お久しぶりです。玄米ほうじです。
評価、感想、ブクマ誠にありがとうございます!
そしてすみません。返事をなかなか返せそうにないです。
前回で、ロロナの年齢についてご指摘を頂きました。調査不足で申し訳ありません。
初期年齢は13じゃないですね。14でした。13って師匠の理想ロロナでしたね……。
メルルのスクショ撮ってたやつから引用したのでこのようになりました。
ま、まぁロロナさん8歳にもなれるしこのまま13歳ってことで行こうと思います((震え声))
アトリエverがシリアスになっているので今回このすば回です。
ギャグのつもりでやってます。よろしくお願いします!
ロロナの朝は早い。
野鳥の囀る声が聞こえ始めると同時に身支度を整える。
錬金釜に火を点け、薬品と水を混ぜる。精密さが重要であるため、幾度となくやってきても必ず計量カップと天秤を使用する。
自身の師匠は計ることなく、かと言って慎重に投入する訳でもなくこの作業を行っているのを見たことがあるのだが、異臭や爆発が起こったりなどはしなかった。ちなみにロロナも挑戦してみた結果、爆発・異臭が発生。通常の錬金術の失敗とは比べようもない程の被害が出て、通報を受けて見回りに来たステルクに折檻を喰らったほどだった。
「(ステルクさん……元気してるかなぁ)」
家庭菜園の作物たちにクリエイト・ウォーターで水を撒きながら、ロロナの頭を占めたのはステルクの事だった。
――二人で一緒なら、どんなことだって乗り越えられる。
そんな事を言っていたのに、今のロロナは旅の途中で死に、異世界で暮らしている。
せめて元気に暮らしてたらいいなぁ。
と願いつつも、逆の立場だったら……と考えるとロロナは深いため息をついた。
水を撒き終え、以前のアトリエのインテリアであった魅惑の女神像に向け、お祈りを奉げる。
本来、魅惑の女神像の効果は『良い噂が広がる』ことだ。
だが、この世界で新しく錬金術で作った魅惑の女神像は何故か顔がエリスに変換されており、アイテムを『鑑定』スキルで確認したら名前が『幸運の女神像』に変化していた。
この幸運の女神像の効果はと言うと、その名の通り『幸運になる』だ。
だからロロナはそれに向け祈る。アーランドに遺してきた娘、弟子、友人、ステルクに。
それがロロライナ・フリクセルの日課だった。
祈ること数十分。
小腹が空いてきたロロナはコンテナからミルクパイとブランクシチュー、黒の香茶を取りだし、食卓に並べる。
ミルクパイとブランクシチューで前日の疲れを癒し、黒の香茶で眠気を飛ばす。
眠気が飛んで、完食したら食器を手早く片付ける。幼い頃はしょっちゅう皿を割っていたりモタモタと洗っていたが、子育てや一人暮らしが長かったおかげか大分こなれてきた。
食器を食器棚に戻し、作業机から紙束を確認する。
紙束は受け付けているクエストの納品書だ。品物・個数・期限を確認し、効率の良い順序を決める。やっぱり今日もパイが多い。思わずロロナは笑みを深めた。
パイ(種類問わず)にインゴット、フラムとメンタルウォーター、ヒーリングサルヴが今回の依頼である。
「
メンタルウォーターは読んで字のごとくMPの回復アイテムだ。ヒーリングサルヴは傷口を癒す薬である。アクセルははじまりの街ではあるものの、中堅冒険者も多く駐在している街だ。プリーストだっている為、体力や傷口を回復するような薬はあんまり需要は無い。メンタルウォーターの需要は高い方なのだが、使うほど苦戦するクエストに挑戦する者が居なかったり、『我が魔力が全快するほどの効果でないと意味がありません!』と言ったウィザードが居たり。『マナタイトの方が割れる心配ないから』etc.
であるため、冒険者相手の回復薬の需要は殆どないのだ。
需要があるとしたら冒険者ではなく、一般の住民だろう。魔法が使えない者がほとんどであるため、切り傷に効くヒーリングサルヴは常備薬として必要であるし、メンタルウォーターは頭がスッキリする効果もある為、頭痛薬として利用されているのだ。
どちらもパイに比べれば利用頻度は少ない為、久々に感じたのだった。
鼻歌混じりに錬成し、出来上がったものは『秘密のバック』に詰め込む。ここまでで所要時間はおおよそ6時間。日も高く上がり、外は行き交う冒険者たちで賑わっていた。
コンテナ内の素材の残数を確かめておく。じゃないとパイが作れなくなってしまう由々しき事態が発生してしまう。小麦粉、水は切らしてはいけないのだ。常にストックが50個なければ酒場用・自分用・ウィズ用のパイを賄うことは出来ないのである。
納品した後、採取に行く予定の為、杖を用意しておく。今回の採集の相方はウィズだ。
パイを御馳走している時に約束を取り付けていたのだ。
ウィズとは納品後に迎えに行くと告げている為、ロロナは足早に酒場に向かうことにした。
******
ウィズの魔法具店には変わった魔法具が取り扱っている他、ロロナが錬成する爆弾や薬を卸売している。
魔法具よりも爆弾の売れ行きが良いのはお察しなのだが、魔法具を買い取ってくれる相手もいる。ロロナだ。
錬金術は素材の特性を引き出す術だ。ウィズが売る商品は様々な特性を持っている。例えば爆発する。とか。しめつける。とか。覗き込む。とか。
そういった特性を生み出すため、ロロナはそれらの商品を購入している。
『追爆』効果のある爆弾や、『未来視』する水晶玉が生み出されることになったのだ。
「ウィズー!来たよー!」
納品によって懐が潤ったロロナの表情は一際輝いていた。まるで100万コールに近づいてきたときのように。
対象として、ウィズの表情は陰っていた。推していた商品が軒並み売れ残った時のように。
「あらー。待ってましたよ~」
幸薄い顔で魂が抜けたような青白い顔で、ウィズはロロナを出迎えた。
台に上半身を預けていて、とてもじゃないが客を出迎える体勢ではないのだが、本日は午後からの営業は休みである。午前中も来店客はいなかったのだが、ウィズの記憶ではそんな事実は無いのである。無いったら無い。
「ご飯食べてから採集に行く?ウィズも用事があるんでしょ?」
秘密バッグを来客用のテーブル――熟考するお客様の為に備え付けられた。実績は、ない。――に降ろし、ウィズ用のパイを取り出した。
「相変わらず美味しそうですね! ええ、真夜中まで気が抜けないのでぜひ!」
輝くウィズの笑顔を見て、ロロナは笑みを深めるのだった。
***
ロロナがウィズと出会ったのは、納品クエストで名が売れ始めたばかりのころだ。
『面白いモノを売っている魔導具店』があるとルナから聞いたロロナが、ウィズの店に訪れてから、妙に波長が合った2人はすぐさま仲良くなった。
ウィズはリッチ―と呼ばれるアンテッドである。
普段はリッチ―であることを隠していたのだが、ロロナが差し入れたパイを目の前で食べたことでアンテッドという事が判明。
今までずっとひた隠しにしてきたので、ひとりに秘密を告げるだけで胸のしこりが取れたウィズなのだが、その当時のロロナときたら、「ふーん」だけで終わったのだ。
これにはウィズもビックリ。距離を置かれるのもそれはそれは悲しいことだが、仕方ないことだ。と納得は出来る。でも、こんな反応はまったく予想していなかった。
思わず、
「怖く無いんですか?」
と聞いたほどだ。たとえ自身が逆の立場だった場合、騙された。という気分になっても可笑しくないのだ。だって、リッチ―なのだから。魔族側の存在なのだから。
自身のマイナス思考中に凹んでいるウィズに、ロロナは小さく唸るだけだった。
「そりゃあお化けは怖いけど……リッチ―ってなんなのかよく分からないし」
アーランドには、ゾンビはいない!!!
アンテッド系というか、ゴースト系……しかも見た目は可愛らしい感じのモンスターしかいないのだ!!そんな世界で育ったロロナは、ゾンビは知らないし、リッチ―という存在もどういうものなのか知る由もない。
「幽霊の友達も故郷にいるし、その子……パメラって言うんだけど、パメラって全然怖くないんだよ。たまーに驚かせることもあるけど……」
笑顔を咲かせるロロナを見て、ウィズはそのパメラが羨ましかった。
「だから、死者?だからってウィズを怖がることはないよ?だって友達じゃない!
っというか、具合大丈夫?運気が上って欲しかったからパイに『女神の加護』の特性が入ってたんだけど……きゃあ!」
「……ごめんなさい」
透明になりかけたウィズの目の前には、ロロナが正座している。
初歩的なミスなのだが、渡し間違えてしまったのだ。ロロナとウィズのパイを。
錬成するパイは一度で複数個出来上がる。お蔵入りした女神パイも、以前ウィズに渡した分以外にもあるのだ。久々に食べようと思って皿に乗せたは良いものの、ウィズ用のパイと見た目が似ていたことがいけなかった。というかアンテッドの前で女神パイを食べようとしたことがいけなかった。
ちなみにウィズ用のパイは『トードパイ』。夜の活動へ向けて活力を付けて欲しいから。が理由である。ウィズも大好きな一品だ。
「だ、大丈夫。一口だけだったから!そのあとトードパイも頂いたし、大丈夫よロロナ!わざとじゃないって分かってるから!だからはやく立ち上がって!!」
夜である。
ウィズの用事の時間でもある。
「毎日してるの?」
「ええ。この間知ったのだけど、町外れの墓地に成仏出来ない迷える魂がたくさんいるみたいなの。町に駐在しているアークプリーストに勇気を出して相談したのだけれど……その、私お金あんまり持ってないから……」
悲しそうに眼を伏せるウィズにロロナはそっと背中を摩った。現在、墓地のど真ん中である。
魔方陣を描きながら、ウィズはロロナに依頼した。
「稀にゾンビも出てきちゃうから、ロロナにはそれを倒してほしいの」
ゾンビの姿を学習したロロナの顔から血の気が引いた。
***
「ロロナ!新しいゾンビ、出てきますよ!」
「ふえ~ん!」
ゾンビが出現してはメイスで殴り、距離が遠ければクラフトを投げる。
浄化作業が始まって早一時間。ロロナが討伐したゾンビは5体に及んだ。
しばらくの夢はこの思い出に違いない。ロロナは泣きながらメイスを振るう。
魔法陣から溢れる光は、まだ魂を浄化し続けている。途切れることがないそれに、1日の死者の多さに驚きを隠せない。ゾンビも眠り過ぎでは無いだろうか。
「ウィズ~~まだぁ?」
「あともうちょっとです!何か、大きな魂が引っ掛かってるんです!」
そして、一際大きく輝いた所で
「リッチ―がこんな所にノコノコ出てくるとは不届きな!成敗してくれるっ!!」
アクアは物凄い速さで魔法陣まで走ると、砂の絵を消すように足で魔法陣をかき消した。
光が弱くなる。消えかかった大きな光に、ロロナは咄嗟に引っ張り上げようと手を伸ばした。手先がヒンヤリして背筋が走るが、構わずに引っ張り上げようと更に力を込める。
視界の端ではアクアがウィズに突っかかっていた。二人の争いを止めたい気持ちもあるのだが、今はこの魂だ。なんだか手を離したら、そのまま消えてしまいそうな気がする。
「リッチ―の癖に浄化なんて生意気よ!そんな善行はアークプリーストの私がやるから、あんたは引っ込んで見てなさい!
こんなチンタラチンタラやってないで、私がこの墓地ごと浄化してあげるわ!」
「えぇっ!?ちょ、待ってぇぇ!」
切羽詰まったウィズの悲鳴が聞こえる。助けに行きたいのは山々なのだが、ロロナはロロナで手が離せそうにない。
「『ターンアンデッド!!』」
刹那、白い光が墓地全体を覆う。仕留め損ねているゾンビや、ロロナが掴んでいる魂以外の魂たちが浄化されていった。つっかえが取れたのか、引っ張り上げることが出来たのだが、その魂は浄化されることなくその場に留まった。
ちゃんと抜け出たことに安心し、ロロナはウィズの援護に回ろうとした。
「ウィズ!?」
「え、ロロナァ!?」
カズマの驚く声が聞こえた。
消えかけたウィズに気を取られているロロナは、自身を呼ぶ声に目を向けることなく、ウィズに駆け寄った。
「ちょ、あぁぁ! 身体が消えちゃう!成仏しちゃうぅうう!!
ロロナぁ、助けてぇぇぇ!!」
「あははは!愚かなるリッチ―よ!私の力で欠片も残さず消滅するが「アクアちゃんやめてぇぇぇえええ!!」
ウィズの前で庇い立つロロナだが、生者に意味のないターンアンデッドはロロナを通り越してなおもウィズを浄化しつつある。
ウィズとロロナの絹を割くような悲鳴と懇願。アクアの愉快そうな笑い声。
この場面だけ見れば、悪者は明らかにアクアであった。
とりあえず可哀想なのでカズマは背後からアクアの頭をはたいた。
「止めてやれ」
「っ!?ちょっと!何すんのよ!」
予期せぬ痛み故か、白い光は消えた。ウィズの身体が消えるのも収まる。あの魂はその場に留まったままだ。
「ウィズ!大丈夫??」
「ロロナぁ」
涙目でロロナに縋るウィズと、それを受け止めるロロナの間でカズマの視界に百合の花が咲き乱れた気がするが、瞬きしたら消えた。
「ちょっとカズマさん!?浄化を止めるなんてなんてことすんのよ!」
と抗議するアクアをさらっと無視して、カズマはなおも震えるウィズに声を掛けた。
「お、おい、大丈夫か?リッチ―……であってるのか?」
「え、ええ。お陰様でなんとか……助けていただき、ありがとうございました。
えっと、仰る通り、リッチ―です。名前はウィズと申します」
立ちくらみしたようにふらふらとしたウィズは、ロロナにしがみつきながらも丁寧にお辞儀した。
******
立ち話もなんだ、という事で、オレ達はレジャーシートに腰を掛けた。
隙あらばウィズを浄化しようとするアクアは、ロロナの道具――生きてるナワで縛られている。ダクネスが羨ましそうにアクアを見つめていたが、話が拗れそうだから無視だ。
ネコ型の鞄から、人数分のパイを取り出すロロナ。ゲームでよく見るアイテムボックスのような奴だろうか。欲しいな。あとで聞いてみよう。
こちら側からは、『クリエイト・アース』で作ったコップに『クリエイト・ウォーター』で水を注ぎ、『ティンダー』で温めた後、粉末のコーヒーを注いだモノを提供した。
「あら、初級魔法をこんな風に使いこなす人なんて初めて見ました」
ウィズがキラキラした目で褒めてくれた。美人に褒められるとなんだかむず痒い。
「えっと、ロロナたちって、なんでこんな夜中でこんなことを?
ウィズが魂を天に還すとか言ってたけど、そういうのってコイツみたいなプリーストの仕事じゃないのか?」
親指でアクアを指示しながら二人に問うた。アクアが芋虫のように近づき、オレにかみつく。
「ちょっとカズマ!そんなのと喋ってたらあんたまでアンデッドになっちゃうわよ!
ちょっとソイツにターンアンデッドをかけさせなさいよ!
ロロナ!早くこの縄を解きなさいよ!ターンアンデッド出来ないじゃない!!」
どうやらあのナワは結んだものしかほどけないようだ。アクアが身動きしているが、隙間が全く生まれる気配がない。形状記憶型合金のように、ピッタリとアクアの体にひっついている。
なんつーか、縛り方が違うとエロそうな感じがする。性格アレだけど、見た目いいもんな。コイツ。
「アクアちゃんごめんね。ウィズは大事な友達なの。アンデッドだからリッチ―だからっていう理由だけで浄化させるなら解放する訳にはいかないよ」
舌ったらずながらも、ロロナは比較的鋭い目でアクアを見つめた。
ぐぬっと呻き声を漏らすアクア。
「えっと、悪いなウィズ。さ、続きを話してくれ」
「え、えっと、私は仰る通りリッチ―です。アンデッドの王とか呼ばれるくらいなので、私には迷える魂たちの話が……ふぇ?」
カワイイ。
ウィズが後ろを振り向き、次いでロロナを見た。また後ろを向き、「そうなんですか!?」と声を上げる。いるの?そこに迷える魂いるの!??
「ろっ、ロロナ!パメラさんって、確かロロナのお友達でしたよね!?」
「そうだよ?……え。まさか!!!」
色めきたったロロナが、後ろを振り向いた。
「パメラ、そこにいるの!?」
「ええ!ロロナが引っ張っていたあの大きな魂、パメラさんみたいです!
……え?ふんふん……そうなんですか!?え~ロロナ喜びますよ!」
「なになに?ウィズ!パメラ、なんて言ってるの!??」
きゃいきゃいはしゃぎ始めた二人を見てると、なんだか全くもって悪者って感じがしない。そして、なんだか癒される。ほら、うちのパーティーに無い感じだし。こういうの。
「カズマ?今何か失礼なことを考えませんでしたか?」
「イイエ、ナニモ」
臨戦態勢の紅魔少女が背中に杖を突きつけた。
そういうところが特にそうなん……いえ、何でもないデス。
「えっと、場所特定したわよ~ですって。あとロロナのバッグに憑依するわね~だって」
「うわ~やった!明日、人形用意するからね!パメラ!」
場所特定って不穏な響きだな。まぁ、知り合いだしいいのか?
「良かったわね、ロロナ」
「うん!」
涙を溜めたロロナを慈愛の女神のように撫でるウィズ。またしてもオレの視界に百合の花が。しかもなんだか光り輝いて見える。これが尊いという感覚なのだろうか。
というか話に戻していいだろうか。
未だ泣くロロナを胸に抱き、ウィズはロロナをあやす。
少し変形したそのたわわな胸が目を釘付けにしてやまない。つーかロロナ息できるの?羨ましいし変わって欲しいけどそのまま見てたい自分がいるっていうかなんていうか。
背中に杖が当たった。胸から視界を外す。
「ごめん、なんか申し訳ないけど、話の続きをお願いしていいか?」
******
話を要約すると、ウィズはとても良い人だった。
というかこっちの方が女神っぽい。誰と比較してるのかは言わずとも、だ。
金が無い奴らの浄化は後回し、見て見ぬふりするこの街のプリーストに代わって、日夜浄化に勤しんでいたのだという。
その時、オレら一行が一人の水色プリーストに視線を向けたのは日々の生活からして当然っちゃ当然だった。
「では、何故ゾンビまで出てくるんですか?私達はゾンビメーカーの討伐という事でこちらの墓地に来たのですが」
めぐみんが聞いた。
「あ…そうでしたか。えっと、呼んでいる訳じゃないんです。
私の魔力に反応して、勝手に起きてきちゃうんです。今日は浄化中に生まれるゾンビをロロナに討伐して貰ってたんですけど、それ以外の日は……なるべく討伐していたんですけど」
申し訳なさそうに目を下に向けたウィズ。
「私としてはここの魂が迷わず還ってくれればここに来る必要もないんですが……」
と続けた。
そういう理由なら、仕方ないよな。
転がってるアクアに視線が集まる。
「分かったわよ!私がそのリッチ―の代わりに浄化すればいいんでしょー!!」
やけくそのような返答をするアクアに、ロロナが思わず抱きついた。
「ありがとー!アクアちゃん!」
「その前にこのナワ外しなさいよー!!」
アクアの悲鳴に似た叫び声が、墓場に木霊した。
というわけで、最初にこのすば界にINするのはパメラになりました。
特定班パメラ。
アクアのターンアンデッドでも浄化されなかったのは、アストリッド師匠にそういうアイテムを持たされたからってことにして下さい。なんか、こー、ユウレイであることの認識を阻害するような、そういう都合のいいアイテムです。師匠ならそういうの作れるはず。