この素晴らしい錬金術士に至高のパイを!   作:玄米ほうじ

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 前回でロロナさんを泣かせてしまったカズマくん。ステルク(セコム)がアップを始めましたが、同時にロロナに好きな人(カズマ)が出来た。ってことにショックを受けそうな気がしなくなくなくない。
 でもアストリッドさんやトトリちゃん、メルルちゃん、ルルアちゃんがいるからやっぱし終わったね、カズマくん!師匠の力でTS化するかもしれないね!カズマくん!!

 いつか小ネタでやってみようと思います。


ロロナと錬金術

 

 「ところでカズマ達はロロナと知り合いだったのですか?」

  周りがガヤガヤと騒がしいギルドの酒場で、本日付けでパーティーメンバーになったロリっ娘がそう言った。

 「ああ。この街に来たばかりの時に世話になったんだ」

 主に金銭面とか。爆弾とか。

 

 ロロライナ・フリクセル

 アクセルの街で初めてパーティーを組んだ少女だ。

 あどけない少女で、オレとアクアの初めてのクエストの依頼主。

 正直護衛なんて必要のないくらいの強さを持った少女。報酬が前払いで、冒険者登録に使って無ければ、全額返金させてもらうくらい、オレ達は木偶の棒だった。

 

 ギルドのルナさんによると、ロロナ1人が一カ月働かないだけでアクセルどころか王都の経済まで影響を与える可能性があるとかないとか。にわかには信じがたいけど、それが本当ならロロナに頼り過ぎでは無いだろうか。ロロナってどうみてもめぐみんと同い年位じゃないか?過労にならない?

 もし、ロロナの錬金術を教えてもらい、オレにも出来るようになればガッポリ稼げるのではないだろうか。

 

 「出来るんならあの錬金術教えてもらいたいもんだぜ」

 「冒険者ならスキルは覚えられるでしょうけど、上手くいくとも限りませんよ?」

 「めぐみん、それってどういうこと?」

 宴会芸をしていたアクアが手を止めてこっちの話に入ってきた。

 めぐみんは眉を寄せ、小さく唸る。

 

 「ここははじまりの街ですよ?カズマ以外の冒険者が居たとしてもおかしくはありません」

 あっ(察し)

 「??どういうことよ」

 本気で分からないのか、アクアは不思議そうな顔してめぐみんを見た。

 

 「……錬金術はとても便利です。それを使えるのがロロナ『のみ』じゃなければ、もっとこの街は発展していたでしょう。お金だってたくさん稼げるに違いありません。

冒険者は全てのスキルを習得できます。カズマのように、『錬金術』を習得したいと考える冒険者がいないはずがありません。

ですが、何故ロロナのみしか錬金術士はいないのでしょうか」

 

 ここまで言ってようやくアクアは気づいたようだ。

 目を大きく見開き、大きな声で叫んだ。

 

 「じゃあロロナは誰にも錬金術を教える気がないってこと!!??」

 

 

 酒場が一瞬だけ静かになった。

 

 

 

 

 

******

 

「くしゅんっ」

 寒くもないのにくしゃみが出た。思わず鼻をさする。

 持参するハズだったパイのカゴを落としてしまったことに気づいたのが、ウィズの店に入ってすぐ。コンテナに入っていたパイは全て納品したため、ウィズにあげる分が無くなってしまった。

 砂糖水で飢えを凌ぐ友人は気にしなかったが、ロロナは違う。

 友人と一緒にアトリエに戻り、出来たてをプレゼントしたかったのだ。

 みるみる顔が青白くなるウィズを見たくは無かったのである。やはり友達には元気で、笑顔で居てもらいたい。ポリシーだ。

「風邪?無理しなくていいんですよ」

「いや、寒くもないから違うんじゃないかなあ~」

 もしかしたらパイの材料の小麦粉が原因かもしれない。

 ロロナはそう結論付けると、錬金釜をくるっとかき混ぜた。

 

 ち~ん♪

 

 ベルのような音が鳴り、ロロナはかき混ぜ棒を釜から上げ、中からパイを取り出した。

 「ウィズ、出来たよー!」

 今回はお魚パイだ。

 

「ムグッ、ゴクッ っあ~ロロナさん、おかげで助かりました~~」

「いいんだよ~」

 友にはいつまでも元気でいてもらいたいものである。

 まあ、それが不死王で飢えて死ぬことがなくても、関係ない。

 ロロナは、パイで人を笑顔にすることが大好きなのだから。

 

 

 

「やっぱり見つからない?」

「ええ。ロロナさんが言ってた特徴にあう人は見つからなかったです」

 ウィズと二人、並んで食器を片づけた。

 最初は「ウィズはお客さんだし座っててー」とロロナが一人でやっていたのだが、食器が割れる音がしてからはウィズも参戦した。

「ロロナさんはその人が大切なんですね」

 ほぼ毎日のように顔を合わせては、とある人物の行方を気にするロロナに、ほんの少しジェラシーを感じる。死んで亡霊になった後でも、生者に気に掛けられているのは、同じ亡霊としては羨ましい限りだ。

「うん。パメラも大切な友達だからね~。それに、パメラ位しかここに来れそうな人想像できないもの」

 ロロナの人生の中で、数奇な思い出の1つ。

 異世界に迷い込み、その世界のとある村を発展させる管理官に協力した時だ。

 そこにパメラはいた。不思議なことを言っていて、当時は訳が分からなかった。

 でも、複数の世界を渡ったロロナなら分かった。

 

 パメラ・イービスは、ロロナの友は、複数の世界に存在する。その上、どの世界のパメラも記憶が繋がっているのだと。

 

 ハチャメチャな推測だとは分かっているが、ほんの少しの可能性に掛けたいのだ。

 錬金術の成功率が7割を切ったら挑戦するのは避けるのだが、それはそれ。これはこれである。

 

 

 「ロロナさんってそんな遠いところから来たの?」

 1人しか会いに来れる人を想像出来ないなんてなんて悲しいんだろう。

 とウィズは同情しかけたが、ロロナの人柄を思い出し、直ぐにその考えを捨てた。

 ありえない。こんな暖かい人の故郷の友が、1人だけなんてありえない。きっと事情があるに違いないのだ。例えば、国が違うとか。

 

 世界の次元さえ違うことはさすがに想像出来ないウィズだった。

 「そうだね、すっごーく遠いかな~ 

 テレポートでも行けない所にあるよ」

 そういったロロナの横顔が、笑顔なんだけどどこか寂しそうで、ウィズは止まった心臓が締め付けられそうな感覚がした。

 

 

 

******

 

 一人の男が地面に額を擦りつけ土下座していた。

 声を震わせ、すまない。すまない。と繰り返し呟き、地面が乾く暇を与えない程涙を落とした。

 

 黒かったその髪は所々抜け落ちており、一部白くなっている。逞しかった身体は、今では見る影もなく、草臥れていた。

 男を知る者からしたら、あまりの変わりようで、はじめは知らない人だと思った。

 でも、男はあの人しか知らないことを知っていた。

 私と、お母さんと、あの人の3人だけの思い出を。

 そこでその男の人とあの人が同一人物だと納得した私は、また、納得できない。信じられない事を男の人に告げられる。

 

 ふらつく体を師匠に支えられ、幌馬車のアトリエに入る。ソファに体を預け、先ほど告げられた言葉が頭で響いた。

 

 信じられなかった。

 

 お母さんが、死んだなんて――

 

 

 

 

 

 






 きっとステルクさんはロロナが死んだら相当やつれそうなの。

 荒れる船の中、パイを食べたくなって錬金術を行った結果足を滑らせて後頭部殴打して死去。なんて死因聞いたらルルアちゃんも動揺する。
 
 
 そして真っ先に出てくるアトリエキャラはパメラさん。
 別の世界でも存在する彼女ならそこにいてもおかしくないハズやでぇ

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