__かの有名な帝国から南東の諸島。そこには一つの島を拠点にしたとある海賊団が居た。
この世は弱肉強食。人生は一度きり。ならば生きてる内にやりたい事だけをひたすらやっていきたい。暴虐非道、酒地肉林。それが
しかしある日そのアジトは目の前で炎に呑まれ、潰されてしまった。それも、たったの三人相手に。
「なんなんだ……なんなんだよてめぇらは!!?一体何が目的だ!?金か!?宝か!?」
「いらねぇよ、そんなガラクタ。俺らが今欲しいのは力だ。強い戦力が欲しいんだ」
燃え広がる炎の中、三人のリーダーらしき少年が俺に手を差し伸べる。
「船長、あんたは曲刀使いだと噂で聞いた。だから
それはつまり、断れば殺すという事。俺はまだ死にたくねぇ、死ぬまでにやりたい事がまだたくさんあるんだ。そう叫んだら、そいつはこう言った。
「ならエンシン、そのやりたい事リストにもう一つ新しい夢を加えてみねぇか?」
「新しい、夢…?」
「そう。それは俺らの野望……帝国を潰す事だ」
不敵に微笑むそいつは、ただのガキじゃなかった。俺のちっぽけなアジトどころかうちの国とは比べものにならない程デカい国を潰そうとしている、とち狂った魔皇だ。
だが、面白ぇ。最っ高にクレイジーでイカレてやがる。その淀んだ目が見据える破滅の未来を見てみたい。国自体を壊すなんて誰も想像した事がないであろうそいつの野望に、俺はとても興味を惹かれた。
良いだろう、仲間になってやる。それが、俺と大将達との出逢いだ。
__錬金術。それは摩訶不思議な力を以てして行える奇跡のような魅技。
だが錬金術を使うには知識と、その生成したいものと同等の価値の材料が必要じゃ。
己の欲望の為だけに長年研究に研究を重ね自身の肉体を改造してきた。その結果わかった方法が、他者から奪う生命力。そしてそれを集めに数々の街を潰しながら旅をしていた途中で、偶然帝具を手に入れたんじゃが……。
「やぁお嬢さん、なかなか面白い帝具を持ってるね」
幸か不幸な事か、彼奴らに出逢ってしまった。
「帝具を知っておるのか。この国の者にしては珍しいのぅ……。貴様ら、何奴じゃ?」
「残念だけど俺らはこの国の人間じゃない。帝国って知ってる?お嬢さんが持ってるその帝具を作ったっていう大国。俺らはそこ出身なんだ」
「ほう、帝国か。ならば貴様ら、妾からこのアブソデックを奪おうという事か?悪いがそのような頼みを聞く気はないぞ」
「大事な帝具をそう易々と渡してくれるなんて思ってないんでご心配なく。交渉が無理なら無理矢理奪うのみだからね」
笑って敵意を露にする其奴は他の者達を後ろに下げ、妾と一対一で戦おうとした。
バカめ、子供のような容姿だからと妾を舐めよっとる。妾の錬金術とこのアブソデックの恐ろしさ、魅せてやろうぞ。
……そう思っておったのに。彼奴に噛み付いたら、妾はその血の美味さに魅力されてしまった。今までに飲んだ事のない、熱く濃厚で煮え滾った高貴な血の味に。
「俺の血がもっと欲しい?綺麗とかならわかるけど、あんな鉄臭ぇのが美味いとは到底思えねぇな……。まぁ良いや、なんなら契約しようぜ、ドロテア。定期的に俺の血をやる代わりに、あんたは俺の仲間になって俺の為に命を賭けて戦う。それがあんたら錬金術師の言う等価交換ってやつだろ?」
妾は迷わず頷いた。その血を永遠に飲む為に、此奴に……魔皇に付いて行くと決断して。
その後彼奴は言った、帝具の研究をしてみないかと。あれは錬金術とはまた違う未知の領域。それを解析していけば、妾の望みも手に入れられるのではないかと提案してきたのじゃ。おかげでその旅先での妾の研究は一気に大進歩し万々歳じゃった。そして妾の夢は新たに二つ増えた。
一つは帝具を越える兵器の開発。もう一つは、永遠に血を貰う為に、この魔皇も妾の望む不老不死の身体にしてやる事。若き魔皇はそれを望まぬと言っておったが、本人の気持ちなぞどうでも良い。妾が魔皇を欲しているから。魔皇の血を自分だけのものにしたいから望んでいるのじゃ。
それが、妾が彼奴らと共に居る一番の理由じゃ。
__家族を失った時、彼らは現れた。燃え盛る炎に包まれた家の前で絶望していた
「あんたが悲しむその気持ち、よくわかるよ。俺も大切な家族をみんな奪われた。この世は不公平だよな。俺らの国も、理不尽な理由で殺される人達が多いんだ」
私に共感していた彼はどこか寂しげで。でも憎みの目をしていて、私と同じだと思った。
「あんたの復讐、手伝ってやろうか?」
不敵な笑みで、彼は私に不思議なマイクを渡した。この怒りと憎しみの歌を、私の全てを奪った仇にぶつけられるように。私に、戦う力を与えてくれました。
邪魔をする者達は全て彼とその仲間が排除し、前へと進めた私は仇を討てた。もう無理だと思っていたのに。全部諦めていたのに。魔皇と名乗る彼は、私に最後のチャンスをくれたんです。
感謝してもし切れない。貴方達に恩返しをしたいって言ったら、
「じゃあ仲間になってくれよ。その力を持ったあんたなら、俺ら魔皇軍の仲間に相応しい。だから付いて来い、コスミナ」
それが、私のご主人様からの初めてのご命令でした。
__汚れのない子供が大好きな
なのに当時の俺は地元で指名手配され、毎日警察に追われる日々に怯えていた。そんな時だった、あの黒い天使と出逢ったのは。
「シリアルキラーのチャンプってあんただろ?町の指名手配に載ってたから、帝具の回収ついでに賞金稼ぎとして捕まえさせて貰うぜ」
月明かりに照らされた美しい少年。でもその緑の瞳には輝きがなく、どこまでも深い暗闇の色をしていた。美しい。一体どんな体験すれば、こんなにも綺麗な瞳をするのだろうか。そして聞いてみた。君は本物の天使なのか?って。
「天使?いいや、俺は魔皇だ。そんな可愛らしい存在じゃあねぇよ」
「でも君は美しい……俺が今まで出逢ってきたどの子供達よりも綺麗なんだ…!さぁ、俺を天国に導いてくれ!!」
「はぁ?何言ってんだこいつ、自分が殺されるって自覚ねぇのか?あんたが今行くのは天国じゃなくて地獄だろ」
天使はスッと目を細め、どういう仕組みかわからないが槍を編み出す。けれど俺はそんな姿すらも美しく見えて、うっとりしてしまった。
「……やっぱやめた。殺そうとしてんのにそんな嬉しそうな顔をされたら、断罪の意味がねぇ。ここで殺れば俺の負けみてぇじゃねぇか畜生」
チッ、と舌打ちをして苛立ちを露にする天使。嗚呼、なんて子供らしく感情に素直で可愛いんだ。
小さな子供、というより彼は既に大人へと少しずつ近付いている少年なのに、何故こんなにも美しく見えるのだろうか。やっぱり、あの吸い込まれるような暗い瞳がとても綺麗だからか?
「しゃーねぇ、さっさと帝具盗って後は警察に突き出すか」
その時俺は当然焦った。待ってくれ、そんなの嫌だって。俺はただ子供達に癒されてただけなのに、なんで警察なんかに捕まらなきゃならねぇんだって抵抗すると、
「はっ、自分の罪すら認識してねぇとはとんだ自己中野郎だな。だから天国に連れて行って貰えると思ったのか。どこまでも救いようがねぇみてぇだな、あんた」
鼻で笑う天使が、蔑む目で俺を見下ろした。
「さぁて。ご褒美だって勘違いしてるクズをどうやって地獄に落とすか考えねぇとなぁ……」
まるでご馳走を見るように、舌舐めずりをする天使。それがなんだか色っぽくてむしろ興奮してしまう。そして癒し欲しさに我慢ならず、俺は遂に飛び付いた。
しかし伸ばした腕が掴まれたかと思えば、一瞬で視界が反転した。そして少しの間を置いて気付く。俺はそれなりに体重が重い筈なのに、あんな小柄な少年にぶん投げられたんだって。でもそんな強い天使に、俺は益々惚れた。
「決めた!!俺は君に付いて行くぜ天使!!」
「ああ!!?意味わかんねぇ、なんでそうなるんだこのデブ!!さっさと死んで帝具寄越しやがれ!!」
「でも帝具ってのは適応者じゃねぇと使えねぇんだろ?だったら既に使ってる俺が一緒に行けば君の力になる!使用者探しが省けるぜ!」
うろ覚えな知識を口にしてみると、天使は反論出来ずに狼狽えた。
「……チッ!仕方ねぇから新しく使えそうな奴が見付かるまでは同行を許可してやる。だが変な事したらすぐにぶっ殺すからな!」
それが、俺の元に舞い降りた真っ黒な天使との奇跡の出逢い。以降俺は、天使から受ける痛みにも快感を得るようになったのだった。
__いつものように夜な夜な日課の
「へぇ…綺麗な刀じゃねぇか。赤い血の色がよく似合うね」
「…!!わかるのか!?この江雪の美しさを…!」
「江雪?あっはは!刀に名前を付けるなんて変わってるなぁ、あんた。そういうタイプの面白い奴は好きだぜ」
ケラケラと愉快に笑う彼は
「お主、名はなんという?」
「俺はラバック。地元では魔皇って呼ばれてる大罪人だ」
魔王……。つまり、相当重い業を背負っているというわけか。まだ二十歳にも満たしておらぬ程若く小さい身体なのに大したものだ。
「あんた、帝具って知ってるか?大昔にうちのバカなご先祖サマが造らせた四十八種の超兵器なんだけどよ、あんたがその一つを使ってみる気は……ねぇか」
江雪を手離す気は毛頭ない、という意思を表す為に抱え直すと、上手く伝わったのかその者……魔皇は諦めたように落胆する。
「うーん…強い帝具使いが欲しくてスカウトしようと思ってたんだけど、まず試そうとすらしてくれねぇか。困ったなぁ……」
「スカウト?」
「そ、仲間探しのね。でもま、あんたの実力はさっき陰から見させて貰ったし、帝具じゃなくてもそんだけ溺愛してる刀がありゃあ充分使えるかもな」
!!此奴、いつの間に拙者の戦いを見ていたのか。姿が見えずとも気配や視線で見抜けるというのに、全く気付けなかった。
「お主、江雪の美しさがわかるだけでなく相当な手練れのようでござるな。気に入った、拙者も連れて行ってはくれぬか?唯一の理解者であるお主ともっと話がしたい。良き友になりたい…!」
「友?へぇ、こりゃまた新鮮なお願いだね。良いよ、俺もあんたと友達になってみたい。もっと語ろうぜ、美しくも儚い血に濡れた、
一瞬驚いて、すぐにまた微笑む魔皇。それが、拙者のかけがえのない初めての友が出来た瞬間だった。
「__よく集まったな、お前達。改めてこの腐敗した帝国へようこそ」
時は戻って現在。各国から帝国に足を運んだ五人はそれぞれの意思で魔皇の召集に応えた。
「今日から我々魔皇軍ワイルドハントは帝国の悪人共を標的に破壊活動を始める。さぁ、逸れ者の飢えた捕食者達よ、堕落したクズ共に制裁を与えようぞ!!」
その一言を合図に、彼らの活動は始動する。そして白昼堂々と悪人の殺戮を繰り返し、大臣一派に協力する町や村も血の海にしていったワイルドハントの名はすぐに帝都内で広がり、殺し屋ナイトレイドに次ぐ凶悪な犯罪組織として帝国を震わせたのだった。
旅先で回収した帝具を使えそうな強者を探したり帝具を奪おうとしたりの魔皇様、ドロテアさんの時は試した感あるけどチャンプだけは最初本当に使えるとは思えなかったから「雑魚の賞金首が貴重な帝具を持つなんて宝の持ち腐れだ」と思っての強襲。でも結果的にチャンプの性癖が変わって悪質ストーカーに粘着されるっていう……。こっちでもストーカーされてるラバックさん可哀想に…(他人事)
そしてお察しの方もいると思いますがドロテアさんの錬金術は某錬金術師の設定借りてます。なので要素薄いですけど一応クロスオーバータグ付けときます。
コスミナさんの一人称が自分の名前じゃないのはまぁぶっちゃけ書き易さの問題っすね((
今回はあくまで過去の回想のモノローグだったんだから私呼びでも良いでしょ!!!(開き直り)