ラブライブ!~アウトローと9人の女神~   作:弐式水戦

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 書き終わるまでに誕生日迎えちまった……


第29話~アウトローとまきりんぱな・前編~

「か~よちん!部活決めた?」

 

 放課後。生徒達が次々に帰り支度を進めていく中、ぼんやりと座っていた花陽の元へ凛がやって来る。

 

「あっ、凛ちゃん。実は未だ決めてないの……」

「そうなの?早くしないと……確か、申請今週までだよね?」

 

 その言葉に、花陽は小さく頷いた。

 

 部活動の入部申請は今週までとなっているが、だからと言って途中からの入部が不可能という訳ではない。だが、部活動によっては大会に出場するものもあるため、入部するのならば早いに越した事は無いだろう。

 

「凛ちゃんは、もう決めたの?」

「うん、陸上部!」

「だよね。凛ちゃんって足速いし、きっと活躍出来るよ。さっきの体育でも皆驚いてたから」

 

 そう言われて照れ臭そうに頭を掻く凛だったが、ふと何かを思いついたように口を開いた。

 

「そうだ、かよちん!もしかよちんもやりたい事無いなら、一緒に陸上部入らない?運動苦手ならマネージャーも出来ると思うし!」

「う、うん……」

 

 あまり乗り気でない返事を返す花陽。運動が苦手な事やそもそも運動部に興味が無いというのもあるが、その主たる理由は別のところにあった。

 

「…………」

 

 凛は俯く花陽に合わせるようにしゃがむと、覗き込むようにして言った。

 

「もしかしてかよちん、スクールアイドルやりたいの?」

「ッ!?」

 

 その問いを受けて一気に顔を上げる花陽。正に図星と言える反応だった。

 

「やっぱり!この前のライブも凄く熱心に見てたもんね!」

「い、いや。そうじゃなくて……!」

 

 必死に誤魔化そうとする花陽だったが、長年連れ添ってきた親友には通用しない。相手はニヤニヤした表情で、彼女の嘘を看破する。

 

「駄目だよ~。かよちんって嘘ついてる時はそうやって指合わせるんだから、バレバレだよ」

「うぅ……」

 

 本心を見破られ再び俯いてしまう花陽に、凛は畳み掛ける。

 

「かよちんなら絶対なれるよ!だってかよちん可愛いし、昔からアイドル大好きなの、凛知ってるもん!」

 

 そう言うと、彼女は花陽の手を掴んで立ち上がらせ、教室の外へと引っ張っていく。

 

「ホラ、やりたいなら今すぐ先輩達の所行こう!『μ'sに入れてください』って言わなきゃ!」

 

 『思い立ったら即行動!』とばかりに、花陽を穂乃果達の元へ連れていこうとする凛。

 

「ま、待って、凛ちゃん!!」

 

 だが、花陽が突然叫ぶように言い、それに驚いた凛が即座に足を止める。

 

「かよちん……?」

「あっ……ゴメン、大声出して」

 

 いきなり引っ張られて驚いたとは言え、急に大声を出した事を謝る花陽。

 そして深呼吸して心を落ち着かせると、凛を真っ直ぐ見つめて口を開いた。

 

「もし……もしもの話だよ?もし、私がスクールアイドル始めたら……凛ちゃんも、一緒にやってくれる?」

「一緒にって……つまり、凛もスクールアイドルになるって事?」

 

 その問いにコクりと頷く花陽。すると、凛は首を左右に振った。

 

「無理無理、そんなの無理だよ!だって凛、かよちんみたいに女の子っぽくないし、スカートも似合わないし……」

 

 そう言いながら、凛は徐々に表情を曇らせていく。

 

「そ、そんな事……」

 

 否定しようとする花陽だったが、凛の過去を思い出して何も言えなくなった。

 

 

 それは、彼女等が未だ小学生の頃。普段はズボンを履いていた凛が、その日初めてスカートを履いてきたのだ。

 勿論、花陽は絶賛したし、凛も褒められて嬉しそうにしていたのだが、その後やって来た男子生徒達の言葉は、そんな凛の心を深く傷つけた。

 

「あーっ、スカートだ!何時もスボンなのに!」

「スカート持ってたんだな~」

 

 恐らく、彼等に悪意は無かったのだろう。ただ純粋に、普段はズボンしか履いてこなかった凛がスカートを履いていたのを珍しがっただけなのかもしれない。

 だが、当時の凛にはからかわれているとしか思えず、結局家に引き返して普段のズボンで登校する事になった。

 それ以来、凛がスカートを履く事は無くなり、屋内外を問わず、プライベートでは何時もズボンを履くようになったのだ。

 

 

「アイドルなんて、凛には絶対に無理だよ」

 

 最後に凛は、そう言って力無く笑った。

 

 

 その後、彼女は用事があるために先に帰ってしまい、暫く教室でボーッと過ごしていた花陽だったが、やがて重い腰を上げ、教室を出る。

 

「ん?あれって……西木野さん?」

 

 1階の下駄箱まで来たところで、花陽は真姫の姿を視界に捉える。掲示板の前に立つ彼女は、そこに貼られている広告を熱心に見ているようだった。

 そして置かれていたチラシを1枚手に取り、そのまま立ち去る。

 

「(あそこに貼られてるのって、確か……)」

 

 彼女の姿が完全に見えなくなると、花陽は掲示板の前へ移動する。そして貼られていたものの正体を確認すると、小さく『やっぱり……』と呟いた。

 そこに貼られていたのは、穂乃果達μ'sのメンバー募集のチラシだった。

 

「(西木野さん、やらないって言ってたみたいだけど……やっぱり、興味あるのかな?)」

 

 そんな事を思いながら家路につこうとする花陽だったが、そこで何かを蹴飛ばしたらしい。深緑の手帳と思われるものが、廊下をスーッと滑っていった。

 慌てて拾い上げて中身を確認すると、それが真姫の生徒手帳である事が分かった。

 玄関まで走っていくも、既に真姫の姿は無い。

 

「(定期は入ってないけど……やっぱり、早く届けた方が良いよね)」

 

 生徒手帳は、その持ち主の個人情報の塊のようなものだ。外で落とすのと比べればリスクは少ないものの、やはり早く届けるに越した事は無いだろう。

 手帳を開いて真姫の自宅の住所を確認していると、後ろから声を掛けられた。

 

「お前、何してるんだ?」

「ひゃいっ!?」

 

 突然の低い声に勢い良く振り向くと、そこには紅夜が立っていた。

 

「な、長門先輩だったんですね……」

 

 声を掛けてきたのが見知った人物である事に、花陽は安堵の溜め息をつく。

 

「驚かせたようで悪いな。廊下のど真ん中で何か熱心に見てたから、ちょっと気になったんだ」

 

 そう言って、紅夜は花陽が持っていた手帳に目を落とす。

 

「それは、生徒手帳か……お前のか?」

「い、いえ。コレは西木野さんので……さっき此所で拾ったんです。何か、このポスターを見てたみたいで……」

 

 そう言ってμ'sの勧誘ポスターを指差す花陽。紅夜は『ふ~ん』とどうでも良さそうな返事を返し、同じようにポスターへと目をやる。

 

「(彼奴も興味あるのかな……まぁ音楽好きみたいだし、何かしら思うところがあるんだろ)」

「あ、あの……」

 

 そう考えていると、花陽が恐る恐る話し掛けてくる。

 

「どうした?」

「え、えっと………コレ、無いと困ると思うんです。住所とかも、書いてるから……」

「まぁ、そうだろうな……それで?」

 

 続きを促された花陽は、暫く視線を手帳と紅夜の間で行ったり来たりさせた後、再び口を開いた。

 

「わ、私と一緒に……西木野さんの家まで、届けに行ってほしいんです……」

「…………」

 

 その瞬間、紅夜は時間を止められたかのように動かなくなった。

 

 『コイツは一体何を言っている?』『何故そんなものを自分に頼む?』と、紅夜の頭の中は、そんな彼女の言葉に対する疑問のオンパレードだ。

 そうして暫くの沈黙の後、漸く絞り出せた言葉が……

 

「……はあ?」

 

……これである。

 

 無理もない話だ。花陽や真姫は初対面ではないとは言え、大して親交がある訳でもなければクラスメイトでもない。にもかかわらず、何故自分が届け物の付添人を頼まれるのか、紅夜には理解出来なかった。

 

「だ、だから、その……私と一緒に──」

「いや、言葉はちゃんと聞こえてる。態々繰り返さなくて良い」

 

 聞こえていないと思ったのか、繰り返そうとする花陽を手で遮る。

 

「……その西木野の家は遠いのか?」

「い、いえ。この住所からすると……」

 

 そうして、花陽は再び手帳を開いて真姫の自宅の住所をスマホで検索し、その画面を見せてきた。

 

「此所から徒歩20分ってところか……なら、ますます俺が出る幕じゃないだろ。そこまで遠い訳でもなさそうだしな」

 

 紅夜はそう言った。

 これが電車やバスに数十分乗らなければならないような距離なら未だ話は分かるが、徒歩20分などちょっとした寄り道程度のレベルだ。

 未だ日が照っている今なら、少し急げば暗くなる前には帰れるだろうと彼は考えていた。   

 

「……それに、そもそもお前等1年は1クラスしかないんだ。別に今日持っていかなくても、明日直接渡してやるなり、担任に落とし物として届けて渡してもらうなりしておけば良いだろ。態々俺を付添人にしてまで持っていってやる必要はあるまい」

「うぅ……」

 

 正論攻めにされた花陽は、返す言葉が見つからなかった。彼の言う通り、態々彼女の自宅まで持っていってやる義理など無い。明日渡したところで、そもそも落とした方が悪いのだから、相手に咎める権利は無いのである。

 

「と言うか、お前は嫌じゃないのか?特に親しい訳でもない男と一緒になるなんて」

「……?」

 

 その問いに、花陽は『何を言っているんだ』とばかりに首を傾げる。

 

「別に、嫌じゃないですよ?先輩って、見た目はちょっと怖いけど良い人だって事は、私も知ってるつもりですから」

「…………」

 

 ストレートにそう言われ、面映ゆそうに頬を掻く紅夜。

 

「……やっぱり、駄目……ですか?」

 

 そんな彼に、花陽はトドメとばかりに上目遣いで言う。

 

「………………」

 

 暫く彼女を見つめていた紅夜だったが、やがてガシガシと頭を掻きながら深い溜め息をつく。そして踵を返すと、ポケットから車の鍵を取り出して言った。

 

「……しょうがない。車持ってくるから、玄関前で待ってろ」

「……はいっ!」

 

 その言葉に表情を輝かせながら頷いた花陽は、自分も自分の靴箱へ向かい、靴を履き替える。そして玄関前に立つと、彼女からすれば約1ヶ月ぶりである青いスポーツカー、R34がノロノロと近づいてくる。

 

「(あの車、この前の……やっぱり先輩、本当に車で通学してるんだ)」

 

 以前、凛と共に不良に絡まれていたところを助けられた際、家まで送ってもらう道中で、彼女等は紅夜が車通学していると聞いていたが、車で通学する高校生など見た事も聞いた事も無いためにいまいちピンと来なかった花陽だったが、こうして学校の敷地内を走っていると、あの時の話は本当だったんだとつくづく思い知らされる。

 

 そうして玄関前で車が止まると、花陽は助手席に乗り込んだ。

 

「悪いがナビは頼むぞ。俺も行った事が無い場所だからな」

「は、はい!」

 

 若干声を裏返らせながら花陽が返事を返すと、紅夜は愛車を走らせる。

 

 それから花陽の指示を受け、大通りに出て暫くすると、掛けてあるラジオからスクールアイドルに関する話が流れてきた。

 そこで、紅夜は花陽が大のスクールアイドル好きである事を思い出す。もしやと思いつつチラリと目を向けると……

 

「…………」

 

 案の定、彼女は身を乗り出して熱心にラジオに耳を傾けていた。

 

「(熱心に聞いてんなぁ………スクールアイドル好きだってのは聞いてたけど、まさかこれ程とはな)」

 

 他人の車に乗っている事を忘れる程ラジオに熱中している花陽に、ある種の関心を抱く紅夜。だが、彼女がナビをしてくれないと真姫の家に辿り着けない。

 

「おい小泉、そろそろナビの続きをしてもらいたいんだが?」

「ひゃいっ!?」

 

 肩をやや強く叩きながらそう言うと、彼女は飛び上がらんばかりに驚いて此方を振り向く。

 

「随分熱中してたな」

「す、すみません……スクールアイドルの話が出ると、どうもそっちに聞き入っちゃって……」

 

 そう言いながら縮こまる花陽に、紅夜は『別に構わん』と返した。

 真姫の家までナビをするという役目さえ果たしてくれるなら、ラジオを聴いていようがスマホを弄っていようが構わなかった。

 

「それで、この後はどう進めば良い?」

「は、はい。えっと……」

 

 それから紅夜は、再び出される指示に従って車を走らせ、遂に真姫の家へと辿り着いた。

 

「コレが、西木野の家か……」

「す、凄く……大きいですね」

 

 車から降りた2人は、門の向こうに建つ洋館のような建物を見据えてそう呟いた。

 

「西木野さんの家って、凄いお金持ちだったんですね……」

「……どうやら、そのようだな」

 

 閑静な住宅街に似つかわしくない豪邸に唖然とする2人だが、何時までもこうしている訳にはいかない。自分達は落とし物を届けに来たのであって、他人の家の評価をしに来たのではないのだから。

 

「じゃ、じゃあ押しますね」

 

 花陽はそう言って、インターホンを押す。すると少し間を空けて、女性の声が聞こえてきた。

 

『はい、どちら様でしょうか?』

「あ、えっと……西木野さんと同じクラスの小泉です……生徒手帳を拾ったので……」

『あら、態々ありがとうございます。今開けますので、少しお待ちくださいね』

 

 そうして通話が切れると、ドアが開いて赤髪の女性が現れた。その見た目は、さながら真姫の大人バージョンと言ったところだろう。

 その証拠に髪の色や目付きは何処と無く真姫と似ており、控えめに言っても美人の部類に入る。

 

「真姫の母の美姫です。態々届けに来てくれてありがとうね」

「い、いえ……」

 

 若干頬を赤らめながら真姫の手帳を渡す花陽の隣では、紅夜が女性の正体に驚いていた。

 

「(この見た目で母親か。ちょっと歳が離れた姉かと思ってたが……ん?)」

 

 内心そう呟いていると、美姫が此方を見つめている事に気づく。

 

「……俺に何か?」

「ッ!い、いえ。何でもないのよ?ただ、ちょっと知り合いに似てるな~って思っただけで」

 

 自分に似た人間なんてそうそう居ないだろうと内心ツッコミを入れつつも、紅夜は特に追求はしなかった。

 

「ところで貴方の着てる制服、それ音ノ木坂の制服よね?あの学校って確か女子高の筈……」

 

 そう言いかけたところで、美姫はハッと何かに気づく。

 

「もしかして、真姫が言ってた試験生ってヤツかしら?」

「ええ」

「やっぱり!『試験生として男が来た』って言ってたから、ちょっと気になってたのよ。貴方がそうだったのね……」

 

 そう言って紅夜を見つめる美姫。

 

「あ、あの。西木野さ……じゃなくて、真姫さんはどちらに……?」

 

 2人がそんなやり取りを交わしていると、蚊帳の外になっていた花陽がおずおずと真姫の所在を訊ねた。

 

「あの子なら、今は病院に顔を出してるわよ」

「病院?」

 

 鸚鵡返しに聞き返す花陽。

 

「ええ。実は旦那と病院を経営してて、一応あの子が継ぐ事になってるのよ。西木野総合病院って言うんだけど」

「(……ああ、あの病院か。そういや看板に西木野総合病院って書かれてたな)」

 

 R34に凭れながら話を聞いていた紅夜は、大通りで見た大きな病院を思い出した。

 横目にチラリと見た程度だが、屋上付近にあった看板には、確かにデカデカとした文字で『西木野総合病院』と書かれていた。

 

「(名前が同じだったからまさかと思ってたが、そこの経営者だったとは………全く、世の中何があるか分からねぇモンだな)」

「あらやだ、私ったらこんな所で長話を……」

 

 そう呟いた美姫は、如何にも高そうな腕時計に視線を落とした。

 

「もうすぐ娘も帰ってくる筈だし、良かったら上がっていってくださいな。態々届けに来てくれたのに、このまま手帳だけ受け取って帰すのは失礼ですし」

 

 そう言って、彼女は門を開けて中へ入るよう促す。

 

「い、いえ。私は……」

 

 そう言いかけたところで、花陽は紅夜に目を向ける。これが自分1人だけなら未だしも、車で連れてきてもらっている身であるために勝手に決める訳にはいかないとでも思っているのだろう。

 だが、そんな彼女の気持ちに反して、紅夜は平然とした様子で言った。

 

「何を躊躇ってる?相手が上がれと言ってるなら、遠慮せずお邪魔させてもらえば良いだろ」

「……良いんですか?」

 

 そう聞き返してくる花陽にコクリと頷く紅夜。彼女が気を使っているのに対して、紅夜は『上がりたいなら勝手にしろ』としか思っていなった。

 と言うのも、彼は美姫の誘いを受けるつもりなどこれっぽっちも無く、花陽が断るなら、そのまま家まで送り届けて帰るつもりだったし、上がっていくと言うのなら、この場で解散にして自分はさっさと帰るつもりだったのだ。

 

 何れにせよ、紅夜の頭に『自分が真姫の家にお邪魔する』という選択肢は存在しないのである。

 

「ホラ、相手の気が変わらない内にさっさと行ってこい。俺はもう行くから」

「え?」

 

 花陽の口から間の抜けた声が漏れるが、紅夜は一切気にせずR34に乗り込んでエンジンに火を入れる。

 

「あ、あの……先輩?行くって何処に?」

「何処も何も、俺の家に決まってるだろ。上がっていくならそこで彼奴に渡してやれば良いだけの話だし、俺としては、もう此所に留まる必要も無いからな」

 

 窓を軽く叩きながら訊ねてくる花陽に、紅夜は窓を開けると淡々とした口調でそう答える。そしてギアを入れて発進させようとするが、そこで美姫が待ったを掛ける。

 

「あらあら。そんなつれない事言わずに、貴方も上がっていってくださいな」

「…………」

 

 声を掛けられた紅夜は、美姫の方へと目を向ける。

 

「あの子、今まで家に友達連れてきた事なんて1度も無かったのよ。なのに今日は2人も来てくれて、しかもその内の1人が試験生の人なら、尚更興味があるわ。色々とお話も聞いてみたいし……ね?」

 

 そう言ってウインクしてみせる美姫。そんな彼女にどう返したものかと考えていると、花陽も加勢してきた。

 

「先輩、取り敢えず一緒に行きませんか?せっかく来たんですし……」

「……別に来たくて来た訳ではないがな」

 

 そう返す紅夜だが、2人が退く気は無いと悟ると深く溜め息をつき、ギアを1速からR(リバース)へと変える。

 

「……コイツは何処に停めれば?」

「……!ええ、案内するわ」

 

 彼も上がっていく事に嬉しそうな表情を浮かべた美姫は、門を開けて誘導する。

 そして紅夜が駐車場のスペースに車を停めるのを確認すると、共に家へと入っていくのだった。

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