この素晴らしい錬金術士に至高のパイを!   作:玄米ほうじ

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 感想とお気に入りありがとうございます。
 
 小ネタとかプロット的なメモだけは着々と作っているのですが、なかなか文を進められない玄米ほうじです。

 願望だけはある。ただ、そこまで話を進めきれないってだけで……
 
 秘密バック欲しい人多いハズ。あとトラベルゲートも欲しい。ガソリン代要らないんなら特に!


ロロナとウワサ

 

 

 青い空、香ばしい煙たい香り、クレーターだらけの草原に転がるヌルヌルな女が二人。

 

 「どうしてこうなった……」

 オレこと、佐藤和真は今後の冒険者生命に危機感を抱いていた。

 

 

 

 朝、新しく仲間になっためぐみんを加えた三人で『ジャイアントトード』の討伐に向かった。

 ぶっちゃけ、昨日アクアと2人で受注したクエストだったんだが、即行でアクアが捕食され、粘液まみれになった。救出した後は戦略的撤退という事で(アクアを風呂に入れる為)早々とアクセルに戻った。

 ジャイアントトードは物理が効かない。

ロロナから貰っていた『クラフト』は物理の効果があるらしかったので使えなかったのだ。怖いからって『フラム』『フロスト』『メテオール』を持って行かなかったのがオレの昨日の反省。

 

 新しいパーティーメンバーのめぐみんはアークウィザードだから要らないかもしれない。ただの勘だけど、『フラム』を何個か持って行くことにした。

 この時の判断に感謝しか湧かない。

 

 

 

 

 端的に言うと、フラムは全部使った。使い切った。ロロナに感謝だ。

 

 ヌルヌルの一人、アクア。

 こいつ知能足りなさすぎだろう。昨日物理で攻めて効果が無かったことが分かっているのに、また物理技で攻めやがった!!!!!!あっさり食われたアイツに特典は失敗した。と思っちゃっても仕方ないよな。うん。さっきからぎゃんぎゃんと泣いているけど、オレの方が泣きたい気持ちでいっぱいだ。学べよ、駄女神。

 

 もう一人のヌルヌル、めぐみん。

 究極の魔法が使えるアークウィザードだ。うん。ウソはついていなかった。

 まさか、一発しか使えないとは想像してなかったけど。使った後、身動きが取れなくなるとも思ってなかったけど。ポケットなモンスターの『はかいこうせん』って技、使用後は1ターン行動不能になる技みたいな感じだな。1ターン以上行動不能なわけだけど。うん。

 地面のクレーターの大きさや、肌で感じる熱気からでも分かる威力のでかさ。んでもって未だ耳鳴りが続くくらいデカい破壊音。 

 

 ボコッボコッとクレーターを中心に地面が盛り上がった。ひょっこりと頭を出したのは、ジャイアントトードだった。

 

 

 オレこと佐藤和真は最弱職の冒険者である。

 スキルはまだ持っていない。

 引きこもりだったオレの基本的な(幸運以外の)スペックはとんでもなく低い。通信制限がかかったスマホ並に使えないと自負している。

 

 さぁ現在、犬神家のようにジャイアントトードに捕食されている仲間が二人いる。自由に動けるのはオレ1人。

 ついでに言うとジャイアントトードはまだ起き上る。

 

 「詰みゲーじゃねぇかあぁぁあああぁぁぁああ!!!!!!」 

 

 ただ、幸運なことにいい爆弾は持っていた。

 

 

 

*****

 

 ギルドから出たロロナはカゴを揺らしながら歩いていた。

 時折すれ違う住民に挨拶をかわしつつ、友の店を目指す。

 天気が良くって気持ちいいしパイも喜んでもらえた。ロロナの気分は上昇中である。思わずスキップしそうなくらいに。

 「ママー、あのお姉ちゃんたち「しっ!指さしちゃいけません!」

 

 思わず、顔がにやけてた自身を指摘されたのか!とロロナの足が止まる。声の主の女の子はロロナの前を歩いていた。進行方向的に違う事に安堵しつつ、『お姉ちゃんたち』が気になったロロナはそこに目を向けた。

 

 

 「どんなプレイでも大丈夫ですから!先ほどのカエルを使ったヌルヌルプレイだって耐えてみせ「よーし分かった!めぐみん、これからよろしく頼むな!」

 変態にジョブチェンジしていた知り合いだった。

 思わず、籠を落としてしまった。

 

 「「あ、ロロナ」」 

 変態(カズマ)アクア(ヌルヌル)が声をかけた。自然と周囲の目も彼女に向いた。

 

 ロロナはアクセルの街だけでなく、王都でも有名である。

 彼女が納品するパイはアクセルの人々にも大人気だ。アイリス王女も御用達なんだとか信憑性のないウワサもあったりするが、ロロナのパイを一度でも口にしたら誰もがそのウワサにも納得していた。

 明るく穏やかな人柄も人気の1つで、冒険者としての腕もある。

 そんな彼女は有名だった。名前と顔で『あのロロナ』と認知されるくらいには。

 

 「え、あの子ってパイのロロナ?」

 「あの変態と知り合いなの?ウソでしょロロナちゃん……」

 「ロロナおねーちゃん、あのお兄ちゃんのともだ「しっ!ロロナちゃんがそんな子な訳ないでしょ!」

 「そ、そうだよね、ロロナちゃんが……」

 コソコソ聞こえる小声はロロナの耳に入る。なんだか恥ずかしくなって顔が赤くなってきた気がする。

 そんな周囲の視線と声にいっぱいいっぱいになったロロナは

 

「うわーーーーーん!!」

 

 

 泣きながら逃げた。

 

 

 後日、ロロナはカズマに好意を抱いていたが、ヌルヌルプレイを好む性癖に加えロリコンであることにショックを受けた。

 

 みたいな噂が流れてしまうことを彼女は知らない。

 

 

 




 ▼ ステルクさんがアップを始めました。
 
 ▼ 落ちたパイはスタッフが美味しく頂きました。


 あれ、最初はロロナにジャイアントトードの粘液を採取させるつもりだったのになぁ……

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