空軍パイロットのIS転生記   作:Su-57 アクーラ機

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第76話

俺達がグラウンドに出ると、既に先生二人と、会長がいるのが見えた。

織斑先生と山田先生は教員用のIS『ラファール・リヴァイヴ』を、会長は専用機『ミステリアス・レイディ』をそれぞれ展開している。

しかし、山田先生のISだけ明らかに違う点が一つ。

背中のバックパックより伸びるレーダーアンテナ。恐らく口径が30mmはある6砲身のガトリング砲が2門。そして、その上には一対のミサイルコンテナが取り付けられており、そのウェイトをカバーする為なのか、脚部も4本増している。

『ヘビー・ファランクス』━━重量と反動制御故に移動が出来ない代わりに、その場での旋回能力と高い索敵能力、攻撃力を手にした、正に『対空砲台』だ。

 

「IS学園はあんな物まで保有してたのか・・・ウチの准将が見たらどうなる事やら・・・」

 

そう呟いて、『バスター・イーグル』を展開、一夏も『白式』を展開して近づいて行った。

 

 

「先生、全員揃いました」

 

会長が織斑先生に全員が集合した事を伝える。

 

「分かった。ではこれより学園防衛戦の最終確認をする」

 

全員が織斑先生を見る。あの普段ゆるふわな山田先生もキリッとした表情だ。

 

「まず、ホーキンスは先程言ったように、上空をカバーしてもらう事になる」

 

「イエス・ミス」

 

「次に、更識と織斑は学園裏側の防衛を」

 

「分かりました」

 

「分かった!」

 

「山田先生はここで中距離の敵の索敵・迎撃をしてもらう」

 

「はい!」

 

「私は動けない山田先生の防衛及び、捌き切れなかった敵の迎撃に当たる。頼んだぞ」

 

「「「了解!」」」

 

それぞれが各々の持ち場に向かう。

俺もAPUを作動させ、エンジンを始動させる。

その合間に各種項目のチェックを終わらせた。

 

エンジンが安定し始めたので、自身の持ち場へと向かう為、ゆっくりと上昇していく。

 

「では自分は上空警戒に向かいます」

 

「分かった。気を付けてな」

 

「ホーキンス君。気を付けて下さいね」

 

「了解です。では!」

 

そう言って、俺は飛翔して行った。

 

 

学園周辺の上空

 

 

『━━ホーキンス君。来ました。敵です。そちらの位置から南西へ37km。高度2000mに三機確認しました』

 

こちらのレーダーにも不審な機影が三つ。徐々に近付いて来ていた。

やはり来たか・・・!

 

「確認しました。直ちに向かいます」

 

旋回し、南西へ向かう。

 

「マスターアーム、オン」

 

兵装の安全装置を解除。高度を上げ、敵機と同位置に合わせる。

今、雲の層を通過中なのだが、今日は生憎の雨空で、気流が乱れている上に視界が悪い。

レーダー上に映るこのフォーメーション・・・明らかに友好的な態度じゃあ無いな。

 

「反応通り、三機だ・・・」

 

刹那、風切り音と共に、左右を幾つもの小さなオレンジ色の火球が高速で通り抜けた。

遅れて、ブォオオオ!と、重い虫の羽音の様な発砲音が聞こえてくる。

 

「っ!!」

 

右へ回避すると、先程機銃弾が通った所を三機の機体が通り抜けた。

小型で白っぽいのが二機、大型で青と白の迷彩柄のが一機だ。

 

「キャノンボール・ファストの時の襲撃機に似ている・・・ターミネーターか」

 

特にあの青白の機体なんて前の奴にそっくりだ。

敵機の追撃に入る。

 

「織斑先生。敵機三機と交戦を開始、機種はISではなく、ターミネーターのようです」

 

『ターミネーター?以前の襲撃機か?』

 

「はい、その量産型かと思われます」

 

『分かった。引き続き迎撃を頼む。・・・どうやら敵はその三機だけではないようだ。山田先生が低高度からの侵入機を確認した』

 

戦力を分散させるのが狙いか。

 

「了解です。援護の必要があれば何時でも呼んで下さい」

 

『必要があれば呼ばせてもらおう』

 

その直後、無線越しにガトリングガンの砲声が聞こえてきた。

 

「こっちも片付けるか」

 

そう言って『AAM』のヒートシーカーをオープンにすると、高速形態だった白色のターミネーターの内の一機が人型に変形しながら急減速した。

 

「クソッ、急減速されたか!」

 

しかし、俺はあることに気付いた。

あいつが変形する時の関節の曲がり方、あれはどう見ても人が中に乗っているとは思えん・・・。

飛んで来るミサイルをフレアで撹乱した後、右に逃げると見せかけて、コブラ機動で後ろを取り返す。

 

「と言うことは、無人機のようだな」

 

無茶苦茶に回避機動を取る無人機に、再度シーカーを合わせる。

 

「Fox2!」

 

ミサイルが発射され、相手に吸い込まれて行く。

ドンッ!

敵機が炎に包まれながら、墜ちていった。

 

「撃墜!」

 

次の敵機の元に向かう。

もう一機の白い機体が攻撃してきた。

それを紙一重でかわし、お返しに機銃をお見舞いする。

数発が命中し、俺から距離を取った。

俺は逃がすまいと相手の後ろにピッタリと食い付き、機銃を2秒間隔で発射。

見事撃墜した。

 

「よし、撃墜した。次は━━っ!?」

 

ブォオオオ!

青白の機体が正面から機銃を撃ち放って来た。

砲弾が自身のISを掠める様に通過する。

 

「クソッ!30mmかっ!!」

 

大柄で流線形の機体がスレスレを横切った。

 

「手が届く程の距離だったぜ・・・」

 

そこへ、山田先生から通信が入る。

 

『ホーキンス君!敵の増援を確認しました。六機です!』

 

「最悪だ・・・!こっちもレーダーで捉えました」

 

流石にこれ以上増えられると、捌くのが難しい。

 

『敵機をこちらに連れて来て下さい。可能な限り撃ち落とします!出来ますか?』

 

正に頼もしいの一言に尽きる言葉だった。

 

「出来ます。しかし下の敵は?」

 

『織斑先生が相手をしてくれています。今の内に!』

 

「分かりました!」

 

そう言って、敵を引き連れて、学園上空へと誘い込んだ。

 

「さあ。こっちだついて来い・・・!」

 

すると、下からの猛烈な鉄の嵐が後ろにいた敵機を襲い、次々と撃墜していった。

 

「恐ろしい威力だな・・・っと、こんな事してられん」

 

我に返った俺は、残った無人機を叩き落として行く。

 

「残るはお前か・・・」

 

そう言って、青白の機体を睨む。

どうやら、こいつは警戒して近付かなかったようだ。

どこか人間臭い行動をするコイツに俺は一つの可能性を感じた。

・・・コイツには人間が乗っているのでは?

お互いに上昇下降、シザーズやバレルロール等を繰り返し、相手を撃墜しようと、縦横無尽に飛行する。

そして、苛烈なドッグファイトもとうとう終局を迎えようとしていた。

僅かな気流の乱れ。しかし、その乱れによって一瞬バランスを崩した敵機をウィリアムは見逃さない。

ありったけの機銃弾を主翼にお見舞いした。

片方の主翼が千切れた敵機は、そのまま墜落していった。

 

「よし、上空に敵影無し」

 

一息ついていると、織斑先生から通信が入った。

 

『ホーキンス。そっちはどうだ?』

 

「はい、先程片付きました」

 

『そうか。ところで聞くが、高威力ミサイルは今あるか?』

 

高威力空対空ミサイル(HPAA)の事か?なぜそんな事を訊くんだ?

 

「はい、あります」

 

突然の質問に疑問を持ちながらも答える。

 

『なら話は早い。すまないが援護が必要だ』

 

 

「うふふ。無人機を全部落としながら、この私を相手にここまで保った事は誉めてあげる。流石はブリュンヒルデだわぁ」

 

「ふん、お誉めにあずかり冥利に尽きる。と言っておこう」

 

千冬は亡国機業の戦闘員と対峙していた。

 

「でも、いくらなんでもこの戦力差で戦おうなんて無謀じゃないかしらぁ?」

 

勝ち誇った笑みを浮かべる戦闘員。

しかし、この人物の言う通り、流石の元世界代表と言えど襲い来る無人機を学園と真耶を守りながら迎撃するのは無茶もいいところであった。

ボロボロのISを身に纏い、目の前には手練れの敵。

正直、状況は芳しくない。

それでも、千冬は不敵な笑みを崩さない。

 

「・・・何が可笑しいのかしら?あなた、この状況を理解していないようねぇ」

 

相手が少し苛立った様子で話し掛けてくる。

 

「いやなに、まだ倒してすらいない相手の前で、勝利を確信したかの様にベラベラと喋るお前があまりに滑稽でな」

 

ブチッ

何かキレた音がした。

 

「い、いいわぁ。その減らず口、二度と叩けない様にしてあげるっ!!」

 

「出来たらな」

 

「っ!!」

 

そう言って飛び掛かって来た敵をギリギリで回避し、スラスターを使って飛翔する。

 

「待ちなさい!!」

 

物凄い形相で追い掛けて来たが、それを無視してとある人物に通信をする。

 

「ホーキンス。そっちはどうだ?」

 

『はい、先程片付きました』

 

どうやら上は片付けてくれたようだ。

 

「そうか。ところで聞くが、高威力ミサイルは今あるか?」

 

『はい、あります』

 

少し間があったが、返答が返ってきた。

 

「なら話は早い。すまないが援護が必要だ」

 

『分かりました。どうすれば?』

 

「正面から私の位置にロックオンしろ」

 

『・・・え?』

 

「安心しろ。自爆するつもりではない。

 

━━ただ、敵の度肝を抜いてやるだけだ。やってくれるか?」

 

『ふっ、成る程。直ぐアプローチに入ります』

 

その答えを聞いて、また後ろに意識を集中させる。

 

「随分頭に血が昇っているな」

 

「あなたが原因でしょうがあ!!」

 

マシンガンを乱射してくる。

 

「戦闘中に集中を乱すとロクな目にあわないぞ」

 

「くっ!墜ちなさいよぉっ!」

 

・・・そろそろか。

 

「━━前方注意」

 

「は?」

 

そう言って、千冬は右に急旋回した。

相手もそれを追おうとしたその時、千冬がいた場所━━その正面に別の影が見えた。

その影から二本の白い筋がこちらに向かって伸び、影本体はそのまま高速で緩やかに旋回して離れて行く。

その間、わずか3秒。

だが彼女はハッキリと見た。その矢じりの様な影の先に描かれた、あるものを。

 

「しゃ、シャークマウス!?何時の間に━━」

 

ドドォン!

ミサイルの爆発を諸に喰らった敵は、グラウンドに墜落。動かないところを見ると、気絶してしまったようだ。

 

「さて、こいつの尋問は後でゆっくりするとしようか」

 

そう言って、進行形で真耶に縛られている戦闘員を横目にそう呟いた。

 

 

全ての敵機を撃墜した俺は、学園から離れた所に撃ち漏らしが無いかを確認していた。

 

「ん?まだ残りがいたのか・・・?」

 

レーダーには光点が一つ。

こちらの方角に飛んで来ている。

 

「っ!?あれは・・・!」

 

見覚えのある機体。いや、忘れられる筈の無い機体。

 

「あの時の奴か・・・!」

 

キャノンボール・ファストを襲撃した人物が駆る機体が飛んでいた。

その機体の主翼から一発のミサイルが放たれる。

 

「何だあのミサイル!?」

 

通常の弾頭ではあり得ない程に巨大なミサイルだった。

ミサイルを放った機体はそそくさと元来た道を帰って行く。

 

「まずい!あの進路は学園だっ!」

 

大慌てでミサイルの後方に付き、ブースターの部分に機銃を発射した。

機銃弾が当たり、推力が低下したミサイルは高度を下げて行き、やがて海面に着水。沈んで行った。

時限信管であった場合を想定し、急いで高度を上げる。

 

 

ドバアァンンンン!!

 

とてつもない音と共に巨大な水柱が上がり、爆風で機体が煽られる。

あの威力・・・まさか!

 

━━『核程ではないが、強力だ』

 

トーマスに言われた言葉が反響する。

放射能は検出されていない。と言う事は恐らく以前盗まれたトリニティと見て間違いないだろう。

 

「あ、危なかった・・・あんなのが学園に到達したら・・・!」

 

背中がゾワリとする。

だが、一先ず危機は去った。トリニティは三発しか無い。となると、そう何度も使う事は出来ない筈だ。

その証拠に、レーダーには反応が一つも無く、山田先生からの増援確認も無い。

ふぅ、と安堵の息を吐く。

そこへ、織斑先生から通信が入った。

 

『全員、今すぐに地下に集合だ。位置データを転送する』

 

その声は焦燥に包まれており、まだ事件は終わりを告げていない事を訴えていた。

 

 




ここまで見て下さり、ありがとうございます。
記念すべき、トリニティの一発目です。
ショボッ!?と思った方。すいません。

IS学園は、原作よりかなり広大で、本土よりもかなり離れている。という設定です。
じゃないと、ウィリアムが暴れられないですから・・・。
因みに、ヘビー・ファランクスはロシア版CIWS『コールチク』を、白の無人機はMig-29、青と白の有人機はSu-33をモチーフにしています。


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