吸血鬼と呼ばれた男   作:カマシー

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※注意、作者はロボや銃などの類の作品には詳しくありません。なのでおかしな部分が出てくるかもしれませんが、その手の作品が好きな方々はどうか温かい目で見ていただければと思います。
また、タグにも示した通り基本的にこの話は原作に沿ってストーリーが展開されますが、展開の都合上話が飛ぶ可能性があります。(例えばベカスの過去編の11章とか)ですが原作を知らない人(流石にいないと思うが)でも分かるようにしますので、よろしくお願いします。
では、どうぞ。


ワカ編
第1話 プロローグとアフリカ統一戦争


嫌だ

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

何故オレばかりこんな目に合わなければいけない?何故オレばかりこんなことをしなければならない?

今まで様々な命令を受けた。オレはそれに従い続けた。

だが、もう我慢の限界だ。こんなところにいられるか。

ならばー

 

〜〜〜

 

ーとある場所ー

男達は、混乱の渦に飲まれていた。

「ヤツが逃げ出した!すぐに連れ戻せ!」

「で、ですが!行方が分かりません!」

「信号を辿れ!何としてでも、ここから出す訳にはいかん!そう遠くには行っていないはずだ!」

「くそ!一体どこに…うわあああ!!」

「おい!どうし…なっ、貴様…ぐわあああ!!」

あちこちで銃声が聞こえる。しかし、それもすぐに収まり、また別の所で銃声が鳴る。

 

「まずい!ヤツがBMを持ち出したぞ!」

「何だと!?クソッ!すぐに捕まえろ!アレはただの量産機とは違う!ヤツの専用機だ!暴れられたら厄介だぞ!」

「そ、それは分かっているが、このままじゃどうしようも…ガハッ!!」

「おい!大丈夫…グハッ!!」

男が倒れたとき、既に辺りに立っている者はいなかった。ただ、脱走者とそのBMだけが、男の目の前に立っていた。

「ぐっ…貴様…だけは…絶対に……」

逃すものか。そう言おうとしたが言葉には出す、男の意識は、そこで途切れるのであった。

 

〜〜〜

 

「なあ、“吸血鬼”の噂ってのを知ってるか?」

とある戦場で、ベカスは、自分の上司であるフリーズから、そんな質問をされた。

「“吸血鬼”?夜中に化け物から血を吸われた人でもいるのか?」

「その噂、聞いたことがあります」

「知ってるのか?エイル」

ベカスにエイルと呼ばれた少女ーグニエーヴルは、その質問に答え、噂について語り出す。

 

「最近、各地の戦場に現れる雇われの傭兵らしいです。なんでも、彼の戦った跡は辺り一面が血に塗れ、彼が乗っているBMは、返り血で真っ赤に染まっているそうです。中には身体から血を抜かれて亡くなったような人もいるとか…」

「なるほど、だから吸血鬼ということか…それで、その“吸血鬼”さんがどうしたって?」

「聞いた話によると、今回の戦闘に参加しているらしい。まあそう言ってもこれだけ広いからな。そうそう会うとは思えないが、一応注意しておいてくれ」

「はいはい、分かりました。隊長どの」

そう言ってベカス達は、自分達が相手をする敵軍へと、進んでいくのだった。

 

 

…カス…

ベカス…

自分の名を呼ぶ声が聞こえる。

「隊長…」

「ベカス!生きてたら今すぐ応答しろ!さもなきゃあんたの(ピーー)を(ピーー)にして(ピーー)しちまうぞ」

「うっ」

彼を呼んでいたのは、フリーズであった。

彼のいる戦闘区域は味方のほうから包まれている。時折瓦礫を巻き込んだ暴風が彼の乗るウァサゴへ向かうが、正体不明の謎の力によって全て阻まれる。

「これが博士の言ってた例の『FSフィールド』ってやつか…なんて便利なやつだ…」

「ごめん、ベカス…私のせいであなたまで巻き添えにしてしまって」

グニエーヴルが、申し訳なさそうに謝る。

「気にすんな。君は自分の任務を果たしただけだ。どうだ?機体は動けるか?」

ベカスの問いに、グニエーヴルは頷いた。

 

「ゴースト3号よりゴースト1号へ、『チームドクター』の身の安全を確保した。只今より戦略的撤退を始める」

ゴースト◯号というのは、フリーズが隊長をしているゴーストチームのことを表している。

「なんだって!」

フリーズは顔を画面に張り付くほど近づけた。

「気は確かか?今はもう戦闘に突入してワカ軍による絨毯爆撃が始まってるのよ!あの爆撃機のパイロットは逃げられるかもしれないけど、あんたが今逃げたら…」

「今逃げれば生き残れる可能性は少なからずある。このまま爆弾に殺されるのを待つよりはマシだ」

「…今すぐあんたを連れ戻しに行くから、もう少しの辛抱よ。いいーー絶対に死なないでよ」

「はいはい…」

こうして、ベカス達は戦場からの撤退を始めた。

 

 

道中、捨て身の特攻をしてくる兵士達を退けながら、ベカス達は戦場から徐々に離れていく。

「しかしWSレコーダーが壊れてしまうとは…はあ、ツイてないぜ…」

傭兵達は毎月決められた固定報酬の他に、『指定勢力』の機体を撃退すればさらに追加ボーナスがもらえるが、これを統計するには、機体中央パネルにあるWSレコーダーを使い細かな【撃退確認】比較作業を行う必要がある。しかし、これの誤認や統計漏れが多発しており、また、ベカスのようにWSレコーダーが壊れてしまう場合もある。

「ブツブツと喋ってないで、急いでここから撤退をーッ!?」

フリーズが息を呑む。ベカス達のところに、爆撃機から爆弾が投下されたのだ。

「マズいな、これは…!」

間に合わない、そう思った時ー

 

ドガアァン!!

 

流れ弾だろうか、どこから飛んできたナニカが、爆弾を上空で爆破したのだ。

「た、助かった…だが、一体何だったんだ…?」

そう思いながらも、ベカス達は、この場から離れるしかなかった。

 

 

砲撃区域から徐々に離れていったベカス達は、今度は小規模な遊撃部隊と真正面から出くわした。

「反ワカ連盟軍遊撃部隊か…これって…民間重機?」

ベカスが、どう見てもパワーショベルであるそれを見て言う。

「ど、どうするんだ!ワカ軍の傭兵だぞ!」

反ワカ連盟の兵士が慌てる。

「チッ…」

舌打ちをしたのは、アフリカらしい褐色の肌をした少女、スーラであった。

 

「ここは私が何とかするから、あんたたちは先に行って!…あとは任せたわ。それと、修理道具ならタンスの3つ目の引き出しにあるって姫様に伝えて」

「ち、ちくしょう!お前一人にカッコつけさせてたまるか!」

「一斉に取り掛かるぞ!絶対死ぬなよスーラ!俺たちの機体にはお前の腕が必要なんだ!」

「…あんたたち」

そのやりとりを見て、ベカスが黙り込む。

「…」

「この傭兵め!私たち反ワカ連盟を見くびってるわけ!?」

「そんなことないさ」

ベカスは答える。

「オレが見くびってるのは、ご時世そのものだ」

 

 

「やあああああ!!!」

玉砕を決意した少女はアクセルをめいっぱい踏み込み、怒りを込めた巨大な重機はものすごい力でウァサゴを1棟の建築物の中に押し込んだ。

「ベカス!」

グニエーヴルが叫ぶ。

「うっ!」

「全部あんたらのせいよ…ワカの犬どもめ!」

重機の前足は巨大なハサミと化し、ウァサゴの『頭』をガッツリと掴んだ。

 

「死にたくなきゃさっさとここから消えな、さもなければ…」

「やれやれ…身を捨てる覚悟がなきゃこうして戦わないさ」

「!!!」

まだ自由に動けるウァサゴの右腕が銃を持ち上げ、重機のコックピットに狙いを定めた。

「頭を握りつぶしても、せいぜい機体のメインカメラが壊れるだけ、周りから『整備士』と呼ばれてるんだから、そんくらいは知ってるよな?」

「…」

スーラが黙る。

「敵を確実に倒したければ、一番強い武器でコックピットを狙って…」

 

その時だった。

 

「見かけねえ機体だな…ワカ軍の傭兵か…?」

突如掛けられた声の主は、血のように真っ赤に染まった、一機のBMであった。

「まぁいいや…面白そうじゃねぇか…なあ、ちょっとオレと、()()()()()()()()

BMの主が、ニヤリと笑った気がした。




いかがでしたでしょうか。
導入部分だからというのもあるけど結構原作からパクった利用した部分が多かった…ベカス達のキャラや言葉遣いがおかしい気がする部分は、ダッチーに文句を言って下さい(オイ)。だいたい一章の時点で反ワカ連盟と反ワカ同盟で統一されてないってどういうことだよダッチー。また、一章で本来登場するはずの彼らは次の話で出てきます。カルシェン、葵博士、ドリスは出すタイミングが無かった。許せ。
主人公に関しては次回のお楽しみという事で。では、また。

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