアムの悲鳴と奇行を見た生徒達は固まっている。先生ですら、注意するどころか目を点にしていた。

 

「ウィル、起きろ!目を覚ませ!」

 

そう言ってラウラがウィリアムの頭を流し場から引っ張り出し、彼の頬をペチペチと叩く。

 

「反動が強すぎるのがネックですわね・・・」

 

この日、一夏達は戦慄し、セシリアにはどんな犠牲を払ってでも料理はさせるな。というルールが出来た。

 

死を降り注ぐ肉じゃが・・・冗談じゃない!

 

ラウラに救助されたウィリアムは全ての元凶に向かって、そう心の中で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

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