こんな感じですごく遅かったり早くなったり超不定期連載ですので読んでくださる方はお気をつけください。
「ね、ねぇ。ほんとに良かったの?」
「よかったって、何が?」
クラス代表について一悶着あった後、休み時間に隣の子がすごく勇気を振り絞った形で質問してきた。
「決闘の件だよ!セシリアさんって本当に強いんだよ?入学試験で試験官の先生を倒しちゃうくらい!今からでも謝ってハンデを付けてもらおうよ」
あの後決闘の際ハンデはどのくらい付けるかと聞かれ、ボクは「何もいらない。むしろボクは付けなくていいのかい?」と答えてクラスのみんなから失笑を頂いた。それもそうだ。女が優位な子の世界で一応男であるボクがつけるようなハンデなんてない。そういうことだろう。
「心配してくれてるんだね、ありがとう。でもね、1度決めたことを覆したくないし何より、一夏を侮辱したやつなんかに頭を下げたくないんだ」
「織斑くんのことがほんとに好きなんだね」
「うん、大好きさ!」
1部の女子が鼻から幸せを吹き出して倒れた。耳を澄ましてみれば「尊い……尊い……」という呟きが聞こえる。
この日から「希きゅんの笑顔護り隊」なるものが出来たのだが、そんなこと希は知る由もない。
午前中の授業が全て終わり、昼食の時間。ボクは一夏と箒と一緒に学食でご飯を食べていた。
「いやー、久しぶりだねぇ、箒。6年ぶりくらい?」
「ああ、そうだな。元気そうでなによりだ」
箒は小学4年生まで一緒だった幼なじみ。一夏が通ってた道場について行ったら箒がいて、それから仲良くなった感じ。
「その、先程のことなのだが……」
「ああ、そういえば久しぶりに見たな、あんなに希がキレてるとこ。箒をからかって遊んでるヤツらを一緒に殴りに行った時以来じゃね?」
「あ〜、あったねぇそんなことも」
箒はその男勝りな性格と腕っぷしがたつことから「男女」と呼ばれ、軽いいじめにあっていた。
その事が許せなくなったボクと一夏はイジメグループの主要メンバーを殴り、結果的に問題を起こした。その時いじめっ子の親に頭を下げる千冬ねぇを見てから一夏は力だけじゃない強さを求め始めた。
「今は落ち着いてるから気にしないでね。そうだ、この後どうしよっか?」
今日は午前中で授業が終わるため、昼食が終われば放課なのだ。
「そうだな、希はともかく一夏も戦うならばそれ相応までは腕を上げる必要がある。専用機の到着はいつだ?」
「次の日曜日だってよ」
「ギリギリだねー」
ボクと一夏は世界で2人の男性パイロットということで2人のためだけに専用機が用意された。一夏は倉持技研という所から、ボクは
流々伊江ラボは別名ルルイエ異社と呼ばれ、千冬ねぇ曰く「凄まじい性能を誇るが使い手が限られる」らしい。
「全く、なんであんなこと言っちまうんだよ。決選投票でよかっただろ」
「いやー、一夏を巻き込んで申し訳ないとは思ってるよ?でもどうしても1発殴りたくて」
「はぁ……まあやるからにはちゃんとするけどさ」
「ボクは届いたISの乗り心地を確かめる予定だけど、一夏はどうする?」
「うーん……俺はもうちょっとISについて知るべきだと思うんだよ。そうだ箒、俺にISを教えてくれ!」
「断る、と言いたいところだが、仕方ない。だがまずは一夏の武術の勘を取り戻すところからだ」
「そっか、じゃあ残念だけど別行動だね」
「ああ、一夏のことは任された」
食事が終わり、少しおしゃべりした後一夏と箒は第2体育館に、ボクはアリーナAにそれぞれの特訓のため移動した。
「人も少ないしちょうどいいかな。いくよ、『クトゥルー』!」
キーワードとイメージによって右手中指に嵌っている指輪が光を放ちながら宙に解けていく。
そして時間にして1秒程。光が収まるとそこにはメタリックグレーの装甲を持つパワードスーツが佇んでいた。
ISは起動していない時は量子変換という技術でアクセサリーの形をとる。希専用IS『クトゥルー』がたまたま指輪なだけで他にもブレスレットやネックレス、ピアスなど様々な種類がある。
『クトゥルー』は「エネルギーそのもの」に着目し創られたISで、かなりエネルギー運用効率がよく凄まじい機動力を持つ。さらにIS稼働率が一定以上なら発動できるこの機体の
しかしそれだけの性能を誇るとなるとやはり欠点もいくつか出てくる。
第1に単一仕様に割いている枠が大きすぎて
第2に単一仕様を使用する際にパイロットの脳に少なくない負担をかけることになる。
第3にこれは原因は不明だが、このISに乗っているとよくわからない不安感や絶望感を覚えたり、少しずつ正気度を削られていくような錯覚を覚える可能性がある。
「うーん、稼働率がちょっと足りないなぁ……どうやったら上がるんだろう?
その後はISの基本動作をひたすら繰り返し、体に覚えさせて特訓は終わりを迎えた。
◆◆一夏は箒にボコボコにされてた。
次の日の放課後は飛行訓練を、その次は高速機動をといったふうに少しずつ、しかし着実に特訓を重ねていく。
◆◆一夏はまだボコボコにされてた。日曜日にISが届くまで頑張るとは一夏の弁。
日曜日からは本格的なシミュレーションを交え、応用分野にも手を出してみた。
◆◆一夏の専用機の到着が遅れるようで、一夏のボコボコ期間が伸びた。
それから2日たち、火曜日。今日はついにセシリアとの決闘の日である。
「って言うか箒、俺ISのことを教えてくれって頼んだよな?」
「ああ、そうだな」
「剣道ばっかで教えて貰ってないんだけど!?」
「そ、それは弱くなっていた貴様が悪い!IS以前の問題なのだ!」
何度か見に行った事があるが、それはそれは清々しいほどにボコボコだった。
「まあそれは置いといて、今日は頑張ろうな、希!」
「うん!」
今日の1、2限はIS基礎理論。ボクはあまり集中出来ず、それに気づいた千冬ねぇに2回くらい怒られた。
「逃げずにきちんと来たこと、褒めて差し上げますわ望月希!」
「へぇ、ボクの名前呼んでくれるんだ?」
「イギリスの淑女として当然の礼儀ですわ!」
3限目、ピットに入る前から2人はバッチバチだった。
「なんか、俺戦う必要あるのかな?って感じが……」
「うむ、完全に私怨だと伝わってくるな」
バチバチの原因たる一夏は完全に置いていかれている。しかし他薦されたものに拒否権はないBy千冬なので戦うしかない。
「私が勝ったら貴方たち2人とも、この学園から去っていただきますわ。……ただし、今から誠心誠意謝って許しを乞えばまだ考えなくもないですわよ?」
「断るね。逆にボクが勝ったら君は何をしてくれるんだい?とは言っても、ボクは一夏に謝罪してくれればそれでいいんだけど」
「ありえないことですが、一応覚えておきましょう」
明らかに釣り合っていない賭け金。しかし希はそれで十分だった。そもそもこの決闘の原因は一夏をバカにされて希がキレたこと。一夏に謝ってくれればそれでいい。それしか考えていないのだ。
「一夏、試合の順番が発表されたようだ。1試合目は……?」
ピット内にて。
「まずは一夏からだね、頑張って!」
「おう!なんで戦うかよくわかんないけどな!」
「そりゃあクラス代表決定戦だからね」
「それもそうか!それで、ちふ……織斑先生」
「学習したようだな。どうした?」
一夏はなんとも言い難い表情で言い放った。
「俺の専用機、どこ?」
「届いていない」
「えぇ....(困惑)」
そう、今このタイミングでもここに一夏の専用機はない。
千冬ねぇはふむ、と少し考え込んだ。
「これは試合順を変更するべきか。……望月、お前はすぐに出られるか?」
「はい、可能です!」
「なら仕方ない、時間が無いから先に行け。オルコットにはこちらから連絡しておく」
アリーナには既にセシリアと彼女の専用機『ブルーティアーズ』がスタンバイしていた。
「遅かったですわね。臆病風に吹かれて逃げたのかと思いましてよ」
「起きてる時に寝言は恥ずかしいよ?」
「馬鹿にして……!」
『両者位置につけ』
セシリアの持ってる武器はライフルだけ。見た感じ遠距離用だろう。
「さあ、どちらがクラス代表に相応しいか今一度皆に見せて差し上げましょう」
試合開始のブザーが鳴り響き、私怨100%の戦いが今幕を開ける!