「起立」
よく、学校で聴くこの号令を、斜め前に座る潮田渚が普通とは少し違う声量で放つと同時にみんなが席を立つ。
私、雪村ひかりはM4A1に似せて作られた、エアガンを構える。他のみんなは拳銃や短機関銃のエアガンを構える。
その照準の先にいるのは、1人、否1匹と表した方がいいであろう物体が「ヌルフフフ」と気味の悪い笑い声を発している。
そして、
「礼!」
その言葉と同時に、みんなの持っているエアガンの先から、弾が飛び出す。
こうなったのは、なんでだろう……
そう考える私の頭は少し前まで勝手に遡っていく。
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「防衛省の烏間だ。仕事終わりに済まないが中に入れてもらえないだろうか?」
俳優業を休業する。その最後の仕事日に家に帰った私が部屋で、未だ帰ってこない姉を待っていると不意にチャイムが鳴り、私はインターホンの所にいくと、この目の前にいる烏間という人が、モニターに映っていた。
「なんの用でしょうか?私は防衛省とはあまり関係は無いはずですけど」
あまり、と言ったのは撮影場所が防衛省関連施設でやったことがあるからだが、さすがにやばいことはしてない。
「君は、今日を持って受験に専念するため俳優業を休業、そういう事だったはずだ。だが、それは表の話。実際はE組に落ちたから、合ってるか?」
この人は何故それを知っているのか。
「ええ、そうですよ。けどあなたと関係ありますか?」
「ここからは国家機密であるから、他言無用で頼む。……君にはある生物を、暗殺して欲しい」
その言葉を聞いた時、私は、それをやることで何か大事なものを見つけるという気がした。
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「ヌルフフフ、今日も当てることのできた人はいませんね〜この調子で本当に皆さん私を殺るのでしょうか……」
(いちいち煽るなぁ)
この暗殺教室となった3年E組は、いつか大きなことを成し遂げる。そんな気がしている。
放課後になり私は帰り支度を始めると、
「ひかり、一緒に帰らない?」
と声をかけてくる人物がいた。そちらを見ると片岡メグが立っている。
「あ、メグ。うん、いいよ」
私は、E組に堕ちる前から、メグと行動することが多くてメグ自身が『イケメグ』と呼ばれるのもあり、付き合ってるのではないかと噂されることが多かった。当人は否定していたが、私は肯定したかったのは内緒だ。
帰り道、私はメグのことをじっと見ていると、
「どうしたの?なんか付いてる??」
そう言われ、私は照れ隠しを含めた苦笑いをしてしまった。
ああ、メグと付き合えたらいいのに。