魔皇が裁く   作:96ごま

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自分の誕生日である今日もアプリゲーやりながら小説書く(家族以外に祝ってくれる人が居ないぼっち)(露骨なアピール)

友達はちゃんと大事にするんやで、ってうちの魔皇様に言いながら今回のやつ書きました(オタク特有のキャラに語り掛ける病気)


旧友との再会

見事に釣れたナイトレイドの二人を(ラバック)が案内し、うち(ワイルドハント)のメンバーを一通り紹介した後。やっと少し警戒心を解いてくれた少年の名はタツミで、もう一方のグラマスなお姉さんはレオーネという名前らしい。

 

そして本題。先程の話の証拠として、ドロテアの作業を見せた。

 

まず用意するのは事前に捕まえていた危険種の血肉。生成を行うドロテア曰く、どうせ形を変えてしまうんだから血が赤けりゃなんでも良いとの事。それを地面に描かれた複雑な円陣の中心に置き、術者のドロテアが手をかざす。するとそこから閃光が放たれ、危険種の肉は形だけは人間のように変化していく。これで死体のダミーは完成だ。

 

「えっ、それだけ?確かに報告で聞いてた通りの人っぽい形だけど……」

 

「うむ。後はいつものように村を焼き払えば焼死体に見えるじゃろ?じゃが実はただのこんがり焼けた危険種の肉。なんなら種類によっては食えるぞい」

 

「ああ、なるほど。そりゃ気付けねぇわけだ」

 

「ね、姐さん、よく平気でいられるな?思ってたより結構グロくて俺は見てらんないぜ……」

 

ドロテア先生の講座を平然として聞くレオーネさんの横に居たタツミが顔を真っ青にさせて、うげぇ…と若干吐きそうなのを訴える。帝都で有名な殺し屋ならこの程度大丈夫だと思っていたんだが、こいつは案外純粋な奴のなようだ。

 

「とまぁ、毎回こんな感じで凝った準備をしている俺らへの疑いは多少晴れたかな?そろそろまた増援が来そうだから、早めに結論を出して欲しいな」

 

「あ、ああ。とりあえずはあんた達を信じる事にするよ。姐さんもそれで良いか?」

 

「構わないよ。ボスもあんたと話したがってたし、元よりあんたをボスのところへ連れてくのが私達の目的だ。戦う気があればやむを得なかったけど、自分から会おうとしてくれるならこっちも助かる」

 

「!!……そっか。あの人はこんな俺を、まだ信じようとしてくれてるんだね」

 

かつての旧友との話し合いの余地があると聞いて、嬉しいような、怖いような。なんとも言えない気持ちが込み上がってくる。

 

自分で話したいと言っておいてあれだが、今の俺を彼女が見たらどんな反応をするんだろうか。悲しい顔をする?それとも幻滅?軽蔑?考えてみるだけで恐ろしい。だって昔の俺は、彼女と楽しく談笑する一時がとても幸せだったのだから。

 

もう遠く感じる思い出に浸っていると、隣に居たメズ姉が心配そうに名を呼んだ。それをきっかけに意識を現実に戻した俺はなんでもないと返す。

 

「シュラ兄、ここの住民はもう移動させた?」

 

「ああ、とっくにな。今回は規模が小せぇから身体の調子もまだマシだぜ」

 

「それなら良かった。最近ずっと多用させてほんとごめんな?当初の目的通り反乱軍側との接触が出来たから、今後はもうやる必要もない。帰ったらゆっくり休んでくれ」

 

「お前に言われずとも勝手にそうするさ。それよかお前もいい加減休んだらどうだ?ドロテアの給料上がったせいで貧血が続いてるだろ?」

 

「うげっ、バレてた」

 

シュラ兄を心配してた筈が逆に心配されてしまった。なるべく顔に疲れを出さないようにしてたけど、そんなに体調が悪そうに見えるだろうか?

 

「天使!この村は小さい子供が多かったから後で新しい玩具買ってやっても良いか?こないだのは多分もうみんな飽きちゃってると思うからよ」

 

「しゃーねぇなぁ。お前個人が帝都で稼いだ分はお前の給料だ、それで買ってやれ」

 

「よっしゃあ!!さっすが天使!話がわかるぜ!」

 

「大将、また帝国の雑魚共が来たぜ。さっさと燃やしてずらからねぇとマズいんじゃねぇか?」

 

「そうだな。じゃあドロテア、いつも通り宜しく」

 

「ほいほい。相変わらず人使いが荒いのぅ……」

 

チャンプやエンシンとも会話を交わしてからドロテアに指示を出し、今まで通り錬金術で村に火を放って貰う。本当はチャンプの『ダイリーガー』に跡形も残さぬ火炎玉があるのでそれを使った方が手っ取り早いのだが、やり過ぎたらダミーが意味を成さず、シャンバラの存在を知ってる帝国側に住民の生死を疑われるのであいつの帝具はまだ隠したまま使用しない。

 

まぁ、向こうには神ノ御手『パーフェクター』を持つマッドサイエンティストが居るので、少しでも調べられたら焼死体の正体は一発でバレるだろうが。だからこそ、探していたナイトレイドに出逢えた今の内に撤退する。かなり危ない賭けだったが、いくつかあった町の候補から俺らの狙う場所を見事に当てて貰えて助かった。

 

「魔皇様~!ワイちゃん達の準備はバッチリですよ~!」

 

「おっ、もう先にやっててくれたのか。偉いぞコスミナ」

 

「えへへ~、もっと褒めてくれても良いんですよ~?魔皇様の為ならコスミナちゃん、なんでも頑張りますのでっ!」

 

いつの間にか居なくなってると思ったらワイちゃんことうちで飼っている特級危険種のワイバーン(知らん間にコスミナが勝手に命名した)の手配を済ませたコスミナが、頭を前に突き出して撫でてくれと俺にねだる。俺の方が当然年下だから正直気まずいんだが、その程度で満足してくれるならばと、とっくのとうに慣れて対応してやっている。

 

「……なんつーか、意外と慕われてるんすね、ラバックさん」

 

「ラバで良いよ。って、意外ってなんだ意外って。こん中では最年少だが俺はこれでもリーダーなんだぞ」

 

「あっ、じゃあやっぱり俺と同年代くらい?どうりで親近感があるわけだ」

 

「うん、確かに同年代だけど言い方がちょっと腹立つな…?」

 

タツミをバカにしてるわけじゃないが、遠回しに子供っぽいと言われているような気がして若干イラッときた。こうなったら意地でもこいつに俺のカリスマ性を魅せて自分と同じレベルだって思った事を後悔させてやる。覚えてろよこんにゃろう。

 

「ほら、ぼさっとしてないであんたらも急いで乗ってくれ。顔もしっかり隠せよ」

 

「乗れって言われても……本当に危険種に乗れるのかよ?」

 

「ちゃんと調教してれば一部の危険種は言う事聞いてくれるって前にボスが言ってたぜ。だから多分大丈夫だ。危ない時は私が助けてやるから早く乗ろうぜ、タツミ」

 

レオーネさんにも促されたタツミが漸く勇気を振り絞り、ワイバーンに乗る。結果的にそいつは空の旅を思いっきり楽しみ、後から機会があればもう一度乗りたいと子供らしい眼差しで言われた。うーん、親近感かぁ……ないな、全然。俺最初これ怖かったもん、どこも似てねぇよ。こんなん恥ずかしくて誰にも言えないけど。

 

そんなこんなで二人の案内の基ナイトレイドのアジトに着き、俺は正面から堂々と入って早々旧友に手を振り不安を隠しながらお気楽に挨拶する。

 

「どもども、お久しぶりですねナジェンダさん」

 

でもナジェンダさんもタツミ達と同様にこんなあっさりと対談に応えてくれるとは思っていなかったようで、今の彼女の事はよく知らないがらしくもなく動揺していた。

 

「お、お久しぶりです、殿下。お元気そうでなによりです」

 

「ああ、その呼び方はもうやめて下さい。俺はもうそう呼ばれるような身分じゃないんで」

 

「で、ですが……」

 

「うーん、相変わらずお堅いですね。まぁ、貴女のそういうところも友人として好きでしたけど……。昔にも言いましたが適当に名前で呼んで下さい。あと敬語もいりませんから。……俺らは主従関係じゃなくて、友達でしょ?」

 

なかなか折れてくれないナジェンダさんを説得する為に、やり方は違えど俺と同じように帝国と戦う道を選んでくれた彼女をまだ友人だと思っている事を正直に告白した。それを聞いて、流石のナジェンダさんも折れざるを得なかったようだ。

 

「……わかった。では、今後はそうさせて貰おう。ところで殿……ラバックの目的はなんだ?民を虐殺するなんて貴方らしくない」

 

「そうそう、その件について話がしたいからここに案内して貰ったんです。あの死体、実は帝国側の人間以外は全部ダミーなんですよ」

 

「ダミー?」

 

先程タツミとレオーネさんにも教えた内容をまた一から説明すると、実際に錬金術の生成を見た二人が証言者として後押しをしてくれた。おかげでナイトレイド全員の信用を完全ではないが得る事が出来、やっと一番の目的の交渉の持ち掛けに成功した。……といってもまぁ、本当は帝国側の死体も一部ダミーなんだけどね。

 

「今回俺達が目立つ行動をしていた理由は、貴方達ナイトレイドを誘き寄せて接触する為。もっと端的に言うと、交渉がしたいんですよ。俺達ワイルドハントと一時的に手を組んでくれないか、ってね」

 

「手を組むだと?貴方は我々反乱軍の敵でも味方でもないと言っていたのでは…?」

 

「ええ。でも今あの女が新たに六人の帝具使いを集め部隊を結成したのならば話は別。あれはうちだけじゃ対処出来そうにない。だからそこで、こちらと同等かそれ以上の実力を持つナイトレイドの協力が必要なんです。貴方達だけなら小規模で小回りが利き、情報が漏れる心配も最小限で済む」

 

俺が味方だって断言したくないのは、反乱軍という組織が巨大過ぎるから。大きな勢力は力に溺れ堕落し易い。宮殿でそれを見てきた俺は反乱軍もいずれ同じ結果になってしまうのではと危惧していた。でも俺達だけでは対抗が難しい新たな強敵が生まれてしまった今回ばかりは、確実に奴らを潰す為に協力せざるを得ない。うちの奥の手を使う手段も一応あるが、それは最終決戦の日まで隠していたいので選択肢から除いてる。

 

「正直言うとそちらと深く関わるつもりはないし信頼関係なんて築く気も一切ない。俺が求めるのは単純な力だけなので表面上の仲良しごっこで構わない。けどお互い邪魔しない程度に、同じ強敵を討つまでは力を貸して欲しいんです」

 

なんて言いつつ、本当はナイトレイドを指名したのは実力だけが理由ではない。この殺し屋集団は、ナジェンダさんが統率しているからである。進んだ道は違えど、昔俺と同じ正義の志を持っていたナジェンダさんだけならその甘さをまだ信用出来る。否、信じたい。これはただの願望だ。

 

ひねくれて素直になれないまま口にはせずとも彼女の目を見つめ、返事を待つ。そしてナジェンダさんの出した答えは……。

 

「……わかった、我々も出来る限り協力しよう。むしろそちらからそう言って頂けて助かる。私は昔から慕っている貴方とは戦いたくなかったからな」

 

「!!ありがとうございます」

 

ホッと安堵したのはお互い様のようで、思わず揃って緊張が解け、表情が緩む。それがなんだか可笑しくって、一緒になって吹き出した。

 

「ふふっ、懐かしいですね、この感じ。まるで昔に戻ったみたいだ」

 

「そうだな。私に勝てないからとチェスでズルをした貴方と口論になって、その後いつも笑い合っていたあの頃のようだ」

 

「あ、それまだ根に持ってたんすか?」

 

「そりゃそうだ、ナイトからビームは有り得んだろ普通。勝手にオリジナルルールを作るな」

 

「だって俺一度も貴女に勝った事がないんですもん。かと言って手加減されるのも屈辱だし、だったらもうぶっ飛んだ自分流でいくしかないっしょ」

 

「全く、相変わらず自由な人だな、貴方は」

 

「縛られるのは昔から大嫌いですからね。人生は一度きり、ならばやりたいようにやるべし!」

 

いつだったかエンシンが言っていた信条を真似てふふん、と胸を張るも褒めてないと突っ込まれてしまった。こういうやり取りも懐かしいな。さっきまで不安だったのが嘘みたいだ。

 

「うわぁ、大将が珍しくすげぇ上機嫌だ……。いつものドス黒い笑い方じゃねぇ」

 

「じゃな。明日は槍でも降るのかのぅ…?」

 

「でも明るく笑ってる魔皇様、とっても可愛いです~!」

 

「ハァ…ハァ……!俺の天使が、天使のように微笑んでる…!!これが見れただけで幸せだ…!俺もう死んでも良い!」

 

コスミナはともかく他の二人にも色々言ってやりたいが、チャンプの気持ち悪い発言で笑顔がスッと消える。しかも「じゃあ死ねデブ」と内心で留めたつもりだったのについ声に出してしまっていたらしい。でも人様の前だから暴力は我慢してる。俺偉いだろ?

 

「さっさとチャーシューにでもなってオネストの腹ん中に入ってろ。そんで中毒起こしてあいつ殺せ。そしたら褒めてやるよ地獄に居るお前を」

 

「殺意が凄い」

 

「ねぇボス、あれも昔からなの?」

 

「いや、将校の中では一番殿下と親しかったと自負してるが、私もあんな彼を見たのは初めてだ……」

 

「そう?うちではいつもあんな感じだぜ?」

 

「あの坊っちゃんガキの頃から沸点低いからな。癇癪起こすとすぐ帝具で縛り上げようとするから今はまだマシだ」

 

「マジか」

 

ぶつぶつと呪いの呪文を唱えるようにチャンプに殺気を向けていると、幼馴染み二人の話を聞いたナイトレイドは若干引き気味で冷や汗をかいていた。

 

「ま、まぁとりあえず。協定は無事結べた事だし、今日は疲れているだろうからうちに泊まってゆっくり休んでいってくれ」

 

「そうですね。じゃあお言葉に甘えさせて頂きます。……あ、そうだ。言い忘れてましたが、先日回収した帝具を引き取ってくれません?三つあるんですけどうちでは誰も扱えなくて邪魔なんです」

 

「む?貴重な帝具だぞ?うちに渡して良いのか?」

 

「身内以外では一番信頼出来るナジェンダさんだからこそ安心して預けられるんです。そちらの本部に送っちゃっても良いんで、頼みますよ」

 

「そうか。では後日ここへ持って来てくれたら私から本部に送り届けよう」

 

「はい、ありがとうございます」

 

よく引っ越しする事が多いうちで三獣士から回収した帝具を管理し続けるのは難しい為、ナジェンダさん達に受け取って貰う約束をした。どうせ使える奴が居ないのならば反乱軍に活用して貰った方が有効的。帝国との決戦の時に活躍してくれる事を願う。

 

 

 

……しかしその夜、俺達は油断していた。

 

「__ふふふっ。ワイルドハントを追っていたら、思わぬ大物も釣れちゃったわね。ほんとアタシってばラッキー♪」

 

軍隊に等しい数の敵が、村に居た時から俺達を追って来ていたと気付けずに。

 

「どっちのアジトか知らないけど、ワイルドハントとナイトレイド、纏めて見ぃーーっけ!」

 




最後のあれが誰なのかは言わなくてもわかりますよね。次回は彼が原作よりちょっと早めの登場です。
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