朝になったとき一夏は起床した。
昨夜、棒のようなもので襲って来た宇宙人から逃げて、狭い部屋に隠れていた。
現実ではそこは女子トイレの個室だったのだが一夏には関係ない。
しかし、起きたとき狭い部屋ではなく広々としてベッドある部屋だった。
一夏は見慣れた光景に気付かなかったが床に血痕が残っていた。
完全に乾ききっている。
昨日アレが食べた残飯だった。
食べてそのまま眠ってしまったのだ。
血痕の近くにはが棒のようなものが落ちていている。
アレが箒を食べていたことを一夏は知らない。
アレは昨夜食べた餌を思い出す。
部屋に入った瞬間一夏を棒のようなもので肉の塊が襲って来たのだ。
これは凶暴だと理解したアレはこのままでは殺される可能性を垣間見た。
故に、アレはこの殺されるかもしれない恐怖を消すべきだと思った。
一番殺せる可能性が高いのは夜になってからだと考えるが一夏はどこかに逃げている。
体の支配権は一夏にあるため、自分の意思では一夏が起きている間は自由に動けない。
一夏が眠っている間だけ行動できる。
アレは夜になってから食ってやる、と意気込む。
そして、人間としての名前は篠ノ之箒は食べられた。
箒は襲いかかってくる人物に気付けなかった。
アレは箒を食べる際にわずかに残った恐怖心から細心の注意を払うために以前取り込んだ複数のISからハイパーセンサー、更に、その複数のISから光学迷彩なるものも手に入れて使用し、油断なく餌を食べる。
以前、人間とISを食べたアレは箒を食べて美味しいと思ったが、やはりISの方が美味しいと思った。
意識もなく取り込まれた箒はアレの中に取り込まれ粒子変換される。
アレにとって重要なのは取り込んだデータや情報だ。
人間ならば、遺伝子、体重、身長、骨格、顔の形、趣味趣向、メガネを掛けていたかどうか等を含めた取り込んだ人物の情報。
ISならば、コアに蓄積された戦闘データ、武装、シールドエネルギー。
取り込み粒子変換されれば貯まっていき、いずれ貯まった情報をもとにアレが産む。
アレは一夏から独立して行動できないが故にもどかしさを感じる。
やはり、一夏が自分で食べてくれればこんなに空腹を我慢せず満足いくというのに、と不満げになる。
しかし、そう設計されているのだ。
自身でもどうにもならない。
時間は限られている訳ではないのだから待つしかない。
一夏が自分の意思で食べることを。
そして、一夏は理解できない。
幼い頃、一緒に剣道をしていた女の子を一夏の中にいる存在が食べてしまったこと。
宇宙人を無意識のうちに目で追っていること。
まだ理解できない。