待ってくださった方、本当にありがとうございます。
もし良ければ感想もいただけると作者のやる気の炎が更に強く燃え上がるので何卒宜しくお願い致します(ニジガク版アウトローの方も、絶賛感想募集中です!)。
では、大変長らくお待たせいたしました。最新話、どうぞお楽しみください。
「……さて、今日の勉強会はこれで終わりやね」
夕方。下校時刻になったのもあり、希が勉強会の終わりを告げる。
『試験で赤点を回避したら紅夜に願いを聞いてもらえる』という褒美をちらつかされたのもあってか、3人の勉強ペースは格段に上がっており、山積みにされていた問題集も、全てとはいかないがかなり片付いていた。
「ねぇ、ことりちゃん。海未ちゃん!これから私の家でお泊まりしない?テスト本番まで家で勉強会しようよ!」
「うん、良いよ!」
「全く、ご褒美をちらつかされた瞬間そこまでやる気になるとは、現金な人ですね……良いでしょう。ラブライブのエントリーが懸かってるんですから、しっかり勉強してもらいますよ」
帰る用意をしながら穂乃果が出した提案に賛同することり。海未も呆れたように言うものの、その案に乗っていた。
「なら凜もやるにゃ!良いよねかよちん、真姫ちゃん!」
「う、うん!」
「いきなりね……まぁ私も構わないけど」
「だったら私も負けてられないわ!希、良いわよね?」
「はいはい、ちゃんと付き合うで」
すると、そんな穂乃果に触発されたのか、他の2人も泊まりの勉強会を開く。
「(コイツ等、今回の趣旨忘れてねぇよな?)」
そんな穂乃果達を見ながら、紅夜は心の内で呟いた。
今回の勉強会の目的は、成績が良くない穂乃果達3人に赤点を回避させ、ラブライブへのエントリー権を獲得する事であって、紅夜が願いを聞くというのは、あくまでもその勉強会へのやる気を出させるための着火材に過ぎないのだ。
「(コイツ等の中での最終目的が変わってなきゃ良いが……まぁ、別にどうでも良いか。どの道赤点さえ取らなきゃラブライブにエントリー出来るんだしな)」
最早彼女等の目的が『ラブライブへのエントリー権の獲得』から『紅夜からのご褒美』に変わっている気がしなくもないが、いずれにせよ赤点を回避すればエントリーさせてもらえる事に変わりは無いため、彼女等のモチベーションのためにも口出しはしなかった。
「さて、これで全部かな………じゃあ、俺は先に帰るよ。また明日な」
そう言って部室を出ようとする紅夜だが、そこで穂乃果から待ったが掛かる。
そして彼女は、ある提案をしてきた。
「ねえねえ、紅夜君も一緒にやろうよ!4人でお泊り勉強会しよ?」
「駄目に決まってるだろ」
紅夜は即答した。
「えー!?良いじゃん、やろうよ!私の部屋そんなに狭くないし、ちゃんとお布団もあるからさ!」
「いや、そういう問題じゃないだろ」
穂乃果達3人だけなら良い。幼馴染みな上に同性だから、何の問題も無いだろう。だが、そこに男が加わるとなれば話は別だ。
昔から親交があったり、この中の誰かと恋人関係にあるのなら未だ話は違ってくるが、彼等は知り合って1年はおろか、半年すら経っていないのだ。そんな状態で『一緒に泊まろう』等、普通なら口が裂けても言える事ではない。
「そもそもお前、自分が何言ってるのか分かってるのか?」
「うん、勿論分かってるよ?紅夜君も私達と一緒にお泊りして、勉強会するって事でしょ?」
「……駄目だこりゃ」
紅夜は深い溜め息をついた。
穂乃果の言った事は決して間違いではないのだが、出会って間もない異性と同じ屋根の下で過ごそうとしているという自覚が無さすぎる。
これまでのように少し立ち寄るのとは訳が違うのだ。
「……というか、お前等もお前等だ。何故何も言わない?」
次に紅夜の標的になったのは海未とことりだ。特に、性格上こういう案には真っ先に噛みつくであろう海未が何も言わないというのはどういう事だと紅夜は感じていたのだ。
「私達も、紅夜君なら別に構わないよ。寧ろ一緒にやりたいな。ね、海未ちゃん?」
「そうですね。他の殿方なら流石にどうかと思いますが、その、紅夜さんなら……」
「…………」
2人からも賛同され、遂に四面楚歌に追い込まれた紅夜。
「(おいおい冗談だろ。ほぼ毎日顔合わせていたとは言え、何をどうやったら泊まりに誘ってくるようになるんだよ?)」
「紅夜君」
不意に穂乃果に声を掛けられて振り向くと、彼女は不安そうな表情で此方を見ていた。
「やっぱり、駄目かな?私、紅夜君も居てくれたらもっと頑張れそうな気がするんだ」
「…………」
何を根拠にそんな事を言っているのか甚だ疑問だが、ことりや海未も頷いている。
「ホラホラ紅夜君。ここまで言ってくれてるんやし、もう覚悟決めや」
様子を見ていた希からも援護射撃を喰らう。最早逃げ道は残されていなかった。
「はぁ……仕方無い」
暫く見つめていた紅夜は、やがて小さく溜め息をつく。
「……お前等の親が許可を出すなら、構わない」
「ッ!うん!」
そう言うが早いか、直ぐ様3人はスマホを取り出して親に連絡を入れ始める。
「(まっ、結果なんて分かりきったモンだがな)」
幾らテスト勉強のためとはいえ、恋人でもない異性と同じ屋根の下で寝泊まりするなど、普通の親なら許可する筈が無い。頼んだところで、『何を馬鹿な事言ってるんだ』と説教されるのが関の山だ。
精々その辺りの常識や、他人ではないものの異性と同じ屋根の下で過ごす事への危機感というものをみっちり教え込まれるが良いと内心ほくそ笑む紅夜。
「(さて、そろそろ親御さんから何かしら言われる頃合いかな……)」
「やったぁ!ありがとうお母さん!」
「……ん?」
何やら予想とは違った反応を見せる穂乃果に、紅夜の目が向く。すると穂乃果も此方を向き、紅夜と目が合うとこう言った。
「お母さん、良いってさ!」
「……ゑ?」
その一言に思わず固まる紅夜。
「だから。お母さん、良いってさ!」
「良いって……つまりは俺も泊まって良いって事なのか?南と園田だけではなく?」
「そうだよ?ていうか紅夜君が言ったんじゃない、『親が許可したら構わない』って。それなら紅夜君も泊まって良いか聞くのは当たり前でしょ?」
「そ、それはそうだが……」
すると、更にことりや海未も口を開く。
「ことりもOK貰えたよ!『紅夜君なら大丈夫』だって!」
「わ、私も……お父様は、お母様が黙ら……説得したとのことです」
「は?」
何を言われたのか分からないと言わんばかりに呆然とする紅夜。だが、ずっとニコニコしながら此方を見つめる3人に、漸く確認する。
「……え~っと、まさかとは思うが…………要するに?」
穂乃果は他の2人と互いに顔を見合わせ、満面の笑みで言った。
「紅夜君も、一緒にお泊まり決定です!」
「嘘ぉぉぉおおおお!!?」
目を大きく見開いて驚く紅夜。
「いやいや冗談だろ!?正気なのかお前等の親は!?自分達の娘が、昔から親交があった訳でもない、今年知り合ったばかりの男と1つ屋根の下で過ごすんだぞ!?普通なら止めるところだろうが!」
「そう言われても………ねぇ、ことりちゃん?」
「うん!だって紅夜君の事はお母さんもよく知ってるから大丈夫だって言ってたし!」
「確かに、今年知り合ったばかりなのは事実ですが、だからって赤の他人という訳ではありません。それに、貴方が邪な考えを持つような人ではないという事は、よく知っているつもりです」
「い、いや。しかしだな………」
どうせ断られるだろうと高を括っていたところへやって来た予想外の返答に、未だ受け入れられない様子の紅夜。
「じゃあ紅夜君は、穂乃果達に、その……エッチな事、するつもりなの?」
「そ、そんなつもりは無い!断じて無い!」
そう強く否定すると、『じゃあ大丈夫だよね!』と表情を輝かせる穂乃果。
「うぅ………」
左目の事がバレてしまう可能性もそうだが、やはり出会って1年どころか半年すら経っていない異性の家に泊まるなど、たとえ1泊であっても気まずすぎて仕方が無い。
どうにか撤回させる理由を探していると、希が割り込んできた。
「そろそろ観念しようや、紅夜君」
「と、東條……」
『厄介な相手が来た』と、紅夜は思った。
以前から、彼女の策に勝てた事は殆んど無い。精々未だアイドル研究部と揉めていた頃に生徒会室で絵里共々言い負かした事くらいだ。
あの時のように、圧倒的に此方が優位に立てるような材料が無い今、紅夜に勝ち目は無いも同然だった。
「穂乃果ちゃん達のご両親からもキチンと許可が出てるんや。紅夜君にやましい気持ちが無いなら、何も心配する必要は無い筈やで」
「そ、それはそうかもしれんが……」
それでも尚抵抗し続ける紅夜だが、ここで希は止めの一言を放った。
「ていうか、そもそも『親が許可を出したら構わない』なんて言ってたのは何処の誰やったかな?」
「ぐっ……」
その言葉に、紅夜は言葉を失った。
そう、今このような状況に陥っているのは、はっきり言って彼の自業自得なのだ。
『どうせ頼んだところで断られるのがオチだ』と高を括って親に電話させた結果、3人共許可を貰ってきてしまった。
海未は何やら父親が反対していたような口ぶりではあったが、母親が説得してしまったようなので許可は貰ったものとして扱わざるを得ない。
「ホラホラ紅夜君。もう退路は無いんやから、覚悟決めぇや」
「……分かった」
自分で言い出した事である手前引くに引けなくなった紅夜は、大きく溜め息をついた。
「許可が出たなら仕方無い……高坂、すまないが世話になる」
「……!うん!」
「やったね、穂乃果ちゃん!」
漸く紅夜が折れた事に大喜びの穂乃果にことり。そして海未も、やはり異性と泊まるためか恥ずかしそうではあったが、その顔は、同時に嬉しそうでもあった。
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「はぁ~……まさかこんな事になるなんて」
その後、一旦穂乃果達より先に部室を出た紅夜は、宿泊の準備のために帰路につこうとしていた。
今回は事が事であるため、部室を出て駐車場へ向かう道すがら深雪に電話して事情を話そうとしたのだが、どうやら先に雛の方から連絡が入っていたらしく、電話に出た彼女はかなり興奮した様子だった。
「おまけにお袋、途中から涙声になってたしな…………別に親睦会とかの意味じゃなくて、ただの勉強会だってのに」
普段は限られた相手としか関わろうとせず、穂乃果達ともプライベートでの関わりを一切持とうとしなかった息子が、勉強会とは言え家に泊まる事になったのが余程嬉しかったのか、電話を切る頃には泣いていた深雪の様子を思い出して思わず苦笑を浮かべる紅夜。
「さて。お袋が色々準備してくれてるって言うし、さっさと宿泊セット積みに行かなきゃな……それに、明日の分の教材も用意しておかなきゃ………いや、もう面倒だし全教科用意しておくか。使わない分は後部座席にでも置いときゃ済むしな」
そう呟きながら愛車のエンジンを始動させた紅夜は、やや急ぎ足に家路につく。
「…………」
その様子を物陰から眺める、1人の女子生徒が居た。絵里だ。
生徒会の仕事を終えて帰る途中に紅夜を見つけ、声を掛けようとしたのだが彼が電話中である事に気づき、気づかれないように後ろを歩きながら様子を窺っていたのだが、そこで紅夜が、勉強会のために穂乃果の家に泊まりに行く事を知ってしまったのだ。
だが、正直その事はどうでも良い。紅夜と彼女等の関係は分からないが、問題さえ起こさなければそういった交流は自由だと考えているからだ。
彼女が考えているのは、随分とテスト勉強に力を入れている事だ。
「(もしかしたら、試験で赤点取ったらエントリー出来ない、とでも言われたのかしら?希もにこの勉強見るって言ってたし……だとすると、そう考えた方が良さそうね)」
そう思うと、絵里の心に靄が掛かる。
たとえエントリー出来たところで、その大会に出られなければ意味は無いし、そもそもスクールアイドルというお遊び同然のパフォーマンス如きで学校を救うなど、絵里からすれば問題を簡単に捉えているとしか思えない。
確かに彼女等の活動で少しずつ知名度が上がってきているのは事実だ。最近では、彼女等に会いに来る中学生も見かける。しかし、それが廃校阻止に繋がるという確証は何処にも無い。
この廃校問題は遊びではない。何かのゲームのように、ミスしたら最後のセーブポイントに戻ってやり直せる訳ではないのだ。
だからこそ、自分達生徒会でこの問題を解決するために行動しようとしているにもかかわらず、雛は即答で却下し、逆に穂乃果達の活動は否定しなかった。
希も彼女等を気に入っているのか、随分と肩を持つ上に、紅夜も応援しているという訳ではなさそうだが、彼女等の活動を否定する様子が全く無い。それが、絵里は何よりも悔しかった。
まるで『お前のやり方は間違っている』と言われているように感じるからだ。
「……どうして、誰も分かってくれないのよ」
そう小さく呟き、再び歩き出す絵里。そしてそんな彼女の後ろ姿を、希が陰から見つめているのだった。
それにしても、スクフェス2が今月一杯でサ終とはね……
何と言うか、せっかく欲しかったキャラもゲットして、確か記憶が正しければ新機能(?)も追加されるって話を聞いて、『俺達のスクフェスライフはこれからだ!』ってなってきた矢先にこれだから、勿体無いしやるせない気持ちで一杯です。
せめて『1周年おめでとう』くらいは言わせてほしかったですね。
何なら、自分がこのスクフェス2を見直すきっかけにもなった誕生日おめでとうメッセージ。結構URキャラ揃った(ウィーンや冬鞠以外は最低1つはゲット)から、彼女等にもう一度祝ってほしかったですよ…………