おかげさまで日刊ランキングにのりました!初めてです。ブクマが1000件超えました!!
ランキングの力ってすげー!のったら300件が1000件ですぜ。チキンハートが震えます。ビビりだから。
それはさておき。感想読まさせていただいてます。
アストリッドとルルアの行動力の高さってすごいですよね。
ししょーは『あらゆる時代のロロナ』を愛でる為に時を渡る術を身に付けたし。
ルルアは1人の友の為、平行世界の自身と友の為、行動していました。
ついにルルアのアトリエクリアーしました。ステロロ尊い。なんか雰囲気が熟年夫婦って感じですよね。
ロロナのアトリエ ステルク→→←←←ロロナ
トトリのアトリエ ステルク→→→←←ロロナ
な感じがするような気がする。メルルのアトリエで↑みたいなのやったらステルクさんがロリコンっぽいので自粛します。
他にもアトリエクロス増えて下さい。お願いします。
今回アトリエサイドになります。このすばキャラは一回お休みです。
『おい、そいつから離れろ!』
20年以上経った今でも覚えている。護衛任務の時のことだ。
完全にトドメを指せなかった私の責任だった。
彼女を怖い目に遭わせてしまった。
スニーシュツルムの攻撃から彼女を庇い、背に傷を負う。彼女はひたすら泣いていた。
ワープゲートを使い、アーランドに戻った最中も。
傷の治療を受けている時も、彼女の泣き声がずっと耳に木霊していた。
彼女と出会ったのは騎士団に所属して数年。理想と現実のギャップにもがき、騎士団から浮いていた頃だ。
アーランド発展に向けて、職人通りに居を構えるアトリエを閉鎖することが議会で決定した。
原因としてはアトリエの主人であるアストリッド・ゼクセスの職務怠慢だ。
何年も真面目働かなかった彼女は住民の評判も悪い。
唯一の錬金術士のアトリエを取り壊すのは忍びなく、救済措置としていくつかの課題をこなさなくてはならない。期限は3年。屈指の天才錬金術士とされていたアストリッドであれば、サボり癖が強かろうと余裕でこなせるだろう。と私はそう思っていた。
ロロライナ・フリクセルと名乗ったその少女は、王城で出会った。
アストリッドの代理だと名乗り、私の顔を見て怯えて泣き出した少女はアトリエ閉鎖に固まった。
自身の師匠が何かやらかしたのか!?と動揺する少女に、アイツに振り回さられるなんて可哀想だな。なんて思っていた。
まさか、まっっったく何も教えていない弟子に全てを押し付けるなんて思ってもいなかったが……
ロロナくんが不憫でならない。
ロロナくんが友人と城門の外に出ようとしている所を見かけた。
聞けば、錬金術に使う材料の採取なのだとか。
『魔物からもいい素材が手に入るんですよー』と語っていた彼女に血の気が引いた。
警備員の様な仕事しかない騎士団より、国の課題の為に頑張る少女に手を貸した方が良い。
先輩に話を通し、ロロナくんの採集護衛をする許可を取った。
ロロナくんはひたすらに、愚直に課題に臨んでいた。
王国の課題以外にも、国が提示する依頼書をこなしてきた。
品質が良く、性能のいいそれを納品するロロナくんに対して、依頼人たちが増えるのは当然のことで、次第にアトリエの評判は高くなっていく。
錬金術士としても、冒険者としても実力を身に付け、明るい笑顔を絶やさない暖かな少女にいつから惹かれたのかは覚えていない。
その笑顔を、なによりも彼女を守りたい。
結果、身を庇っても泣かれてしまったのだが、彼女の無事な姿を見ただけで十分だ。
王国の課題をクリアーした後も私とロロナくんの交流は続いた。
互いに弟子をとり、彼らの成長を支え、
何故か8歳に若返った彼女を連れ、一国の姫と行動を共にし、
気づいた時にはロロナくんには娘が出来ていて、記憶が無くなるまで酒を飲んだ。
その後、ロロナくんの娘、エルメルリア・フリクセル――ルルアくんの護衛をすることになり、唯一存在したロロナくんにある蟠りも解消することが出来た。
ロロナくんになら背中を預けられるし、二人でならきっと大丈夫だとも思えた。
何があっても、助け合うことが出来る。
そう確信していた。
*****
ぐつぐつと煮えたぎる音がアストリッドの耳に入る。
森を思わせる匂いに混じった薬品の匂い。規則正しく、釜をかき混ぜる従者の姿が目に入る。大きく伸びをし、外してあったメガネを掛けた。
「グランドマスター、黒の香茶が出来ました。」
「ああ」
従者は、小柄な背丈・尖った耳・光の反射で色が変わる銀色の髪を持ったホムンクルスだ。
唯一の弟子であったロロナの為に造ったのだが、『師匠の監視・世話役をお願い!』と命令されたらしく、今ではアストリッドの従者である。
ホムと名付けられたホムンクルスは、カップを受け取ったままじっと動かないアストリッドをじっと見る。
体温、呼吸に乱れは無く、至って健康体なのだが、どこか具合が悪いのだろうか。
グランドマスターに限って精神の病など発症はしないと思うのだが、優秀すぎる錬金術士から産まれたホムは、肉体的な異常はすぐに分かる。言葉が分からなくてもフィーリングで気持ちも分かったりするのだが、精神的な症例には明るくない。
「いかがなさいました?」
「……変なんだ」
アストリッドは天才である。人に弱みや相談などしない。気分屋だ。
自身より遥か以前を知るユウレイには敬意を。
自身が造り挙げた
自身の弟子は弄る。からかう。
腰のベルトに留めている試験管を軽く撫でる。
「ロロナの反応が2つある」
****
ステルケンブルク・クラナッハはアーキュリスにある広場の噴水の前でうずくまっていた。
数年かかる調査であったのだが、道中、事故でロロナが死に、同行していたミミ・ウリエ・フォン・シュヴァルツラングが中断するよう進言したのだ。
「今のステルクさんは調査の邪魔です」
涙を堪える表情で怒られてしまった。
ステルクは情けなかった。
鉛のように重く、自身の体のハズなのに思うように動かせない身体が。
「ステルクなのか?大分変ったな。イメチェンが過ぎるぞ」
錆びついたネジのように、鈍い動きでステルクは音のする方向を見た。
逆光になっていて顔の詳細は判断できなかったが、二人の人影だった。
1人は長い髪の女。堂々たる態度で立つ女の知り合いは、ステルクの中には一人しかいない。
「アストリッドか?」
「変わったな。ステルケンブルク。お前に少々質問がある。」
「お前が私に質問なんて珍しいじゃないか」
覇気のない幽鬼のような姿にアストリッドはその柳眉をしかめた。
普段なら。普段のステルクなら突っかかるはずなのだ。
異常なまでのステルクの変貌ぶりにアストリッドは1つの推測を立てた。
「なんだ。ロロナにふられたのか」
刹那、肩を震わせ頭を抱えるステルクに、『まさか』と思う。
ロロナとステルクが互いを想い合っているのは一目瞭然である。
のに関わらず、20年経った今でも一緒になっていないのは『蟠り』と『ステルクのヘタレ』が原因であることは誰もが知るところだ。ロロナ?天然にそんなこと望んではいけない。好いている男に突然『私、娘が出来ました!』なんて言う女は恋愛の駆け引き以前の問題である。ちなみにアストリッドはこの話を聞いた時、全力でステルクを弄繰り回した。爆笑しながら。
「まさか朴念仁の堅物な貴様がちゃんと告白することが出来るとは……」
感慨深いものだ。
うんうん満足げに頷くアストリッドに従者は白い目を向けた。
「グランドマスター、本題からずれています」
「まあいいだろう、ホム。ステルケンブルクがからかいがいのない反応を取るのが悪い。」
傍若無人である。
アストリッドはしゃがみ、ステルクと目線を合わせた。虚ろな目に全力で舌打ちしつつ、要件を告げた。
「ロロナはどこだ」
アストリッドとステルクは幼馴染である。
からかい、からかわれるような関係が40年以上続く。長い長い関係である。
感情の表現がヘタなステルクは子供のころ、よくからかわれては泣いていた。
目つきの悪い鳶色の瞳に、涙を溜めて静かに泣く子供だった。
大人になるにつれ泣くこともなくなり、目つきの悪さが浮き彫りになったのだが、そこは割愛しておく。
「久しぶりだな。貴様がそうやって泣くのを見るのは」
声を出さず、静かに涙を流すステルクにアストリッドは事を把握した。
ロロナは、彼女の愛弟子は逝去したのだ。
しかも、ステルクが近くにいる時に。
「なるほど。おおよそは把握出来た。パメラはまだアールズにいるか?」
無言で頷くステルク。次の行き先が決まったアストリッドは、トラベルゲートをホムから受け取る。
「ホム。すぐ戻る」
「承知しました。グランドマスター」
光を纏って消えていったグランドマスターを見送ったホムは、未だ項垂れ涙を流すステルクにタオルを差し出した。
「大丈夫ですよステルクさん。マスターは見つかります」
「そうじゃないんだ……ロロナくんは、死んでしまったんだ……」
「ええ。ここのマスターを逝去しましたが、まだマスターの反応があります」
ふと脳裏に1人の為に平行世界をも救った少女を浮かべた。
過去を変えるのか?
出来るのだろうか。死者を蘇生することは。出来るのなら、会いたい。また、ロロナくんに会いたい。会って、伝えたいことがあるんだ。伝えなきゃ後悔する事があるのだ。
「どういう、ことだ?」
「グランドマスターから『確証が持て次第話してやる』……だそうです。確認はすぐ終えられるそうなので「どういうことなんだ!!?」
睨みつけるステルクに、先ほどまでの弱弱しい印象はどこにもない。ホムは僅かに頬が上った。
「グランドマスターがマスターに発信器を付けていたらしく、複数の反応があったのです」
ただ、濁った川底に沈む光のように鈍い反応なのだそうだけど、生気を取り戻し始めた男に対しそれは無粋であると判断したホムは、それを押し留めたのだった。
「で、では!すぐにルルアくんに!!」
「まだです!グランドマスターが戻られ次第でないといけません」
「だが!」
あんまりだ。逝去した母親が生きているかもしれないというのに。
「確証が持てないことを、ルルアお嬢様に軽はずみに伝えることは致しかねます」
「では何故君は私にそれを?」
聞かれると思っていたのだろう。ホムは幾分か穏やかそうな顔をしていた。
「グランドマスターからの命令です。ルルアお嬢様は平行世界の過去すら変えられる実力の持ち主であるので知らぬ間に動かれて取り返しのつかない事態にならぬように。とのことですので」
ステルクは押し黙った。
ルルアの行動力は十分すぎるほどに知っているからだ。
ルルアに対し罪悪感が湧かないわけがないが、それであの天才が懸念する事態になった場合、解決できそうな者が一人もいない方が問題である。
ルルアの行動力の高さを知っているが、同時にアストリッドの読みの深さや天才さを知っているステルクとしては、アストリッドが戻るまで待っていた方がマシだと思った。
メルルのアトリエではホムくんホムちゃんだったんですが、ここでのホムはホムちゃんです。
ちむどらごんとちむまるだゆうがホムちゃんをマザー呼びしてたらいいなーと思ったので。
ステルクが
アストリッドにしてみれば、時間旅行中も大きくなったお腹のロロナを見ていないので、すぐに義理の娘と看破しました。スケさんェ。
ロロナに付けられていた発信器はGPSみたいなものと思ってください。錬金術って何でもありだろうけどさすがに生死に関しては禁忌だろうなーと思っているので、アーランドへの蘇生の予定はありません。
また、ステルクさんの泣き方に関しては思いっきり趣味に走ってます。