織斑一夏は理解できない   作:五番目

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織斑千冬が理解できるわけがない

一夏が誘拐された。

 

第2回IS世界大会にて出場している最中に一夏が誘拐されたことを知ったとき、頭の中が真っ白になりかけた千冬だったが、一夏を助けなくてはと大会を棄権して一夏の

下に行く。

 

一夏が不安で心細く、恐怖のあまりパニックになっていないだろうかと千冬は最悪の状況を想像するも、とにかく急いで助けに行く。

 

現場にたどり着いたとき、そこには血の海に沈む一夏の姿だった。

 

一夏と、呼び掛けるも意識がない為、千冬の呼び掛けに何の反応もしない。

 

一夏が身体中を真っ赤に染まっているのを見て動揺をしている千冬だったが、一夏のことを観察しているとあることに気づく。

 

一夏の身体を染めている血液は一夏のものではないと。

 

最初に気づいたのは外傷が全くないことだった。

 

派手に血を浴びているが、特に何の外傷もなく血を浴びただけだと、気づいたとき千冬はほっと息を吐く。

 

しかし、疑問に思うことがある。

 

一夏を誘拐した人物が見当たらないことだった。

 

辺りを見回しても、何処かに移動した、または隠れたという痕跡がないのだ。

 

何かを見落としていると千冬は感じたため、ISのハイパーセンサーで周囲の痕跡を探してみるも、やはり痕跡は見当たらない。

 

あまりにもおかしい。

 

何故なら、先にこの現場に来た筈のドイツ軍が見当たらないのだ。

 

争った痕跡がないのだ。

 

ふと、千冬は直感的に感じる。

 

ここにいるのはまずい。

 

嫌な予感がしたため、千冬は一夏を抱えてその場を立ち去る。

 

その場には大量の血溜まりが残っている。

 

千冬はやはり理解することを恐れた。

 

その血溜まりを作ったのは誰かを。

 

高校受験のとき、一夏がどの高校を受験するかを聞いても、やはり答えは返ってこない。

 

こういった一方通行のやり取りが日常化して久しいが、千冬は一夏の意思を尊重する考えだ。

 

しかし、千冬は尊重すると考えつつも、この状態の一夏を独りにしたくないとも考えてしまう。

 

故に千冬は行動する。

 

以前、束と会話したときの話である。

 

束は言っていた。

 

一夏は何処か世界中にいる有象無象と違う、と。

 

千冬は束がまたふざけただけだと、思った。

 

しかし、妙に印象に残っているのだ。

 

あの束が珍しく真面目に、本気で言っていたのだ。

 

もしかしたら、という話をしていたのを思い出す千冬は、一夏をIS学園に誘導するよう、束に協力を申し出た。

 

束は快く受け入れてくれた。

 

しかし、千冬は気づかない。

 

そうなるように誘導したのは束自身であること

 

誘拐されたのも束が一夏の本質を見極める為に、わざと亡国機業に情報を流し焚き付けたこと。

 

自分計画通りにことが進んでいるのを満足げに微笑んでいることを。

 

故に千冬は理解できない。

 

一夏の本質、束の思惑など千冬が理解できるわけがないのだ。

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