ラブライブ!~アウトローと9人の女神~   作:弐式水戦

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第41話~取材とリーダー決め会議~

「1、2、3、4、5、6、7、8……!」

 

 晴天の下、屋上には紅夜の声と手拍子が響き渡る。

 

「小泉、少し遅れてるぞ。今よりちょっとだけ早めに動くのをイメージするんだ」

「は、はい!」

「逆に星空は少し先走ってるぞ!あまり焦らないように!」

「はい!」

 

 紅夜はリズムを取りながら、穂乃果達のステップを見ていた。

 

「ちゃんとやりなさいよ~」

「矢澤、鼓舞してるところ悪いが、そこのステップ違うぞ。それはもう少し先のヤツだ」

「うぐっ!わ、分かったわ……」

「西木野、もっと大きく動く!」

「はい!」

「高坂、もうガス欠か?」

「まだまだ!」

「……よし。南、園田!今の動きとタイミング揃ってたぞ。それを今後も続けられるように!」

「「はいっ!」」

 

 間違い等を見つけたら、彼はメモを取りながら指示やアドバイスを出していく。

 

「(紅夜君、中々やるなぁ。心なしか、初ライブの練習見てた時よりも精度が上がってるように見える……流石、あの時からマネージャー頼まれるだけの事はあるな)」

 

 そんな様子を見ながら、希は内心そう呟いた。

 

「じゃあ、ラストだ!ポーズのタイミング、キッチリ合わせるように!」

 

 そうして彼の合図で、各々が最後のポーズを決める。

 あれから何度かやっていただけあって、かなり形になってきていた。

 

「よし、少し休憩にしよう。次はパートごとに見ていくから、イメトレやっておくように」

「「「「「「はーい!」」」」」」

「それから園田、コレをお前等の間で共有しておいてくれ。各々がどのフレーズでミスしているか書いておいたから」

「分かりました、紅夜さん」

 

 休憩に入ってからも、紅夜は水分補給をしながらメモ帳とにらめっこ。

 そしてメモ帳を置いたかと思えば、今度はことりから借りた振り付けのノートを取り出して確認を行い、ことりと話している。

 

「……あれからかれこれ1時間、ぶっ通しでダンスの練習を行って漸く休憩。全員息は上がっているが、不満を言う者は居ない」

 

 希は一先ずそこでナレーションを終え、撮影を止めた。

 そこへ、真姫が汗を拭きながらやって来る。

 

「どうかしら?」

「うん。流石はスクールアイドルって言うか、練習ってなると迫力が違うね」

「……まぁ、今回は練習見るのが紅夜先輩だからね」

 

 そう言って、歌詞や振り付け担当の2人と話し込んでいる紅夜に目を向ける真姫。

 

「フフッ。あれだけやらないって言ってたのに、いざ練習が始まったら凄い真面目にやるんやな、紅夜君は」

「そうね。穂乃果先輩達が言うには、初めて練習を見てもらった時もこんな感じだったらしいわ。最初はずっと断られたのに、マネージャーになって練習に参加すると凄く真面目に取り組んでたって」

「そうみたいやね」

 

 頷いた希は、ここでとある疑問を投げ掛けた。

 

「ところで、こういうのって普通はリーダーが指揮するものじゃない?今回は紅夜君が指揮執ってるけど」

「それは……確かにそうね」

「今のμ'sって、誰がリーダーなん?」

「さあ?その辺キチンと話した事は無いけど……普段の感じからすると、穂乃果先輩ね」

「穂乃果ちゃん、か……ふむ」

 

 希は、ことりから渡された水をガブ飲みして海未に諌められている穂乃果に視線を移した。

 

「……後で、ちょっと聞いてみよっかな。確認したい事もあるし」

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 練習が終わって解散すると、穂乃果、凛、希は穂乃果の家へ来ていた。

 そして、そこにはもう1人……

 

「な、何故俺まで……」

 

 ガックリと肩を落とした紅夜がそう呟いた。

 あれから練習が終わり、本人取材も済ませて帰ろうとしたところを引き留められ、半ば無理矢理付き添いと送迎係に任命されたのだ。

 それから一行は店に入ると、出迎えた穂乃果の母、秋穂(あきほ)に事情を話した。

 

「そういう事は先に言ってよ!あぁ~色々準備しないとぉ~」

 

 すると、彼女は慌ただしく奥に引っ込み、ドタバタと音を立てる。

 

「あぁ~、高坂さん。取材と言ってもそれ程大したものではありませんので、別にそこまでしなくても……」

「そういう訳にはいかないのよ、紅夜君!女の子には人前に出るための準備ってものが必要なんだから!」

「は、はぁ……」

「て言うか、そもそもお母さんってもう女の子って年齢(とし)でもないし、化粧してもしなくても大して変わらな──」

「フンッ!」

「あべしっ!」

「高坂、幾ら身内でもそれは失礼だろ……」

 

 そして2階に上がり、雪穂にも声を掛ける事になったのだが……

 

「雪穂、居る~?」

 

 そう言って、返事も聞かずにドアを開けようとする穂乃果。

 

「ちょっ、高坂!前にも言ったが、今は俺という男が居るんだから返事を貰ってから──」

「え?」

 

 だが、時既に遅し。穂乃果はドアを開けてしまっており、必死にベルトを閉めようとしている雪穂が現れた。

 どうやら、少しでも腰回りを細く見せようとしているようだ。 

 

「あ、後1つ……後1つだけ~!」

「……ッ!」

 

 紅夜は光の速さでドアを閉めた。そして、ゆらりと穂乃果に振り返る。

 

「…………」

 

 それも、顔のあちこちに青筋を浮かばせながら握り拳を震わせ、禍々しいオーラを纏いながら。

 

「ヒィッ!?」

「……きゅぅ」

「アカン、ウチ殺されるかも……」

 

 凛は気を失い、希はその場にへたり込む。だが、彼はそんな2人には見向きもせず、穂乃果に鉄拳を喰らわせた。

 

「………だから、今は男が居るんだから気を付けろっつってんだろうがこのアホンダラぁ!!!

「ご、ごめんなさぁぁ~~い!!」

 

 高坂穂乃果、初ライブの際の海未のジャージずり下げ事件以来の、紅夜からの拳骨である。

 

 その後、動けなくなった穂乃果達を彼女の部屋へ放り込んだ紅夜は、改めて雪穂に謝罪した。

 

「い、1度ならず2度までも……!」

「いや、その……本当に申し訳ない……」

「お姉ちゃんのせいとは言え、これじゃもうお嫁に行けなくなります!責任取ってもらいますからね!」

「だからそれ俺に言われたところでどうにも出来ないんだってば……」

 

 あまりにも理不尽な状況に、思わず涙声になる紅夜だった。

 

 

 その後、騒ぎを聞いてやって来た秋穂の取り成しでどうにか解放された紅夜は、穂乃果の部屋へと入った。

 勿論、ちゃんとドアをノックして許可を貰った上でだ。

 

「うぅ~、未だ痛いよぉ……」

 

 腰を下ろすと、穂乃果がアニメの如く大きなたん瘤を擦りながら言った。

 

「紅夜君力強すぎだよ。そもそも女の子殴っちゃいけないって、お父さんやお母さんから言われなかったの?」

「何を言う?アメリカだと普通に取っ組み合いしてたぞ」

「いやそれアメリカの話だよね!?此所は日本なの!アメリカじゃないの!」

「……日本でも普通にぶん殴ってくる女が居るんだがな」

 

 そう呟いた紅夜は、ちょっとした悪ふざけで女性陣に体重の話を持ちかけて袋叩きにされた、トラックドライバーをしている幼馴染みの姿を思い浮かべた。

 

「な、何と言うか殺伐としてるんやな。紅夜君のお友達は……」

「別にそういう訳じゃないんだがな……」

「でも、あの時の紅夜先輩凄く怖かったにゃ~」

「……悪かったよ」

 

 すると、穂乃果が机を叩いて立ち上がる。

 

「ちょっと待ってよ紅夜君!一番謝るべき相手が此所に居るよね!?私思いっきり拳骨されたんだけど!?」

「あれはお前が悪い」

「そうにゃ。妹さんが何も言ってないのに開けた穂乃果先輩が悪いにゃ」

「ゴメンな穂乃果ちゃん、ウチも今回ばかりは擁護出来んわ……」

「そ、そんなぁ……」

 

 穂乃果はヘナヘナと、その場に座り込んだ。

 

 

 それから暫く話していた4人だが、ふと、希があるものに気づいた。

 

「ん?コレは……」

 

 彼女が手に取ったのは、1冊のノート。そこにはご丁寧に『作詞ノート』とマジックで書かれていた。

 

「コレで作詞してるんやね」

「うん、海未ちゃんがね!」

「……え?」

 

 穂乃果がやっていると思っていたのか、希はポカンとした表情で振り返る。

 

「歌詞は大体海未先輩が作ってるよ!」

「じゃあ振り付け………は、ことりちゃんやろうな。あの時の様子からして」

 

 そこで、紅夜が口を開いた。

 

「そう言えば高坂、お前は普段何してるんだ?」

「普段?えっと、先ずはご飯食べて~」

「ほうほう」

「テレビ見て~」

「ふむふむ」

「他のアイドルの動画見て、凄いなって思ったりして~」

「……うん?」

「あっ、それから海未ちゃんとことりちゃんが上手く出来るように応援もしてるよ!」

「……………」

 

 つまり、何もやっていないという事である。

 

「……ウチ、今日の練習見て思ったんやけど、穂乃果ちゃんって、なんでμ'sのリーダーなん?」

「……う~ん、急に言われても」

 

 穂乃果自身も分からないようだ。

 だが、それは無理もない事だ。何せμ's結成時から今日に至るまで、誰がリーダーをやるのか、なんて話は一切出ておらず、何となくでリーダーの座に収まっていただけなのだから。

 

 

 その後は時間も遅くなったために解散となり、紅夜も一先ずは、この一連の騒動から解放される事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の放課後、アイドル研究部の部室には穂乃果達7人が集まっていた。

 

「リーダーには誰が相応しいか……」

 

 暫く続いた沈黙を破ったのは、にこだった。

 

「大体、私が部長になった時点で改めて話し合うべきだったのよ」

「私は別に穂乃果ちゃんのままで良いと思うんだけど……」

「駄目よ」

 

 ことりはそう言って穂乃果を推薦するが、にこはバッサリと切り捨てる。

 

「今回の取材ではっきりしたでしょう?その子はリーダーにはまるで向いてないのよ」

「……それもそうね」

 

 にこの意見に、真姫が同意する。

 中々あんまりな言い方ではあるが、それを咎める者は居ない。当の本人でさえも、自覚しているのか何も言わなかった。

……いや、実際は大して気にしていないのかもしれないが。

 

「今後活動していくのなら、必然的に新しいPVを撮影する必要だって出てくる。なら早いとこ片付けてしまうに越した事は無いわ」

「PV、ですか……?」

「そうよ。リーダーが変われば、センターだって変わるでしょう?次のPVでは、新リーダーがセンターよ!」

「それはそうですけど、どうやって決めるんですか?」

「……ッ!よくぞ聞いてくれたわ!」

 

 率直な疑問を投げ掛けた花陽にそう言って、にこは立ち上がる。そして傍に寘かれたホワイトボードを引っくり返した。

 そのボードには、デカデカとした文字で『リーダーとは!!』と書かれており、その下にリーダーに必要な要素が書かれていた。

 

「良い!?リーダーとは、先ず第1に誰よりも熱い情熱を持って、皆を引っ張っていける事!第2に、メンバーの精神的支柱になれるだけの大きな懐を持っている事!そして第3!」

 

 そう言いかけたところで、にこはボードを強く叩いて強調する。

 

「何よりも、メンバー全員から尊敬される存在である事よ!この条件を全てクリア出来るメンバーとなると……」

「海未先輩か紅夜先輩にゃ!」

「なん……でとは言えないわね。前者は兎も角、後者は」

 

 ツッコミを入れようとしたにこだが、自分が此所に居られるのが紅夜のお陰でもある事は忘れていないのか、一気にツッコミの勢いは失われた。

 

「わ、私ですか!?」

 

 自分が推薦されるとは思っていなかったのか、自身を指差して驚く海未。

 

「そうだね、普段の練習も全部海未ちゃんが指揮執ってるから、絶対向いてるよ。リーダー!」

 

 それに穂乃果も便乗する。

 

「あのですね、穂乃果。貴女何を言ってるか理解しているのですか?」

「え?何って、この中でリーダーに相応しいのは海未ちゃんって話でしょ?」

 

 『それくらい分かるよ』と付け加える穂乃果だが、海未が聞きたいのはそれではなかった。

 

「……確かにそういう事にはなりますが、つまり私がリーダーになるという事は、貴女はリーダーの地位から下ろされるという事なのですよ?何も思わないのですか?」

 

 噛み砕いて説明する海未。だが、穂乃果は相変わらずあっけらかんとしていた。

 

「だって、別にリーダーじゃなくなったからってμ'sから出ていく訳でもないんでしょ?これまで通り皆でやっていく事は変わらないんだし、それで良いじゃん」

「で、でもでも!センターで踊れなくなっちゃうんですよ!?」

 

 花陽からも言われた事で漸く穂乃果も考える姿勢を見せる。だが、それもほんの数秒しか続かなかった。

 

「まぁ、別に良いかな!」

 

 しかも、考えた結果彼女が出した答えがこれである。

 

「という訳で、μ'sの新リーダーは海未ちゃんという事で──」

「ま、待ってください!私にリーダーなんて、無理ですよ……」

「面倒な人」

「うぅ……」

 

 真姫の辛辣な一言が、海未の心を抉った。

 

「それじゃあ、ことり先輩とかどうかな?」

「え?私?」

 

 目をぱちくりさせることり。

 

「う~ん……ことり先輩だと、どちらかと言えば副リーダーだと思うにゃ」

 

 凛がそう言った。

 確かにことりは、先頭に立って引っ張るよりは影から支える方が得意なタイプだ。

 本人にその自覚は無いかもしれないが、紅夜が此所に居れば、間違いなく凛の意見を支持するだろう。

 

「なら紅夜先輩はどうなの?あの人、昨日の練習で私達の動き見ながら何処が良いとか悪いとかメモ取ってたし、アドバイスも……まぁ、中々分かりやすかったし」

「ん~、私もそう思うんだけど……」

「何度勧誘しても断られてますからね」

 

 真姫の提案に、穂乃果も海未も微妙な表情だ。

 

「て言うか、そもそもなんで彼奴はマネージャーじゃないのよ?入部届けに名前無かった時、結構驚いたんだから」

「あ~、えっと……」

「実はですね……」

 

 穂乃果達2年生は、初めて勧誘した時の事を話した。

 

「……何それ?それじゃあまるで、彼奴は他人を信用してないみたいじゃない!」

()()()じゃなくて、実際してないんでしょ。だからそういう理由で断ってるんじゃない」

 

 口では達観したように言う真姫だが、内心では不満を募らせていた。

 あの時、自分もμ'sに入ろうと決意する後押しをしてくれたのは紅夜の言葉だ。

 加入後も相変わらずつっけんどんに接してしまうが、それでも彼には高い信頼を寄せている。

 だが、当の本人は音ノ木坂の人間を誰も信用していないというのだから、それに不満を持つのは当然だった。

 

「でも、それじゃあ1年生がリーダー?」

「流石にそれは、ちょっと気が引けるかな……」

 

 すると、にこがやれやれといった雰囲気を隠さず立ち上がる。

 

「全く、仕方無いわね~」

 

 だが……

 

「やっぱり、穂乃果ちゃんのままが良いと思うんだけど……」

 

 あっさりスルーされる。

 

「仕方無いわね~」

 

 2度目の声を上げるも、

 

「私としては、海未先輩を説得する方が良いと思うけど?」

「で、ですから私は……!」

「じゃあ今から紅夜先輩引っ張ってくる?」

 

 またもやスルー。

 

「仕方無いわね~!」

 

 3度目も……

 

「と、投票が良いんじゃないかな……」

「じゃんけんとかは……?」

 

 最早聞こえないフリをしているのではないかと思う程にスルーされ、

 

『しーかーたーなーいーわーねー!!』

 

 4度目。この時は最後の手段とばかりに拡声器を持ち出すも……

 

「……で、どうしよっか?」

「う~ん……」

 

 終始スルーされっぱなしで終わった。

 

「……えぇい、分かったわよ!じゃあ、誰もが文句を言えないやり方で決めようじゃない!」

「「「「「「え?」」」」」」

 

 やけくそになったように拡声器を段ボールの山へ放り投げ、にこは次の提案をする。

 

「このままウダウダ話し合いを続けたって埒が明かないわ。だから投票でもじゃんけんでもなく、誰もが納得出来る形で決めようって言ってんの!ホラ、早速行くからついてきなさい!」

 

 そうしてにこは、先に部室を飛び出してしまった。

 

「……どうしましょうか?」

「取り敢えず追い掛けようよ。何するつもりなのか気になるし!」

 

 こうして穂乃果達も部室を出て、にこを追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、秋葉原のゲームセンターの一角にて……

 

「ま、マジかよ……こんなのって……」

 

 とあるダンスゲームの前で、1人の男が項垂れていた。

 彼は、この辺りではそれなりに名の知れた音楽ゲーマーで、大抵の音楽ゲームは遊び尽くしていた。

 店内ランキングでは上位常連で、全国ランキングに載る事もあった。

 

 そんな彼が今回挑戦したのは、そのダンスゲームの最高難易度、『Apocalypse Mode Extra(アポカリプスモード・エキストラ)』。

 

 並大抵の運動神経ではクリア出来ない、正にそのダンスゲームの究極で、初めて挑んだ際には何度も失敗に終わったものだ。

 

 それから暇さえあればこのゲームセンターに足繁く通い、そして今日、何とかクリアする事に成功したのだ。

 しかし、『上には上がいる』とはよく言ったもので、彼の店内ランキングはランキング外。

 だが、それは別に構わなかった。腕を磨いてランキングに載れるようになれば良いだけの話だからだ。

 しかし、画面に表示されたランキングには、中々お目にかかれない文字が表示されていた。

 

 ランクFから始まり、E、D、C、B、A、AA、AAA、そしてS、SS、SSSと、最早多すぎだとツッコミを入れられてもおかしくない具合に分けられたランキングで、上位6つが全てランクS以上だったのだ。

 AAAすら難しい、このモードで。

 

「……それにしても、一体何者なんだよ、コイツ等は?しかも、しれっと全国ランキングの上位も独占してやがるし……」

 

 悔しさを隠さず画面を睨み付ける男。

 そこには次のように表示されていた。

 

 

1位、ランクSSS ZOE9548

2位、ランクSS み75-64

2位、ランクSS ら15-64

4位、ランクS す31-58

4位、ランクS な96-43

4位、ランクS ゆ63-71

 

 

 そして、こんな鬼のようなランキングを作った張本人達は……

 

 

 

 

「いや~、あのダンスゲーム中々楽しかったな!」

「ええ。まさか店内ランキングどころか全国ランキングでも上位を独占するとはね」

「まさか、私ですらランクS取れるとは思わなかったわ」

「綾も、中々良いところまで行けてたよな」

「ランキング外だったけどね……次こそはランキングに載せてみせるわ!」

「でも良かったの?皆車のナンバーで登録しちゃって」

「構う事ぁねぇよ、雅。どうせ変なネーミングセンスの連中としか思われねぇだろうし、マジのナンバーと気づかれてもピンポイントで見つけられるなんて殆んど無いだろうしさ!な、紅夜!」

「ああ、その通りだよ大河」

 

 駐車場にて各々の愛車の前に立ち、ジュース片手に談笑していた。

 

 彼等の車のナンバープレートには、確かにあのゲームのランキングに登録されていた通りの文字や数字が記されていたのだった。

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