この素晴らしい錬金術士に至高のパイを!   作:玄米ほうじ

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 ルルアのアトリエ、錬金術レベルは50でマックスだけど戦闘レベルのマックスはもしや100? 70は超えたけど、まだオルトガラクセンのあの子を倒せない……



プロローグ

気づいた時には、私はその空間にある椅子に座っていた。

 木製のソレはある程度頑丈に造られているらしく、重心を移動しても軋む音はしない。ただ椅子の脚が床と擦れるようにガタガタとなるだけ。

 無音が続くその空間での唯一の音を私は椅子を使って奏でる。最初は見覚えのない空間にほんのちょっと不安だったのだけれど、なんだか楽しくなってきた。

 

 

 

 

 

 

バッタンバタン

 ――そういえば、さっきまで船にいたような……

 

 

 

バタンバタン

 ――東の大陸の調査依頼が……

 

 

 

バタッバタッ

 ――見たこともない魔物とか、素材とか、パイとかあるのかなあ

 

 

バタン、バタ……ドサッ

 

 

「いたーい!!」

「ロロライナ・フリクセルさん?」

「いたーい!痛すぎるよぉ!」

 

 椅子で遊んでいたらそのまま倒れてしまったみたいで、お尻と背中がジンジンする。

 あれ?そういえばどこからか声が聞こえたような。

 見られちゃってたのかなあ。恥ずかしいなぁ。師匠みたいな人じゃなきゃいいんだけど……

 

 もう10年近く見ていない師匠の愉しそうな表情を思い浮かべながら、私は立ち上がった。

 

 

 すると目の前には銀色の髪のシスターのような格好をした綺麗な女の子がいた。

 

「あれ?あなたは?」

 

アーランド、アールズ、アランヤ村、アーキュリスなどを転々と旅してきたけど、見たことない綺麗な銀髪碧眼の女の子が苦笑いしていた。

 

 

 先ほどから声をかけていたんですが……と言って、その子は続けた。

 

 

「ようこそ死後の世界へ。私は新たな道を案内する女神エリスです。

 ロロライナ・フリクセルさん、あなたの人生は残念ながら先ほど終わってしまいました。」

「ええええええええ!!!私、死んじゃったんですか!!?」

 

 

 なんで!?どうして???

 

 

「東の大陸に向かう途中、船の中で調合?をしていたのは覚えてますか?」

「はい。パイのストックが切れそうだったので」

 

 食べたかったし。錬金術でパイを作った方が実際に作るよりも美味しいんだもの。

 

「荒波に揺れた際、錬金釜?の薬品が全てロロライナさんに被ってしまい」

 薬剤を全身に被って死んじゃったの??

「粘性があったようでして、足元を掬われて後頭部を直撃してしまったようです。

 打ち所が悪かったらしくって、そのままお亡くなりに……」

 

 

 今までたくさん危ないところにも行ったし、みんなとドラゴンを倒したりしてきたのにそんな死に方って……

 

 エリス様は私を見ながら戸惑いがちに続けた。

 

 

「ロロライナさんには3つの選択肢が用意されています」

 エリス様が人差し指を立てた。

 

「1つ目は今までの記憶を消し、1から元の世界で人生をやり直します」

 続けて中指を立てた。

 

「2つ目は天国のような何もないところで、何もしないでのんびりと暮らします」

 次は薬指を立てた。

 

「3つ目は記憶はそのままで異世界に転生して魔王を倒す……の3つですね」

 天国がいいなあと思うけど、そこでもパイは食べれるのかなあ

 

「ちなみに天国ではなんの娯楽もなく、皆さん日向ぼっこしか出来ません」

 天国はダメだね。うん。パイが食べれないし錬金術が出来ないなんて考えられないよ!パイが無いなんてありえないよ!!!

 

 

 

「だったら3つ目かなあ。魔王って怖いけど」

 ドラゴンを倒してきたけど、それは仲間のみんなが助けてくれたからで。私ひとりじゃウルフだって倒せるか分からないよ……

 

 

 私の表情を察してくれたのか、エリス様は微笑んで告げた。

「どんな才能でも、モノでも一つだけ、向こうの世界に持って行く権利があるんです!」

「うーん……モノってどんなものでもいいの?」

「ええ。中にはランダムにモンスターを召喚し、使役できる神器を持って行った人もいらっしゃいます」

「すごーい!素材たくさん採取できるなんて!!」

 ドラゴン素材たくさん取れるなんて!調合しがいがあるなあ~

「ただ、同じ神器は存在できない為、違うモノになるんです……」

 

 申し訳なさそうに言うエリス様。そうだよね。そんなに甘くはないよね……

 でも、それならば特に気になる神器は無いかも。

 

 私はダメ元でエリス様に提案してみた。

 

「では、アーランドにある私のアトリエをそのまま持って行くことってできますか?」

「え、それでいいんですか??」

「はい。私って錬金術しか取り柄ないし……」

 

 師匠からはダメっ子って言われるし、ステルクさんからは肝心なところが抜けていると言われるし。

 

「今まで錬金術で作った道具でモンスターを倒してきたし、使い慣れた道具だったら安心だなーって」

「……わかりました」

 

 

 エリス様はそういうと、「ちょっと待っててくださいね」と言い、席を立った。

 

 

 

 

 ==

 

10分後、肩で息をしているエリス様が戻ってきた。

 「ロロライナさん、これを」

 

 そういって渡してきたのは、羊皮紙だ。文字のような絵のような羅列で埋められていた。

「エリス様……これって……」

「ええ。アクセルという街の土地の権利書d「なんて読むんですか??」」

 

 エリス様は「ああ、そうでしたね」とほほ笑むと私の頭に触れた。途端に私の足元に魔方陣が出現し光が溢れだしてくる。

 

「大丈夫ですよ。異世界の言語知識を置き換えを行いますから

 ……ただ失敗して記憶がゴッソリと無くなる可能性もありますけれど

 

 ボソッと呟かれた声は何だったのか聞こえない。

 

 翻訳の錬金術アイテムを作ろうと思ったけど、しなくてもいいみたいでちょっと安心したなぁ。

 

「さぁ、勇者よ。願わくば、数多の勇者候補の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を祈っています。……さあ、旅立ちなさい!」

 

 足元の魔方陣の光が、私を包み込んだ。なんだかトラベルゲートを使っているような浮遊感がした。

 

 

 

 

 






 ロロナ目線難しい!

 ここのロロナは ルルアのお話が終了したあと、ステルクさんと一緒に東の大陸に行ったロロナさんです。なので、ママロロナだったりします。
 けどママロロナでストーリーに組み込ませたくないっていうエゴにより、転生後ロロナのアトリエ時代の年齢に若返ったりします。

 ステロロ推しなのでいつかステルクさんも転生させたいけど、ステルクさん簡単に死ななそう。
 自殺者って転生枠に組み込みそうにないし……ステルクさんトリップさせるしかないか。

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